第35話 自分を自身をもって押し出すことを出来る人は意外といない
ごめんなさい!
こんにちは!
明日葉晴です!
恒例にはしたくない、安定の投稿遅れですみません!
反省はしています!
今回も一話完結です!
と言うより本来は一話完結メインだったはずなんですがね…
最近は続きものばっか書いてる気がしますね。
しかもそんなこと言ってるのにもうすぐJK’sの一人の話を書く予定ですし。
さてそんなことは無視して本編をどうぞ!
私は昔から幽霊が視える。
「思ったより…汚いな…」
部活の息抜きに屋上に行くと、黄昏ながら何か失礼なことを言ってる幽霊らしき、カッコいい感じの人がいた。
「青春は美しいと聞くが…ダメか…」
それは今青春してる人達にとってだいぶアウトな発言だと思うけど、とりあえず声を掛けなきゃ始まらない。
「あの…」
「このボクより美しいものとはなんなんだ!師匠!」
「いや、何と比べてんの!?」
◯
第一声は失敗したけど、その後にもう一回声を掛けて私の存在に気付いてもらった。
「幽霊ですか?」
「その通り」
めちゃくちゃ直球で聞いたけど、そもそも先生以外の大人が学校にいることはほぼない。そして屋上にいるわけもない。ならほぼ確実にこんなところにいるのは幽霊だろう。こんな不審者通すとも思えないし。
「ボクのような存在が世界から失われたんだ。大きな損失だと思わないか?」
ウザイし、そんなことは聞いてない。
「私にはわかんないですね」
「なるほど、君には事の大きさがまだわからないか」
「そうかもしれないですね」
自分でも冷淡かと思う返しだったのに、気にした様子が1ミリもない。こういう手合いはなんでこうもメンタルが強いんだろう。
「だがそれだけに残念だ。いい画になりそうな素材をもっているのに、その素材が美を理解していないとは」
「お…おぅ…?」
今のは褒められたのだろうか。それとも馬鹿にしているのだろうか。どちらにしても嬉しくないけど。
「だからまず、世界で一番の美であるボクを見て養うがいい!」
「は…はぁ…?」
その自信は一体どこからくるのだろう。確かにカッコいいとは最初に思ったけど、美ではない。
「どうした?今になってボクの美しさに気付き恥ずかしくなってきたか?」
「それはない」
「ならば遠慮するな」
劇か何かの様に両手を挙げた謎のポーズを決めた。美というより恥と言う方が似合うと思う。
「さぁ!」
「とりあえず、ここで話してると私が怪しまれるんで場所移りませんか?」
「なるほど。いいだろう」
私が諸々を無視して場所移動を提案すると、思いの外あっさりと了承した。逆に私が驚いたくらいだ。意外と物分かりがいいのだろうか。
「誰も来ないところでボクを思う存分、独り占めして鑑賞するといい!」
「そんなことしないから!まず帰る支度するんで付いて来て貰えますか!?」
いい加減しつこく感じてきた発言を叫んで切り捨て、私は屋上から出た。ちらりと確認したけど、一応付いては来てくれたから安心した。だからそのまま歩き、美術室に戻る。
「君は美術部なのか?」
「えっ!?あっ…そうですが?」
幸い誰もいなかったとは言え、まさか普通に話掛けてくるとは思わなかった。驚きながらも、私は素直に答えた。
「ならば尚更ボクを見て美を勉強するべきだろう!」
面倒だから無視して、私は帰り支度を始めた。別に相手をしなくても動じないらしい。しばらくすると視界の端で、動き出したのが視えた。
「これは君が描いたものかな?」
「そうですよ」
私が片付けていた隣に置いてある絵を見て、男の人が質問してきた。今は私以外に人がいないし、みんなの絵は片付けてあるから、他に絵も出ていない。少し考えれば分かることだから、特に不思議にも思わなかった。
「良い絵だ」
「あ…ありがとうございます…」
感心するように褒められたから少し驚いたけど、私はとりあえず素直にお礼を言った。正直ちょっと照れくさい。
「だからボクを見て…」
「それはもういいですっ!行きますよ!」
だけどブレない態度に呆れつつ、最後まで言わせずに私は美術室を出て行くのだった。
◯◯
私はひとまずいつもの神社に男の人を連れてきた。意外にも道中は話し掛けて来なかったけど、ずっと何かを呟いていたのは正直気持ち悪かった。
「着きました」
「では思う存分…」
「私は三葉茜です」
「ボクは黄金率だ」
私が目的地の到着を教えると、すかさず鬱陶しいことを言ってきそうだったから、遮る様に自己紹介した。我ながら唐突だと思うけど、お互い様だし、黄金さんも別に気にした様子ない。
「美しいボクにふさわしい名前だと思わないか!?」
「ブレ無さすぎでしょ…」
切り替えの早さもメンタルの強さも、知ってる限り一番かもしれない…
落ち着いて名乗ったと思ったら、すぐに声を張り上げて自己主張を始めた。一度認めて止まればいいけど、一度認めたら更にヒートアップもしそうで、手を出すのが怖い。結果、現状で我慢するしかない。泣きたい。
「ところでなんで学校の屋上なんかに居たんですか?」
「あぁ、美しいものが見たかったんだ」
「えっ…!?あー…そんなこと呟いてましたね」
自分以外に認めるものがあるのか、という驚きの言葉を飲み込んで、私は屋上で言っていたことを思い出した。
「青春は美しいと聞くが、思いの外汚なかった」
「ド失礼ですね!?何を見たらそうなるんですか!?」
「修羅場」
「ホントに何見たの!!?」
それも一種の青春かもしれないけどさっ!?
