第29話 筋肉こそ全て
こんにちは!
明日葉晴です!
投稿遅れました!すいません!
用事から帰ってきて書いていたら、気付いたらパソコンの前で倒れていました!
今回はちゃんと幽霊の話です!
いや…ちゃんとした幽霊っていた記憶あんまないんですけど…
小夜ちゃんの話し終わってからずっとハイテンションで書いてる気がしますね!
それでは本編をどうぞ!
私は昔から幽霊が視える。
「はっはっはっはっはっはっ!」
だからと言って幽霊のことすべてがわかるわけじゃない。ましてや幽霊の筋トレが意味があるかわからない。
「ふんっふんっふんっふんっふんっ!」
けど私はただひたすらに高速でスクワットをしてる人を止められない。それが未練かもしれないから、見守るしかない。
「ふんっ…何故だ筋肉っ!何故何も答えてくれないっ!!」
どうやら見守るだけじゃダメだった見たい。筋肉は答えじゃなかったらしい。
◯
叫ぶ筋肉もとい、上半身裸の男の人が幽霊だと確認してから神社に連れてきた。余談だけど、最初私が声を掛けた時は総無視されたけど、いい筋トレ場所ありますよって言ったら途端に食いついた。先行き不安だ。会話できるだろうか。
「えと…私は三葉茜です。あなたの成仏の手伝いがしたいんですけど…」
「すまない。自己紹介は筋肉で頼む」
ダメだコイツ会話できない…てか普通に喋ってんじゃん…そのままでいいでしょ…
「ふんっ!はっ!やぁっ!」
が、一応やってみた。
「ふむ、なるほど。三葉茜君か」
そりゃ今言ったからね!?わかるよね!!
「綾目高校の二年生で、幽霊が視えるから視掛けたらいつも成仏の手伝いをしていると」
と思ったらすごいな!?まじで!?そんなことも分かんの!!?
とりあえずやってみただけなのに、言ってないところもまで理解された。何が起きるとそこまで分かると言うのか。ちなみに今日は私服だ。制服で高校が分かったとかでもない。エスパーか。
「オレは須子大也。スポーツジムでインストラクターをやっていた。相手の筋肉を見れば大体のことは分かる」
いやいや!?分かるの範囲が広すぎるし!
インストラクターはそれっぽくて納得できたけど、それ以上に意味が分からない部分のインパクトが強すぎる。てか私、結構着込んでいるから筋肉は見えないと思う。どこを見て理解したというのか。
「オレの未練は至極単純だ。最後に筋肉との別れを告げたかった。それだけだ」
なに!?筋肉との別れってなに!?全然単純じゃないんだけど!!?
キメ顔で言われても全く理解できない。それだけだって言われてもそれだけじゃわからない。さっきからツッコミしっぱなしで頭の中での処理も追いついてない。
「生前、話しかければ応えてくれた筋肉が、今では何も応えてくれない。これではオレは…死にきれない」
変態か。
今度はこの世の終わりみたいな顔で理由を話す須子さん。もうその光景を見たくなってきた。ここまで突き抜けるといっそ感心する。
「えと…どうやって話してたんですか?」
「む…?服をすべて脱ぎ、鏡に向かってだが」
だから変態か!?
