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六.君への想いは進行中

 好きな人とは“停滞中”から“進行中”に変わりました。

 だからタイトルは“君への想いは進行中”で新しく本を書くことにしました。

 俺は新しい小説サイトを開いてタイトルを打ち込んだ。

 明日からは修学旅行だから修学旅行のことを書くことにした。楽しみだ。


 テストは他の学年よりも一週間始まった。同じ建物ではあるけれど、中学生としては最後のテストだから気合いを入れて頑張ろう!、としていたのに、…インフルエンザに感染してしまった。最悪すぎる。

 テストへの緊張の糸は外れてしまい、修学旅行の部屋や座席は決められず、卒業アルバムの集合写真にも写れなかった。中高一貫でも卒アルは作るみたいだ。四科目は受けられなかったけど、あとの五科目は受けられるから頑張ろう。

 少し揉め気味の俺たちのクラスで話し合った結果、部屋はほとんど仲の良い子たちとは別れて不登校の子たちと同じ...。あまり喋ったこともないし、しかも来るかも分からないし...。不安だ。あと、少しだけ…嫌だ。

 今回の行き先は…東京だ。最後に訪れたのは二年くらい前だからずっと楽しみにしていた。俺は楽しみすぎて、何週間も前からキャリーケースを広げてしまっている。早く修学旅行に行きたい。


