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第4話 女子高生か疑うほど私たちの会話には花がない

こんにちは!

明日葉晴です!


ゴールデンウイーク連日投稿!


今回は幽霊の登場なし、短めでお送りします!

ネタ切れじゃないですよ?

どちらかと言えば、話のタネを仕込む回になってます。

まぁ披露するのは先になると思いますが…


というわけで、まったりとした本編をどうぞ!

 私は幽霊が視える。


「おはよー」

「おはー…」


 そのせいで色々と面倒な思いもしてきたけど、これがあって良かったって思うこともいっぱいある。


(あかね)、なんか元気ない?」

「んー…ちょっと寝不足…」


 なんせいっぱい大切なことを教えてもらって来たし、これのおかげで親友もできた。あーでも眠い…


「おーい、ちょっと!(あかね)?生きてる?」


 ○


 私は寝不足の体を無理やり動かして、自分の教室にたどり着いた。


(あかね)、また幽霊がらみ?」

「うんぅ…」

「それはどっちなの?」

「そう…」

「そうなんだ…」


 この心配そうにしているのは高尾(たかお)美和(みわ)。私の親友だ。首のあたりで二つにまとめらた腰まである長い髪の、一束の毛先をいじりながら、普段はやわらかい眼差しのたれ目を今は心配そうに細めている。周りからのあだ名はお母さん。

 中学の時に幽霊がらみで関わるようになって、その時以来、私の理解者で親友だ。


(あかね)が優しいのはわかるけど、無理はダメだよ?」

「うにゃ…」

「うーん…だめだこりゃ…」


 私はひとまず席に座り、美和(みわ)隣の席に着く。寝不足を補うために少しでも眠ろうと机に突っ伏した時…


「わははは!おはよう!今日もいい朝やね!」

「あ、(まい)。おはよー」

「おうおう!美和(みわ)!おはおはっ!んで、(あかね)はどったん?」

「寝不足なんだって」

「そうなん?健康に気ぃつかえやー?」

「うにゅ…(まい)…うるさい…」


 この馬鹿明るいのは常陸(ひたち)(まい)。高一の時に知り会ってからよく話す。


「それがウチのアイデンティティや!」

「はた迷惑な…」

「わははっ!ところでなんで寝不足なん?」

「昨日幽霊と遭遇したから…」

「ホンマ!?なんでウチに言ってくれんかったん!?」

「面倒じゃん…」

「そんな殺生なぁ…!」


 なんで話すようになったかというと、(まい)はオカルトが好きで幽霊が視える私に色々聞いてくるからだ。


「なぁなぁ!昨日はどんな幽霊やった?」

「昨日はドMだった…」

「なんやそれっ!?おもろいのぉ!」


 幽霊に興味津々と言った様子で目を輝かせながら私に聞いてくる。この時、(まい)の短い髪のてっぺんで立ってるアホ毛がピョンピョンと飛び跳ねる。私はこのアホ毛を実は他の生き物なんじゃないかと思う時がある。


「こら(まい)(あかね)は疲れてるから後にしてあげてよ」

「グッジョブ…親友…」

「わぁぁ!美和(みわ)おかん!ウチを止めんといてっ!この溢れるパッションはどうにもできんねん!」

「グッバイ…アホ…」

「アホちゃうわ!アホなんは髪の毛だけや!」

「あなたは頭もアホよ」

「ふぎゃっ!」


 そう言いながら(まい)頭を鷲掴みにしながら、サラサラの腰の下まであるストレートの髪をたなびかせ、気の強そうな目を呆れたように細めた美人が現れた。


「あ、小夜(さよ)。おはよー」

「おはー…」


 彼女は志那崎(しなさき)小夜(さよ)。高校に入って仲良くなったけど、(まい)とは違って幽霊は微塵も信じていない。だけど、私が幽霊が視えると知っても普通に接して仲良くしてくれる。彼女曰く、『別に私は信じていないけど、視えるというならそれはそれでいいんじゃない?嫌いになる理由では無いわ』だそうだ。


「おはよう。美和(みわ)(あかね)

