信じたくない噂
私は那稜高校三年、吹奏楽部所属のぼっちでじみ~な高校生。モブキャラみたいな私の身にまさかあんなメールが届くなんて……。
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私は今、春休み明けの実力テストの為に最後の悪あがきとしてテキストを見ている。
「ねぇ、ちょっと聞いて」
クラスでぼっちな私とよく行動してくれる子が話し掛けてきた。うぅ、暗記教科だから覚え直したかったんだけどなぁ……。
ぼっちな私なんかと行動してくれる貴重な友達を失いたくない私は話を聞くことにした。
「どうしたの?」
「大きい声じゃ言えないんだけどさぁ……」
友達は一瞬周りを見た後、声を潜めてこう言った。
「将先生と雪華先生、実は浮気してるらしいよ。あたしの友達が先生2人が楽しそうに食事しているとこ見たんだって」
……はい? 将先生と雪華先生が浮気?
「2人とも吹奏楽部の顧問でしょ? だから部活の時ってどんな感じなのかなぁって思って」
「どんな感じって……別に普通に先生同士の話をしているだけで、特に怪しい様子はないよ」
厳しいけれど、部員から信頼と尊敬されている将先生が浮気だなんて。しかも浮気相手が出来る・出来ない子で生徒の接し方を変える雪華先生だなんて信じられないよ。
浮気の可能性があるならまだ、将先生の音楽が好きで、私達吹奏楽部の外部指導として来てくれてる女の先生なら有り得るけど。雪華先生より綺麗だし気配り上手だからね。
「さっきの話、本当に2人きりだったのかなぁ? 先生達はよく休日練習の時、私達の外部指導に来てくれてる女の先生も一緒に3人で昼食をとりに行くんだけど」
「でも2人で楽しそうにいたって言ってたよ」
「う~ん、たまたま外部指導の先生がトイレとかに行ってて2人だけになったところを見ただけじゃないかなぁ……」
「おーい、あと2分でチャイムが鳴るぞー! 席につけー」
「げっ、もう時間だ」
テストの監督の先生に言われて私達は急いで席についた。