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6.専門用語(テクニカルターム)~科学技術・兵器・道具関連~

●ナノマシン--Nanomachine


 ナノサイズの分子機械工作機を指した言葉です。その機能や性質により、『機械式ナノマシン』と『生物式ナノマシン』の二種類に分類されます。そのどちらも、ボトムアップ方式による自己組織化手法により大量生産されています。

 機械式ナノマシンは、金属錯体型のナノマシンに、トップダウン方式によるシリコン・エッチング技術加工が施された、超小型のコンピューター・チップです。金属配位子の分子構造は可逆性を持つため、回転並進機能を持たせることが可能です。つまり機械式ナノマシンとは、ナノスケールの、しかしマクロスケールにおけるコンピュータ以上の演算処理装置が組み込まれた分子運動回転素子なのです。液体電力装置を搭載されており、そこから駆動に必要なエネルギーを取り出しています。

 生体外での活用をメインとする機械式ナノマシンに対し、生体内での活動を可能とするのが、生物式ナノマシンです。それまで不可能とされてきたATP酵素の合成ですが、幻幽都市の科学技術は生体ナノロボットにATP酵素の合成機能を与えることに成功しました。これにより、『本当の意味での』滋養強壮剤が数多く開発され、流通しています。さらに、スマート・ショックと呼ばれる治療技術を持たせることで、バイオマーカーをつけた癌細胞を数秒で死滅させることも可能となりました。

 ナノマシンは幻幽都市の経済基盤を支えていると言っても良い重要な技術です。特に、秋葉原にはこの手の研究機関が乱立しており、日夜、凌ぎを削って新機能を付与したナノマシンの開発が行われています。





●機械製義肢--Machine-made artificial limbs


 サイボーグ技術の要。製密駆動塊(サイバーギア)と呼ばれる機械パーツを幾つも組み上げて製造される、機械製の義肢です。四肢を欠損した障害者のみならず、自身の肉体を改造する人など、様々な目的の下で機械製義肢は使われています。稼働方法はマスタースレイヴ方式です。

 オプションで、機械製義肢に銃火器やセラミック刃を装備させる人もいます。近年では、ジェネレーターの間で人気です。





●製密駆動塊--Cybergear


 機械式ナノマシンを組み上げて造られたモジュールパーツです。機械製義肢の部品として使われます。





●生密駆動塊--Biogear


 医薬品や生理用品に使われる生物式ナノマシンの集合体。生物式ナノマシンを組み上げて製造された、有機的性質を宿すモジュールパーツです。医療業界では、新薬の開発材料に用いられていたりもします。

 生密駆動塊(バイオギア)のほとんどが『ナノカン』と呼ばれる缶詰製品として取り扱われています。また、再生医療分野でも、本格的な実用化へ向けての研究が行われています。その結果、不老不死のうち、『不老』は克服できるとされています。





●人工皮膚--Blanket


 機械製義肢の上から被せて、人間の腕そっくりに見せる手術の時に使われる人工皮膚です。幻幽都市で開発されたカーボンナノチューブと同類の新素材・『スパイダウール』が原材料として使われています。不燃性であり、表面にコーティングを施す事で、耐熱耐寒、耐薬品性機能を獲得することに成功しました。カラーバリエーションは、白人系、黄色系、モンゴル系、黒人系、ヒスパニック系の五つが基本ですが、それ以外にも迷彩柄の人工皮膚(ブランケット)なんかもあります。





●機能片--Implant


 形状はマイクロサイズのチップです。これを脳に埋め込むことで、チップ周辺に擬似神経回路が形成され、超人的な感覚機能や運動神経を獲得できます。但し、機能のスペックや有用性は、機械製義肢に代表されるサイボーグ手術には敵いません。体の何処かに物理スイッチを仕込ませ、スイッチを押すと機能片(フラグメント)が起動するという仕掛けになっています。

 サイボーグ手術と違って、格安で埋め込み手術を行えるのが利点です。都市の闇市場では違法改造されたオーバースペックの機能片(フラグメント)も数多く出回っており、それを脳内に埋め込むことが出来るのは、闇世界の禁断の医療技術に精通した医者に限られています。

