第34話 のめり込むとはまり込む、どちらが悪いかわからないけど沼にだけははまりたくない
こんにちはの前にすいません!
明日葉晴です!
無言で日付がずれてしまってすみません!
前回頑張るって言ったのにも関わらずにですよ…
さて今回は単発の話になってます!
話長さとしてはいつも通りくらい…よりちょっと短い?くらいですかね。
基本的にサブタイトルはその回の幽霊の特徴だったり話の内容だったりするんですけど、今回に関してはちょっと違うのでぱっと見わかんないかもしれませんね。
それでは本編をどうぞ!
私は昔から幽霊が視える。
「うぅぅあぁぁ…」
流石にゾンビは視たことない。だけど目の前にゾンビのごとく唸って、よろよろ歩いている幽霊らしき男の人がいた。
「あぁぁ…すま…」
あまりに不審だからひとまず観察をしていると、なにかを呟いた。
すま…?すまないとか…?後悔かなんか…
「スマホぉぉ…!」
「私の物思いを返せぇぇ!!」
◯
スマホゾンビ、もとい幽霊の男の人をなんとか説得して神社まで誘導した。その前に幽霊かどうかはちゃんと確認したけど、その足取りはやっぱりゾンビだった。
「スマホぉぉぉ…」
神社までの道中もずっとこんな調子で、呻くかスマホと呟くしかしていない。よく意思疎通出来たと自分をほめたいくらいだ。まぁ頷くとかの受け答えはまともだったから、話が通じないとかではないと思う。
ただなぁ…
神社に着いた途端に倒れ込んでしまった男の人を視た。ここに来て力尽きてしまったようだ。うつ伏せのままひたすらにスマホと呟いている。いや呻いている。
はぁ……
「あ、あの…これ…」
私は心の中で溜息を吐いてから、仕方なく、遠慮がちに自分のスマホを差し出してみた。
「ん…スマホっ!!」
「わっ!?」
「スマホ!スマホっ!!」
「怖い怖い!!ちょっと待って!?」
私が差し出したスマホのあまりの食いつきように思わず引っ込めてしまうと、餌を取り上げられた犬のように迫ってきた。犬ならいいけど相手は幽霊の男の人、ホント怖いからまず下がってほしい。
「はっ…!?驚かせてすまない…二週間ぶりのスマホでつい…」
「今追加で、初めてまともに会話出来たことにもびっくりしてます…」
「重ね重ねすまない」
「いえ…落ち着いてもらえたなら何よりです」
落ち着いたら思った以上に理性的な態度に面食らった。けどそこで私が混乱すると収拾がつかなくなると思ったから、なんとか飲み込むことに成功した。
「ところでスマホを見せてもらえないだろうか?」
「全然理性的じゃなかった!?」
「ところでスマホを見せてもらえないだろうか?」
「そしてまさかのリピート…」
女子高生の、しかも初対面の人のスマホを見せろと言うこの人には、常識的な何かはないのだろうか。なにがそこまでこの人を駆り立てるのだろうか。
「っ!?すまない。また…」
「いや、またって…なんか取り憑かれてるの…?」
また我に返ったように謝ってきたこの人に、私は自分でも言ってておかしいと思うことを言った。
幽霊が取り憑かれるってなんだ…?まぁ…そもそも幽霊に呪うとか取り憑かれるとかそういう力はないと思うけど…
「取り憑かれてる…か。どちらかと言うと僕が取り憑いているのかもしれないな…」
「なっ…!?」
だけど私の中の常識が揺らぐような言葉を男の人は言ってきた。
まさか…私が知らないだけで誰かに取り憑くことは可能だったの…?
「僕は…僕はスマホが無いと生きていけないんだ…!!」
「いや…もう色々違うじゃん!!」
言われた言葉に対して私は、言いたいことはいっぱいあったけど、一言に集約するしかなかったのだった。
◯◯
「はぁ…つまりはスマホ依存症と言うことなんですか?」
「まぁ簡単に言うとそうだ」
「簡単じゃなくてもそうじゃなかろうか…」
取り憑いていると聞いて一時は驚いたけど、普通にただのよくある話だった。てっきり心霊現象なのかと思ってしまった。いや幽霊に会ってること自体、充分に心霊現象だけど。
「違う」
「えー…っと、何がですか?」
「僕はスマホ事態に依存してるわけじゃない。細かく言えば、アプリのゲームに依存している」
「悪化してない?」
誰がどう聞いても呆れるだろう発言を、真顔で言いきられてしまった。ちなみに私はゲームの類はあんまりしない。パズル系をちょっとだけやるくらいだ。だから依存する気持ちは全く分からない。
「そんなことはない……そんなことはない」
「説得力の無さ…」
なんで一回間をおいてからもう一回言ったんだ…余計に不信感を抱いたよ…?
