第19話 地図もヒントもない宝は最早ただの落とし物
こんにちは!
明日葉晴です!
先週はすいませんでした!
体調は完全には治ってませんがなんとか投稿出来ました!
前回の続きになりますね。
JK、おネエ、ショタ、OLというパーティーメンバーでの話です。
なに言ってるかわかんないですね。
それでは本編をどうぞ!
私は幽霊が視える。
「茜ちゃん!そっちはどう!?」
「あー…ないですねー…」
そして今までで私以外に幽霊が視れる人に会ったことはない。
「基子お姉さん。後ろ気を付けて!」
「わかりました」
だから死んだ人に会えるという湖。この噂が本当だったら私の体質についてわかったかもしれなかった。今はその噂の元になったものを探している。
「おー!みんな頑張るべ!」
まぁ、そのついでに幽霊と会ってしまったのだけれど。
◯
遡ること一時間程前。私と雅さんと太陽君は、新井さんから死んだ人に会える湖の話を聞いた。
「以上がこの湖に関する話です」
「そおなのぉ…思ったよりも面倒ねぇ…」
「なんかすっげぇ嘘くせぇなー」
「オカルトだし、こんなものじゃない?私の友達の話とかは大体こんなんだよ」
噂が流れたのはごく最近らしい。基子さんは会社の同僚の人から聞いたみたいだ。
「茜お姉さんがそれを言うの?オカルトそのものみたいな力があるのに?」
「わかってるよ…でも儀式だなんだってやってこんな能力があるんじゃないよ…」
私とこの噂の違い。それはとある儀式をすると死んだ人に会えるらしい。私のは純粋?な体質だから何もしないで常にフル稼働だ。
「問題は儀式がわからないってところねぇ…」
「すいません。肝心な儀式は同僚も知らなかったらしくて…」
「基子ちゃんを責めてるんじゃないのよぉ。ただ意気込んだ割に早速手詰まりになっちゃったから、パッションのやり場に困っちゃってねぇ」
そのパッションは是非引っ込めて欲しいけど、言いたいことはわかる。ノーヒントでばっちり儀式を決めるのは無理がある。出鼻を挫かれた感が半端ない。
「茜お姉さんはなんかわからない?同じようなもんだろ?」
「私は何もしなくても視れるから。でもそうだなー…この手の儀式って言えば、やっぱり生け贄とか?」
「い…生け贄…?」
私の言葉に怯える太陽君。そんなに怯えられるとなんだか私がやるみたいな感じじゃないか。やらないから。
「もしかして…茜お姉さんは…その…人を…」
「いや、違うから。完全に濡れ衣だよ」
もはややった体にされたよ。違うわ。
「あとは考えられるとしたら何があるのかしらぁ?」
「あとは…美女が踊るとか…?これは神様とか呼ぶ時か」
「美女…ならアタシの番ね!?」
言った後で後悔したよ。絶対食い付くと思ったもの。最後神様呼ぶ時って訂正したのに。
太陽君がぎょっとした様な顔をした後に、私に向かって余計な事言ったな。って顔を向けてきた。悪かったよ。
「雅さん、確証がないのでまずは意見を出しつくしてから、可能性が高いものを探りましょう。踊るのは見たいですが、それで失敗した場合、時間が取られてしまいますから」
私がどうしたものかと考えていると、新井さんが雅さんに進言した。相手を傷付けず、さらには回避すると言う大人な対応だ。見習いたい。
「そうねぇ…確かに一理あるわ。今はとにかく意見が先決ねぇ」
新井さんの提案に何も疑問を持たずに雅さんが乗った。新井さんすごい。マジで見習いたい。
「あと儀式って言えば…なんだろ…?」
私はとにかく舞の話を記憶の奥底から引きずり出そうと試みた。だけど普段は大抵聞き流しているからか、なかなか思い出せない。
「儀式ねぇ…呪文を唱えるとかそんなのも思いつくわねぇ」
「確かにそうですね。祝詞…とは違うでしょうけど、御経とかそんなようなものでしょうか」
「復活の呪文かぁ…ゲームみたいだな」