 加速型や重力制御型、通信型など、様々な機能を持たせた機能片(フラグメント)が存在しています。





●電脳技術--Cyber-net Technology


 脳内にサーキット・チップと呼ばれる、生物式ナノマシンと機械式ナノマシンとを掛け合わせたチップを埋め込むことで、仮想世界へ没入する事を可能とする新技術です。

 電脳端末(コネクター)と呼ばれる意識解析情報端末をうなじの部分に差し込む事で、意識だけを仮想世界へ移行することが可能です。この、『意識だけを仮想世界へ移行する』ことを『没入(ダイヴ)』と言います。また、電脳技術を施された人間の事を『電脳ユーザー』と呼びます。その中で、呪工兵装突撃部隊(イシュヴァランケヱの電脳部隊に所属する兵士は『電脳兵士』と呼ばれます。





●電子麻薬--Psycho Candy


 幻幽都市には数多くの麻薬が存在しますが、その中で最も人気があり、最も流通している麻薬が、この電子麻薬(サイコ・キャンディ)です。種別としては、ネットを使えば誰でも自由にダウンロード可能な『データ麻薬』に分類されます。その為、利用者の大部分は電脳ユーザーとされています。

 しかし近年、この『データ麻薬』をCD-ROMに封入し、音楽再生ファイルとしてばら撒くケースが多数報告されています。この音楽再生ファイルに加工された電子麻薬(サイコ・キャンディ)音響麻薬(シューゲイズ)と呼んでいます。これは、電脳ユーザーでない一般人にも効果てきめんです。

 長期使用を続けていくと、血液が黒ずんでいき、皮膚に青紫の斑点が生じます。末期になると、リン酸系有機化合物を大量摂取した場合と同様の症状が起こり、やがて全身から血を流して死亡します。

 しかし、この麻薬によってもたらされる多幸感・万能感の威力が凄まじい為、一度手を出すと、ほぼ百パーセントの確率で中毒症状を起こします。

 蒼天機関が徹底して取り締まりに乗り出していますが、一度ネット上にばら撒くと圧倒的スピードで拡散していくこと。データ・ソースの一部をほんの少し弄るだけでいくらでも酒類を増やせることから、いたちごっこの状態が続いています。





●セラミック・ブレード--Ceramic Blade


 セラミックを原料に成型された片刃のブレードです。原料となっているのは、幻幽都市にしか存在しない特殊なケイ素を元にした炭化ケイ素で、それを超高温下で焼結させて製造しています。

 護身用として店で売られているのもありますが、そういったものは安価で手に入る一方、耐久性に乏しいという欠点があります。

 蒼天機関の機関員が使用しているのは、セラミック・ブレードの中でも最も頑強な『超硬性セラミック・ブレード』と呼ばれるもので、まず一般の市場には出回らない代物です。

 金属の刀剣類よりも軽く、切れ味も申し分ない事から、超硬性セラミック・ブレードは機関員の標準装備として推奨されています。

 また、女性用に刀身を短くして扱いやすくした『アイクチ・ダガー』なる亜種も流通しています。





●メイサー砲--Maser Gun


 幻幽都市の銃器は大きく分けて、閃光系と実弾系の二つに分類されます。メイサー砲は、レーザー光線を発射する閃光系銃器の一種です。

 更にメイサー砲は、その大きさと威力から、軽量級、中軽量級、重量級、最重量級の四つに大別されています。重量級までは店でも取り扱われていますが、最重量級は蒼天機関にのみ存在します。形状は、軽量級はベレッタやマグナムといった実弾系の銃器とそれほど変わりません。中軽量級以降は、トンプソン機関銃にやや丸みを持たせたような形状で統一されています。

 発射するのは1000℃近い熱線のみで、実弾系と違い弾薬の種類というものが存在しません。その為、人に命中すると必ず人体を貫通することから、極めて殺傷力が高いとされています。加えて跳弾の心配がないため、市街地戦では特に威力を発揮します。霧や靄といった悪天候により視界領域が狭まった戦闘区域においても、仕手に多大なアドバンテージをもたらします。

 但し、非常に高価な事と、メンテナンスにかかる費用が実弾系よりも高い事が欠点です。また、発射されるのはあくまでも熱線の為、水中では使えません。

 内部機構も、実弾系の銃器とは大きく異なります。火薬を充填する機構も、排莢を促す機能も存在しません。あるのは『熱光源』と呼ばれる、幻幽都市でしか採掘されない未知の光り輝く鉱物から加工された宝石と、その周囲を取り囲むかのように無数に配置されたミクロン・スケールの反射板だけです。熱光源が自然放射する光が、反射板間を一秒間に数千から数万回往復し、それに伴って光のエネルギーが増幅されていきます。増幅されたエネルギーはトリガーを引く事で銃口から発射されるという仕組みになっています。





