第13話 幽霊が視える私にとっては心霊スポットよりも人のあれこれの方が怖い
こんにちは!
明日葉晴です!
私はホラーが苦手です。
幽霊もの書いて何言ってんだって話ですが。
幽霊とかゾンビとか、そう言うのが苦手なわけじゃなく、驚かせようって感じのものが苦手なんです。
でも夏じゃないですか?
なので頑張ってホラー風にしてみようと思います!
どうなったかは読んで見て下さい!
あ、それと今回は二話構成です!
それでは、本編をどうぞっ!
私には幽霊が視える。
「なぁなぁ!一緒に行こぉな!」
「嫌だよ」
その関係で友達も出来たけど、しつこいのが玉に傷。
「おかんも何か言ってぇなぁ!」
「うーん…あたしはちょっと怖いなぁ…」
「そんなぁ!」
現在も絶賛、心霊スポットに勧誘されてる。
「小夜!小夜はええやろ!?」
「私は今日はピアノのレッスンよ」
「せやったぁ…!誰かウチと廃病院行こぉなぁ!」
〇
結局舞に押しきられる形で、心霊スポットであるところの廃病院に来てしまった。小夜はいないけど美和は参加している。
「ほあぁぁ…ここが噂の呪いの病院かぁ…」
「やっぱりちょっと怖い…」
「へぇ…ここがねぇ…」
舞の話ではここ最近、この病院から女の人の声が聞こえるそうだ。それを不気味に思った人が、悪霊がいるだの呪われているだの、噂を流しているらしい。
「どや?茜。何か感じるか?」
「私にそんな能力はないよ」
私は幽霊が視えるし話せるけど、気配が分かるとかじゃない。
「そか。せやったらやっぱ入るしかないな」
「えっ…舞、よそうよ…」
「そうだよ。そもそも、私は悪霊って信じてないから。なんかの勘違いだよ」
私の経験則上、悪霊は存在していない。幽霊は幽霊にしか触れないから、人に危険が出ることがまずないからだ。
「せやからそれを確かめよ言うてん。ウチの最新の情報やと、幽霊に襲われたっちゅう話も出てんよ。他にも目撃情報、あんで?」
「そんなに幽霊視れたら舞も苦労してないでしょ」
まぁ視えないのを苦労と言っていいかはわかんないけど…
「それや!これがチャンスかもしれんやん!ウチも幽霊視たいんよ!」
「悪霊でも?」
「そこは茜がどうにかするやろ?その為に連れて来たんやし」
「私にそんな能力ないって」
てか、しれっと身代わりにしないで欲しいんだけど。
「まぁなんにせよ、茜が悪霊がいない言うんやったら余計に心配も危険もないやろ」
「いや、この廃病院自体が危険でしょ。ボロボロじゃん。幽霊以前に建物が心配だよ。ここ、携帯も通じないし、なんかあったらすぐには助け呼べないよ?」
ザ、心霊スポットって感じの廃病院は、これまたおあつらえ向きに周りが雑木林の山の麓。見事に圏外になっている。
「へーき、へーき。今までにも何人か入って無事に戻ってんのやし、壊れることはないやろ」
「それってフラグってやつ?」
「おかん!ナチュラルに折らんといて!?せっかくウチが床板の一枚でも踏み抜こうかと思っとったのに!」
「やめなさいよ!?」
それはマジで危ないやつだよ!?
そんなコントのような会話を繰り広げていると、病院の方から微かに音、というか声が一瞬聞こえた。
「ねぇ、今の聞こえた?」
「…き、聞こえた…」
「ほぉ…!確かめようや!ウチ行くで!」
「ちょっ!舞!」
私の制止を無視して、舞が勢いよく扉を開け放ち、病院の中へと進んで行く。
「もうっ!待ちなさい!」
「茜まで…!気を付けなきゃダメだよ!」
仕方なく私は舞を追いかけ、その後を美和が付いて来る形で、私達三人は病院へと入って行くのだった。
〇〇
舞より少し遅れて病院に入ると、広いエントランスで舞が辺りをキョロキョロと見回していた。
「はて…どっちやろ」
「舞!待ちなさいよ!」
「待っとったやろ?どこ行くか先に決めよと思っとっただけや」
「全然待ってないじゃん…」
「それは迷ってただけだね」
「うぐっ…ま、まぁええやろ?結果的に追い付いたんやし…」
「誤魔化した」
「素直に謝んなきゃダメだよ?」
「すみませんでした」
「はい、よろしい」
うん。流石美和。
「あ…ほあぁぁ!」
私が美和に感心していると、突然舞が叫び出した。
「今度は何!?」
「そんな…嘘や…」
「どうしたの…?」
まさか…本当に悪霊が…!?
「ここ…木造やないから、床板踏み抜けん…」
「「……………」」
舞…まだ諦めてなかったの…?
