第21話 語るも自由、語らぬも自由
こんにちは!
明日葉晴です!
最近めっちゃ寒いですね…
今月は二、三回体調崩しましたよ…
そう言えばこの作品は季節感出してませんが、基本的には現実の季節を適用してもらえればと思います。
ともあれ今日は茜ちゃんの回になります!
それでは本編をどうぞ!
私には、幽霊を信じてない友達がいる。
「美和、おはー」
「あ、茜、おはよ」
私の知り合いは、この子のように私と幽霊が関わって知り合った人がほぼ全員で、幽霊を信じていないのはただ一人だけ。
「あれ?小夜と舞はまだ来てないの?」
「うん。風邪じゃないといいけど…」
「どうだろ。小夜は昨日一緒に帰った時まで普通だったし、舞は…まぁ舞だし」
私の友達で唯一幽霊を信じていない子、小夜。彼女なら体調を隠して学校に来そうだけど…
「席に着いてくださーい。今日の出欠は…志那崎さんと常陸さんがお休みね。二人以外は全員いるかな?」
だけど予想を裏切って二人は休みのようだ。大丈夫なのだろうか…
〇
休み時間。私と美和は職員室の担任の先生を尋ねた。
「「先生!すいません!」」
「あら、三葉さんと高尾さん。どうしたの?」
担任の先生に声を掛けると、おっとりとした様子で私達の方を見た。
「小夜と舞は大丈夫なんですか!?」
「お休みって聞きましたけど…」
「ああ、そのこと。二人は確か仲良かったね。ごめんなさい。私も詳しくは知らないの」
詳しく知らない…?
「どういうことですか!?」
「家の事情としか聞かされてないの。最近では詳しい事情を聞くのも難しいから…」
「そう…なんですか…」
最近知ったことではあるけれど、小夜と舞はちょっと特殊だ。私とは違う意味で。もしかすると一般市民には理解できない家の決まりとかがあるかもしれない。
「あなた達二人も何も知らないなら、よっぽどなのでしょうね」
「あの…お家を教えてもらうことって出来ますか?」
「ごめんなさいね。それも出来ないの。個人情報を教えるわけにはいかないのよ」
「そうですか…わかりました。ありがとうございます…」
「いえ、力になれなくてごめんなさいね」
私と美和は担任の先生にお礼を言った後、職員室を出た。二人のことは心配だけど、完全に手詰まりになってしまった。
「美和、どうする…?」
「どうするって言っても…とりあえず風邪とかじゃないなら、一回メッセージでも送ってみようか。もしかしたら、返事がくるかもしれないし」
「そうだね…それしかないかぁ…」
風邪だったら気を遣わせてしまうかもしれないと思っていたメッセージを美和が送り、とりあえず学校の間は様子を見ることにしたのだった。
〇〇
結局、放課後になってもメッセージの返事は来なかった。
「うぅん…二人とも既読にもならない…」
「そうなの?それはかなり珍しいね」
舞はともかく、小夜が長い間放置するのは珍しい。小夜はよく携帯でスケジュールを確認しているから、見たらメッセージに気付くと思う。そして性格上、気付いたら返事をするはずだ。
「携帯も見れない状況ってこと…なんだよね…」
「いやでも…そんな状況って普通ある?」
「…誘拐…とか…?」
「「………」」
確かに、小夜はお金持ちなんだろうとは思うけど、だからってこのご時世、誘拐なんてあるだろうか。だけど実際に連絡は取れていないわけだけど。
「…ど、どうしよう!?美和が変なこと言うから心配になってきたよ!?」
「あ、あたしも…!」
美和も同じことを思ったのか、不安そうな表情でおろおろしだした。いや、美和がいったんだけども。