「それ今は絶対やらないでくださいね?」
「うむ…それが上半身は最初から裸だったのだが、下半身は何故か脱げなくてな」
いや、やろうとしたのか。よかったわ。
幽霊で普通は視えないとは言え、路上で脱ごうとしたそのメンタルの強さは何なのか。その場に居合わせなくてよかった。幽霊か確認しないで通報するところだった。
「君は幽霊のことがよくわかるのだろう?ならば服を脱ぐ方法はわからないか?」
「知りませんし、わかったとしても絶対言いませんよ!?」
「そうか…」
しれっと未練の内容変えないで欲しい。しかもそれを聞くのはどうなのだろうか。本気で残念がらないで欲しい。
「とりあえず、脱がないでも筋肉と会話できる方法を探しましょ?」
自分でも言ってみたけど意味が分からない。これ誰かに聞かれてたら私が通報される。
「む…だが…」
「須子さんの筋肉はそんなことで会話してくれなくなる程度の存在なんですか?」
「!?」
なおも残念そうにする須子さんに、私は謎の説得を試みた。自分でもアホみたいなこと言ってると思う。だけど須子さんは何かとてつもなく驚いたような顔をした。
「そうか…言われてみればそうだ…オレは会話の仕方に固執していた…」
「そうです。自分の筋肉を信じましょうよ」
「筋肉を…そうだ…何故オレはそんな簡単なことすら忘れていたのか…」
「死んでしまって気が動転してたんですよ」
悟りきった表情の須子さん。自分で説得しといてアレだけど、残念ながら私は全く共感出来ない。気が動転して脱ぐとか変態が過ぎる。
「くそ…くそぉっ!!」
「へっ!?あっ!ちょっと!!?」
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
私が引いていると、悔しがっていた須子さんは突然叫びながら走って行ってしまった。私はあっけに取られてただ叫んで呼び止めることしかできなかった。
〇〇
「くっ…やはり筋肉が何も応えてくれない…」
「今度は何してきたんですか…」
須子さんはしばらくして猛スピードで帰ってきたと思ったら、地面に四つん這いになってうなだれた。行動の理解ができない。
「全力で町中を走ってきた」
「そのまんまですか…」
行って帰ってきたまま、ただ走ってきたらしい。意図が読めない。
「普段であれば筋肉が喜びに震えるのに、どんなに走っても何も反応がないんだ…」
筋肉が震えるとか、疲れすぎて痙攣してるんじゃなかろうか。普通なら喜んでるんじゃなくて苦しんでるんじゃないかと思う。少なくとも私はそう思う。運動そこまで好きじゃないし。
「オレは…オレはいったいどうすればいいんだ…」
私も分からない。筋肉と会話できる人はそうそういないと思う。
「あの…他にやっていたこととかないんですか?」
「出来ることは試した。腕立ても、腹筋も、背筋も、スクワットも、垂直跳びも…」
見事に筋トレしかしてない…
つらつらとあげられる筋トレのメニューに私は内心呆れた。この人の筋肉との会話は、筋肉を虐めることしかないのだろうか。
「あとは全裸になるしか方法は…」
「それは止めてください」
「むぅ…」
訂正。変態になるか筋トレしかないらしい。前者は絶対やめて欲しい。誰も得しない。残念そうにするのもマジでやめて欲しい。コイツホントは脱ぎたいだけなんじゃなかろうか。そんな考えが頭をよぎる。
「だがしかし…」
「やめろよ」
「お…おう…すまない」
なおも食い下がる須子さんに、思わず本気で返してしまった。大の男、しかもマッチョを本気で引かせてしまった。だけどそれだけは許さない。多分幽霊だから脱げないんだろうけど、脱ごうとする意志自体を消し去らせたい。
「とりあえず考え方を変えましょう。きっと幽霊になってしまったんですから、会話の仕方も違うんですよ」
「ふむ…一理あるな」
よし…
とりあえず考えを逸らすことに成功した。こういうのは違うことを考えさせて、他のことを考える暇さえ与えなければいい。ただ一つ、成仏させることだけは忘れちゃいけないけど。
「では何か妙案があるか?」
「あー…そうですね…」
妙案と言われても流石にすぐにいい案が浮かんでくるわけがない。だけどそうもいってられないから私は少し考えた。
「……例えば、今までとは反対に、筋肉を休めると言うのはどうですか?」
「筋肉を…やす…める…?」
なんでそこで首を傾げる。マッチョの男がやっても需要ないよ。
