第41話 フラグという恐ろしい魔力には逆らえない
こんにちは!
明日葉晴です!
ほんっっっとうに!久しぶりに!
予定通り投稿しました!
今まで申し訳ございません!
今回はいつも通り茜ちゃん視点でのお話です!
舞ちゃんと一緒に肝試しですね。
お化け屋敷もそうでしたが、先に言っておきます。
雰囲気はゼロです。
というわけで、本編をどうぞ!
私は昔から幽霊が視える。
「アレはどや!?」
「枯れ木だね」
昔は気味悪がられて周りには誰もいなかったけど、今は幽霊を信じて、スマホの明かりを頼りに一緒に肝試しする友達もいる。
「アレはなんや!?」
「案山子だね…いや、なんであんの…?」
まぁ肝試しをしたところで都合よく幽霊が出る事ってないんだけど。
◯
私と舞のペアはやっぱりと言うべきか、舞がめちゃくちゃにはしゃいでいた。余程幽霊が視たいのか、アレはコレはと私に対して幽霊の存在確認をしてくる。正直この時点で肝試しの雰囲気的にはどうなのかと思う。雰囲気が大事と言っていた人間が、言われていた人間に思われるなんて、立場が逆転している気がする。
これも一つの楽しみ方…なのか…?
楽しんでるならそれもそれでありかと思いながら、私は舞の質問に答えていく。誰も来そうにない場所だから幽霊もいないと思うし、いたらいたで私から言うけど、舞の性格からしていてもたってもいられないんだろう。気が済むまで喋らせよう。
「あ、火の玉や」
「マジで!?」
かと思えば冷静に私が驚くことを言ってきた。舞がオカルト事に対して冷静に言ったのもそうだし、私自身も火の玉を見たことがないから、二重の意味で驚いた。見てみると、確かに何か光っているモノが浮かんでいる。
「あ、ちゃうかった。てか普通にホタルやな」
「なんだ…いや。ホタルも驚くけど…」
「夏の風流やな」
だけどそれは舞自身の言葉で否定された。でもホタルがいる山っていうのは充分凄い気がする。私有地だから汚されることなく生息してるのかもしれない。それよりも私は舞の様子が気になった。
「火の玉では驚かないんだ?」
「んあ?そやな。火の玉は科学的に解明されてるからな。この晴れた天気で起きんのは確かに気になるんやが、ホタルやったし」
「そ…そうなんだ…」
私が純粋に疑問に思ったことを聞くと、普段とは違って現実的な答えが返ってきた。私は思わず驚いて言葉を失ってしまった。オカルト事で全部テンションが上がるわけじゃないらしい。
「ずいぶんと冷静なんだね」
「うはは!オカルトやったら全部信じるんとちゃうで?科学的に解明されて、疑いが無くなったんはそう言うもんと思う。オカルト好きは現実主義の裏返しやで?不思議なもんに興味あるなしで、ウチか小夜に分かれるて感じやな」
「へぇ…そういうものなんだ…」
私は思ったことを直球で聞くと、舞は笑いながら説明してくれた。確かにそう言われると納得できる気がする。舞と小夜じゃずいぶんとテンションに差がある気がしないでもないけど。
「科学でなんとも言えんから憶測が生まれる。そこに夢がある。茜は好かんかもしれへんけど、ウチにとっては、茜も夢の塊みたいなものやね」
「夢…?」
「せや。死んだもんに会えるなんて、普通は出来へん奇跡や。奇跡を夢見て憧れんは、誰しも普通やと思うわ」
「そんな…いいものじゃないよ…」
舞はやっぱり私の力を誤解していると思う。舞が言うような奇跡なんてない。本当にそんな奇跡なら、会いたい人達に会わせたい。みんなが好きなだけ過ごしてから成仏出来ればいい。苦しむリスクのある奇跡なんて、夢がない。
「自分に無いもんを怖がる人がおるように、自分に無いもんを羨む人がおるんを覚えといてぇな。そないな人には誇ったらええねん。その奇跡で得たもんは、悪いことだけやないやろ?」
「…そうだね。うん。そうだ…」
私の気持ちが落ち込むと、舞らしい言葉で私を励ましてくれた。私はその言葉を素直に受け取ることが出来た。舞の考えはいつだって前向きだ。
舞だったら、もっとこの力を楽しめるのかな…