「それだと生き返っちゃうから。もっと噂が広がるよ」
死んだ人に会えるイコール生き返るだとするともっと噂になっていいと思う。
「そうかしらぁ?案外あるんじゃない?生き返ったって言っても普通は信じないから、噂が広がってないとか」
「あっ…なるほど…」
確かに、自分生き返りました。って言っても誰も信じないだろう。頭がおかしいと思われるかもしれないし、冗談めかして、地獄より舞い戻りしなんたら、って言ってもただの中二病だ。まず信じてもらえないだろう。
「そう考えると、なんか死んだ人って言葉は曖昧だなー…会いたい人に会えるかもわかんねーのに」
「言われるとそうですね。死んだ人に会えるってことをいつの間にか、死んだ会いたい人に会えるって捉えてしまいましたね」
「あー…確かに…」
「少なくともここにいるメンバーって、茜ちゃんのおかげで円満に見送ってるから、別段会いたい死んだ人もいないのよねぇ…」
太陽君が的を射た発言をして新井さんと私が納得した。確かに誰に会えるっていうのは保証がない。極論、赤の他人が出てきてもおかしくはないのだから。そして付け加えるように雅さんがしみじみ言うと、新井さんも太陽君も同意するように頷いた。
「あれ…?そうなると…ぶっちゃけこの噂って確かめる必要ない…?」
噂を確かめようとしたところで、成功が分からないから失敗が何かもわからないし、成功したところで見ず知らずのおっさんとかが出てきても微妙だ。正直時間の無駄に感じられてきた。
「確かにそうなんですけど…」
「まぁそれはそれ。よねぇ…」
「ぶっちゃけ、オレは超気になる」
私の言葉に対して、新井さんと雅さんが渋った後に、太陽君が率直な意見を言うと、二人がそれに同意するように頷いた。そりゃ私だって気になるけれど、時間も掛けられないし情報も少ない中、どうすればいいかわからない。
「とにかく今は情報がありませんし、手探りで進んでみるしかないですね」
「となると…」
「んふふぅ…!今度こそアタシの華麗なる踊りを披露する番ね!?」
「「それは待ってください」」
新井さんが話を進めると、雅さんが我こそはとばかりに主張してきた。どんだけ踊りたいんだ。とは思ったけど口には出さず、私と新井さんが同時に雅さんを止めた。
「私、友達にこの湖の情報がないか聞いてみます」
「三葉さん、お願いしますね」
「了解です」
〇〇
ともあれ、私は舞になにか情報がないか聞くために、一度少しだけ離れて、オカルト好きな舞に電話を掛けた。
「もしもし、舞?今大丈夫?」
『なんや?今は休憩中やから大丈夫やけど』
「死んだ人に会えるって噂の湖のこと知らない?」
『お?なんや珍しいな。茜が自分から興味持つなんて。知っとるで、あの湖のことやろ?』
流石は舞だ。まだ広がり始めた噂だっていうのに知ってるらしい。オカルト好きだからこその情報網だろうか。舞の言った湖は、この湖の場所と特徴に一致していた。
「そうそう。その湖」
『せやな…正直ウチもまだ全容は把握出来てへんねん。せやけど、茜にとってはあんましええ噂や無いで?』
「そうなの?」
『そや。その湖はな、儀式を行えば成仏した魂をもっぺん現世に呼び戻せるっちゅう話やねん』
「あぁ…そう…なんだ…」
『それは茜の主義に反するやろ?せやからウチも言わんとったんよ』
確かに噂が本当なら私の主義には反する。幽霊がちゃんと成仏したなら、それはそっとしておくべきだ。それに、成仏した幽霊を呼び戻したら、次はちゃんと成仏できる保証がない。私は舞の気遣いに少しだけ感謝した。
「ありがと。でも実はちょっとその湖のこと調べてて…儀式っていうのはわかる?」
『それがな…その儀式ってのがまだ掴めてへんのや』
「そっかぁ…それはしょうがないね」
