第六話
ヘリーが止まっている警備基地四階の入口にあった無線を使って、三階にある指令室と連絡を取っている。
『そちらは準備はできているか? でき次第こちらからの操作で出発となる。早く頼む。今の情報だと、相当手ごわい敵らしいからな』
「わかっていますよ。でも、このチームは少し準備が念入りのもので、もう少しかかります」
隊長である亮は指令室にいる指令長と話している。
「おい、銃弾とかは満タンに用意してあるか?」
基裏が武器が入っているバックを抱えながら、直哉に指示する。
「いや、まだ全部の銃弾は入っていないと思うよ。それに、最終手段のために研究室で開発されたこの爆弾も入れておいたほうがいいかもよ」
直哉が基地内にある銃弾補充機の中をあさりながら、基裏にアドバイスをしている。
「そうね。それは意外と使えるらしいわね。一度、クローンに使ったとか聞いたことがあるわ」
「じゃあ、入れておくから、本当にピンチの時だけに使ってね。これ、開発するのに相当時間かかるらしいからね」
直哉は五人分のポーチ内に一つずつ、爆弾を入れていく。それを少し不安に見る基裏。
「そんなものを使ってしまってもいいものか?」
「いいの。細かいことは言わなくてもいいでしょ。あなたは銃の手入れをして、ヘリーにつぎ込むものを確認してくれればいいの」
美優は胸を手でたたく。
「そんなことわかっているけどな。どう見ても、俺らみたいな隊員が、そんな苦労の結晶を使ってもいいかって話じゃねぇ――か。てか、ない胸に手なんて置いて、貧乳が悪化しないのか?」
美優は少しかっとなって、「基裏ね。あなたにはデリカシーというものがないの?」と強く突っぱねるが、動揺しない基裏。
「そんなの戦場に置いてきたよ。とっくの昔にな」
また、美優と基裏が喧嘩をしそうなので、亮が真ん中に入る。
「おいおい、争っている余裕があるなら、手を動かして。俺はヘリの調整で忙しいんだから。それで、真理亜はマウンテン学園の見取り図とかのハッキングは終わったかい?」
「あたり前ですわ。わたくしを何と思っていらっしゃるのですか。こんな簡単なセキュリティに引っかかるわけありませんの」
真理亜は扇子を大きく広げ、高らかに笑っている。でも、真理亜の実力は本物だ。昔は、システムエンジニアとして仕事を手伝っていたというくらいだ。それも十三の時から。やはり、どこかのお金持ちは違うのだと、実感したのは亮であった。
「それじゃあ、あとは他の隊員が通れるように、セキュリティを解除してもらえるかい?」
「そんなのお安い御用ですわ。わたくしの仕事は警備隊の一員として国家に牙を向けることですわ」
「よし、その勢いで頑張ってな。それで、そちらの三人は準備は完了している?」
「大丈夫だぞ」
三人の声の中で基裏の声が一番基地内に響いた。
「それじゃあ、すべてを積んで、あいつらのアジトへとお邪魔しに行くぞ」
「「お――う。俺らは抹殺処理班の名を汚さないように」」
五人とも隊員室に掲げられている目標を大きな声で唱えて、精神を統一させた。
「それじゃあ、エンジン起動。フルパワーエンジン異常なし。自動制御システム異常なし。
開閉扉、よし。指令室からの合図確認完了。この機体は今から、目的地マウンテン学園へと向かう。シートベルト着用用意」
一斉にシートの横にあるシートベルトを出して、体を固定する。
「今日は風がすごいから、揺れるから気を付けてな」
『ハッチオープン。青少年警備隊抹殺処理班。フルパワーエンジンを起動』
どうやら、指令室が基地の制御をしたので、滑走路が亮たちが乗ったヘリの前に伸びている。
「それじゃあ、いつも通りのジーを感じていくぞ~」
亮は話しながら出発をして、一人で空気のせいでむせていた。




