第30話 コミュニケーションの第一歩は人の視界に入ることから
こんにちは!
明日葉晴です!
二話連続で遅くなってしまいました…
すいません…
今回はいつもより短めになってます。
最近アホっぽいのしか書いてなかったので、別系統書いてたら短くなってしまいました…
短いんですけど、ホントにちょっとだけ茜ちゃんの過去についての内容が含まれています!
ちょっと気に留める程度で結構ですが…
それでは本編をどうぞ!
私は昔から幽霊が視える。
「……………」
今もそこに、幽霊だと思う女の子がポケッとした顔で空を見ながら座っている。
「……………」
というかさっきから微動だにしてない。瞬きすらしない。人形かと疑うレベルだ。
「あの…生きてますか?」
「……」
「すいません…」
「…」
が…ガン無視……
◯
私が呼んでいると気付かせる為に、女の子の目の前に回り込んで手を振った。
「おーい。聞こえてますかー?」
「……?」
あ、目がやっと合った。
女の子はぼんやりとしながら私の方を向いた。呆けたような表情だけど、目は私をしっかりと捉えていた。
うわ…可愛い…
さっき人形かと思ったけど、間近で見ると本当に綺麗な顔をしてる。クリっとした目を私の方に向けて、不思議そうに首を傾げていた。
「………」
「えと…あの…私の言葉、わかる?」
「………」
えぇ…うぅ…ん…?
私が何を言っても不思議そうに首を傾げているだけで、何も反応しない女の子に対してとても困った。ただ私のことをしっかり見ているから無視しているとも違うような気がする。
「その…えっと…ごめんなさい…」
「……」
なんかわからないけど謝ってしまった。上手く言えないけど、表情を変えずに見つめてくるから謝りたくなった。何もしてないのに女の子に謝るなんて不思議な気分だ。ついでに言えば、傍から見たら何もないところに謝ってる人に見えるだろうけど。
「………」
それでも何も言わずに見つめてくる女の子。もう私はどうすればいいのかさっぱりわからない。
「…。…!…。」
「ん?」
私が困っていると、女の子は口をパクパクさせ始めた。そして一回耳をふさいだ後にすぐ手を放して、また私の方をじっと見てきた。その様子に私は少し考え込んだ。
もしかして…?
私は女の子の動きの意味を考えた後に、スマホを取り出してメモアプリを立ち上げた。そこに文字を打ち込んで女の子に見せた。
『もしかして耳が聞こえない?』
「…!…!…!」
「なるほど…」
私が文字を見せると、女の子は何度も力ずよく頷いた。どうやら本当に耳が聞こえないらしい。だとすれば喋れないのもそのせいだろう。耳が聞こえない人が喋ることが出来ないのもなんかで聞いたことがある。
『気付かなくてごめんね?』
「……っ!……っ!」
私が謝ると女の子は首を横に何度も振った。首が取れそうなほどの勢いで、私は思わず苦笑いになった。最初は人形かと思ったけど、思ったよりこの子は感情が豊かなのかもしれない。
『ありがと。私は三葉茜。よろしくね』
「…!…!」
私はお礼を言ってから自己紹介した。女の子は嬉しそうに首を縦に振る。
『間違ってたら凄い謝るけど、もしかして幽霊だったりする?』
「………。」
初対面でいきなり聞くことじゃないだろうけど、触りにいくのもおかしいと思うから、失礼と思いつつ質問してみた。すると女の子は悲しそうに一回だけ小さく頷いた。心が痛い。
うー…ん…どうしよう…もう…色々と…
悲しませたのもそうだし、成仏させる方法もそうだし、名前も聞くのもそうだ。とにかく意思疎通が難しい。
とにかく名前かなぁ…そうだな…
『今から文字を映すから、名前になるように順番に文字を指さしてくれる?』
「……っ。」
私は何とか意思疎通する方法を思いついて提案した。女の子はまだ少し悲しそうにしつつも頷いた。
あ…い…か…わ…ち…ぐ…さ…
最期の文字を指したあと、手を下ろして私の方を見つめてきた。名前はそれで終わりと言うことだろう。
『あいかわ、ちぐさ、であってる?』
「……!…!」
私は確認するように苗字を名前を区切って見せると、女の子、ちぐさちゃんは頷いた。ひとまずこれで名前は分かった。これで呼び方に困ることはない。
ふぅ…じゃあとりあえず…
『じゃあちぐさちゃん。ちょっとお散歩しようか?』
「…?…!……!」
私は名前が分かったところで、いつも通り人の目が気になるため神社に連れて行くために提案をした。ちぐさちゃんは一瞬最初の不思議そうな顔をしたけれど、とりあえず頷いてくれた。
『よし!じゃあ付いてきて!』
そうして、私はちぐさちゃんと一緒に歩き出したのだった。
◯◯
いつも使わせてもらってる神社にたどり着くと、私は賽銭箱の前の階段に座った。そしてその横を叩いてから手招きした。
「……!っ!…。」
ちぐさちゃんは首を縦に振ってから恐る恐ると言った様子で私の隣に座ってきた。そして、何故か不安そうな顔で私の方を見てきた。
ん…?なんだろう…?