確かに美しくはない。ピンポイントでその現場を目撃した黄金さんは、運がいいのか悪いのか。せめてもう少しマシなところを見て欲しかった。
「やはりボクを越える美しいものはないのか…!?」
「いや、もっとあるんじゃないですか!?」
「例えば?」
「えっ…!?あー…百万ドルの夜景とか…?」
「ふっ…」
ばっ…馬鹿にされたっ…!?
あまりにも早過ぎる結論に私は思わずツッコミを入れた。すると質問されたから、驚きながらも思い付く限りの綺麗なものを挙げて見ると、鼻で笑われた。
「確かに美しい。が、ボクはそういったものも実際に見た上で言っている」
「畏れ多過ぎるでしょ」
美しいって認めるものもあるんだと言う素直な感想と、実際に見たと言う驚きが混ざって、冷静にツッコミを入れた。
「もちろん世界遺産は殆ど見た。世界の美しいと言われているところは粗方巡った。だがどれもボクを越えるとは到底思えなかった」
筋金入り過ぎて尊敬してきた…尊敬ってとこだけ取って調子に乗るだろうから絶対言わないけど。
「あの…何してた人なんですか?」
「カメラマンだ」
「はっ!?えっ!?なんでですか!?」
「自撮りが上手くなりたかった」
「あー…うわぁ…」
流石にいろんなとこを回り過ぎだから職業が気になった。確かに世界を回っていることに納得だけど、今度は理由が気になって聞くと、誰も予想できないだろう理由で納得できた。ついでに引いた。
「でもなんでそんなにナル…自分が一番だと思ってるのに、美しいものなんて探してるんですか?」
一通り引き終わった後に、おそらく未練になってるだろう部分を私は聞いてみた。言い掛けたところについては聞かないで欲しい。
「あぁ…それのことか。それはだな…」
「…!?」
するともったいぶったように溜めを付けた。これまでの行動からまた急なテンションアップをするのかと思って、私は反射的に身構えた。
「師匠が…」
「師匠…?」
だけど黄金さんから出てきた言葉はずっと落ち着いていて、どこか懐かしそうな雰囲気を含んでいた。私はそんな真面目な雰囲気に、まともな師匠じゃなさそう、と言う言葉を飲み込んだ。
「ボク以上に美しいものは必ずある、それを見つけた時、ボクはさらに美しいものが撮れるようになる。そう言ったんだ…」
「そう…なんですか…」
そして予想に反して、黄金さんに言った師匠さんの言葉は真面目だった。ちょっと反省。
「女好きで、写真狂いで、様々なものを見境なく撮りまくるどうしようもない師匠だったが、撮る写真はボクには到底撮れないものばかりだった」
「反省した直後にとんでもない情報がもたらされたんだけど!?」
前半だけ聞くとどうしようもないクズだよ!?ついでにそんな人が撮ってる写真なんて想像したくないよ!?
