Task2 街に行き腹ごしらえしろ
パンティ・スーは林の中を一目散に駆けていき、幾度も崖を飛び越えて行くと、街が見えてきた。丁度、入り口辺りに件の鉄馬車がゆっくりと、否、恐らく魔石の魔力が切れかかっているのだろうか。パンティ・スーが小走りでも追いつけるほどの速度しか出せていなかった。
「やったのか!? 」
ジョージ・斉藤が、パンティ・スーの姿を確認して開口一番に言った。
「殺してはいないが、相当に時間は稼げただろう。十分に街の中に入れる。すぐに魔力を補充すると良い」
「ああ、魔力スタンドなら、セルフで安いところ知っているんだ」
「まるでガソリンだな」
「が、ガソ? なんだそりゃ」
「こちらの話だ」
重火器は発達している割に、ガソリンといったものは無いらしい。いや、そういったものは魔力や魔法で補っているのだろう。
「いや。しかし、www帝国に無事につけるとは思わなかったぜ」
「余裕はあるが、油断はしない方が良い」
その国名を聞いて、全く持って、どういう国か判らないが、推測するなら、きっと人々が笑って暮らす幸せな国に違いない。
「それよりも、飯ぐらいは奢らせてくれ。俺も腹減ってな」
「確かに」
そういえば、転生してから何も口にしていない事を思い出すと、急に小腹が空いてきた。
二人はセルフ魔力スタンドに寄ってから商店街に立ち寄った。なかなかの賑わいであるが、その中でもひと際賑わっている店の前に来る。
「混んでいるな」
「大丈夫だ。回転率は早いからな。それに、あそこのうどんはうまい」
「うどん? 」
いきなり聞き慣れた単語が飛び出してきた。異世界という割に妙に現代日本社会に通じるものがあるのはこれ如何に。
「ああ。最近になって出てきた食い物でな、小麦を練って、細い紐状にしただけのものなんだが、幾らでも食える。店は幾らかあるが、あの店はサヌキって言って、歯ごたえとのどごしが特に良い」
「なるほどな」
それから数分後、二人はそれぞれ2玉ずつ釜揚げうどんを完食した。ジョージ・斉藤が代金を払おうとすると、店主らしき人物がやってくる。金を受け取ると同時に、パンティ・スーは店主にそっと耳打ちをする。
「貴方は転成者だな? 」
「う! なぜそれを!? 」
「簡単なことだ、このうどんはコシとのどごし、ゆで加減、全てが完璧だ。完璧すぎると言って良い。つまりは、うどん県民が作ったに違いない」
QED。
推理、もしくは、偏見である。
「出来るなら、一味ではなく、七味をそろえた方がより良いだろう」
「材料はあることはあるが、輸入品になって高くつく。それじゃあ、安くうどんを提供できない」
「七味だけ別料金にすれば良い。貴族や奮発したい者なら頼むではないか? 香辛料に慣れていないなら、より別格に感じるだろう。何事も、プレミアム感を演出することは大事だ」
「そ、そうか。なにも日本と同じように無料にする必要は無かったか」
「では、失礼」
そうして二人はうどん屋を後にした。
向かった先は、港にある倉庫だった。