1 帝がやってきました……。
「お爺さんのおかげで、いやーな求婚話も来なくなってゆっくりした時が過ごせるようになったわね。本当にお爺さん様様だわぁ。」
と、かぐや姫は和やかな時を過ごしていました。するとそこへバタバタと慌てたような足音が聞こえてきました。かぐや姫は慌てて緩めていた着物をなおします。バンっと大きな音を立てて、ふすまが開きそこにはお爺さんが息を切らしながら立っていました。かぐや姫がどうしたのかと聞くと、お爺さんは一呼吸ついて言った。
「かぐや姫すまぬ。……帝がかぐや姫を欲しいと。かぐや姫に求婚してきたんじゃ! さすがに帝からの求婚を断ることなどできんのじゃ……。」
「え……。(はあああああああああああ????? 帝ってこの地球で一番偉い人だっけ? まぁ私美人だから結婚したいのはわかるんだけど。 この地球で一番偉い人が容姿だけで結婚相手決めるって……。終わってるわねこの地球。)」
「かぐや姫……?」
考え込んだようにフリーズしてしまったかぐや姫を心配してお爺さんが問いました。
「すみません。まさか帝様に見初められるなんて思ってなくて驚いてしまっただけですわ。私なんて取り柄も何もないですのに……。」
「そんな謙遜しないでも……。かぐや姫はわしの自慢の娘じゃ。それでのぅ……。」
「どうしましたか?」
「帝が明日この家に来るんじゃそうじゃ……。」
「明日!?(いやいや急すぎるでしょ。なんとか求婚を断る作戦を立てないと。)」
帝の求婚を断るため、闘志に燃えるかぐや姫。お爺さんはその様子を不思議そうに見て、去っていきました。
翌日。
沢山の牛車がかぐや姫の家の前にやってきました。その中には、華やかな着物や宝石、おいしそうな食べ物。かぐや姫に献上するための物が余るほど入っていました。その多くの牛車の1番奥から帝が出てきました。すると、帝が来るとどこからか聞きつけ待っていた野次馬達が、黄色い歓声をあげました。それほどまでに帝は美しかったのです。それを部屋で聞いていたかぐや姫は、緊張をほぐすため深呼吸をしました。下手に断って帝を怒らせてしまえば、お爺さんやお婆さんがひどい目にあう可能性があるからです。
「かぐや姫や。入るよ。」
とお爺さんの声を聞き、どうぞ。と答えると、帝とお爺さんが入ってきました。帝はかぐや姫も見入ってしまうほどの美しさでした。(月の者のような、いえそれ以上に美しい地球人がいるなんて……。)そう思ってしまうほどでした。しかし、どれだけ美しくてもかぐや姫の心は変わりません。(外見重視の地球人と私は違うのよ。)帝は、かぐや姫の前に座りました。
「私は、あなたが欲しい。あなたと結婚させていただきたいのです。」
「……私は、よく知りもしない人と結婚したくありません。結婚は一生に一度の大切なものだとお爺さんとお婆さんに聞きました。一生に一度の大切なものを簡単に決めたくないのです。それに、私はまだ……できればずっと、お爺さんとお婆さんと一緒に生きていたいのです。」
かぐや姫はまさか最初から本題を出してくるとは思わず、少し間をあけて答えました。その間から少しでも、可能性があるととらえたのか帝は、
「そうですか。でしたら、私のことを知っていただければよいということですね。」
「え……?」
「その為にも、まずはお友達というところから始めてはどうでしょうか? かぐや姫も話していけばお気持ちが変わるかもしれませんよ?」
と、ぐいぐい攻めてくる帝。しかし、そうくると考えていないかぐや姫ではなかったのです。(もちろん、そう来る可能性も考えて昨日必死に作戦を練っていたんですのよ! 私を甘く見ないでいただきたいわね。プランBですわね!)ぎゅっと、持っていた扇子を強く握るかぐや姫。そして帝に向かって話すのだった。
次回!
帝VSかぐや姫!?
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私のやる気が出ます!