新井さんの情報よりは少し詳しいけど、それでも差としてはあんまりなかった。何より、重要な儀式については何もわからないみたいだ。
『ところでなんで湖について調べてん?茜は見かけた幽霊以外は積極的やないやろ?』
「あー…ちょっといろいろあって…その…湖にいるの…そこでたまたま噂のこと知ってね」
『なんやて!?ウチも行きたい!なんで言ってくれへんのや!?』
「たまたまなんだって。成り行きで来て、そのあとで噂を知ったの」
『ずるい!ウチかて気になっとんのに!』
『舞?そろそろ休憩終わりでしょう?早く来なさい』
私が湖にいることを知った舞は、途端に駄々をこね始めた。こうなると舞は少しうるさい。しかし、舞の電話の遠くの方から小夜の声が聞こえてきた。
『小夜待ってぇな!今大事なとこやねん!』
『それは仕事より大事なのかしら?あら、電話中?』
『せや!大事な電話や!』
「小夜?私、茜だよ」
私は小夜に私だとわからせるように話しかけた。これで遠慮はしなくなるだろう。
『茜だったのね。ごめんなさいね。割り込んでしまって』
『せやで!仕事と友情やったら、友情の方が大事やろ!?』
「あ、聞きたいこと聞けたから大丈夫だよ。今は仕事優先しなよ」
『茜ぇぇ!!』
『茜もこう言っているのだから行きましょう?茜、また学校でね』
「またねー」
『あぁ…!!待ってぇなぁ…!』
小夜が入ってきたことにより、舞の悲痛な叫びとともに電話が終了した。オカルトよりも仕事を優先すべきだろう。
「でも…成仏した幽霊を呼び戻す。かぁ…」
肝心な儀式についてはわからなかったけど、湖については少しだけわかった。だけどそれは私にとっていいものではなかった。
どうしよう…このまま続けるべきなのかな…
「おぉぉ困りだべかぁぁ!?」
「ぎゃあぁぁぁ!!」
いきなり湖の方から声がしたために思わず叫んだ。
「茜ちゃん!?」
「三葉さん!?」
「茜お姉さん!?」
私が叫んだからか、三人が心配そうな声を出してこっちに向かってきた。
「悪かったべ。脅かしてしまって」
声の主は湖から顔半分だけを出してこっちを見ていた。海坊主か。
てか水に入ってちゃんと声が出せるってことは…
「えと…幽霊の方…ですか…?」
「オフコースだべ」
なんだコイツ…なんか腹立つな…
「茜ちゃん!無事かしらぁ!?」
「ぎゃあぁぁ!!化け物だべかぁ!?」
「あらぁ…なんか今無性に不愉快な気分になったわぁ…?」
流石だ…声は聞こえていないだろうに幽霊の言葉を察知したのか…
幽霊は雅さんを見ると、湖の中へと逃げていった。
「皆さん、すみません。無事ではあるんですが…」
はて…どう言ったものか…って、この三人には別に隠さなくてもいいか…
「えと…実は幽霊が出てきまして…」
「「「幽霊!?」」」
「はい…」
私の言葉に三人は驚いた。私が幽霊を視れるのは今更だというのに、一体どうしたというのだろう。
「まさか…ですね…」
「いやいや…ありえないでしょ…」
「新井さんに太陽君、どうしたんですか?私が幽霊視れるのを知ってますよね?」
「「えっと…」」
私が新井さんと太陽君に疑問を投げかけると、二人はものすごく微妙な顔をしてから雅さんを同時に見た。
「んっふふぅん!やぁっぱり、アタシの魅惑のダンスが効いたようね!」
…………うっわぁ……
得意気に怪しい動きをする雅さんを見て、言葉を失った。マジでやったのか、この人。とりあえずそのクネクネした動きはやめて欲しい。幻術的な何かに掛かりそう。
まぁ…そのまま踊りに夢中になっててくれればうるさくないからいいか…視界に入れなければ無害だし…
「………とりあえず、呼んでみますね。さっき湖に入ってしまったので。どっか行ってないといいですが」
「茜お姉さん…現実を見ようよ…」
「三葉さん、お願いします。私達も視れるか試さないといけませんし」
