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立ち向かう戦士ども  作者: 航作裕人
第一章 警備隊立ち上がる
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第七話

 ヘリーに乗った亮たちはマウンテン学園の上空へと来ていた。


「ここに来たはいいが、どうやって降りるかが問題だな」


 亮は深刻な顔をしている。今の時点で殺し合いが起こっていると思うと、焦ってしまうのだろう。少し額に汗をかいていることに気づいたのは美優だった。


「確かにそうね。どこか、ヘリポートないのかな?」

「そういえば、僕たちはなんでヘリーできているの?」


 直哉が焦っている場面でも冷静に対処している。言われて見ればそうだと思ったのは基裏だった。


「もしかしたら、上からうてとかそういうことじゃねぇ――のか?」

「いや、その可能性はとても低いと思う。だって、ここからじゃ、何も見ることはできない。それに、逆に敵に気づかれると思う」


 冷静さを取り戻した亮は隊長さながらの頭の回転の速さを見せつける。


「でもこのままでは、私たちは何もすることができないで終わるでしょ」

「いや、そんなことはないと思うよ。思いついちゃったよ。どこかの駐車場を借りて着陸すればいいじゃないの。例えば共済学園大学の駐車場とかね」


 直哉が指をさしたのは、あまり人の気配や車が止まっていないとされる第二駐車場だった。ここから見ると、駐車場に車がいくらか止まっている中、あそこには一台も止まっていない。


「それじゃあ、俺が指令室に連絡を取って、あそこを使えるようにしてもらうよ。ここで気づかなかったら、やばかったよ。直哉」

「どうにかできるのならよかった。僕の考えが生かされるのはうれしいよ」


 直哉は女子にも負けないほどの輝く笑顔で亮を見ている。それに対して、亮はとてもまぶしくってかなわないものだと思ってしまったのである。


 一方指令室では、マウンテン学園に侵入をした隊員の指示に追われていた。


「何かと不便なことばかりだな。青少年警備隊の抹殺処理班を送ったが、まだそちらにはつかないのか?」


 指令長である松島優作まつしまゆうさくは強いまなざしで隊員を見る。


『まだ、こちらでは確認ができておりません。ヘリーでしたら、もうそろそろついているところでしょう』

「わかった」


 優作は今後に何かが起こるのではないかと疑っている。


「たぶん、着陸できるところがないのだろう。まだ、未成年なのだから、考えが甘いのだから仕方ないか」


 優作がため息をつきながら、前橋市にある監視カメラを眺めていた時であった。


「指令長。谷津式隊長から緊急回線です。表示します」

『連絡が遅れました谷津式です。今なのですが、現場上空で待機状態です。そして、お願いなのですが、共済学園大学の第二駐車場を着陸地点として使用できないかを交渉してもらいたいんです』

「わかった。すぐに確認と取ったのち、谷津式隊長に連絡する。それまで待機だ。以上」


 優作はすぐさま、他の指令員に連絡をさせた。


「ご無沙汰しております。指令長の松島です。共済学園大学の第二駐車場を利用したいのですが、警備隊権限で使用許可をお願いしたくお電話いたしました」

『そうだったのですか。それでその使用したいという目的は言えるのですか?』

「そうですね。あまり話してはいけないことだと思いますが、クローンが製作されている製作所がその近くにありまして」


 いきなり回線が切れた。


「どういうことだ」

「どうやら、妨害電波が入ったようです」


 指令員の一人が解析を始めた。どこかの回線からは言ってきたようだ。


「解析結果ですが、日本政府第一実験省からです」


 優作は驚きを隠せなかった。今まで、政府は動きもしなかったからだ。ただ、クローンを製造しては人を殺す。自分たちの手を汚さずに金を巻き上げる。それが、今までのやり方。そんな政府が今頃になって、動くわけがわからない。


『警備隊の諸君。君たちは国家権力の相手に戦っているみたいだが、私たちには絶対に勝つことはできないだろう。申し遅れたな。私は豊永松士だ。まあ、総理大臣でもいるか』

「総理がこんな妨害電波でなんのようだ。俺らの目的を邪魔するのはやめていただきたい」

『その相談は聞けんが、君たちが今しようとしていることを阻止することはできる。覚悟することだな』


 優作は今の回線がどこから入ってきたのかを調査しようとしたところで切られてしまい、わからなくなってしまった。


「くそ――。なんで今頃なんだ。ちくしょ――う」


 優作はこぶしを机にたたきつけた。周りで見た指令員は現場の通信で忙しかった。

 

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