表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/59

第23話 思い出と約束

こんにちは!

明日葉晴です!


引き続き、小夜ちゃん編になります!

今回は小夜ちゃんの過去なんかも登場しちゃいます!

そして注目株は雪菜お姉ちゃん!

今回もいい感じに空気壊してくれることを期待します。

それでは本編をどうぞ!

 side.(あかね)


 小夜(さよ)はとても強い。


「お嬢様が…小夜(さよ)が…なんも反応してくれへんのや…」


 だけど、(まい)が仕事の姿勢を崩してもう一度放った現状は、私の知ってる小夜(さよ)のイメージからはかけ離れていた。


「ウチでは…もう…どうにもできひん…」

「「(まい)……」」


 頭を下げたまま、(まい)は苦しそうに言葉を絞った。


「ならっ!この雪菜(ゆきな)お姉ちゃんに任せなさいっ!!」

雪菜(ゆきな)お姉ちゃん、二人には聞こえてないですよ…」

「あら!そうだったわね!」


 〇


 雰囲気とはかけ離れた言葉を発した雪菜(ゆきな)お姉ちゃんに、私は呆れながらツッコむと、(まい)は驚きの表情を浮かべた。この空気でとは思いもしたけど、(まい)雪菜(ゆきな)お姉ちゃんのことを紹介した。


「玄関で言っとったことはホントやったんな」

「うん。先に紹介するべきだったね」

「お姉ちゃん的にはベストタイミングだと思うよ?」

「いやいや…どこがですか…」


 かなり重い空気の中、一人だけ明るくして…私もツッコんじゃったんだけどもっ!


「だってみんな暗ーくてさ。お友達を元気にしようって言ってんのに、みんなが暗くちゃ出来ないでしょ?」

「あ…はい…」


 確かに。確かに一理あるけどもっ!落ち込んでる人に馬鹿みたいに明るく行ってもダメだと思う…


「そこは匙加減よ」

「心読まれた!?」

「うふふ…どうでしょ?」


 オネエさんの幽霊に続き、計り知れない人だ…


「まぁさておき。お姉ちゃんは力になる気満々だから、とりあえず、何があったか聞かせて欲しいなぁ」

「あっ…はい…(まい)、あのさ…何があったか聞かせてもらってもいいかな…?」

「えぇよ…んんっ…そうですね。お話致します。お話するにあたりまして、少々昔のことも語らなければならない為長くなってしまいますが、よろしいでしょうか?」


 また仕事モードになった(まい)は姿勢を正して私達に尋ねてきた。


「「もちろん!」」

「お願いねぇ」

「かしこまりました。それではお話致します。ことは二年前、ワタクシとお嬢様の高校受験前まで遡ります…」


 そうして、(まい)は静かに話し始めるのだった。


 〇〇

 side.小夜(さよ)