『どうしたの?私が怖い?』
「……。…。…。………?」
嫌々私に付いてきているのかと思い率直に聞いてみると、ちぐさちゃんはふるふると首を振った後、賽銭箱の方、神社の本殿に目を向けた。
えー…っと…ん…?
『もしかして、ここに座っていいか迷ってる?神様の住んでるところだから』
「……!…!…!」
私が本殿の方を向いた理由をなんとなく予想すると、正解だと言うようにちぐさちゃんは首を何度も縦に振った。
『大丈夫だよ。私はここの神様とお友達なんだ』
「っ!!?っ!っ!」
私は安心させるための言葉をちぐさちゃんに見せた。するとちぐさちゃんは目を輝かせて私の方を見る。興奮しているのか手をパタパタさせている。幽霊の自分が視えているから、神様も視えると信じたのだろうか。
まぁ…ホントはちょっと違うんだけど…嬉しそうだからいっか。
『どお?すごいでしょ?』
「っ!っ!っ!!」
『他にも色んな友達がいるんだよ?例えば、この間はアイドルの子と友達になったんだよ』
「~!」
私が自慢げにすると、ちぐさちゃんは何度も頷く。だから少し面白くなって、他に会ったちぐさちゃんの喜びそうな幽霊の話をした。
『とっても歌が上手でね。それにとっても努力家で、自分で歌を考えたりする凄い子だったよ』
「~っ!」
『この神社でライブをやってくれて、私がファン第一号なんだ』
「~…!!」
私はこの間会ったアイドルの卵の話をした。ちぐさちゃんとは違う可愛さがあって、丁度ここでライブをやってくれた。
『あとは、世界を守るための超能力者がいるんだよ。みんなが不安にならないように、こっそりと悪い人をやっつけるんだ』
「っ!?…。…!」
『私はたまたまその場面を見かけてね。一緒に戦ったんだ』
「っ!!!」
本当は一緒に戦ったというより、お互いが戦ったと言うのが正しいわけだけど、言葉の綾と言う奴だ。ここはちぐさちゃんを楽しませるのが一番だ。
『今は悪い奴らをみんなやっつける為に、アジトに乗り込んで戦ってると思うよ』
「……~!!っ!」
結構前に会った彼は、今もきっと平和の為に戦っている事だろう。
『あとはねぇ…』
その後、私は今まで会った幽霊の人たちや、美和、小夜、舞の話なんかもしたりした。そのどれもに、ちぐさちゃんは目を輝かせたり興奮して手をバタつかせたりした。そんな様子を見せるものだから、私は気分が良くなってついつい話し込んでしまったのだった。
◯◯◯
私が知る範囲の幽霊や、いつもの三人の話、幽霊で知り合った人達の話をした後、すっかり時間が経っていてしまった。
おっと…ついつい話し込んじゃった…目的を忘れてしまうところだった…
あまりにも反応が可愛くて話していたけど、私の本来の目的は幽霊を成仏させることだ。それは誰でも例外じゃなくて、この可愛い子でもそうだ。本当は家に連れ帰って可愛がりたい。
いやいや…そうじゃないか…
『私ばっかり話しちゃってごめんね?』
「……!…!…!」
私が謝ると、ちぐさちゃんはふるふると首を横に振った。どうやら私の話は喜んでもらえたみたいだ。私まで嬉しく感じる。
『ちぐさちゃんのお話も聞いてみたいんだけどいい?』
「……。…。…。…っ」
私はちぐさちゃんに質問すると、ちぐさちゃんは少し戸惑いながらも頷いた。
『じゃあ、ちぐさちゃんってなにかやりたいこととか、夢とかあったりする?』
「……。…。…。…。…。…っ」
私は遠回しに未練があるか聞いてみると、ちぐさちゃんは長めの沈黙の後に控えめに頷いた。
『そうなんだ。なんなのか聞いてもいい?』
「……。…。」
私は質問を画面で見せた後、名前を聞いた時と同じように、五十音を映した画面をちぐさちゃんの方に差し出して見せた。ちぐさちゃんは少しだけ躊躇ったような仕草をした後、ゆっくりと指を画面に向けた。
