表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

契約事項

ご愛読ありがとうございます。YESとしか言えない契約結婚の始まりです。

 『契約書』

 僕の発言に全て従うこと。

 いかなる時も“はい”で返事。

 拒否は認めない。


 (何じゃこりゃ……)




「ドレスは脱がせやすいものを。胸元はガッツリと開けて。ガーターベルトとストッキングは必須。出来得る限り肌の露出は多めに」


「はい」


「色は淡い色味の物が良いね。下着もそれで。髪型はハーフアップ。化粧は薄めで頼む。それと僕が帰宅したら手を止めて直ぐに飛んで来ること」


「はぁ……」


「夫婦の営みは週3回以上。望めば何でも言うことを聞かねばならない。呼び名は好きに。膝枕は毎日欠かさず。寝室は一緒にね。浮気は死刑。異論は認めない」



 ポンっと書類に判をつき、目の前に座った見目麗しい侯爵様は、とんでもない契約内容を捲し立てる。

 

 口を挟む隙すら与えずに淡々と。豪勢な椅子にふんぞり返って、華やかな金の髪を掻き上げながら。契約結婚と言う名のもと、嫁いで来た私に自分の理想をスラスラと並べている。これが私と結婚する条件だとばかりに。


 いいのかな。これで……。ほぼ見た目とスキンシップについての提示しかされていない気がするけど。この館に来る前に侯爵様が言っていた『妻として献身的に(つか)えて欲しい』とは、このことだろうか。



「ま。とにかく僕が君に望む条件は日々の癒やしだから。そこのところ忘れずに」


「分かりました」


「君からは?」


「特に何も……」


「そうか。ならいい。この事はくれぐれも内密にね」


「えぇ」


「後のことは適当に使用人にでも聞いてやってくれたまえ。以上」



 ドンッと大金をテーブルに置き、侯爵様は()んだ碧眼(へきがん)を楽しげに潤ませてニッと妖しく微笑んだ。思わず生唾を飲み込んだ私を嘲笑うかの如く。ほら。これが欲しいんだろう?と言いたげに。



「よし。先ずは3回まわって僕にキス」


「あの、」


「服もパパっと脱いでこう」



 と、無駄に声を弾ませて、彼は甘えるような目付きで私に奥様としての初の仕事を言いつけた。


 ド変態と私の愛なし難ありの結婚生活。YESとしか言えない契約結婚の始まりである。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