「基子お姉さんまで…」
太陽君よ。これは現実逃避じゃない…切り替えと言うんだよ…
太陽君の問いかけはさておき、私は湖の方を改めて向いて両手を口に添えた。
「あのー!!すいませーん!!えっと…」
やばっ…名前わかんないや…
「あー…海坊主さーん!!」
「え…?妖怪なの…?」
「いや…名前聞く前にどっか行っちゃったから…」
「ならそのネーミングはどうかと思うけど…」
「呼んだべかぁ?」
私もそう思うけど、太陽君の微妙そうな顔に対してなんか言い訳をする前に、湖の中からまた顔半分を覗かせたハゲが出てきた。
うわ…出てきたよ…
「うげ!まだ化け物がいるべよ!」
「待って!?逃げないでください!襲ったりしないんで!」
「本当だべか!?この世の存在とは思えないべ!?」
アンタが言うなよ…幽霊でしょ…
「茜お姉さん、どうしたの?」
「三葉さん、海坊主さんは現れたんですか?」
「基子お姉さん、その呼び方受け入れたの…?」
「え?可愛くないですか?海坊主って名前」
「「えぇ…」」
新井さんの感性ってなかなか変だな…
「はっ…!えっと、それはさておき、どうなんでしょう?」
「あ、出てきましたよ。そこに」
「じゃじゃーん、だべ」
うん、やっぱ腹立つな。コイツ。
頭半分を出しているのはそのまま、両手を水面から出した。湖に波紋は立っていないため、やっぱり幽霊だろう。
「視えないけど」
「視えませんね」
「視えないわねぇ」
太陽君と新井さん、そして踊り狂っていた雅さんがいつの間にか復活して、私が指さした方を見ていた。
「まぁ、そうだろうべな。おいら幽霊だべさ」
「え、知っててそんな行動してんの?馬鹿じゃない?」
「受け売りなんだべが…おいらはおめさんの物言いにびっくりだべ…てかなんでおいらが視えてるんだべか?」
「そりゃ私が幽霊が視えるからだよ」
「当たり前のように言われてもわからんべぇ…」
だよね。
「ところで、えっと…名前は…?」
「海坊主でいいべ」
気に入ったの…?それ…?
「じゃあ海坊主さん。なんで出てきたんですか?」
「おめさんがこの湖のことを知りたそうにしてたからだべ」
覗いてたの…?湖の中から…?幽霊じゃなかったら通報してる…
変態的な行動に思わずドン引いたけど、それよりも気になることがあった。
「海坊主さんはこの湖の噂を知っているんですか?」
「知っているも何も、話を流したのはおいらだべさ」
「はあぁっ!?」
〇〇〇
湖に入ったままでは気持ち悪いので海坊主さんには出てきてもらい、ひとまずみんなに紹介して、それぞれ自己紹介した。みんなは視えないけど。そのあとで、海坊主さんが噂を流した本人であることを伝えた。
「茜お姉さん、それホント…?」
「俄かには信じられませんね」
「アタシのダンスは効果なかったのねん…」
反応は三者三様…雅さんは本当に残念そうだ。なぜそんなに自分のダンスに自信を持っているのか。聞くのは藪蛇だろう。
「ほんとだべ。おいらが話を流した本人だべさ」
「なんであんな噂流したの?イタズラ?意味あるの?馬鹿なの?」
「なんでおめさんはおいらにそんな辛辣なんだべか…」
なんでかは私もわからない。強いて言えば、この噂のせいでひと騒動に巻き込まれた腹立たしさがあるのかもしれない。
「それは置いといて」
「置いとかないで欲しいべ…」
「で、なんで?」
海坊主さんの要求は置いておいて、私は話の先を促した。私の中では、さっさとこの噂の元を確かめてから、この幽霊を成仏させるという考えになっていた。
「もういいべぇ…この湖にはおいらの大事なものがあるはずなんだべ。もともとはそれを探すために一部の人に話したものだべ」
「大事なもの…ってなに?」
「それがわからないんだべぇ…」
「え?どういうこと?」
大事なものなのにわからないって…何それ…謎かけ?