 私のお母様はとても元気な人だった。


 《私は、小夜(さよ)を元気な子に産めたことが一番の誇りよ!》


 元気とは言ってもそれは性格上の話だけであって、お母様は病気がちで、身体が弱ったのだけれど。そんなことをことあるごとに言っていた。


 《性格も小太郎(こたろう)さんのように冷静で、頭の良さも小太郎(こたろう)さんみたいで…あれ?小夜(さよ)は私の子なのかしら?》

 《お母様、お母様が産んだのならそれ以外に無いでしょう…》

 《奥様、お嬢様は奥様に大変よく似ていてお綺麗です》

 《あら(まい)っ!嬉しいこと言ってくれるわね!でも…私にまでお仕事の態度で接するのは…んー…めっ!》

 《ですが…誰が見ているかわからへん…わかりませんので》


 (まい)とお母様も仲良しで、仕事での態度に慣れていた(まい)も、お母様の前ではよく態度が崩れそうになっていた。


 《小夜(さよ)…お前はもっと…》

 《あら小太郎(こたろう)さん?私の可愛い娘、引いては自分の娘に向かって、お前ってどういうことかしら?私も小太郎(こたろう)さんのことをお前って呼ぼうかしら》

 《あ…いや…すまない。失言だった。だが、小夜(さよ)にはもっと上をだな…》

 《小太郎(こたろう)さんの娘だもの、心配いらないわ》

 《そこは香夜(かや)の娘だからではないんだな…》

 《それは小太郎(こたろう)さんも知っての通り、私、頭良くないもの》


 お父様が私を厳しく叱ろうとすると、お母様があの手この手で割り込んできた。そして知らないうちにお母様のペースになっていて、話が逸れている事なんてよくあったわね。


「私は…お母様のようにはなれない…お父様のようにも…」


 わかっている。だからこうして逃げてしまった。自分の殻に閉じこもって。お母様のようにお父様と上手くやることも、お父様のように自分に厳しくすることも出来ない。


「どうしてこうなってしまったのかしら…」


 私は自分の机の上に置きっぱなしになっている資料を見つめ、小さく呟く。結局答えを出せずに、何の解決にもならない行動をとってしまったわ。


「やっぱり…お母様が亡くなってから…かしらね…」


 そう…この家は、お母様が亡くなってからと言うもの、何もかも変わってしまったわ。


 〇〇〇

 side.小夜(さよ)《過去》


 中学の三年生に上がってからお母様が体調を崩されてしまった。病気は回復の兆しを見せず、悪化の一途を辿っていた。


「あーあ。つまらない。とてもつまらないわ。病院って面白いことがないのが難点よねぇ…」

「お母様…病院は体を治すところです。面白いところではありません」

「そうです、奥様。面白いことは体調を治してからにしてください」


 それでもお母様は弱いところを見せず、ずっと同じように明るく振舞って見せていた。


(まい)…病院でくらい仕事の調子外してくれないかしら?」

「そ…せやね。ウチかて、家の外まで堅苦しくしたないわ」

「うんうん!(まい)はやっぱりその方がいいわ!ええんちゃう?」

「かーっ!!奥様、なってへんわっ!イントネーションが微妙に違うとさぶいぼが立つ!」

「あらあら!ごめんなさい」

「お母様も(まい)も、病院だから静かにしてくれないかしら…」


 むしろ、より明るくなっている気もする。私や(まい)、お父様や家の使用人が暗くならないためだと考えると、本当に強い人なんだと思うわ。


「でもね小夜(さよ)?楽しくなければ人は心の潤いをなくして、治るものも治らなくなってしまうわよ?」

「それらしいこと言って誤魔化そうとするのも止めましょう?」

「そうだ!病院をもっと面白くすれば元気になる人が多くなるんじゃないかしら!?」

「例えば、奥様ならどないするん?」

(まい)も乗らないで頂戴…」


 この二人は本当に、もう…


「そうねぇ…病院が変形して巨大ロボットになって、世界一周し始めるとかかしら?」

「そらええなぁ!今すぐやってまおうや!」

「そうね!善は急げ!私のお金を使って、今すぐこの病院を改造しちゃいましょう!」

「止めてください…」


 まぁ流石に冗談だとは思うのだけれど…


「具体的にはどれくらいの予算になるのかしら…?」

「せやなぁ…見当つかんけど、奥様の財力ならどうにでもなるんちゃう?」

「そうね!別にいいわね!どうせ使うところなんてないのだし!」

「止めなさいよ!?」


 冗談であってほしいわね…このテンションなら十分にやりかねないわ…


「んもう…小夜(さよ)はノリが悪いわねぇ…ロボットに乗せてあげないわよ?」

「乗りたくないし、造らないでください」

「んなっ!?小夜(さよ)!ロボット乗りたないなんて信じられへんわ!小夜(さよ)にはロマンがあらへんのかいな!」

「そんなロマンは一ミリも持ち合わせていないわよ…」


 むしろなんで(まい)はそんなのがロマンなのかしら…


「もぉ…小夜(さよ)は、あれもだめ、これもだめって私になんにも許してくれないじゃない。私はやりたいこと沢山あるのに…」

「身体を治してからにしてください」

「なら…治したら病院ロボット作るわね?」


 まだ諦めてないのね…


 けれどその冗談みたいな希望は叶うことはなく、お母様の病は静かに、確かに進行していった。


 〇〇〇〇


 高校三年生の夏。お母様はすでに起き上がることも難しくなっており、病室の変更も考えられていた。そして私も、自分の進路を考えていたわ。


小夜(さよ)、まだ進路を決めていないの?(まい)から聞いたわよ?」

「はい…」


 それで弱った様子を見せないお母様は、私の悩んでいることを聞いてきた。すでにほとんどに人が進路を決めている中、私は進学先に悩んでいた。お父様は近くの有名な女子高に入るよう言っているけれど、私はなんとなく入りたくはなかった。