 ついに待ち遠しかった修学旅行がやっと来た。

 いつもよりも早めに起きて、よく遊びに行く駅に学年みんなが集合して、そこから新幹線で東京まで向かう。

 新幹線の中ではトランプをしたり、しりとりをしたり。天気が良くって、富士山が見えてみんな大盛り上がり。富士山大きいなぁと、僕もぼーっと眺める。

 そして、新幹線は東京駅に着いた。

 一日目は自主研修。東京駅で別れてから、それぞれの電車に乗って、それぞれの場所へと向かう。

 グループメンバーは、俺と詩央里と菜々香とその菜々香の彼氏の颯太。映画みたいな…ダブルデートってこと...。

 四人とも同じクラスで、颯太と俺は休憩時間に結構よく話したりする関係だ。

 俺たちは見慣れない電車の線を見ながら、渋谷へと向かう線を探す。大阪環状線だったら分かるんだけどな...。さすがに地下まで駅が広がっていると頭が割れそうだ。

「これ、かな?」

 スマホで電車の情報を調べてくれていた菜々香が、電車の前にたどり着いて指を刺す。

「だと思う。うん、あってるはず。」

 詩央里もスマホを見ながらそう言って、電車に乗り込む。

 電車内のモニターに、“渋谷”という文字を見つけてホッと息をつく。

「やっぱり東京って都会だよね。歩いてる人はみんな標準語だから、余計に違うところに来たって感じするし。」

 隣に座っている颯太が電車からの景色を見ながら言う。前では菜々香と詩央里が楽しそうに話をしている。

「それな。菜々香以外みんな関西弁だから、標準語教えてもらわないとだな。」

「確かに。一人だけ東京に混じってるよね。」

「ほんとそう。」

 颯太と俺は菜々香と目があって笑う。向こうは不思議そうな顔をしてこっちを見た。急に目があって、笑われたら誰もがみんなその表情だと思う。

「てかさ、渋谷行ったらどうする?一旦別れる?」

「そうする?二人はなんかショッピングするって言ってたやんな?」

「そうそう。詩央里ちゃんと亮介はあれだろ、カフェ行きたいんだろ?」

「うん。じゃあ別れますか。」

「そうしよう。」

 電車のスピーカーからは「まもなく渋谷、渋谷です」とアナウンスが聞こえる。早く行きたい。


 俺たちは駅で菜々香と颯太と別れ、詩央里と二人になった。

「じゃあ行こっか。スクランブル交差点渡ってみたかったしね。」

 はい、と詩央里は照れくさそうに手を差し出す。

 その手を俺は優しく取る。握ったこの手を絶対離さないようにそう心の中で誓って、人の多い交差点を渡って、カフェへと歩く。迷いながらもなんとかたどり着いた。

「もう迷路すぎるね。さすがに着くまでに疲れすぎた。」

「違う違う、亮介が体力ないだけだよ。私ぜーんぜん疲れてないもん。」

 詩央里はクスッと笑う。

「まじー?これから遠回りして学校行ったら体力もっとつくかな?」

「確かに。それはそうかもしれないけど、でもいっつもギリギリに教室入ってんだからそんなことしなくていいよ。」

「確かに、まずは早起きからやな。」

 そうだよ、と詩央里が俺に返事を返して、次の方こちら、と呼ばれたレジの方へ行った。

 俺も飲み物とケーキを買って、席につく。周りを見れば、仕事をしている人とか、大人のカップルばっかりだ。俺たちだけ制服で、しかも普段は学校の時間なのにこんな所にいると変に思われないといいな。


 俺たちは新幹線や電車で疲れた疲労をここで癒す。

 LINEを確認すると、何時に渋谷に集合と颯太から連絡が来ていた。

 確かこの後は明治神宮でチェックを受けて、初の原宿で満喫する予定だ。


 約束の電車に乗るために、一時間くらいゆっくりしてカフェを出て、また駅へと歩き始める。詩央里が見つけてくれたこのカフェ。めっちゃオシャレで、雰囲気も最高だった。

「詩央里、ありがとう。こんないいお店見つけてくれて。」

「そりゃーまあ。彼氏と行くんだから、良いとこ行きたいじゃん。」

 詩央里は笑みを浮かべながら、俺と腕を組む。お互いに愛し合えてる気がして、詩央里をもっと離したくない。俺はそう思った。

「じゃあ今度は俺も良い店探して予約する。」

「えーーなにそれ。もうプロポーズされる感じ?私、まだ中学生なんだけどー。」

「そんなわけないないー。良いお店って高級なレストランに行くんじゃないんだしさ。」

「ふーん。まっプロポーズしてくれても良いけどね。」

 詩央里は顔を赤ながら、そっと違う方向を向く。とにかく可愛すぎる。

「あっ!ラブラブカップル発見!」

 誰かが走ってきて、そう言って俺の肩を叩く。この声は…菜々香。

「まだ駅着いてないのにあったねー。」

 颯太もそう言いながら近づいてきた。

「ね。そっちはどう?楽しかった?」

「うん。めっちゃ。やっぱり渋谷はそれぞれ分かれて正解だったんだろうな。」

「そうかもな。確か電車結構時間ないよな。ちょっと急ぐ?」

 颯太はスマホの時間を見て、走るか、と言い俺たちは駅まで走った。

 無事に電車に間に合って、そのまま原宿まで電車に揺られる。

 降りたら明治神宮の中を歩く。たくさんの木が生えてて、一体どれだけ前からこの建物が建っていたんだろうと思う。

 お参りをして、お守りを買う。

 これからもずっと詩央里と仲良く過ごせますように、と願う。

 そこからまた大きな木の中を通って、次は竹下通りへ向かう。

 竹下通りは思っていたよりも、何倍も人が多かった。俺たちは人混みを駆け抜ける。しっかり手を離さないで。

 そのまま少し暗くなるまで色々な店を回って、また電車に乗ってホテルへ向かう。

「今日めっちゃ楽しかった。行ったことないところにいっぱい行けたし。」

「ね。私誰か有名人いないかずっと探してた。」

「わかる。俺も。まあ誰もいなかったけど。」

 小さい声で少しだけ笑う。

「今日の夜、ホテルでちゃんと電話してよ?寝たらダメだからね。」

「もちろんもちろん。詩央里もね。」

「私は大丈夫だから!あ、電車もう着くじゃん。」

 俺たちは電車から降りて、ホテルへ向かって歩く。


 夕食を食べて、お風呂に入って、詩央里と約束していた23時に電話をかける。点呼も過ぎたこの時間なら先生が来ることもないはず。

 同じ部屋の子たちはそれぞれがスマホを触ったり、ゲームをしたり、すでに眠っている子もいる。唯一この部屋で仲良いのは颯太だけで、颯太も菜々香と電話をしていた。このメンバーだったからこそ、誰にも邪魔されずに詩央里と通話できるのかもしれない。