「はぁ…さて、危ないし帰ろ?」
「ちゃうやろ!茜!ここまで来たんやし、もう全部確かめようや!」
「あたしも茜に賛成…かな」
「いやや!ちょっ!茜っ!引っ張らんといて!」
「撤収、撤収」
私は舞を無視して、引っ張りながら病院の扉を押した。
「ん?あれ?」
「どうしたの?茜」
「開かない…」
試しに扉を引いても開かなかった。ついでに横にも引いたけど開かなかった。
「ダメ…びくともしない」
「え…そんな…」
「ほあぁ…おもろなって来たやん!」
美和は不安そうに、舞は笑顔を浮かべていたけど、私はかなり混乱していた。
何何何何!?どうして開かないの!?まさか私が知らないだけで本当に幽霊が…!!?
幽霊が物理的に干渉してきたことはなかった。だから半分くらいは信じてはいなかったけど、目の前の現象を考えると、どうしてももう半分が捨てきれない。
「な、なにこれ!?ど、どうしよう!?」
「窓から出ればいいんじゃないかな?」
「あ…」
美和の一言のお陰で、一瞬で冷静になった。確かに窓からでも問題はない。申し訳ないけど、一枚割ってしまおう。
「えぇっ!?なんで出るん!?扉の謎は!?病院の呪いは!?確かめんでええの!!?」
「いやぁ、確かに扉開かないのは気になるけどさぁ…私が知らないだけで本当に悪霊とかだったら不味いじゃん…」
こうして物に干渉出来るなら本当に危険だ。二人の身の安全を優先したい。
その後で私が一人で来て調べればいいか…悪霊でも幽霊ならもれなく未練があるだろうし…
「茜、あたし達を逃がしたら一人でまた来るつもり?」
美和ぁ!なんで察しがいいのよ!?
「えぇっ!?そんなんずるい!」
「そ、そんなことないよー…?」
「嘘。茜、ダメだよ」
「いや、でもさ…」
「キャアァァァァ!!」
私が言い訳をしようとした時、病院の上の方から女の人の悲鳴が聞こえてきた。二人にも聞こえたらしく、全員が一斉に聞こえた方を向いた。
「今の…」
「悲鳴…だね…」
「こうしちゃおれんよ!行くで!」
舞の言葉に私達は頷き合い、悲鳴の場所に向かうために走り出した。
〇〇
廊下を駆け抜け、階段を飛ぶように上り、私達は悲鳴を上げた人を探す。そして、四階上がったとこすぐに倒れている女の人を見つけた。
「大丈夫ですか!?」
私達は声を掛けながら女の人に駆け寄った。
「脈、呼吸はあるよ。安心し。気絶しとるだけや」
舞は女の人に寄り添いすぐに状態を確認し、それから近くの部屋を覗いた。
「ここは何もあらへん。ひとまずこの部屋のベッドに寝かせよや」
「わかった」
と、同意を示したはいいけど、私が何かする前に舞が女の人を抱えて部屋に入っていく。
「おかしい…舞がなぜか頼もしく見える…」
「うん…」
普段の舞が頼りないわけじゃないけど、冷静にてきぱきと物をこなすタイプじゃない。
なんか前にも見たような…
私はそこまで思ってから、マーケットで美和が男の人に迫られていた時の舞の様子を思い出した。あのときは今よりも様子がおかしかった。
「なんだろう…」
「さぁ…?」
「なにしてん?二人もはよ入り」
「あっ…ごめん」
「うん」
疑問に思いつつも、私と美和は舞に続いて部屋に入った。私達が入るのを確認した舞は、廊下の様子を一度確認してから部屋の扉を閉めた。
「ここは…病室?」
「せやな。一人用の病室みたいや。ベッドが残っとって幸いやった」
「女の人…大丈夫かな?」
「脈も呼吸も安定しとる。足首に打撲っぽい跡があんのと、階段の側で倒れてたん見ると、足打って倒れたんやろ。そのショックで気絶ってとこやないかな」
「じゃあ、悲鳴も倒れた時に?」
「それはわからん。気掛かりなんは…」
そこまで言って言葉を切り、舞は扉の近くに行って耳を澄ませた。
「どうし…」
「しっ…!」
「っ!」
舞の雰囲気に圧され息を飲んで耳を澄ますと、足音が聞こえてきた。コツ…コツ…という足音が、階段の方から近付いてきて、やがて部屋の前を通り遠ざかって言った。
「ふぅ…もう喋ってもええけど、出来るだけ小声でな」
「い、今のって…」
「足音があるってことは人だね。なんで隠れたの?」
「さっきの続きやけど、その人がなんで階段の側で転んでたか。考えられるのは、普段からよく転ぶドジッ子か…」
「何かに追われてて急いでいたか?」
「せや」
まさか…
「さっきの人が、この人の悲鳴と急いどった理由やとすれば、間違いなく危険や」
「だから隠れた…」
凄い…短い時間でそこまで考えて行動してたのか…
「こないなったらウチの趣味を優先してられへん。警察もんや」
「じゃあ早く脱出を…」