「なんや辛気臭ぁなってもうたな!」
「…はは。肝試しなんだし、辛気臭い方が雰囲気出るんじゃない?」
「おぉっ!確かに!」
私が舞の言葉に納得してると、舞が明るい声で空気を切り替えてきた。その舞なりの気遣いに私は乗っかって、いつもの調子に戻す為にからかった。
「まぁ、舞には似合わないし、無理だろうけど」
「うははっ!せやな!ウチは辛気臭いんは無理や。騒ぎたなる」
「肝試し向いてない人員だよねー」
そして私が感想を言うと、舞はそれを笑って肯定した。お陰で気持ちが戻ってきたから、その言葉を聞いて、前に遊園地でも思ったことを口にした。
「いやいや、ベストメンバーやろ!幽霊視える人に視たい人。ベストマッチの相性抜群や」
「そう言われるなら美和がいいなー」
「そんならウチかて美和がええわ」
「そこは小夜じゃないんだ…」
「多分、小夜も同じこと言うで」
「それは…確かに言いそう…」
「せやろ?」
結果、美和の一人勝ちか…
舞が怖い事を言ってきたから私の希望を言うと、舞も乗ってきた。すかさずツッコミを入れると、冷静に返されて納得してしまった。仮に誰と結婚したいかと言われたら美和だろう。家庭的、優しい、可愛い。条件が揃い踏みだ。
「そろそろホタル川が見えてくるで」
「へぇ…私見たことないから楽しみ」
雑談しながら歩いてると、舞がそんなアナウンスをしてきた。さっきのホタルはそこからはぐれてきたのだろうか。なかなかアグレッシブな気がする。
「よう滑るから気を付け。川に落ちるんやないで」
「わかった」
「フラグやな」
「そんな怖いこと言わないでよ…」
舞の注意に答えると、不吉な事を言ってきた。肝試しと関係無いところで怖がらせて来るのは止めて欲しいと思う。
「スマホの明かりは一旦消してな?」
「わかった……おぉ…!」
「久しく見たんけど、やっぱ綺麗やな」
そんな恐怖とフラグは実現しないで、小川と共にホタルの群生地が出てきた。淡い光がいくつも飛んでいるのは、とても幻想的だ。
「ここには来てなかったの?」
「せやな。小夜が旦那様と口聞かへんかったってのもあるんやろけど、ここには奥様との思い出もあるからな」
「そっ…か」
「そう言う意味では、小夜がここに来よう思たんは、大きな一歩や。ホンマ、二人と幽霊には感謝しとるよ」
「小夜は同じ事を舞にも言うと思うよ」
「はは。そやな。幽霊ってとこは抜くやろけど」
「そうだね」
舞としては、小夜と小夜のお父さんが仲直りしたのが余程嬉しいんだろう。何回も言われたお礼をまた言われた。私はその言葉を、さっきの舞の様に返した。
「まぁなんにせよ、ここに来れてよかったわ。ウチにとってもこの山は特別思い入れがあんねん」
「そうなの?」
「ウチの原点みたいなもんやな。ホタルを火の玉と間違えたんも、奥様のせいや」
「マジか…」
ちょいちょい話に出てくるけど、小夜のお母さんマジ半端ないと思う。色々規格外だと思う。手紙で感じたのはめちゃめちゃ超能力者感があったのに、普通に話に出てくる時は天然さしかない。性格に関しては小夜とのつながりを一ミリも感じない。
「ちなみに、今回のゴールはこのホタル川の上流やから、辿ってくとショートカットや。ホンマに嫌ならそうするか?」
「ん…?いや、普通に行こうよ。せっかくだし、別に嫌ってわけじゃないし」
「そか」
「あ、でもそろそろしつこく幽霊かどうか聞いてくるのは止めてね」
「お…おぅ…了解」
そうして、私と舞はホタルを見つつも雑談をして、小夜と美和との合流地点まで向かうのだった。
◯◯
「もうちょいでわさび畑やで」
「へぇ…もうなんでもありだね…」
「山の綺麗な水と地形を生かした、立派な段々畑や」
「意外に本格的…」
もはやこの山に何があっても驚かないような気がしてきて、舞のガイドを冷静に聞いていた。確かにホタルがいるような綺麗な水があるなら、山菜とか諸々美味しく出来そうだ。
「奥様が元気やった時、山ん中荒らし回ったからなぁ…ホンマ、なんでもありな人やった」
「荒らし回ったって…」