水怜(すいれん)女子は嫌?」

「嫌…とは違うと思います…」

「なら私に遠慮してなのかしら?」

「それも違います…わからないのです…」


 お母様は水怜(すいれん)女子を受けるはずだったけれど、入ることが出来ずに、近くの公立高校である綾目(あやめ)に入ることになった。


「ふふっ…わからない、ね。私は嬉しいわ。小夜(さよ)が順調に育ってるみたいで」

「私はもともと成長してますが…」

「人間に育ってきたわねぇ」

「もともと人間なのですよ…?」


 私は指摘をしつつ、それでも嬉しいそうにしているお母様のことを不思議に見た。


「私に遠慮してるのだったら止めたのだけれど、そうじゃないなら存分に悩めばいいわ。水怜(すいれん)女子がどうしても嫌なら、小太郎(こたろう)さんにそう言いなさい?女の子はね、そんなこと言うお父さん嫌い!って、わがまま言うくらいが可愛いのよ?」

「ですが…」


 お父様のことは嫌いじゃない。だから水怜(すいれん)女子になんとなく行きたくないというだけで、そんな嘘を吐くこともできない。そもそも他にどうしても行きたいところがあるわけじゃない。


「うふふ…そうね…なら、選択肢をあげるわ。さらに小夜(さよ)を迷わせてしまうかもしれない。けれど、ただ迷うよりずっといいと思うわ」

「選択肢…」

「私の通った高校、綾目(あやめ)に行くのはどうかしら?私は必死になって行けたところだけれど、小夜(さよ)なら余裕で行けるはずよ」

綾目(あやめ)高校…ですか」


 お母様の母校。確かに気になる。お母様は迷うかもしれないと言っていたけれど、私にとってその選択肢はなんだか正解のように思えてきたのだった。


「そう。もしも綾目(あやめ)に行くのだったら、私は最大限に味方になってあげられるわ。小太郎(こたろう)さんが文句言っても全部封じてあげる!」

「少し…考えてみます…」

「うん。思う存分考えて頂戴ね?少し私の願いを加えるとすれば、私の過ごした学校を見て、思い出を共有したいわね。またしたいことが増えちゃったわ!」


 これをきっかけに、私は綾目(あやめ)高校に行くという選択肢が増えたけれど、それでもお父様の言いつけにも反発することが出来ないまま、悩むことしかできなかった。


 そして、愚かにも私が答えが出せなかったために、お母様が私の味方をすることも出来ず、やりたいことの多くを残したまま…亡くなってしまった…


 〇〇〇〇〇


 お母様が亡くなってからは、時間が過ぎるのが早かった。お父様は事務作業のようにお母様の葬儀を済ませてからと言うもの、会社に引きこもるようになってしまった。弁護士の方がお母様の遺書があると来たけれど、お父様が不在の為に開封できずにいた。


 そして、冬。ついに私は我慢できなくなり、お父様に連絡を取り、遺書の開封に立ち会うことになった。


「それでは、こちらが遺書になります。開封し、読ませて頂きます」


 弁護士の方がやたら分厚い遺書を開くと、中身を取り出し読み上げた。私を含め、お父様も(まい)も、使用人全員が固唾を飲んで見守った。


「これが読まれる時、弁護士の方にも言ったのだけれど、全員いるわね?いるなら、一人一人にお手紙書いたから、受け取って頂戴。……以上です。言われました通り、皆様一人ずつの名前が書かれた封筒が同封してあります。受け取り、開封して、お読みになられてください」


 弁護士の方が名前を読み始めた。お父様から呼ばれ、次々に人が受け取りに行く。


「ふん…最初から…一人一人に渡しておけばいいものを…集める必要もないじゃないか…香夜(かや)…私は…」


 お父様はもう読み終わったのか、開封された封筒を手にそんなことを呟いていた。お父様の手紙には何が書かれていたのだろう。


「最後…志那崎(しなさき)小夜(さよ)様」

「はい」


 どうやら私が最後のようね。実にお母様らしいと言える。


志那崎(しなさき)小夜(さよ)様には二通ございます。一通目はこちら。二通目は必ず一通目を読んでからとおっしゃっておりました。以上で私の役目も終わりになりますので。では」

「では、私は執務室に寄って会社に戻る」


 そういって、弁護士の方とお父様は出ていかれた。周りの使用人たちは、さまざまだ。泣いていたり、笑顔だったり、真剣な顔だったりされていた。本当に一人一人に手紙を書いていたのでしょう。だからこそ、お母様は皆から慕われていた。