●防護光学迷彩--Barrier Skin Effect


 ハイメタ・マテリアルと呼ばれる機能性高分子素材を素に、全工学開発局(サルヴァニア)が開発した光学迷彩技術の事を指します。戦車や空挺艦といった戦時用兵器の装甲に良く用いられます。

 その効果は、光の屈折率を操作するのと同時に周辺空間の位置座標情報を偽装して半三次元空間と呼ばれる異空間に物体自身を一時的に転移させる事で、肉眼による捕捉を不可能とするものです。また、肉眼のみならず、レーダーといった電子機器を用いた探索にも引っ掛かるのを防ぐ効果があります。

 所謂、透明化という奴ですが、『光の屈折率を変化させる』という点から、前述したメイサー砲を始めとする閃光系銃器への防衛術としても使えます。

 弱点としては、特殊なバリア等を展開させているわけではないので、物理的衝撃に極端に弱い事です。





●MRD--Mind Resonance Diode


 MRDとは精神医学分野で用いられる照明で、人間が無意識下に抱えている恐怖心や不安感に作用して、リラックスさせる効果があります。但し個人差があるため、誰にでも効果があるという訳ではありません。





●治癒膚板--Potion


 細胞を活性化させる効果のある、白色の塗り薬です。常温常圧下では板ガムのような形状をしていますが、人肌で温めてこねくり回すと粘性のある液状へ変化します。それを患部に塗ると、どんな酷い外傷を負っても十二時間以内に完全回復します。ただ、効果があるのは切り傷や打撲といった外傷のみで、内臓疾患等の病気には効果がありません。

 また、使用する分量を間違えると細胞活性が急速に高まり続け、染色体に異常が生じてしまいます。用法容量を守って、正しく使いましょう。





●覚断錠--Disense Tablet


 全工学開発局が開発した、神経系統に影響を及ぼす錠剤です。神経系統と脳幹を繋ぐ回路を流れる電気信号を制御し、『痛み』という感覚のみを麻痺させる効果があります。

 使用しすぎると、『痛み』のみならず、人間の五感全てが麻痺してしまう副作用があります。これも、用法容量を守って正しく使いましょう。





●電波攪拌スプレー--Chaff Spray


 全工学開発局(サルヴァニア)が開発した、電波をかく乱する効果のあるスプレーです。これを自分に振りかけると、レーダー探知されにくくなるという効果があります。

 防護光学迷彩(バリアスキン・エフェクト)にもレーダー探査を阻害する効果がありますが、こちらは携帯しやすいという点で、十分差別化されています。

 蒼天機関(ガルディアン)内部の隠語では、『むしよけスプレー』とも呼ばれています。





●指向性拡散式手榴弾GⅡ


 全工学開発局(サルヴァニア)が開発した、『狙った方向へ確実に攻撃を加える』事を実現した手榴弾です。

 手榴弾内部に搭載されているテスラジャイロコンパスが、グラフ理論に基づいて標的の座標位置を即座に把握したと同時に起爆。その瞬間、中からパチンコ大程度の無数の爆弾が標的に向かって飛び散り、一斉に爆発します。

 手元が狂って見当違いな方向へ飛んでも、誤差±5メートル以内であれば即座に攻撃軌道を修正することが可能です。こちらも、蒼天機関(ガルディアン)の標準装備として推奨されています。





●空飛ぶ棺--Dybing fly board


 全工学開発局(サルヴァニア)が開発した、『地球に優しい兵器』がコンセプトの兵器です。正式名称は《ダイビング・フライ・ボード》です。見た目が黒一色に統一されている長方形型の箱で、大人一人分が余裕で入れる大きさです。

 主な使用方法は、高高度からの敵地潜入。その為に、使用者が落下中に酔わない様にジャイロコンパスと加速度計測センサー、及び、三半器官と平衡感覚を維持する機能を内蔵しています。

 しかしながら、主成分は炭素とタンパク質と特殊な酵母菌のみで製造されています。使用後に生分解モードに移行すれば、その場で勝手に自然消滅してくれるのが売りの一つです。





●精神感応鉱物--Espli Rosh


 幻幽都市でしか取れない鉱物の中でも、特に珍しい物理的・化学的性質を示す鉱物です。その特徴としては、持ち主の『感情の変化』に呼応して、形態を変化させるというものです。

 この鉱物には、『怒り』『哀しみ』『喜び』の三つの感情のいずれかが高ぶる事で、その真価を発揮します。劇中で火門再牙が装着しているガントレットは、暗黒竜鉱(ダイノセラス)と呼ばれる『怒り』の感情に呼応する精神感応鉱物(エスプリ・ロッシュ)から造られています。