「竹林の横に、キノコの群生地と杉林も作ったんやで」
「お菓子だと論争が起きるチョイスだね…ん?杉?」
「どれかが自然消滅したら、ホンマの勝者言うて笑っとったな」
「その決着は果たして合ってるの…?あと杉って…?」
てかホント、アクティブな人だな…
「辛いならいいけどさ、小夜のお母さんってどんな人だったの?」
正直な話、小夜のお母さんの生態が本当にわからない。昔の話を聞いて病弱な印象だけど、今日聞いた限りだとかなり活発な感じだ。一体なにをどうしたらそうなるか、不思議でならない。
「んあ?せやな…一言で言うんなら、意味わからん人やったな」
「えー…っと…わかるけど、わからないね」
「まぁ、まさにそういう人やったからな」
うー…ん。よく知る人でもそうなのか…
「吹けば消えそうな雰囲気持っとるのに、芯が強くて活発」
「活発以外は小夜も似てるかも」
小夜は気の強そうな印象だし実際そうだけど、黙ってると凜としているけど脆そうな気配がある。
「九九も出来へんのに、誰よりも鋭くて人の考えを読んでまう」
「いや…九九も出来ないって…」
「最初は1かける2で間違えたで」
「やばい…」
小夜は頭が良い。凄く良い。そこはもしかすると小夜のお父さん譲りなのかもしれない。それでも九九が出来ないって人は初めてだ。
「そんなわけで、普通の物差しじゃ測れん人やな」
「ホント、わけわかんない人だね」
そうして小夜のお母さんの評価をまとめた舞に、私は失礼だと思いつつ同意した。考え方とかも根本的に違うのかもしれない。今までの話を聞いて、私はそう結論付けるのと一緒に理解を諦めた。
「せや。身元のわからんウチを、即決で引き取るって言うくらいにわけわからん人や」
「……は?」
身元がわからないって…?
そんな私の同意を、舞は驚く事実と一緒に肯定した。測らずとも私の予想が合ってたのは証明されたけど、そんなことは些細なように感じるくらいの衝撃だ。思わず後ずさって舞を見た。
「っと…思わず…って!茜っ!危ないわっ!!」
「へ?…おわあぁっ!?」
舞は私が困惑してると、しまったという様子で口を閉ざした。それもつかの間、舞が私を焦った様子で注意する。私がなんの事か不思議に思った瞬間、足が滑って踏み外し後ろに倒れ始めた。横目で後ろを見ると、足場が無くなっていた。
「どえぇぇぇっ!!?」
「茜ぇっ!!!届けぇぇ!!!」
私は混乱して叫ぶも、他には何も出来ずに重力に従って引っ張られていく。そんな私に舞は手を伸ばしてきた。だけどこのままでは舞も落ちてしまう。
「舞っ!!ダメっ!!!」
「ぐぅぅっ!らっ!」
「舞ぃっ!!」
「しゃっ…あぁぁぁっ!!」
「いぃぃぃっ!!」
私が拒否するも、舞は手を伸ばして私の手を掴んだ。そして一瞬だけ踏ん張ったものの、支えきれずに私と舞は一緒に落ちて行くのだった。
◯◯◯
「…ぇ…!かね…!茜!」
「ん…んぅ…」
「茜!大丈夫か!?」
「ま…い…?」
そっか…確か舞と一緒に落ちて…
呼び掛けられる声に起こされると、私を心配そうな顔で覗き込んでる舞がいた。そこで私は今の状況を思い出した。
「せや!舞や!茜、大丈夫か!?」
「ん…大丈夫…」
「痛いとこは?頭とか打ってないか?」
「多分…?身体はひんやりしてるけど…」
「そか…よかったわ…」
焦ってるのが伝わる舞の質問に答えると、舞がようやく安心したような声を漏らした。そこでようやく舞に抱えられて、身体は水に浸っていたのに気付いた。
「舞は大丈夫?」
「おう!平気やへいっ…き!」
「いや、今一瞬強がったでしょ!?もしかして私を庇って…!」
「あ!いや!ちゃうで!?一瞬気合い込めただけや!」
「嘘付かない!どこが痛いの!?」
逆に私が舞に聞くと、明らかに一瞬顔をしかめながら答えた。抱えているのは私を庇ったからだと思いいたると、舞は必死で否定した。だけど流石に嘘だと分かる。
「あー…ははっ…ちょっとやちょっと。ちょい足捻ったんと、腕痛めたんと、背中も痛い」
「満身創痍じゃん!私が落ちたから…それを庇って…」