小夜(さよ)小夜(さよ)はもう読んだん?」

「いいえ。まだよ。(まい)は?」

「読んだよ。まぁ要約すると…あー…小夜(さよ)のそばにいといてなってことやったわ」

「そう。ならこれからもよろしくお願いね」

「まぁ奥様に言われちゃなぁ…なんて。小夜(さよ)もはよ読んだら?」

「ええ。そうするわ」


 (まい)に促されるまま、私はお母様からの手紙の一通目を開いた。


小夜(さよ)

 小夜(さよ)のことだから、きっとまだ進路に迷っているのでしょうね。私も死んでしまって、もっと迷うかもしれないわね。だから、これは私からのお願い。綾目(あやめ)に行きなさい。小太郎(こたろう)さんも、そこなら行くことを許してくれると思うわ。何なら、私との約束ってことにしてもいいから』


 あぁ…お母様には敵わない。私のことをよく理解しているわ。でも、遺書で言うことでもないと思うのだけれど。


『私の母校でもある綾目(あやめ)に行って、まずは素敵なお友達を作りなさい。小夜(さよ)、学校のお話全然してくれないから、高校のお話は聞かせて頂戴ね?』


 友人…私に出来るのかしら…今までは(まい)以外は必要ないと思っていたのだけれど…


『あ、友達じゃなくても、素敵な彼氏でもいいのよ?そうね。むしろこっちを推奨するわ!』


 あぁ…そして簡単にハードルを上げてくるあたりがお母様だ。


『まぁ、なにが言いたいかって言うとね?小夜(さよ)にはやりたいことをいっぱい見つけてほしいの。私は出来ないことがいっぱいあったけど、その分を小夜(さよ)には楽しんでほしいわ。私の一番の誇りは、小夜(さよ)を元気な子に産めたことなのだから』


 やりたいこと…お母様の分まで楽しむ…


『それと、小夜(さよ)にだけ二通目があるけれど、そっちはまだ読んじゃだめ。いつ読むかはそのうち分かるわ。それまで待って頂戴ね?それじゃあ、また。いつか読む二通目まで』


 そのうちっていつですか…お母様…


 一通目を読み終えた私は、そんな感想を抱きながら顔を上げた。正直な話、今すぐにでも二通目を読んでしまいたい。けれども、言われたからには約束は守らなければいけない。最期の、大事な約束なのだから。


(まい)。まだお父様は出ていないわね?」

「……はい。まだ執務室におります」

「行くわよ。貴女も関係することなのだから」

「畏まりました。お嬢様」


 そうして、私と(まい)はお父様の下へと急ぐのだった。


 〇〇〇〇〇〇


 私と(まい)は執務室の前に立ち、私はドアをノックした。


小夜(さよ)です。お父様。(まい)も共に」

「……入れ」

「「失礼致します」」


 僅かな間をおいて入室の許可を得た私と(まい)は、断りを入れながら執務室に入った。お父様は何か書類を見ている様子だった。


「なんだ」

「私と(まい)の進路についてです」

「それなら水怜(すいれん)に入れと言ったはずだが?」

「いいえ、お父様。私は決めました。綾目(あやめ)に入ります」

「なんだと…?」


 書類から顔を上げて怪訝そうな表情で私を見てきた。久しぶりに正面から見たお父様の顔は、なんだか酷くやつれている様に見えた。


常陸(ひたち)、なぜ止めない?」

「申し訳ございません。ワタクシも、今初めて聞きました。ですが聞いていたとしても、ワタクシはお嬢様に従うだけです。ワタクシは奥様に雇われたので、奥様の意向に従うのみです。ワタクシが優先すべきはそちらです」