「休めるとは?」
「え…休憩って意味ですけど…」
いや、そんな初めて聞くみたいな感じで聞いてこないで欲しい。休憩くらい知っているでしょ。
「オレにとっては筋トレがそうなんだが?」
「は?」
「オレにとっては筋トレが休憩みたいなものなんだが?」
「は?」
「オレにとっては」
「いやもういいです」
多分須子さんとは生命体として違うのかもしれない。私は筋トレが休憩とか死んでも言えないと思う。疲れないとしても絶対嫌だ。
「とりあえず私が言いたいのは、筋肉に筋トレ以外を与えてみたらっていいたいんですよ」
「筋トレ以外…プロテインか?」
間違ってない気もするけど、それ結局動かなきゃいけなくなるだろ。
そもそも…
「幽霊だからプロテイン取れませんよ」
「なん…だと…!?」
私は簡潔に事実を言うと、須子さんの顔が絶望したように変わった。
「だとしたらオレは一体、何を筋肉に与えられると言うんだ…」
この人の筋肉にあげるもののレパートリーは少なすぎじゃなかろうか。筋肉に何かをあげるって単語もよくよく考えればおかしな話だけど。
「いやだからきゅ…」
「…?」
そして私はまた休憩と言おうとしたけど、それじゃさっきの繰り返しになる。無限ループが目に見える。
「筋肉を動かさない、働かせない、一切なにもしないと言うのはどうですか?」
だから私は言葉を変えて伝えてみた。この人に本当に必要なのはそういうものだと思う。
「だがそれでは脂肪になってしまうだろう?」
だけど須子さんはそれをわりと正論で返してきた。この人には本当に休息という言葉はないのか。辞書を引いてほしい。
そもそも幽霊が太るとかあるのだろうか…
「じゃあ瞑想しましょう。自分の心を見つめ直して、筋肉と精神で会話を試すって言うのはどうですか?」
だからとりあえず言葉を変えてみた。普通の人が瞑想したとて、眠りに落ちるだけだ。後半は自分でも何言ってるかわからない。
「なるほど…心で会話か…やってみよう」
しかし須子さんには効いたみたいで、納得してもらえたみたいだ。すぐに座禅を組んで目を閉じた。
滝に打たれるのが凄く似合いそうだ…
見た目のせいか、目を瞑ってじっとしているだけでも修行しているように見えてきた。業が深い。
うー…ん…にしてもよくここまで鍛えたよなぁ…
目を瞑ってることをいいことに、私は改めて須子さんをよく観察してみた。
こんなマッチョは見たことも視たことも…あ、おネェさんいたわ。
私は知り合いのおネエさんと、知り合うきっかけになった幽霊のおネェさんを思い出した。生きてる知り合いはもともと男の人だけど、幽霊は生粋の女の人だ。
そう考えると、男の人のマッチョって普通に思えてくるな…
考え方としてどうかと思うけど、女の人のマッチョがいるなら、男の人のマッチョはもっといてもいいんじゃないだろうか。
「はっ!!」
「ひゃいっ!」
そんなどうでもいいことを考えていたら、突然須子さんが目を見開いた。丁度顔を視てた時だったからびっくりして変な声が出てしまった。
「微かに…微かにだが何か聞こえた気がする」
「私そんなに鼻息荒くしてませんよ!?」
「違う。そうではない」
よかった…鼻息で集中出来ないとか言われたら立ち直れないとこだった…
「何か筋肉がオレに訴えていた気がする…」
マジかぁ…
この人本当は仙人かなんかなんじゃないかと思う。瞑想で何かを掴んでる人は初めて視た。
「なんて言ってたんですか?」
「わからん。本当に微かだった為に言っていることは聞き取れなかった」
「そうですか…」
ホントに残念だ。それが分かれば成仏する手掛かりになったと思う。
「だが君の意見は参考になる。他に何かアイディアがないか?」
「えっ!?えと…そうですね…」
須子さんが私に意見を求めてきたけど、私にはもう案がない。
心が落ち着くことかぁ…座禅?は、さっきやったか…
「やっぱり落ち着くってのが大丈夫だと思うんで、落ち着く時ってどんな時ですか?」
「きん…」
「筋トレ以外で」
「ふむ…」
私は質問した後で、言われる答えが予測出来てしまったから言い切られる前に止めた。すごく悪いとは思うけど、簡単に予測つくのもどうだろうか。
「だとすれば…そうだな…」
そう呟いて考え込んだ須子さん。空気椅子してる。ナチュラルに筋トレ始めないで欲しい。
「一つ頼まれて欲しい」
「私に出来ることなら」
「簡単だ。君の筋トレを見せて欲しい」
………は?