「依存していると言っても、日常生活に支障はきたしていなかったからな」
「さっきの様子を視ていたらそれすらも疑わしいんですが…」
「さっきまでは極限状態だったからな。俗にいう禁断症状と言うやつだ」
「余計にアウトじゃないですか…」
なんだろう。この人は普通にしていたらキリっとしていて真面目そうなのに、発言がだいぶ危ない人に思える。正直言ってダメな人じゃなかろうか。それに禁断症状が出る時点で日常生活に支障あると思う。
「生前は出ないようにしていた」
「禁断症状が出ないように…いや、それって結局ゲームに縛られているってことで支障出てません?」
「縛られてはいない。好きでやっているからな」
「あ、はい…そうですか…」
いや…うん…好きならいい…のか…?基準が分からないな…
私は色々反論してみたけど、すべてに堂々と答えられたから諦めた。多分何を言っても無駄だと思う。少なくとも私では揺るがすことは出来ないだろう。
「それで話は戻るんだが、スマホを見せてもらえないだろうか?」
「とりあえず理由を聞いても?」
「ん…?あぁなるほど。すまない、順序を飛ばして失礼だったか」
「はっきり言うのもアレですが…そうですね」
前置きがあって幾分かマシにはなったけど、やっぱりおかしい。だけど幽霊の頼みは無視できないから一応理由を聞いてみると、ようやく自分の言っていたことに気付いたのか、反省した様子を見せてきた。
「僕がこの状態ではスマホを操作できないことは分かっている。だから君のスマホで僕のやっていたゲームが出来るなら、データを引き継いで見て欲しいんだ」
「ゲームのデータを…?」
意外と自分のことをちゃんと把握しているようだった。元々は冷静な性格なんだろう。普通にわかりやすいし、一応は納得できる説明ではあった。いきなりスマホ見せろと言ってきた人とは全く思えない。
私はスマホに詳しくないから出来るかわかんないけど…まぁ見てもらえばいいか…
「そう言うことなら…どうぞ…?」
「ありがとう…ほう…なるほど…」
もう私にはわからない領域の話だからと、半ば投げやりにスマホを差し出した。そして一言お礼を言った後、男の人はじっくりと私のスマホを観察し始めた。
「なかなかいいもの使っているな。最近出たばかりのものじゃないか」
「あー…たしかに機種変更したばっかりですけど、そう言うのは気にしてなかったなぁ…」
「容量はどれだけ残っているんだ?」
「えっと…これくらいです」
正直私はよくわからないから容量が分かるところを直接見せた。
「うん…大丈夫そうだな。ならゲームを入れてみてくれないだろうか?用が済んだら消してくれて構わない」
そう言った男の人からゲームの名前を教えてもらい、インストールした。ダウンロードが終わると、そのままゲームを起動させる。
「起動したな。そしたら引き継ぎのところで僕のユーザー名を打ってくれるか?」
「はい…って、そう言えば名前知りません」
「ん…?あぁ、そうか確かに」
私の言葉に、ずっと食い入るように私のスマホを覗き込んでいた男の人が、納得した様子で姿勢を正した。
「僕の名前は神、神尽臣だ。神社の神、全力を尽くすの尽くに大臣の臣だ」
「えと…私は三葉茜です。三に葉っぱ、茜色の茜です」
「三葉さんか。よろしく」
「あ、はい。こちらこそ、神さん」
今更自己紹介って言うのも少し不思議な話かもしれないけど、とりあえず私も神さんにならって名前を言った。その後に私は改めてスマホの画面を見た。
「それじゃあ神さんの名前を入れればいいんですね」
「いや、ユーザー名だから違うな。J、I、Nの後に数字の3を入れてくれ」
