第十話
美優と真理亜はマウンテン学園の正門付近にいた。
「作戦ですが、クローンの生産中止と、政府の計画の調査です。詳しい情報は知っておりますか?」
美優は戸惑ってしまった。そこまで重要なことだとはわからなかったのだ。クローンの倒すものだと思っていたからだ。
「そこまで知りませんでした。クローンを倒すだけだと思っていましたので」
「そうですか。それは情報の共有ができていないみたいですね。それでは、端末をご覧ください」
小泉は自分の腰についているバックの中から携帯端末を出し、作戦の内容を説明し始めた。それに続いて、二人も同じ場所から端末を取り出す。
「この班では、前方にいる敵を全滅させます。そして、裏に待機中のメンバーが研究所の本体をたたきます」
「そんな作戦でうまくいくのですか?」
美優はそのことについて疑問を持った。国家が相手でそんな単純なことが通じるのかと思ったからだ。
「その辺は大丈夫です。そのために屋上に配備してありますので」
「そうですの。その辺は隊長より知らされておりましたが」
とりあえず、指令室の指示を待つしかない。
屋上に待機している亮と基裏は下の動きを確認していた。
「どうやら、俺らの場所は万が一の時かもしれないな」
「それはあるじゃねぇ――か。この作戦では、直哉側にある研究所の制圧だし。そのほかには情報収集することだから」
「確かにそうだけど」
「どうやら、君たちも今状態に困惑しているのかな」
体つきがいい大男が亮に近づいていく。亮は少し驚いてしまった。こんな人に押されたらどこまで吹っ飛ばされるのかわからないということだ。
「初めてだな。俺は成人警備隊抹殺処理班所属、祐泉寺昌弘だ。よろしく頼む。今の状況だが、どうやら正門のメンバーが動き始めるそうだ。あとは指令室の指示にかかっているがな」
そこに基裏が突っ込んでいく。
「それでも、指令室と通信できないのが今の現状なんだろ。それで困っているんだろ」
「こらこら、そんなこと言うなよ。俺らの先輩にさ」
「いいんだ。今のは事実だ。基裏の言う通りだ。現在はあまりいい状態だとは言えない」
「やっぱりな。さっきの通信で応答しなくなったときにきがついたのさ」
「やっぱりそういうところは鋭いというか。昔からそうだよな」
「なんだよ。うらやましいのか?」
「いや、そういうことじゃないけど」
亮たちはとても楽しそうに話しているが、今いるのは戦場である。特に昌弘はよくわかっているだろう。
「この話はそこまでにして、指令室に何かが起こったのは確かだ。それがわからないと動きようがない」
「ですね。こればかりは待機ですかね」
大型な作戦はいまだ開始できない状態。この状態がいつまで続くのかは今の段階ではわからない。
「指令長。副作用より、現場との通信ができない状態です」
「なんだと、それでは作戦が行えないじゃないか」
「どうやら、ウイルスが通信をハックしてしまったみたいです。現在、復旧にかかっております」
さっきは国家のせいだが、次は自分で蒔いた種に引っかかってしまった。優作は焦り始めた。
「これでは、何もできなくなってしまうな。通信端末専用通信が使えるかを確かめてくれ」
「了解しました。調べてみますと、どうやらこちらは死んでいないようです」
「そうか。それじゃあ、その通信でどうにかしてくれ」
「了解。通信入ります」
『こちら、マウンテン学園の正門付近に待機中の小泉です。今の状況ですと、相手からの動きはありません。侵入許可をお願いします』
「待たせたな。許可する。作戦を成功させるぞ」
『ハイ、了解です。それでは侵入します』
「あとは任せた」
優作は大きなスクリーンに表示された小泉を見て、ホッとしたかのように椅子に腰を掛けた。
クリスマスも過ぎた夜中ですね。世の中では楽しいものだったと思います。私的にはあまり実感はできないものでした。仕方ないものですね。さて、やっと動き始めたというべきでしょうか。戦闘シーンを早くとか思われるでしょうが、もう少し待ってください。もうそろそろで、出てきますから。