「痛い痛い!小夜(さよ)!早く離してぇな!」

「あら、ごめんなさい」

「ふいぃ…頭つぶれるかと思ったわ…」


 頭をさすりながら(まい)美和(みわ)の後ろに回り込んだ。


美和(みわ)もなんか言ってくれん?小夜(さよ)がウチをいじめるんやけど」

「んー…小夜(さよ)、暴力はよくないよ?ちゃんと言わないと」

「この子は言っても止まらないから。(あかね)は疲れてるのに、さらに疲れさせるのは可哀想でしょ?」

「んー…そう…かな…?」

「そうなのよ」

美和(みわ)!騙されんといてっ!」

(まい)うるさい…」

「誰かウチの味方してぇな!」


 そんな(まい)の絶叫と同時に始業のチャイムが鳴るのだった。


 ○○


 昼休み。


「ぐぅ…」

(あかね)、お昼食べ…って寝てる…」

「ん…寝て…にゃい…」


 授業は全く記憶にはないけど…


「あら、やっぱり寝ていたわね」

小夜(さよ)、どうする?早くしないと食堂埋まっちゃうけど…」

「それは心配しなくていいわ。(まい)を席の確保に走らせたから」

「あぁ…それで(まい)がいないんだ」

「私達は(あかね)を起こしてのんびり行きましょ」


 そんな声が聞こえた後に、肩を揺さぶられた。


(あかね)、起きないと(まい)と一緒に密室に閉じ込めるわよ」

「はい起きましたっ!今起きましたっ!」

「はい、よくできたわね」

小夜(さよ)、それは起きなくても(あかね)(まい)も可哀想だよ」

「のんびり食堂に行けるけど、無駄にする時間はないわ。効率的に起こすにはこれが一番よ。それに本当にするわけないじゃない」


 いやぁ…すると思ったよ?少なくとも声は本気だった…


「んー…それならいいけど…」

「ま、まぁ寝てた私が言うのもアレだけど、食堂行こうよ」

「本人もこう言ってるし、行きましょ?」

「ん、そうだね」


 というわけで食堂に向かうのだった。


 ○○○


「遅いやん。待っとったで」

「待ってないじゃない。私には食べ終わってるように見えるのだけれど?」


 食堂について(まい)の取ってた席に着くと、開口一番そう言ってきた(まい)小夜(さよ)は呆れた様子で反論した。


「仕方ないやん。お腹すいとったんやし」

「まぁ小夜(さよ)、私が寝てたのが悪いんだし、大目に見といてあげよ?」

「そうだよ。席はちゃんと取っててくれたんだから」

「はぁ…まぁそうね。(まい)は…私達が食べ終わるまで待ってなさい」

「ほいほい。たんとお食べな」


 そうして私達三人はお昼ご飯を食べ始めた。


「ところで昨日の幽霊はどんなんやったの?」


 一人お昼ご飯を食べ終わってしまっている(まい)は、暇を持て余したのかそんなことを聞いてきた。


「んぐっ…ん。朝も言ったけど、ドМだったよ」

「それそれ。幽霊にもドМなんてあるん?」

「まぁそもそもは人だからね。そりゃいろんな性格の幽霊がいるよ」


 流石にご主人様になれと言われたのは初めてだったけど…


「ドМなぁ…小夜(さよ)と相性ええんやない?」

「それはいったいどういう意味かしら?」


 私は思っても言わなかったことを堂々と言ったなぁ…勇者じゃん。


 私は呆れ半分、(まい)を尊敬した。


「じょ、冗談やて…でもええなぁ…ウチも幽霊視てみたいわ」

「そんないいものでもないよ?」


 私は食堂のうどんをすすりながら(まい)の言葉をやんわりと否定した。


「でも…あたしも少し(あかね)が羨ましいかな」

美和(みわ)…」


 多分美和(みわ)は中学にあった時のことを思い出しているんだろう。立ち直ってはいるだろうけど、やっぱり後悔…というかしたいこともあっただろうな。


「私はそもそも幽霊を信じてないから何とも言えないわね。もしも実在してて私にも視えるなら別でしょうけど」

小夜(さよ)らしいね」


 仲良くなってわかったことは、小夜(さよ)は相手の考えを否定しない。自分は信じないからと言って自分の考えは押し付けないし、そこで理解するのを止めない。自分の考えられる範疇で相手を受け入れることができるんだろう。


「いやいやぁ、幽霊もUMAもいるんやで?事実…」

「はいはい。私はそうってだけ。(まい)(まい)の信じるものを信じなさいよ」

「ぬぅ…まぁええわ」


 この二人は意見が正反対なのになんでいつも一緒なんだろう?


