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ニアリィヒーロー/イコウルマオー  作者: アントワネットジョー
4/5

第4話 来ないでください日曜日

〜〜前回までのあらすじ〜〜

 決して華やかとは言えない学園生活を送っていた環ユウキくん!残酷な描写ありってこうなのか!こういうことなのか!

 でもまだいじめられてないだけマシさ!君には遥ちゃんとラックスがついてるんだ!元気だそーぜ!

 さて今回は待ちに待った1週間後!主役のメグルは青い顔!頑張れ!みんなのヒーロー!メグルマスク!

 〜〜某県某市のとある一軒家〜〜

 

 あぁぁ畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生!!ムカつく!ムカつく!!!マジでムカつくぜ!!!!コイツら足引っ張りやがってこの寄生野郎どもが!!!!!俺はこの「荒野侵攻」で命を懸けて戦ってるんだよ!!!!!それなのにこの雑魚どもはなんだ!?!?チームに入って5分もしないうちにすぐ死にやがって!!!!ここで勝たなきゃ他のやつのレートに追いつかねーんだよクソガキが!!!俺の覇道を邪魔すんじゃねぇ!!!ゲロカス!!!IDと名前は覚えたからな!!!!今すぐPwitterと2億ちゃんねるふたごMINE全部に晒してやるお前らの人生オワタワロタマジで草死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぶち殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すころ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯頭いってぇ⋯⋯あ、なんだこれ??機械?


 なんだこれ!?なにこれ!?!?腕がめちゃくちゃ!!足がぐちゃぐちゃ!!!?かお!!顔おおお!!おお!!うわいああ目がでっっっかいってぇええええええなにこれえええええええぇぇぇぇぇぇ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯

















 アイツら殺そ



















 〜〜いつものメグル宅〜〜


「あぁ。来てしまった。日曜日が。ついに。本当にヤダ。またあんな思いをしなきゃいけないのか。つらい。死んでしまいたい。でも殺されたくない。誰か。誰でもいいから。俺の代わりに。メグルマスクに。」


「大丈夫かメグル」


「大丈夫に見える?」


「落ち着け。まだ反応はない。油断は出来ないが⋯⋯」


 落ち着いてられるか。てか地味にテキの探知機能があるのか。便利だけど反応が来たら終わりですやん。


「もう⋯⋯毎週こんな思いをしなきゃいけないのか⋯⋯」


「大丈夫だ、私とメグルなら絶対に負けない。力を合わせれば必ず勝てる。」


「そうは言うけど⋯⋯やっぱり怖いでしょ⋯⋯」


 でもそのラックスの言葉は自信に満ち溢れていてなんだか頼もしい。少しだけ落ち着いたかも。


「あーと、そういえば、これも聞きたいことなんだけどさ」


「なんだ?」


「テキは何を理由に人を襲うの?」


「それはそのテキが増幅した悪意による。単純な例だが、醜い金銭欲ならば銀行強盗。残虐な殺人欲ならば大規模な大量殺戮といった具合だな。」


「2つ目はシャレにならないよ」


「ほんとはもう少し複雑なんだが⋯⋯テキは特定の人間を襲い殺すのがほとんどだ」


「先週のテキは俺を襲うためのそういう事情があったわけ?」


「事情というより、アレは単なるキッカケだな」


「いやだからそれ意味わかんないって⋯⋯」


 そこは素直にわからないってことでもいいのに、なんで出会いのキッカケにしたがるんだろうか。


「キッカケと言ったらキッカケなのだ。私にはそう思える自信が確かにある」


「まぁとりあえずいいや⋯⋯」


 なんだかこういう話をしていると疲れる。当たり前だけど。わからないことだらけってのはやっぱり怖いな。1度ベッドに寝っ転がりしばらく天井を見つめてふと思いつく。


「あ、そうだ!そういやせっかく変身能力を手に入れたのに、アレっきりまったく変身してないじゃん!念の為今1度やってみようぜ!何よりまだ俺自身の姿を見てないし!」


「ふぅむ、それもそうだったな。素早く対応する為にも、変身の練習はしておいた方がいいかもしれない」


 ちょっとそう考えるとワクワクしてくる。一方的に殺されるだけじゃない。ラックスも言ってたけど俺達には唯一対抗できる手段があるんだ。今になって少しだけ自覚が出てきた。


「あ、玄関近くにある鏡の前でやろう。あれが1番大きいし、今お父さんお母さんいないし。」


「さっきと打って変わって楽しそうだな」


「そんなこと言わないで⋯⋯」


 とりあえず部屋から出て下の階に降りる。右手にラックスの取っ手部分を握りしめ、鏡の前で胸を張り立つ。


「よし⋯⋯やるぞ⋯⋯⋯⋯変身!」


 それっぽいポーズをとり、真ん中のボタンを勢いよく拳で押す!ラックスが光り、なんだか愉快な音楽と歌声が流れる。さぁとうとうパワードスーツが⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ってありゃ?変わんないじゃん?