「正確には、おいらの嫁が死ぬ前にここに残したものがあるって言ってたんだべ」
奥さんいたんだ…で、それが未練かな…ならどのみち噂の真相にはいかなきゃ。
「おいらは見つけらんなかったもんで、話流して誰かに見つけてもらおうと思ったんだべ」
「いや、そこは最後まで頑張ろうよ」
「そん時にはおいら、ろくに体が動かんかったんだべ」
「あ…すいません」
「気にするこたないべ。その通りっちゃその通りだべ」
「それでも…すいません」
これは私が全面的に悪い。幽霊になるほどならギリギリまで自分で探してたはずだ。他人に見つけてもらうっていうのも、苦肉の策で、本当は自分で見つけたかっただろう。これは望みを叶えてあげたい。
私は一連の説明を三人にもした。すると三人も同じ結論になったのか、お互いに顔を見合わせて同時に頷いて見せた。
「ところで、なんで死んだ人に会えるって噂を流したんですか?」
「そんな噂は流してないべ?」
「え…?じゃあどんな噂ですか?」
「死んだ嫁の痕跡を探してるんだべ。見つければ何かわかんでお願いだべ」
「噂の原形がなにもない…」
〇〇〇〇
そんなわけで噂の真相を知り、海坊主さんの奥さんの遺し物を探してから一時間後なわけなんだけど、全く持って見つからない。
「ノーヒントってやっぱ無理くない?」
「だよなー…湖の周りだけでも結構広いぞ…」
「ただ探すだけじゃ見つからないんでしょうか…」
私もそうだけど、太陽君と新井さんは結構ばててきているようだ。
「んもぅ!だらしないわねぇ!特に太陽ちゃん!アナタは男の子なんだから、もっと根性見せなさいよ」
それに比べて雅さんはまだまだ元気な様子。一人で湖を十周くらいしてたのに息も切らしてない。外見以上にば…規格外だ。
「んなこと言ってもよぉ…」
「んんぅ…!!男の子が言い訳なんかしちゃダメよぉ?そんなんじゃ、彼女ちゃんにすぐに愛想付かされるんだからぁ」
「ぐっ…凛子にも同じこと言われたことある…わかったよ…」
いやぁ…流石太陽君…凛子ちゃんには逆らえないのか…鶇ちゃんにも似たような感じだったし、尻に敷かれやすいんだなぁ…
太陽君と雅さんのやり取りを、私と新井さんで微笑ましく見ていた。
「そうだべ、そうだべ。おいらみてぇにモテモテにならんべさ」
「いや…海坊主さんがモテるところは想像できないんだけど…」
「おいらこんなに愛嬌があるべさ!」
その自信はどこから来る…
「三葉さん、海坊主さんが何か言ったんですか?」
「あー…自分のこと愛嬌があるだろって…」
「そうですね。海坊主は可愛いと思います。海坊主さんの姿が視れないのは残念ですね」
「いや…新井さんの想像通りの人ではないと思うけど…」
私は新井さんの謎の感性に首を傾げつつも、話題の中心である海坊主さんを視た。するとどうだと言わんばかりに腕を組んでドヤ顔していた。
いや…実物視たらまた違うと思うけど…そもそもアンタ奥さんがいたんでしょ…ちやほやされて浮かれてるんじゃないよ…
そんな感じでちょいちょい雑談と休憩をはさみつつ、見落としの無いように私達は湖の周辺を探し回った。それにしては一向に遺し物は見つからない。
「海坊主さん、奥さんとはここにどんな思い出があるの?」
なので私はアプローチを変えるために、他の視点から探すことを考えて海坊主さんに質問した。
「ないべ」
「へ?」
「だからないべ」
だけど返ってきた答えは予想外で、私は言葉を失ってしまった。
ないって…いや、ないって…!?