「わかりました。JIN3…っと」
あながち間違いでもないよなぁ…
神さんに言われた通り、ユーザー名のところに文字を打ち込みながら思った。多分『じん』って読む字が三つだからJIN3なんだろうと思う。まぁこういうのはきっとわかりやすい方が良いのかもしれない。
「そしたらパスワードが…」
なんとなく思ったことを飲み込みつつ、神さんの指示通りにパスワードを入れていく。今思ったけどこんなに簡単に人のパスワードを聞いても良かったんだろうか。
「あの…それって言っても大丈夫なんですか?」
「普通なら良くないが、どうせ僕は死んでいるのだからいいだろう。クレジットも連携しているわけではないしな。ゲームとそのほかでアカもパスも変えている」
「よくわかりませんが、良いならいいです…」
ゲームをしないから何のことだかさっぱりだけど、問題ないと言うならいいんだろう。考えたところでどうせ答えが出ないなら諦めた方がいい。
「あぁ、気にしなくていい。それよりも無事に引き継げたようだな」
「あ、そうなんですか?よかったです」
「本当に懐かしいな…」
確か私の記憶では二週間ぶりって聞いてたけど、神さんまるで遠い昔を思い出すような顔でゲームの画面を見つめていた。とてもいい顔だけど、向けている先がゲームだから私はイマイチ共感できない。
「あの…それでどうすれば…」
「ん…あぁ、すまない。つい感傷に浸ってしまった。そしたら…」
ピコン…
「あ、なんか来ましたけど…」
「あぁ、チャットのようだ」
神さんがなにか言おうとした瞬間、ゲームから何かの通知音がした。何やら吹き出しのマークの所に数字が付いている。
ピコン…ピコン、ピコンピコンピコン………
「こわっ…!?なんかいっぱい来ましたけど!?」
通知の一つを皮切りに、次々とチャットが送られてきているようで、通知音が絶え間なくなり続けた。
「まぁ落ち着いて。とりあえず開いてみてもらえないか?」
「あ…はい」
通知が鳴り続くのは怖いけど、神さんに言われた通りに吹き出しの所をタップしてチャットを開いた。するとギルドと書かれているところでチャットが大量に流れているようだった。
『ちょっ…!!JIN3さんがinしてる!!!』
『ま!?』
『マジだ!ちょっと!じん見てる!?』
『二週間も空けるなんて何してたんだ!?』
『ホントだよ!JIN3さんが二週間も空けるなんて以上だよ!』
『以上w』
『以上w』
『草』
『そこはスルーして!?』
『誤字はほっといて言いたいことはわかるけどな』
『同意』
『じんー!いるなら返事プリーズ!』
『いないならいないと言え!』
『そwれwはwむwりw』
……………
チャットは絶え間なく続いて、途中話が逸れることは多々あったけど、基本的には神さんが来たことを喜んだり、神さんのことを心配していたような内容のものが書かれていた。
「うるさい人達だな」
「でも、良い人達そうですね」
「あぁ」
悪態をついても微笑んでいるから、照れ隠しみたいなものなんだろう。画面を見る目がとても嬉しそうに見える。
「どうしますか?」
「そうだな…僕の言う通りにチャットを打ってもらっていいか?」
「はい」
そうして、私はコメントを打つところをタップして、言われた通りに文字を打ち始めた。
「騒がしい」
『キタ!』
『来た!』
『きちゃー!!』
………
自分で言われた通りだけど、第一声がほとんど暴言なことに驚いた。それでも他の人は嬉しそうな反応を見せているところを見ると、通常運転なのだろう。
「忙しかった。すまない」
『さすが!』
『しゃちょさん!』
『それでも意外っちゃ意外』
「僕でもそう思う」
社長!?