「と、とりあえず、こういう時ってどうすればいいの…?警察かな…?」
「いや…まだわかんないし…まずは小夜の家に確認しにいかないとじゃない!?」
警察に言うのは気が早い。美和はちょっと先走り過ぎだ。
「でも…お家わかんないよね…?」
「あっ…」
堂々巡りだ。全く以て事態は進まない。
こういう時に、家を知ってる誰かがいればいいのに…あ。
「小夜の家を知ってる人を知ってる…」
「え…?」
私には心当たりが一人だけいた。教えてくれるかはまた別だけど、今はその人のところを尋ねる以外には案が思い浮かばない。また本来の目的で尋ねないのは、申し訳なく思うけど。
「とにかく、その人のとこ行ってみよう!」
「うんっ!」
私と美和はその人の所を訪ねるために、教室を早足で出ていくのだった。
〇〇〇
「こんにちは!阿澄さん!」
「いらっしゃい。茜さんそれと…?」
「高尾美和です。初めまして」
「美和さんだね。私は阿澄聖と言う。よろしく」
私は美和を連れて、フランス料理の店をやっている阿澄さんの所を訪れた。阿澄さんは店を開く前に小夜の家で働いていたから、家を知らないってことはないだろう。
「それで茜、この人は…?」
「小夜の家で働いてた人だよ」
「小夜の…お家?…え?住んでるとこってこと?え?」
まぁ気持ちは分からないでもないけれども、説明している場合じゃないから、困惑している美和をひとまず放っておくことにする。
「えっと…阿澄さんにお願いがありまして…」
「ははは。茜さんはお願いで来ることが多いね。なんだい?」
「それはホントすいません…実は小夜の家が知りたいんです」
「お嬢の家を?」
「「はい」」
私と美和は同時に阿澄さんの質問に返事をした。お願いばかりなのは本当に申し訳ないから、またみんなで来ようとは思う。
「それは理由によるけど…どうしてだい?」
「それが…小夜と舞が今日学校を休んでまして…理由もよくわからないし、メッセージも返事がないので心配で…」
「なるほど…お嬢が…ね…」
阿澄さんは少しだけ悩んだようなそぶりを見せた後、私達の方を見た。
「正直、私としてはもう少し、せめてあと一日は待ってみてはと思う」
「「はい…」」
なんとなくわかっていたことでけど、やっぱり簡単には教えられないのだろうか。
「けれど、それは私が大人になってしまった証拠なのかもしれないね。君達にとって、一日も無駄には出来ないんだろうね。いいよ。教えてあげよう」
「「ありがとうございます!!」」
しかし阿澄さんは物憂い気な表情になった後、私達に苦笑いしながらお願いを聞いてくれた。私達はそれに声を揃えてお礼を言うと、阿澄さんは小夜の家までの道を丁寧に教えてくれた。
「しかし昨日も思ったけど、お嬢は変わられたようで、感慨深いものがあるね」
「小夜が…?」
「あぁ。お嬢にこんなにも心配してくれる友人ができるとは思ってもいなかったからね。今の学校に入って本当に良かったのだと、私は思う」
阿澄さんの言葉を聞いて、私と美和は顔を見合わせた。美和は不思議そうな表情をしているけど、私も同じような顔をしているかもしれない。
「ちょっと想像できないなぁ。小夜は、男子からも女子からも憧れられてるので、私達以外にも心配している人はいると思いますし」
「高嶺の花って感じです。最初は話しかけ難かったですけど、普通に話してくれました」
「そうか…なら、本当に変わられたみたいだね」
「「……?」」
小夜が…変わった…?