「師匠の撮る写真は、どれも実物と遜色ない、もしくは実物以上に美しいものばかりだった。ボクの美しさを最大限に撮れるのは師匠だけだった」
「へぇ…」
黄金さんが手放しで褒めると言うことは、本当に写真の腕はあったんだろう。だけど、私としては性格に難がありすぎて、純粋に尊敬できそうになかった。
「その師匠がボクに与えた最初で最後の課題だった。ボクはそれがどうしても知りたい」
「黄金さん…」
「ボクが究極的に美しくなる方法だからっ!」
「結局そうなるんかい!」
本当に途中まで、一部を除いて本当にいい話だったのに、最後の最後で自己主張が激しくなった。何故だかそれだけでとても残念な話に思えてくる。
少しでも同情した私の気持ちを返して欲しい…
私の心からの叫びが、静かな神社に木霊していった。
◯◯◯
黄金さんの未練を聞いた私は神社だけじゃ片付かない問題だと判断した。だから黄金さんを連れて街を歩くことにした。一応、無暗に話しかけないで欲しいと釘は刺しておいた。
意外と言ったことは守るんだよなぁ…
注意しておいたとはいえ、黄金さんみたいな我が道のみを進むような人が空気を読んでくれるとは思わなかった。同時に、美術室の時も周りを見て話しかけていたのかとも思った。半信半疑だけど。
にしても…美しいもの…かぁ…
黄金さんの未練。それは自分より美しいものを探すこと。基準が全く分からない上に認める気がしない。なんだか童話で吹っ掛けられる無理難題のようだ。心折れそう。
「あ…結婚式…美しいなー…」
私が悩みながら歩いていると、結婚式が視界の端に入った。だから私はそれとなく黄金さんに伝わるように呟いてみる。美しいって言いまわしは、慣れないから結構恥ずかしい。
「あぁ…あの結婚式は確かに美しいな」
いや…あの結婚式はって何…?
「結婚式なぞカメラマンの稼ぎの筆頭だ。それだけ見ている。見飽きていると言ってもいい。そしてそんなに見ていれば…違いも分かる」
含みのある言い方に、私は不思議に思いつつも考えることを止めた。今は黄金さんの未練だけを考えて、結婚式は対象じゃないってわかっただけでいい。深く考えるのは良くない気もする。
でも…結婚式はダメかぁ…
と言うことは特別感のある式とかお祝いは大体ダメかもしれない。そういうのは大体記念撮影っていうのがつきものだ。結婚式と同様に、黄金さんにとっては見慣れたものだろう。
あとは…モデル…宝石…芸術…景色もダメかなぁ…
写真がよく撮られるだろうものを頭に浮かべていって、どんどん除外していく。宛てなく歩くよりも選択肢を消して余計なものに目が向かないようにした方が効率がいいと思う。
「あの…普段は…仕事で何を撮ってたんですか…?」
さらに正確に絞り込むために、私は黄金さんに小声で聞いてみた。少し不審かもしれないけど、背に腹は代えられない。
「ふむ…師匠に倣って撮るものは特に選ばなかった。依頼さえあればの話だが」
師匠さんは依頼がなくても勝手に撮ってたってことか…じゃなくて。
つまりはどんなものでも撮っていたってことだ。私が思いつくようなものは見慣れている可能性が高い。私の考えは正しかったみたいだけど、前進はしなかった。
どーするべきかなぁ…?
ふらふらすること数十分、街中を離れて住宅街の方へ。なんとなくだけど、気付いたら近所の公園に来ていた。来ておいてなんだけど、ここら辺じゃ黄金さんの期待に応えるものはないと思う。
「公園…か。こういう何気ないものも、時には美しく写る」
かと思いきや黄金さんは少し浸ってるような雰囲気を出しながら呟いた。やっぱり判定が難し過ぎる。
「師匠は、こういう何でもないものですら美しく切り取っていた」
なるほど…師匠さんの受け売り…と言うか、黄金さんの実体験…?みたいな…
言葉の端から、黄金さんが師匠さんのことを尊敬してるのが分かる。性格についてはかなりボロクソに言ってたけど、写真の腕は褒めてしかいない。最初は性格面が気になって他は気にしていなかったけど、黄金さんが褒めるのを聞いているうちに、段々と師匠さんの撮る写真が気になってくる。
「すみません…師匠の…」
「あれ?茜?どうしたの?」
「えっ…!?」
私が師匠さんの名前を聞こうとした時、不意に後ろから呼ばれたから振り返る。振り返った視線の先では、美和が不思議そうな表情を浮かべていた。
そっか…近所だしなぁ…
「ちょっと幽霊がらみで」
「そうなんだ」
私が端的に事情を話すと、美和も納得したように頷いた。そんな様子を見て、今度は黄金さんが驚いた様子を見せた。