 ふとそんなことを思ったけど、気にすることでもないかと考えることを止めた。


「ところでさっきの続きやけど、昨日のはどんな幽霊やったん?」

「ドМ」

「それはもうええねん…」


 いや、ホントにそれが衝撃的過ぎて…


「んー…なんて言うか…優秀なお嬢様だったよ?ほら、あの女子高の」


 ドМ以外の特徴で言うとそれが出てくるだろう。私は近くの女子高の名前を挙げた。


「へぇ…確かにあそこの女子高は優秀な人が多いわね。家柄もいいのね」

小夜(さよ)、知ってるん?」

「えぇ…(まい)はオカルト以外詳しくないから知らないでしょうけど」

「わはは。褒めんといてぇなぁ」

(まい)…褒められてないよ?」

「なんやて!?小夜(さよ)!騙したんやな!?」

「あなたが勝手に勘違いしたんでしょ…」


 小夜(さよ)は呆れた様子で頭を抱えた。


「まぁそれはいいけど、よく家柄もいいってわかったね。私は優秀ってことしか知らなかったよ」

「あの女子高は少しだけ特別なのよ。私も入れられそうになったわ」

「あー…あんときは大変やったなぁ…」

「ん?なにかあったの?」


 小夜(さよ)(まい)の意味ありげなやり取りに美和(みわ)が反応した。かくいう私もかなり気になった。


「えぇ。でもよそ様に言うことでもないわ。もう終わったことだもの」

「せやねぇ。まっ、気になるって言うんやったら、端的に言うとやな…小夜(さよ)がわがままを言うたってことやね」


 へぇ…小夜(さよ)でもわがまま言うことがあったんだ…


(まい)?」

「おぉ怖っ!ってなわけでここまでやな!」


 私はさらに気になって続きを聞こうとしたけど、小夜(さよ)が笑顔で(まい)を制した。笑顔だけど目が笑ってなくて、私も怖かったからそれ以上は聞くのを止めた。


「と、ところで、小夜(さよ)は今日部活行く?」


 このままだと、幽霊の話からの無限ループに陥りそうだったから話題を変えることにした。私と小夜(さよ)はおなじ美術部で、それも仲良くなった一因になっている。


「えぇ。今日は行くわ。特に用事もないし」

「そっか、じゃあちょっと相談に乗ってくれない?」

「幽霊のこと以外ならいいわよ」

「うん…普通に絵のことだから」

「冗談よ」


 小夜(さよ)はいたずらっぽい笑みを浮かべながらそう返してきた。


「やったね。小夜(さよ)の教えはわかりやすいから助かる」

「ふふ。そう言ってもらえると嬉しいわ。さて、そろそろ教室に戻りましょうか」

「えっ?そんな時間?」

「わー早いね」

「せやねーはよ戻ろか」


 そんな感じでお昼ご飯を終えて教室に戻ったのであった。


 そして放課後は部活に行き、その日は何事もなく無事に一日を終えることができたのだった。

4話目を読んで頂きありがとうごっざいます!


茜ちゃんと愉快な仲間達の話でした。

今回の話で一番不安なのは舞ちゃんですね。

私は関西の人ではないので、関西弁に違和感があるかもしれません。

前回の弥生ちゃんに小夜ちゃんを当てろよと思った人は他にもいたはず…

この回を出したのは全てはこの為です。

美和ちゃんが思ったより目立たなくなったことには後悔しかないです。


さてさて、次回からまた幽霊回です。

お友達の話はもう少し先で。


早くもブックマークして頂いてる皆さんも、その他の人もありがとうございます!

次回もお付き合い頂ければ幸いです!

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