「ないっていうのは…何かの比喩ですか?」
「言葉の通りだべ」
「うそでしょ!?」
「だからおいらも困ってるんだべ」
いや知らんて!完全に詰んでるよね!?
本当にノーヒント。完全無欠に意味が分からない。本当なんだろうけど、本当だからこそこの人の奥さんはかなりおかしいと思う。
「茜お姉さん、なんかわかった?」
「海坊主さんの奥さんがヤバい人ってのはわかった」
「なんだそれ」
「私が聞きたいよ…」
あまりの衝撃の事実に私は頭を抱えてしゃがみこんだ。もはや嫌がらせのレベルだ。実はこの夫婦、仲が相当に悪かったのか、奥さんが海坊主さんを嫌いだったのだろうか。
「一応聞いておきますけど…奥さんはなんて言ってたんですか…?」
「えぇとだべ…湖に私の大事にしてたものを最後に残しておいたから、何を大事にしてたか考えて探してね。見つかるまでに時間がかかって遅くになるだろうけど、這いつくばってでも頑張って。だべ」
「聞いたはいいけど意味が分からん…」
這いつくばってでもって…かなりクレイジー過ぎるでしょ…
私はそのままのことを三人に伝えると、雅さんは面白そうな、新井さんはなんとも言えない表情をした。太陽君は残念な感じを全身で表現していて、両手と両膝を地面につけてがっくりとうなだれてしまった。
最近いいことないって言ってたし、ここまで時間使って何にもわかんないんじゃそうなるよね…
辺りはすっかり暗くなってしまっていて、さすがに小学生の太陽君は時間的に不味いだろう。どのみち、暗くなってしまっては、探し物も難しいだろう。
「太陽君、そんなに落ち込まないで…」
「茜お姉さん…なんか光ってる…」
「え…?」
四つん這いになったままの太陽君を励ます為に私は声を掛けると、それを遮るように太陽君が気になることを言い出した。
「太陽君、何が光ってるの?」
「地面…うっすらだけど矢印の形になってる…ちょっとこれ辿ってみる」
太陽君はそう言って、姿勢はそのままの状態で動き出した、私と新井さんと雅さん、ついでに海坊主さんは顔を見合わせた後、太陽君の後についていくのだった。
〇〇〇〇〇
「矢印、この木の上を指してる」
太陽君が一本の木の前で止まると、立ち上がってそう言った。
「「「この木…」」」
太陽君以外は同時につぶやいて、木を見上げる。辺りは暗くなっているので、木の上は何も見えない。
「あらぁ…なにか引っかかっているみたいねぇ…」
「え…雅さん、なんか見えるんですか?」
「んふふぅ…オンナは獲物を見逃さないために、どんな状況でも周りが見えるようにしなきゃなのよぉ?」
私にはそんな機能ないです。幽霊は視えるけど…
「どうでしょう?手の届きそうな位置にありますか?」
「結構高い位置にあるわ。普通には届きそうにないわね」
新井さんが状況を確認するも、雅さんから残念な言葉が放たれた。
「ここまで来てかぁ…どうします?」
「んふふぅ…!アタシを見くびらないことねぇ」
私は皆にどうするか聞くと、雅さんが妖し気な笑いとともに木に近づいて行って、構えた。
「うぉらぁ!!」
雅さんが漢気溢れる掛け声とともに回し蹴りを一発。ドスンと言う音が辺りに響き、木が揺れた。割と大きい木を揺らすなんて、控えめに言って人じゃない。そして、一つの木箱が落ちてきた。
「何でしょう…」
