表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

一.君への想いは停滞中

 始業式から一ヶ月が経ち、中間テストはすでに終わった。

 今日は、待ちに待った席替えの日だった。

 席替えを楽しみにする理由は人によって違うと思う。回りが静かで授業中集中できるか、仲が良い子が近くにいるか、それとも少し苦手な子から離れられるかなど。

 でも大抵の中学3年生は“好きな人と近くになれるか”これだろう。もちろん俺もその内の一人だ。

 結果は斜め前のその前だった。ただ目で追うことしかできなかった。でもそれで良かったのかも知れない、だって隣になったからって喋れる訳でもない。お互い近くに友達がいなければ喋れるのかも知れない。けれどそんなことはまあほぼないだろう。

 席替えが終わり、休憩時間になった。学校ではあまり喋らないようにしている、唯一の女子友達の菜々香の所へ行った。中一からの付き合いで今でもたまに遊んだりしている。

「あっ、亮介。どうしたの?」

 ここは関西なのに相変わらず標準語。小学生になるまでは東京に住んでいたらしい。

「えーなんか席替えどうか聞こうと思ってー。」

「そんなの見たら分かるでしょ?最悪だよ。一列目だし、廊下に近いし。階段から上がってきた人と一番に目が合うし。」

 あはは確かに、と苦笑いをする。菜々香は廊下側の端っこで、一番前だった。

「逆に亮介どこだっけ?」

「あそこ、後ろから2番目で廊下から3列目。結構良いやろ?」

 自分の席を指差した。

「うわー羨ましいー。あ、詩央里ちゃん、今回離れちゃったのかー。」

 回りを見渡しながら菜々香はそう呟く。前回は隣で仲良くなったとか、なんだとか。詩央里...。ちょっとだけ胸がドキッとした。その人物こそが俺の気になる人だった。

「ふーん。じゃあまあ俺トイレ行ってくるわ。」

「はーい。」

 教室を静かに出た。詩央里の話を聞いていると自然と顔が赤くなるのが嫌だった。


 席替えをしてから、ずっと詩央里を目で追っている気がする。たまに自分がとてつもなく気持ち悪くなるけど止まらない。だって好きだから。プリントを後ろの子に配る時は、いつも目が合わないようにサッと目を逸らす、苦手な数学の授業中はどのくらいすぐ解けてるのか見てしまう。

 次の日の休憩時間、ロッカーへ教科書を直しに行く時に詩央里と菜々香の声が聞こえた。多分好きなアニメの話でもしてるんだろう。

 その姿を見て、なぜか胸がザワザワする。

 この気持ちは自分だけなのかも知れない。友達の友達を好きになるのはなぜか罪悪感があるこの気持ち。

 詩央里のことが好きって菜々香に言ったら、多分応援してくれると思う。

 でも勝手に、自分の気持ちにブレーキをかけてる。

 だけど、菜々香にその気持ちを伝えれない。


 今日はインスタで詩央里が、“君に聞きたいこと”という歌をノートで流していた。それを歌っているのは詩央里の好きなグループではなかった。

 もしかしたら好きな人がいるのかも知れない。それは自分じゃないのかな、と苦しい気持ちになる。でも逆に自分かも知れないと希望にもなる。それでもどうしたら良いのか分からない。


 まだ君への想いは停滞中、なんです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

沢山読んでくださると嬉しいです。他の作品も読んでみてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