「と、言いたいとこやけど、相手が一人とは限らんし、大人の女性抱えて見つかった場合、全員で逃げ切れる確率は低いで」
「なら…どうするの?」
「ひとまずここで様子見や。外の警戒はウチがするから、その人目ぇ覚ましたら教えてな」
「わかった」
そうして、私達は静かに女の人が目を覚ますのを待った。
〇〇〇
「ん…んん…」
しばらくすると、女の人が意識が戻って来たのか、目を開け始めた。
「舞っ…!起きたよっ…!」
私は小声で舞に呼び掛けると、舞はすぐに近くにきた。
「きっ…」
「しっ…!」
そして女の人が怯えたような顔で叫ぼうとした瞬間、舞が口をふさいだ。
「ウチらはあんさんの味方や。襲わへん。やから騒がんといて。落ち着いて、鼻で深呼吸し」
女の人は数度頷くと、深呼吸をした。すると落ち着いたのか、怯えた表情ではなくなった。
「落ち着いたか?手ぇ離すけど、騒がんでな?」
再び女の人が頷くのを確認して、舞は手を離した。
「さて、ウチらは綾目高校の生徒や。心霊スポットっちゅうことでここに来たとこ、悲鳴聞いてあんさんを見つけてここに寝かせたんや。あんさんは?」
「私は新井基子。ただのOLです。助けて頂き、ありがとうございます」
新井さんはそう言うと深々と頭を下げた。
「私は三葉茜です」
「高尾美和です」
「ウチは常陸舞や。よろしゅう」
「三葉さん、高尾さん、常陸さん…ですね」
新井さんは私達の顔を一人一人覚えるように見た。
「さて本題やけど、あんさん…新井さんは追われとるんか?」
「はい…ですが同時に追ってもいます」
舞の質問に、新井さんは要領を得ない答え方をした。
「追ってもいる…ってどういうことですか?」
「私を追っているのは深井謙治。私の妹をストーカーしてる男です」
「ストーカー!?」
「しっ!おかん、声が大きいで」
「あっ…ごめん」
ただならぬ事態に驚いたのか、大きな声を出した美和を舞が諫めた。
「それで、なんで新井さんが追われとるんや?」
「先日から妹と連絡が取れなくなりまして、それで妹にストーカーをしていた深井に接触して話を聞こうとしたんです」
「なんで警察に通報せぇへんかったんや?ストーカーの件も含め」
「警察には通報しました。でも被害という被害はなかったので、取り合ってもらえなかったんです。いなくなったことも、確固たる証拠がないことと、成人が数日連絡を取れない程度では、本格的には動いて貰えませんでした…」
新井さんは本当に悔しそうな顔でそう言った。
「なるほどな…ったく…ほんま使えへんな…」
話を聞いた舞は、恨めしげな表情で呟いた。
「まぁええわ。そんであと聞きたいんやけど…」
気持ちを切り替えたのか、舞が質問を重ねようとしたその時。
「見ぃつけたぁあ!!」
ガラッと部屋の扉を勢いよく開け放ち、男が気持ち悪い笑顔を浮かべながら現れた。
「しもた!」
「「「キャアァァァァ!!」」」
「基子ぉ!逃げんなよぉ!」
男が気持ち悪い笑顔のまま、一歩部屋の中に踏み出した。
「しぃっ!」
「ぐはっ!」
「せぇっ!!」
舞がベッドの枕を男に投げつけ、怯んだところを体当たりした。
「みんな!走り!」
「「わかった!」」
「ええ!」
舞の言葉に私達は一斉に返事をし、舞に押さえつけられてる男の横を通り、部屋から走って出た。振り向くと、私達が出た後に舞が走って後を追って来たのだった。
〇〇〇〇
「結構離れた…かな?」
「そうみたい…きゃっ!」
「新井さん!?」
しばらく走っていると、私の前を走っていた新井さんが転んだ。
「大丈夫ですか?」
「えぇ…だいじょ…いたっ…!」
「ちょい見してみ」
すぐに立とうとした新井さんは再び崩れるように倒れた。そこを舞が私と新井さんの間に入り、新井さんを観察し始めた。
「ん…打撲跡のあったとこが腫れとる…変なぶつけ方してひねったんか…?さっきまではアドレナリンで気付かんかったんやろな」
「私のことは置いて行って構いません。皆さん逃げて下さい」
「そんなこと出来ません…!」
「そうですよ…さっきの人とても嫌な感じでしたし…」
「ですが…」
新井さんがそこまで言うと、舞が手も軽く叩いて視線を集めた。
「そこまで。ウチも二人に賛成。新井さん、ウチが肩貸すから立ち。そんでそこの階段上るよ」
「上に行くの?下じゃなくて?」
「向こうはウチらが逃げると思とる。なら下を探すのは道理や。時間稼ぐなら裏掻いて上や。そこで作戦立てんで」
「な、なるほど…」
舞の話に納得して私達は上に行き、階段から少し離れた病室に入った。新井さんをベッドに腰掛けさせると、舞は一度部屋を出てから、少しして戻ってきた。
「何してきたの?」
「ちょい仕掛けをな。まぁ気にせんでええよ」
仕掛け…?