◯◯◯
お願いの意味がわからないままに、私は家に帰って自分の部屋でジャージに着替えた。
「須子さん。いいですよ」
着替える間、外で待機していた須子さんを読んで、自分の部屋に招いた。自分の部屋にマッチョがいることに違和感はあったけど、それは飲み込むことにした。
「では、君の筋トレをみせてもらおう。まずは腕立て伏せを三百回やってみてくれ」
「無理です!」
殺す気か…こちとら普通の美術部だよ…
「そうか…なら…」
「とりあえず十回でいいですか?私、見ての通りインドアなんで」
「しかたないか…頼む」
「了解です」
ちなみに私は十回すらだいぶきつい。明日は筋肉痛になるかもしれない。だけどこれはしょうがないことと割り切って、腕立て伏せの体勢をとった。
「いきます!いー……ちっ!……はぁ…はぁ…」
私は気合いを入れて一回。もう無理だ。腕痛い。息がすでにあがってしまった。
「ぬぅ…!?」
奇妙な声を上げた須子さんをちらりと視ると、なんだかとても微妙な顔をしていた。そんな違う生き物を見るような顔で見ないで欲しい。人類全員が筋トレできると思うな。
「はぁ…はぁ…あの…言った分…は…やるんで…」
「お、おう…そうか…無理するな」
あれだけイケイケだった須子さんに心配されてしまった。もしかして私はそんなにヤバいのだろうか。
「それじゃ…再開…します…」
そうして、私は腕立て伏せを再開した。一回の腕立て伏せにつき、だいたい二、三分のインターバルをいれつつなんとか十回終わらせた。
「はぁ…はぁ…どう…ですか…」
「すまない…君のあまりの体力と筋力の無さにあっけに取られてしまった」
「おい…」
こ…コイツ…
息も絶え絶えにうつ伏せの状態で須子さんに聞いてみると、思わずツッコんでしまうことを言われた。つい低い声で返してしまった。
「次は腹筋を頼む」
「はい…ちょっと休ませてください…」
「構わない。ゆっくり自分のペースでいい」
早くしろとせっつかれるかと思ったけど、思いの外優しい言葉を掛けられた。私はその様子に少しだけ驚いた。
「何を驚いている。身体を鍛えると言うのは自分のペースでやるのが一番いいんだ」
「そ…そう…ですね…じゃあ…始めます…」
「待て」
「…?」
私は仰向けになって腹筋を始めようをすると、須子さんに止められた。
「膝を立てた方がいい。それと頭の後ろにクッションでも入れておくといい。起き上がる距離が減って負担も少なくなる」
「あ…ありがとう…ございます…」
言われたとおりに体勢になってみた。多分気持ち程度の効果だろうけど、ないよりはマシだろう。相手はプロだし。
「じゃあ…やります…」
「おう」
そうして、私は須子さんの指導の下筋トレに励んだ。日頃授業でしか運動をしないせいかめっちゃ時間かかったけど、何となく指導されながら筋トレするのは楽しくなっていた。
◯◯◯◯
そうして指導されて筋トレして一通り終わらせると、私は割と心地いい疲れに包まれていた。ほぼ虫の息だけど。
あぁ…やりきったぁ…
そして、須子さんを見ると、何故か成仏の兆候が表れていた。意味が分からない。
「須子さん…?」
「うむ…君の筋トレを見ていて。オレも満足したようだな」
意味がわからない…
「オレは誰かの筋トレを指導する時、自分の筋肉と相談をしながら行っていたのだ」
ホントに意味が分からないな…!?
「それで…話は出来ましたか…?」
「出来なかった」
えぇ…
「確かにオレは筋肉と会話は出来なかった。しかし、筋肉との思い出を忘れたわけではなかった。それが分かっただけで、筋肉が裏切ったわけではないとわかった。いや、そんなことを忘れていたオレの方が裏切っていたのかもしれんな」
なんだろう。いい話っぽいはずなのに全く頭に入ってこない。疲れのせいか、それとも意味が分からないかなのか。多分後者の気がする。
「筋肉の教え。それがあればオレは大丈夫だと確信できたのだ」
「そう…ですか…」
「やはり筋トレとはいいものだな。ありがとう」
そう言い残し、須子さんは光になって消えていった。私は床に倒れながら、なんとも言えない感情になった。
最期の言葉がそれぇ…?
翌日、私は筋肉痛で登校することになった。これを機に少し身体鍛えた方がいいかと思ったのはまた別の話だ。
第29話を読んで頂き、ありがとうございます!
サブタイがすべてですね!
今回の話も私の趣味です!
私筋肉キャラって結構好きなんですよね。
この物語だけでも今三人出てきてますし、雅さん何気に二回出てますし。
最初須子さんの名前は力也にする予定でしたけど、何となく止めました。
それでは今回はここまで!
ブクマして頂いてる皆さん!
そうでなくとも読んで頂いてる皆さん!
いつも読んで頂きありがとうございます!
次回は3/15に更新する予定です!
引き続きお付き合い頂けたら幸いです!