「くっ…」


 お父様は(まい)に問いただすと、(まい)は冷静に返した。お父様を前に物怖じしないのはなかなか出来る事じゃない。だけど、今重要なのはそこじゃない。


「お父様、(まい)ではなく私が決めたのです。何故私に聞かないのですか?」

常陸(ひたち)小夜(さよ)の専属だ。ならばまず止めるべきは常陸(ひたち)であるべきだ」

「私は、何故私に聞かないのか聞いたのです」

「ぐっ…」


 お父様の理由にもならない言い訳を聞き、私は畳みかけるとお父様は口を閉ざした。


「なら何故だ、小夜(さよ)。何故綾目(あやめ)なのだ?」

「私はお母様の母校を見てみたい。何より…それがお母様との約束だからです」

香夜(かや)との……」


 お父様は私を見つめて押し黙った。長いような沈黙の後、お父様は深く息を吐いた。


「ふぅ……わかった。許可しよう。香夜(かや)との…いや。とにかく構わない」

「ありがとうございます」


 お父様は何かを言いかけたが、言葉を飲み込んで許可を出して下さった。


「ただし、成績の低下が見られるようなら鍛え直す意味でも転校させる」

「肝に銘じておきます」

「わかればいい」

「はい。お時間を取らせて申し訳ございません。失礼致しました」

「失礼致しました」


 私はお父様の部屋から退出。(まい)も私の後に続いて部屋を出たのだった。


 そうして、私と(まい)綾目(あやめ)高校を受験し合格した。その時は余裕なく後から聞いた話になるけれど、使用人の何人かは私がお父様に直談判したのを皮切りに、夢があると言って止めていったそう。そして、それがお母様との約束だとも言って。


 〇〇〇〇〇〇〇

 side.(あかね)


「それで今になり旦那様は、学力の向上が見られないお嬢様を転校させることになさり、お嬢様はそれに反発し閉じこもってしまったようです」


 (まい)は長い昔話の後、そう締めくくった。


小夜(さよ)…お母さんがいなかったんだ…」

「あたし…全然知らなかった」


 私と美和(みわ)は同じ感想だったようだ。そんな悲しそうな素振りを見せなかっただけに、全く気付きもしなかった。


「ざよ"ぢゃ"ん"、な"ん"でがわ"い"ぞう"な"の"ぉ"…」


 雪菜(ゆきな)お姉ちゃんに関しては号泣してしまっている。何言ってるかわからない。


「ワタクシとしては…ホントは嫌やけど…転校でも構わないと思っております。お嬢様が前を向いてくれるならば。一番望ましくないのは、現状が続き、心が病んでしまうことです」


 (まい)は一瞬本音を見せたけれど、小夜(さよ)のことを一番に考えている。それがよくわかる。


「だけど…(まい)がダメだったのに私達に出来る?」

「うん…そうだよね…」

「いいえ。今のお嬢様にはワタクシではだめなのです。過去の約束に、奥様との約束に拘ってしまっているお嬢様には…」


 私と美和(みわ)が躊躇すると、(まい)はそれを否定した。


「ふふんっ!だったら折衷案で、この雪菜(ゆきな)お姉ちゃんに任せなさい!」

「なんも折衷されてないと思うけど…」

「細かいことはいーの!これでも私、引きこもった子を相手にするの得意だったのよ?」

「どんな得意分野ですか…」


 全く以て意味不明な主張をし始めた雪菜(ゆきな)お姉ちゃん。本当に大丈夫なのだろうか。そもそもどうやって話すつもりなのだろうか。


(あかね)雪菜(ゆきな)お姉ちゃんはなんて?」

「えっと…引きこもった子を相手にするの得意だったから任せてって…どういう意味だと思う?」

「んー…っと…先生だったとか…?」


 私が疑問を口にすると、美和(みわ)が納得する答えを出してきた。


「ぶー!残念っ!まぁちょっと惜しいかな?」

「違うみたいだよ、美和(みわ)。惜しいらしいけど」

「んー…じゃあなんだろ…」


 だけど違ったみたいだ。だとすると本当に何だったのだろうか。


「まっ!とにかく当たって砕けろ!だよっ!(まい)ちゃん!小夜(さよ)ちゃんのお部屋に案内してちょうだいな!」

(まい)雪菜(ゆきな)お姉ちゃんが部屋に案内してほしいって」

「畏まりました。こちらへ」

「ナイス通訳!」


 まぁ…割となれたもんだからねぇ…


 そうして、私達は(まい)の案内の下、小夜(さよ)の部屋へと向かうのだった。

第23話を読んで頂き、ありがとうございます!


小夜ちゃんの中学時代のお話でした!

本当はもっと色々書きたかったんですけど、進行上微妙に必要ないものは抜いちゃいました。

まぁ必要な内容…といいますか、そのほかも色々カットしたんですが…

特に阿澄さんのとの絡みとか、話的には問題ないんですけど入れたかったですね!

それでは今回はここまで!


次回で小夜ちゃん編を終わらせたいと思います!

出来るでしょうか?

そんな感じの予定です!


ブクマして頂いてる皆さん!

そうでない皆さん!

いつもありがとうございます!

次回の更新は12/29にします!

引き続き、お付き合い頂ければ幸いです!


2019/12/22追記

サブタイトル忘れてましたぁ!

ので、付けておきます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