「せやからちゃうて!ホンマは華麗に着地する予定やったんよ!」
「ボケて誤魔化さないで」
「う…はぁ…そら庇うわ。ウチはメイドとしてもボディーガードとしても鍛えられてんやで。御客様を怪我させたら名折れや」
「でも…」
「それに、友達助けるんは当たり前やろ。茜かて、ウチを守ろうとしたやん」
「それはだって…私が落ちたから…」
「そない言うたらウチが肝試し企画せぇへんかったら、落ちへんかったやろ」
「うー…ん……」
その言い方はズルいなぁ…
私が起き上がってから舞の怪我を巡る言い争いは、私が押し黙ることで終結した。誰だってそんな言い方されたら黙るしかない。だけど、私としては舞自身ももっと大事にして欲しい。
「まぁともかく、落ちたんがただの崖やなかったんが不幸中の幸いやな」
「ここは?」
「さっき言うた、わさび畑や。まだ上の方やから、落ちた距離も少なくて、茜に怪我させずに、ウチもこの程度で済んだわ」
「その…ごめん。あと、ありがとう」
どうやら水に浸っていたのはわさび畑だったかららしい。変なものがあると思ってごめんと、心の中で密かに思った。それと、舞にも謝罪と感謝を改めて言葉にする。
「ええて。小夜には怒られるかもしれへんけどな」
「小夜も怒らないで安心すると思う…って、そうだ!二人に助けを…」
「あー…それちょい難しそうや。ウチのスマホも茜のスマホもどっかいっとる」
「なん…あ」
舞の言葉をツッコミつつ、二人の事を思い出した私は、助けを呼ぶことを提案した。けど舞は即座に否定して、理由に私もすぐに気付いた。さっきまで手に持っていたスマホがなくなってるからだ。
「さ…探さなきゃ!」
「ちょい待ち。流石にウチはもうちょい休みたいわ」
「あ…そっか…ごめん…」
「ええって。それに遅い思たら小夜達も心配して動くやろ。最悪、ウチが回復すれば知らんとこでもないし、なんとでもなる」
私よりも舞の方がずっと冷静だ。普段はふざけていても、真面目になると途端に頼りになる。
「あ、でも茜のご両親に連絡取らんといかんとかか?そういうんでご両親が心配するんやったら今から動くで?」
「いや、いいから!そんなのないし、今は舞の身体を一番大事にしないと」
「そか。ならお言葉に甘えさせてもらうわ」
「全く…親が心配するのは舞の方じゃん…」
それでもなお自分を大事にしてないような舞に、私は釘を刺した。それでようやくしっかり休む体勢を取った舞に、私は呆れの言葉を漏らした。
「あー…ウチ、両親わからんねん」
「え…?あ…そういえばさっき身元がわからないって…ごめん…」
「謝ることや無い。今は気にしてへんし。まぁ暇潰しにはええか。ちょい重いんけど、ウチのこと話してもええか?」
少しだけ気まずそうに舞が驚くことを言った。それで私はさっき舞が不意に言ったことを思い出して謝った。どう考えても私が悪いのに、舞は気を遣って私に自分の事を話していいか聞いてきた。
「うん。聞きたい」
「ありがとう。ならどこから話そか…」
私はそれを聞かなきゃいけないと思った。舞のことを本当に知るには、絶対に必要なことだと思うから。
「せやな…やっぱ最初っから話すんがええか。昔むかしの話や。ウチの覚えてる限りの最初の記憶で、ウチと小夜が初めて会った時の話や…」
そうして、舞はポツポツと自分の話を始めるのだった。
第41話を読んで頂き、本当にありがとうございます!
ここまで肝試し関係ない雰囲気の肝試しってないと思います。
というより普通の観光ですね。
最初からほぼ最後まで騒がしかったのに、最後の最後でぶち下げていきました!
そんなわけで次回は舞ちゃんの過去のお話です!
今回はここまで!
ブクマして頂いてる皆様!
そうでない皆様!
そんな皆々様がいるから今回ようやく予定通りにいったのだと思いつつ、読んで頂いてることにも最大級の感謝を!
次回の更新は8/16予定です!
このまま予定通りいくよう頑張ります!
引き続き、お付き合い頂けましたら幸いです!