「どうしたのラックス?もしかして普通のおもちゃに戻っちゃった?」


「いや⋯⋯そんなハズは⋯⋯。そうだ、メグルマスクと叫ばなければダメなんじゃないのか?」


「なんでそうなるのよ」


「俺がメグルマスクを気に入ったからかもしれん⋯⋯」


「勘弁してくれや⋯⋯」


 まぁ物は試しだし、とりあえずメグルマスクでやってみる。


「⋯⋯⋯⋯⋯⋯チェンジ!!メグルマス⋯⋯」


 再びそれっぽいポーズをとり、真ん中のボタンを勢いよく拳で⋯⋯⋯⋯


「こんにちわおじゃましまーーーす!!!ユウキくんいますかーーーーーー⋯⋯⋯⋯⋯⋯???」


 


 死のう。




「大丈夫だよユウキくん。誰だってそういう時期はあるよ。それに私嬉しいもん。メグルマスクを気に入ってくれてたみたいで」


「ほんと誰にも言わないでね⋯⋯言う相手いないと思うけど⋯⋯約束ね⋯⋯うっうっうぅぅ⋯⋯」


「よしよし⋯⋯」


 ふざけてる場合じゃあないのに⋯⋯。なんでこんな雰囲気に⋯⋯。


「うっ⋯⋯うぅ⋯⋯エッエッ⋯⋯ひくっ⋯⋯。それで⋯⋯なんでウチにきたの⋯⋯」


「えぇと、昨日ソンリオピューモランドに行ってきたからそのお土産⋯⋯。ハイ、キキィちゃんせんべい。これ美味しかったよ。」


「あぁ⋯⋯ありがとう⋯⋯後で食べるね⋯⋯。」


「それじゃあ⋯⋯今は1人になりたいと思うから⋯⋯じゃあね。また明日来るから。メグルマスク!私だけは応援してるからね!」


 ほんとに一言余計だ⋯⋯。


「大丈夫かメグル」


「大丈夫に見える?」


「考えていたのだが、もしかしたら変身はテキの反応がない限りできないのかもしれん。もしかしたらだが。」


「じゃあ結局ぶっつけ本番か⋯⋯」


「安心しろ、今の変身の動きはほぼ完璧に近かった。仮にテキが目の前に現れてもすぐに対応できるだろう。」


「うん、じゃあもう二度と練習はしない。」


 大恥かいたけど⋯⋯だいぶ気持ちはやわらいだ気がする⋯⋯。でも気は抜けない⋯⋯。



 〜〜次の日 月曜日の朝〜〜


「結局昨日はテキが現れなかったね」


「そうだな⋯⋯だが何か嫌な予感がする⋯⋯」


「それ絶対来るやつじゃねーかよ」


 とかツッコミを入れつつ、いつも通り朝の支度をし、朝食を食べるために下に降りる。どうせ来るならさっさと来いだ。


『ここで臨時ニュースです。今朝の6時頃、何者かがM県K市の住宅に侵入し、自宅に住む男子高校生1人を殺害、逃亡した模様です。警察によると昨晩、Pwitterと2億ちゃんねるに男子高校生らに対して投稿されていたと見られる殺害予告と、なんらかの関係があるとみてうんたらかんたら⋯⋯』


 普段なら酷いことするなぁくらいで流し見して、すぐ忘れるようなニュースだけど、今回だけはなぜか見ててものすごい悪寒が走った。

 例えるなら、運動会のリレーで来ても欲しくないバトンを待っている時の、そん時の数百倍は鳥肌が立った。もしかして⋯⋯。


「メグル⋯⋯⋯⋯反応が出た⋯⋯⋯⋯。テキだ⋯⋯⋯⋯」


 はァ⋯⋯。フラグ回収が早すぎる⋯⋯。


「俺にもなんとなくわかったよ⋯⋯。とりあえず行こうか」


「あぁ」


 俺はメシも食べずに家を飛び出した。とても怖いのに、体は勝手に動いてた。敵に立ち向かったあの時の夜みたいに。

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