と…も…だ…ち…が…ほ…し…い…
ちぐさちゃんは指を指し終わると、切ない表情で私の方を見てきた。
『友達がほしい?』
「…っ…」
私が確認する為に聞いてみると、ちぐさちゃんはびくりと体を震わせてから私の方を再び見て頷いた。
そっか…もしかすると…喋れないから…
私がちぐさちゃんを見つめ返していると、ちぐさちゃんは何か言いたげに私のスマホを指さしてきた。多分、文字の所を見せて欲しいんだろう。私はそっとスマホを差し出すと、ちぐさちゃんは画面に映された文字を指でなぞり始めた。
おねえさんみたいにたくさんのともだちがほしい
なぞることに慣れたのか、比較的スムーズに文字を次々に指していく。示された文字は痛々しく、私は悲しくなった。
『私は友達だよ!』
「っ!!!」
だから私はたまらず、だけど本心からの言葉をちぐさちゃんに見せつけた。
『それに私、幽霊の友達いっぱいいるんだ!だからちぐさちゃんもきっとみんなと仲良くなれるよ!』
「…?…?……?」
私が続けて画面を見せると、ちぐさちゃんは口をパクパクさせた。私はちぐさちゃんがなんとなく何が言いたいかわかった。
『ホントだよ!ちぐさちゃん、可愛いし、とってもいい子だもん。絶対みんなも好きになるよ!』
「~~~!!!」
私が勢いのまま文字を打ち込んで見せると、ちぐさちゃんは息が詰まったような表情になった。
『天国にもいっぱいいるから、私の友達だって言ってみてよ。喋れなかったら、天国ならきっと文字を書けるものもあるだろうから、名前を見せてあげて!きっと知ってる人がいるから!』
「…!…!…!…!」
成仏した先に天国があるなら、そこには私の知ってる人がいるだろう。その人達がちぐさちゃんを好きにならないわけがない。
『だから心配しないで!もし生まれ変わっても友達だから!ずっとずっと友達だから!』
「…っ!~!」
私が念を押すように画面を見せると、ちぐさちゃんは泣き顔になって身体が透けて浮き始めた。
よかった…気持ちが届いた…
「…!…!…!…!……!!」
ちぐさちゃんは浮くのに逆らおうと必死になっているのか、身体をばたばたさせながらスマホを指さす。まだ伝えたいことがあるんだろうか。
『頑張って口パクでもいいから、言ってみて!』
私は空中にいるちぐさちゃんに見えるように、精一杯手を伸ばしながらスマホの画面をかざした。
「…っ…っ…っ…っ…っ!!!」
スマホの画面が見れたのか、ちぐさちゃんは大きく頷いてから口を大きく開けて叫ぶように動かした。そして終わると同時に光となって消えていったのだった。
最期は…多分…
当たり前だけど、全く聞こえなかった。だけど、何となく言いたかっただろう言葉はわかった気がする。
ありがとう…かな。
『私も楽しかったよ。ありがとう』
スマホのメモアプリにそう書き込んでから保存して、家に帰ったのだった。
第30話を読んで頂き、ありがとうございました!
と言うわけで今回は喋れないし聞こえない子でした!
名前は漢字で書くと相川千草ちゃんです!
喋れないけど表情豊かな可愛い子って、超いいと思うんですよー!
あ、私の趣味はどうでもいいですよねー
さて、今回はちょっと懐かしい彼の話がありました!
そう!中二病の彼です!
良いキャラしてたのに出せなくて残念だったんですが、回想的に出てきてくれれば良きだと思います。
それでは今回はここまで!
ブクマして頂いてる皆さん!
そうでない皆さん!
いつも大変お世話になっております!
次回は3/29更新予定です!
引き続きお付き合い頂ければ幸いです!