新井さんが手に取り、みんなで新井さんの手元を覗き込みながら木箱が開けられた。
「手紙…だね」
「そのようですね」
「なんて書いてあるんだ?」
「気が引けますが…読んでみましょうか」
新井さんが手紙を取りだして、私はそれをスマホで照らした。
「じゃじゃーん」
「「「ぶっ…!!」」」
手紙を読んだだけなのだろうけど、新井さんの落ち着いた口調で放たれた言葉に、他の全員が思わず吹き出した。新井さんはそれを気にせず、手紙を読むのを続けた。
「これが見つかったということは、私はこの世にいないでしょうね。もしかしたら、これを見つけたのは全く知らない人かもしれません。その場合は木箱ごと捨ててください。これが、私の仕掛けた最後のいたずらです。楽しかった?私は全部楽しかった。……以上です」
新井さんは手紙を読み終わり顔を上げた。念のために、木箱の中に他に何かあるか確認したけど、何も入っていなかった。
「え?これだけ?」
「なんだよぉ…全く…」
私と太陽君は呆れた感じで溜息をついた。だけど、新井さんと雅さんは違った反応を見せた。
「いえ、これは充分じゃないでしょうか」
「そうねぇ。アナタたちには、まだわからないかもねぇ」
二人は、微笑ましいような表情を浮かべて私と太陽君を見ていた。何が何だかさっぱりだ。
「これは…嫁からの手紙だべ…」
「海坊主さん…?」
静かに呟いた海坊主さんを視ると、身体が透け始めていた。成仏する前兆だ。
「そうだべか…嫁は……わかったべ…」
心底納得したというような表情で、海坊主さんは宙に浮き始める。
「みんな…ありがとうだべ…おかげで嫁が残したもんが見つかったべ…本当に…感謝するべ」
そして、最期にそれだけ言い残して、海坊主さんは光になって消えていった。
「皆さん…海坊主さんが成仏しました…奥さんの残したものが見つかったって言って…」
「えー…」
「そうですか」
「よかったわねぇ…」
太陽君は不満そうだったけど、新井さんと雅さんは納得したように頷いた。正直、私もちょっとわからない。
「こちらはどうしましょうか」
「この湖になげておきましょぉ」
「そうですね」
新井さんは手紙を木箱に入れて湖に放り投げた。これで今日の一連の出来事は本当に終了だ。
「さぁ!かえりましょぉ!」
「「「はい!」」」
そうして私達は湖を後にしたのだった。
余談だけど、太陽君は次の日、鶇ちゃんに今日のことを話して謝り倒してどうにか許してもらったらしい。私はというと、舞から散々詰められた後に、出来事を話してまた詰められたのは言うまでもない。
第19話を読んで頂き、ありがとうございます!
最後に海坊主を加えるというカオスなメンバーでお届けしました!
基子さんを弄りきれなかったのが残念です。
またいつかチャレンジしたいですね。
太陽と鶇ちゃんもペアで出したいです。
鶇ちゃんに関してはほぼ一瞬しかでてないので…
雅さんは…言うまでもないですな
さて、次回からは女子高生ズのうちの一人がメインの話です!
小夜ちゃんのお話になります!
楽しみにしていただければ私としても嬉しいですよ!?
それでは今回はここまで!
次回は11/10になります!
ブクマして頂いてる皆さん!
そうでない皆さん!
いつもいつもありがとうございます!
次回もお付き合い頂ければ幸いです!