舞の言葉は気になったけど、それ以上は教えてくれそうにもなさそうだったから聞くのを止めた。
「さて、作戦の前に気になることがあんねん」
「気になること?」
「せや。新井さん。なんでここにいるんかや。まぁ大体の予想は付いとるんやけど」
なんで…?
「えと…ストーカーに追われて…じゃないの?」
「ちゃう。ウチが聞きたいんはなんでここで追われとるかや。ただ追われとるだけやったら、こないな辺鄙なとこ来ぉへんやろ」
「あっ…!確かに…」
私の疑問を美和が代弁してくれたけど、舞に言われて納得した。この廃病院は来ようと思わなければ来ない。ましてやストーカーに追われて逃げ隠れるようなところじゃない。
「実は…ここに智子が…妹がいるかもしれないんです…」
「妹さんが…?」
「はい…」
妹さんって…確か数日前にいなくなった…
「深井は妹が働いていた会社の社員でした。そして先月の終わり、クビになりました…妹がストーカーされ始めたのもその頃からでした…思えば、会社にいた頃から言い寄られていたのかもしれません…」
じゃあ…かなり長い間耐えていたのかもしれないんだ…
「そして、昨日のことです…偶然にも私は深井を見つけ、妹はどこだと問い詰めました…確実な証拠はなかったのですが、深井が関係していると思ったのです…」
まぁ…ストーカーしてたなら疑うよね…
「なかなか決定的なことは言わなかったのですが、深井は私が諦めないのに観念したのか、この場所で話すとだけ言ったんです…」
「警察には…?」
「言いましたが、やはり確実な証拠もなく動いてはくれませんでした…」
だから一人で…
「そして今日、ここにきた私は深井と話そうとしたところ、襲われて逃げてた。ということです」
「なるほどな。ようわかったわ。ならやることは大きく二つ。こっからの脱出と新井さん妹の捜索やな」
「そうだね。放っては置けない」
「うん…助けなきゃ」
「そんな…どうして…」
「困ってる人を助けるのに理由は要りませんよ」
そう。幽霊だろうと人だろうとそこは変わんない。
「そう言うことや。廃病院の声の謎も解けたことやし、さっさと助けて脱出して、ハッピーエンドで終わろうや」
「えっ…?解けたの…?」
舞の一言に美和が疑問の声を上げた。私も正直わかってない。
「あれ?おかん、わからんかった?声の主は新井さんの妹さんやで?詳しくわからんけど、数日前って言うなら噂もそうやろ」
「あぁ…!なるほど…」
おー…そう言うことかー…
「まぁ…………………や…ど…」
「えっ?舞?なんか言った?」
「いや、なんもあらへんで。さて、脱出作戦を…しっ!」
舞がなんか言ったような気がしたから聞き返したけど、誤魔化された。そして作戦を立てようとした時、舞が静かにするように促した。
まさか…!?
悪い予想は当たるもので、またしてもコツ…コツ…と言う足音が聞こえ、一度目にはなかった荒い息も聞こえてきた。
「みんな、ウチが合図したら一斉に左に逃げ」
「「「わかった…」」」
舞の言葉に全員が頷き、その時を待った。そして足音が止まり、荒い息使いだけが聞こえてきた。
「はぁ…!こんなぁ…!子供騙しな罠にぃ…!掛かるとでもぉお…!?」
そして、そんな言葉と共に扉が開け放たれる音がしたのだった。
第13話を読んで頂き、ありがとうございます!
……笑いたきゃ笑って下さいよ!
何がホラーだ!サスペンスじゃねぇか!
って話ですよね!
幽霊すら出てねぇし!
って感じですよね!
私も書いてて、ホラーじゃねぇわ。と思いました。
私の友人は即興で怖い話作るんですけど、あれマジ見習いたいです。
さてさて次回の更新はなんと明日!
8/12予定です!
まぁお盆スペシャルってことで。
ホラーじゃなくなりましたけど。
それでは、ブックマークして頂いてる皆さん!
そうでない皆さん!
いつも読んで頂き、ありがとうございます!
次回もお付き合い頂ければ幸いです!