「三葉、この娘は?」
「あ、この子は私の親友の高尾美和です。私が幽霊を視れることを知ってるのでたまに手伝ってもらってますが、美和は幽霊を視れるわけじゃないです。美和、ここにいるのは黄金率さん。カメラマンだったらしいよ」
「高尾美和です。こんにちは」
「ほう…」
黄金さんの質問に、私は簡単に美和の紹介を済ませた。美和にも黄金さんを紹介すると、私が示した方向に頭を下げた。その様子を見て黄金さんは興味深そうに美和を見る。
「この娘もいい画になりそうだが…それより興味深いのは余程信頼していると見えることだな。これが青春というものであれば、捨てたものでもないな」
黄金さんは初めてカメラマンらしく、両手を使って枠を作って私と美和を眺めていた。思ったよりも様になってる。
「せっかくだから美和、美和にとって美しいものってなんだと思う?」
「え?うー…ん…美しいものかぁ…百万ドルの夜景とか…?」
流石親友…
とっさに出たものが同じものとはなかなか侮れない。だけど感心してるだけじゃ進まないから、何とか視野を広げてもらってもっと意見が欲しい。
「そう言う分かり易いのは、黄金さんは仕事上見たことあるんだって。だからもっと分かり難いっていうか…珍しいような個人的な意見がいいかな」
「個人的…そうだなぁ…あ、舞の仕事してる時の姿勢とか綺麗だよね」
「確かに。でも多分、そういうのも仕事で見慣れてると思う」
「そっかぁ…そうすると難しいね…」
美和は私が考えなかった意見をくれたけど、それでもやっぱり仕事として受けていそうだった。
「詳しい話を聞かずに考える間もなく即座に手を貸す…ふむ。不思議だ」
「はい?」
私と美和が悩んでいると黄金さんが興味深そうに私達を見ていた。
「高尾、と言ったか。何故君は悩みもせずに三葉に手を貸す?」
理解出来ないと言った風に、黄金さんは質問を口にした。美和にはそれが聞こえないから、代わりに私が美和に伝える。
「あたしが手を貸す理由ですか?それは決まってますよ」
「ほう…?」
「茜が親友だからです。それが一番適切ですね」
「っ…!?」
黄金さんの質問に美和がきっぱりと言い切った。ちょっと照れる。そして黄金さんも、とても驚いた様子を見せた。
「今カメラがないことが非常に悔やまれる…」
「「え?」」
「今の君たちはボクが我を忘れるほどに、美しかった」
そう呟いた黄金さんの体は、透け始めていた。成仏の兆候だ。
「青春が美しいとは、陳腐でありふれていると思っていた。実際に学校で見たものは汚かったしな」
「それは割と特殊なので忘れた方がいいと思います」
まぁ、美和くらい真っ直ぐに言い切る人も珍しいとは思うけど。
「師匠がどんなものも美しく撮ることが出来たのは、ありふれた美しさを知っていたからなのかもしれないな。最高のみを望むボクとは違って」
「上を目指すのは悪いことじゃないと思いますけどね」
少しだけ悔しそうな黄金さんを視て、少しフォローを入れた。
「つまりありふれた美しさの中にボクがいると、ボクの美しさも際立ち、周りすらも輝かせることが出来ると言うことだな!」
「結局そうなるんかい!」
「ふはははは!」
最後の最後で自己主張を前面に押し出して、高笑いして消えていった。公園に来てからはずっとおとなしいと思っていたのに、忘れたころにやらかしていった。勝ち逃げされた気分で少し悔しい。
「茜?」
「あ…あー…成仏したよ」
「そうなんだ。なんだったの?」
「んー…たぶん、私達じゃわかんない何かがあったんじゃないかな」
「…?」
不思議そうにしてきた美和に対して、私はなんとなく理由を隠した。別に言ってもいいとも思うけど、美和には知らずにそのままでいいと思ったから。
「帰ろっか」
「そうだね」
どのみち親友には変わりないしね。
第35話を読んで頂きありがとうございます!
本当に…本当にありがとうございます…!
癖強いキャラでナルシストってテンプレだと思いますけど、そう言えばいなかったなって思いました。
強いて言えばルナさんと朱鷺ちゃんですかね?
あれ?意外といたのか…
と後悔しても書いたもんはしょうがないですね。
それでは今回はここまで!
ブクマして頂いてる皆様!
そうでない皆様!
最近予定通りに投稿できていないのに読んで頂いて、土下座で感謝したい気持ちです!
次回の予定…と言っても遅れると思われて信用されなくても、しょうがないですが、それでも次回の予定は6/7です!
遅れてばっかりの私ですが、お付き合い頂けましたら幸いです。