 まずは今日の振り返りから電話が始まった。

「なんかさ、今日のパスタ、言っちゃいけないけど美味しくなかったと思わない?」

「わかる。なんか水々しいというか、味が薄いというか。」

 せっかく作ってくれたのに、ごめんなさい。俺は厨房にいる誰かに心の中から謝る。

「そうそう。味が薄過ぎたよね。明日は美味しいの出てきてほしいよね。」

「だね。てかさ、その全部髪の毛下ろした姿可愛過ぎない?え?」

 ビデオ通話から伝わる詩央里の可愛さに俺はやられてしまった。

「ねーやめてよー。遊びに行った時、髪下ろしてたら絶対言うよね?いつものポニーテールあんま似合ってない?」

「いやいや、そういうことじゃなくて。ポニーテールも可愛いんだけど、下ろしてる方がもーっと可愛いってこと。」

「そんな頑張って弁解しなくていいから。ふふっ。…ありがとっ。」

 そんな弁解したつもりはないけどな。

「また今度は違う水族館行きたいね。」

「確かに。今日の自主研修に行ったら良かったなー。」

「ほんとだー。まあいっか。」

 その後も色々と話が飛んで、電話が一向に終わらずに三時に時間が変わろうとしていた。

「もう眠たいね。そろそろ寝る?」

「そうしょっか。部屋のみんなも寝てるし。」

 隣のベットで眠っている麻央、菜々香、玲奈ちゃんと順番に写す。俺も隣で眠っている颯太を写す。

「みんなねてるね。じゃあ私も寝る。」

「うん。俺も。じゃあーおやすみ。」

「おやすみ。好きだよ。」

 心がドキリと音が鳴る。

「俺も好き。」

 照れくさいけど、詩央里に気持ちを伝える。彼氏になったからって、詩央里への好きって気持ちは変わらない。

「うん。じゃあね。」

 俺は小さく頷いて、手を振って電話を切る。

 ボーっと天井を見ていると、いつの間にか眠っていた。


 二日目はディズニーシー。朝から晩までずーっと。

 お揃いのカチューシャを買って、お揃いのキーホルダーをカバンにつけて色々なアトラクションに乗る。

 詩央里はこんなにも怖いのが苦手なんだぁ、とかパレードの時は見たことないくらいテンションが上がっていた。そんな詩央里も見て、いつか家族できた時よりも、何十倍も楽しかった。

 でもアトラクションに乗ってる時、急にライドが止まって、安全確認のために暗闇の中に閉じ込められた。

 スタッフの人に続いて、どこがどうなっているのかも分からない状態で暗い道を歩く。

 手を握り合って、一緒に歩いたのは一生の思い出。お互いに手汗が出てないか不安で何回も聞き合った。別に俺は何も気にしないけど。

 いっぱい映えるところで二人で写真を撮って、笑い合って、最高の一日が終わった。

 さすがに昨日は夜まで起きすぎて、二人とも就寝時間よりも早く寝てしまった。


 三日目は国会議事堂を見学してから、飛行機に乗って帰る。

 国家議事堂はたまにテレビに流れてくる場所そのものすぎて驚いた。たくさんの人がいて、多分生涯これ以降来る用事なんてないと思うから、しっかり目に焼き付けることにした。

 飛行機では離陸する時もクラスみんなが盛り上がった。上空からの景色はやっぱり綺麗だ。

 隣の席の詩央里が途中で眠って、俺の方に頭が倒れてくる。今まで見たことなんかなかった寝顔もやっぱり世界一だと思う。

 あとで寝顔めっちゃ可愛かったよ、って言ったら恥ずかしそうに怒られた。

 いつもとは違うとこで、いつもとはまた違う詩央里と幸せな時間を過ごせた。

 この出来事を一生忘れないだろう。


 俺が詩央里に想ってる気持ちは進行中だ。お互いに。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

誤字などの訂正があれば、気軽に教えて下さい。

今まで連載していたこのシリーズを今回で終了とさせていただきます。最初は短編一作(君への想いは停滞中)のみの予定でしたが、沢山の方が読んで下さっていたことを知り、何作か続編を書かせていただきました。

本作のキャラクターは中高一貫校に通っているため、修学旅行編で切らせていただきます。

このシリーズはいつも手が止まらずに書ける作品で、自分の中でもお気に入りの作品です。何度も読んで頂けると幸いです。

他にも色々な作品を書いていますので、そちらも読んでみて下さい。

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