●呪工兵装突撃部隊の警邏時における標準正装服


 全工学開発局(サルヴァニア)が開発した、防刃防弾・耐火耐薬品性を備えた服です。色は『潔白』を象徴する白色を基調とした厚手のジャケットで、襟元には銀の刺繍が施されています。

 肩には『無限』の象徴である黒いウロボロスと、『慈悲』を司る白鷺を組み合わせた、蒼天機関のロゴが刺繍されています。

 下も白を基調としたスラックスで、こちらは上記の特性に加え、動きやすいように伸縮性のある素材で造られています。

 靴は一見してスニーカーのようですが、大地を蹴った時に生じる反作用を推進力に変換する機能が付与されている為、軽く走っても百メートルを十一秒程度で走る事が可能です。鍛えていれば、十秒を切る事も可能。逆にそれほど運動神経が苦手な人でも、百メートルを十三秒程度で走る事が可能になります。

 なお、これは男性機関員・女性機関員共通の服装です。稀に女性の中には、パンツが見えそうな程、膝上ギリギリのスカートを履いている人もいます。別に規律違反ではないので、問題ありません。





●指輪型端末機


《外界》から幻幽都市にやってきた来訪者が、必ず身に着ける様にアルファ17から手渡される、宝石がはめ込まれた真鍮製の指輪です。宝石内部に座標位置を記録するチップが内蔵されており、常時、蒼天機関(ガルディアン)の中枢部へ波長を送り続けています。これにより、蒼天機関側は、外からやってきた人物が不審な行動をとっても、直ぐに対処することが出来ます。

 但し、上記は表向きの話であって、実際のところは経歴に怪しい箇所のある人物は絶対に幻幽都市へは入れない様にアルファ17が処置します。その為、この指輪型端末機はあくまで、訪問者に対する『威嚇』としての効果しか持たず、外しても特に問題はないというのが、都民の一般見解です。





●オルガンチノ--Organchino


 劇中で、火門再牙が外出時に必ずと言っていいくらい身に着けている、黄色のコートです。とある大事な人から譲り受けたこのコートは、『次元干渉』と呼ばれる機能を持っています。

 つまり、コートのポケットに秘密があります。このポケットは四次元空間と繋がっており、どんな物でも収納出来るという機能を持っています。再牙は普段、仕事で使う小物類を全てこのコートのポケットに入れています。

 一度ポケットに入れてしまえば取り出しは自由です。ポケットに手を入れて頭の中で取り出したい物をイメージするだけで、手の平に勝手に、取り出し物が吸い付いてくるという仕様になっています。





●空間干渉測定器--Bohr Scouter


 空間の歪みを計測する為に、全工学開発局(サルヴァニア)が開発した次元歪曲度測定器です。

 幻幽都市では様々な超常現象が多発しますが、その一つに『次元破壊現象』と呼ばれるものがあります。これは、空間が歪むことで次元が崩壊し、空間に巨大な『穴』が出現する超常現象です。

 この『穴』を通じて、次元を超えて別世界の勢力が攻め込んできた事もあれば、『穴』にうっかり触れてしまった事で飲み込まれてしまった被害もあります。

 これは、幻幽都市の科学力を持ってもしても防ぐことが出来ません。それならば、次元崩壊現象の予兆を知ろうと開発されたのが、この空間干渉測定器(ボーア・スカウター)です。

 単位はHzbで、5000hzbを超えると、甚大な次元崩壊現象が起こっている事を示しています。

 形状としては温度計に似ており、中には水銀とクロックと呼ばれる新元素を主成分とした半液体状の物体が存在します。次元崩壊現象が起ころうとすると、時間軸の出現速度を数値化して記録していき、警告を鳴らす仕組みになっています。




●ARCL


 拡張現実機能を有するコンピュータデバイスの事を指します。眼球部分にナノレイヤーと呼ばれる極薄の電極コンタクトレンズを被せて使用します。眼球運動やハンドジェスチャーで操作します。

 その機能は多岐に渡ります。活動量計、各種交通機関の運行状況チェック、銀行預金管理、外出中における自宅の遠隔監視、撮影機能、機械製義肢とのリンク機能、マップ検索機能など、出来ることは多いです。

 ARCLは軍事面でも活用されています。顔相認証システムと声紋判断システムを搭載させることで、指名手配犯の捕縛に一役買っています。

 蒼天機関の調査によると、実に全都民の四十パーセントがARCLを使用しており、そのうち電脳ユーザーの使用率は九十パーセントを超えているとされています。

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