私の中の動揺を知らないだろう神さんは、言葉を続けた。
「今日インしたのもそれに関係ある」
『ザワ…ザワ…』
『ザワ…ザワ…』
『ムシャ…ムシャ…』
『食うなw』
『おいおい…まさか引退か?』
「その通りだ」
『なん…だと…』
『ふぁっ!?』
『なんだ引退か…引退っ!?』
………
一人の発言を肯定すると、またチャットの勢いが激しくなった。ふざけてるような発言もあったりしたけど、もしかすると悲しいのを誤魔化しているのかもしれない。そしてほとんどが、引退を惜しむ発言だった。
『そんなに忙しいのか?』
「あぁ。海外に行くことになった」
『ま!?』
『ま!?』
………
簡単に理由を言うと、しばらくは驚きの言葉が続いて、その後にはまた引退を惜しむ言葉や、仕事を応援する言葉が次々に流れて行った。
「本当に良い人達ですね」
「あぁ、世話になった人もいるし、世話した人もいる」
「そうなんですか」
「そして、僕も見送った人は多くいたが、まさか見送られる側になるとは思ってもいなかった」
「神さん…」
どこか懐かしむかのように自分の心情を言う神さんは、悲しさと嬉しさが半分半分のようだった。
「さて、まだ別れを言うところはあるからこの辺で切り上げるとしよう」
「待ってまだあるの?」
「あぁ、やっていたゲームは一つじゃないからな」
「えぇ…」
一体いくつのゲームをやっていてのか予想できないけど、何となく人並みではないことを感じつつ、一つ目のゲームで別れを告げたのだった。
◯◯◯
十を超えたあたりで数えるのをやめて、次々にゲームで引退を表明していった神さん。その中のどのゲームでも、所属しているグループで神さんは有名人らしく、どこでも同じように惜しむ声や応援の声があった。
「これで終わりだ」
「おぉ…終わったのかぁ…」
だけど長かった挨拶回りも終わりを告げて、私は一気に脱力した。
「長く付き合わせてしまってすまないな」
「いえ。長くなったのは、神さんが好かれていたからですよ。それは悪いことだとは思いません」
「ありがとう」
申し訳なさそうにする神さんに対して、私は本心からそう思った。好きな人との別れは誰だって惜しい。それを長いと文句を言うことは私はしない。何より幽霊とのお別れはいつだって短く思ってしまうのだし。
「私、ゲームとか全然しないんですけど…でも今日神さんのやってたゲームで挨拶回りした時、何となくやっちゃう気持ちが分かりました」
「ん…?なぜ?」
「だって、あんなに温かい人達がいるじゃないですか。アットホーム過ぎて、家みたいに帰ってみたくなる気持ちになりましたよ。今日みただけで」
「家か…そうだな…僕にとっては、家みたいなものだったな…」
「神…さん…?」
私の言葉に不思議そうにした神さんに私が思ったことを言うと、神さんは納得したように呟いた。そして、それと同時に身体が透け始めた。
「僕はきっとその家から離れたくなかったんだろう。でも今日別れを告げて回った。なら、いつまでもしがみ付いてはいられないな」
「そう…ですね…でも、しょうがないですよ…」
きっと、自分でも心のどこかで良くないと思っていたんだろう。だから逆に必死になって否定していた部分もあるのかもしれない。だけど今となっては私は、依存してもおかしくはないし、悪いことでもないと思っている。全く立場が逆転してしまった。
「あぁ、しょうがないのかもしれない。だけど、これもしょうがない事なんだ。いつかは離れなければならない」
「はい…」
「それが分かって良かった。本当にありがとう。さようなら」
「どういたしまして…さようなら…!」
最後に別れの言葉を告げて、神さんは光になって消えていった。それを見届けた後、私は家に帰るのだった。余談だけど、私はその日一つゲームをインストールして優しいギルドに迎えてもらったのは別の話だ。
第34話を読んで頂き、本当にありがとうございます!
待っていて読んで頂いてた方には感謝と謝罪しかないです!
今回の話に関しては、私は神さん側ですね。
どっぷりゲームしてしまう派です。
ただコミュ障なのでソロですが…
あとあんまり長くしないってのもありますね。
そんなことはさておき。
今回はスマホ依存症の人の話でした!
現代ではおかしくもない話ですかね。
私としては病気扱いすんなって思う気もしますが。
また話逸れました。
ホントは神さんの設定盛って、茜ちゃんがゲームするって言うのも良かったんですけど、また続きものにするのはアレな感じだったので止めました。
結果シンプルに温かい話になったかなって思います。
それでは今回はここまで!
前書きでも話しましたが、無言で投稿延期してすいませんでした!
それでも読んで下さった皆様には最大の感謝と謝罪を。
次回の更新は5/24の予定です。
こんな未熟者ですが、これからもお付き合い頂けましたら至上の幸福です!