俄かには信じられなかった。いつも凛としていて、自分の意志は曲げない雰囲気を持った小夜の姿が私には焼き付いていた。だからか、変わったと言われても、今の小夜以外は想像がつかなかった。
「ははっ。信じられないって顔してるね」
「「はい…」」
「前は簡単に心を開くことはなくて、人を遠ざけてるような人だった。それこそ、舞さんと奥様くらいだけが親しげだったね」
「でも、阿澄さんとは親しそうに話してましたよね?」
「私はその時、お嬢に料理を教えていたからね。だけど、あまり会話はしなかったよ。昨日普通に話したのには内心驚いていたね」
「そうだったんですね…」
あまりにも自然に話していたから、もともと仲がいいのかと思っていたけど、そうでもなかったのか…
「試しに冗談半分にお嬢と呼んだ時は軽く笑ってくれたけど、お嬢の笑顔を見ることはほとんどなかったかな」
「そんなに…」
今の小夜は、苦笑交じりも多いけど、それでもよく笑っている。心を開いてるかは自信はないけど、少なくとも人を遠ざけてるような感覚はない。てか人を遠ざけるなら、私は真っ先にその対象になりそうだ。
「だから、私が言うのもおかしいかもしれないけど、これからもお嬢と仲良くしてあげて欲しい。お嬢は強く見えるようでとても繊細な人だ。余計なお世話だろうけど、お願いしたい」
阿澄さんは私と美和をまっすぐ見つめてから頭を下げた。
「「もちろんです!」」
私と美和が阿澄さんのお願いに力強く返事をすると、阿澄さんは静かにほほ笑んだ。
そのあと、私と美和は阿澄さんにお礼を言ってから、教えてもらった小夜の家に向かうのだった。
〇〇〇〇
小夜の家に向かう道中、思いがけずに小夜の昔の話を聞いて、阿澄さんの最後の言葉について考え事をしていた。振り返れば、私は小夜のことをあまり知らないかもしれない。
小夜を頼ることはあっても、頼られることはないなぁ…
「あたし、小夜のこと思ってたより知らない…」
「うん…私も」
私と同じことを考えていたのか、美和呟いたことに私は同意した。
「私さ、小夜に頼って絵を教えてもらったり、勉強教えてもらったりしたことあるけど、頼られた覚えがないんだ」
「あたしは…中学の時の茜の話とかたまにするけど、小夜の話は聞いたことない…」
「待って。なんで私の話?」
私はそれ知らないよ?
「うぅん…茜との思い出の方が印象深いからかな。自然に茜との思い出が出てくるんだよね」
「お、おぉ…そっか」
それは嬉しいような、恥ずかしいような…
「それはともかく、一回小夜に中学の時のこと聞いてみたんだけど、はぐらかされちゃったんだよね。茜と比べれば特に面白いことはないわよ。って言われて…その時は普通にそっかって流したんだけど…」
「いや…それはそれで複雑だけど…?」
まぁでも阿澄さんの話を聞いた今なら、確かにはぐらかしたようにも思えなくもない。それはそうと、私の中学時代は幽霊少女が尾を引いて遠巻きにされてて、そこまで面白くないから。
「とにかく、阿澄さんの話を聞いたら、あんまりいい思い出がないのかなって」
「まぁ…うん。私も、美和と仲良くなるまではいい思い出もないし、そういう時のことは話したくないのもわかるかな…」
「茜…」
私が控えめに小夜に共感すると、美和が私の肩にそっと手を置いた。美和の温かさが少し沈んだ心を戻してくれる。
「ありがと。っと。もうすぐで小夜の家だよ!」
「ん。わかった」
気持ちを切り替えるために、美和に明るく予告した。阿澄さんに言われた住所まではもうすぐだ。
「って…あ」
「どうしたの?」
だけど私はある人に気付き足を止め、それにつられて美和も足を止めた。私の視線の先にいるのは一人の女の人だ。
「茜?何見てるの?」
「あー…やっぱり視えてないかぁ…」
美和の一言によって私が視ている人が幽霊だということが確定した。どうしてこうも、心に引っかかることは重なるのだろうか。
「視えてないって…幽霊?いるの?」
「うん。そこに女の人の幽霊が…」
「えっと…いろんな意味で残念だね…」
ホント、いろんな意味でだ。急ぎたいけど見過ごせない。
「ごめん。私、声掛けるから先行ってて」
「ううん。あたしも手伝う。二人なら早く解決できるかもしれないし」
「わかった。ありがと」
私は美和に短くお礼を言うと、幽霊に声を掛けるために前に進んだ。なんだかんだで普通に声を掛けるのは久しぶりな気がする。
「あの、すいません。生きていますか?」
第21話を読んで頂き、ありがとうございます!
今回も短めで申し訳ないです!
今までとは違い、呼び掛けて終了ですね。
次回は小夜ちゃんと茜ちゃんの視点を交互に?行きます!
ブクマして頂いてる皆さん!
そうでない皆さん!
いつもありがとうございます!
次回は12/8更新です!
引き続きお付き合い頂ければ幸いです!




