1.一夜明けて。
ここから第1章。
ほっこりとするように頑張ります_(:3 」∠)_
――アキラにとって、当面の課題は生活費の確保である。
それも一人分ではない。少なくとも、二人分の生活費だった。神という生き物が人間と比べてどう違うのかは分からないが、少なくとも食費は必要だろう。
そんな悩みのせいで少女は結局、昨夜は一睡もできなかった。
「どうしたの、お姉ちゃん。……目が死んでるよ?」
「え、いやぁ……? 大丈夫」
その一方、デウスは元気いっぱい。
これといった悩みもなさそうに、欠片ほどのパンを頬張っていた。そんな美少年の姿を見て、アキラの心はよりいっそうに重くなっていく。
これは可及的速やかに、一刻も早く次の仕事を見つけなければならない。
そんなことを考え、少女はコップの水を喉に流し込んだ。
「ところで、お姉ちゃん。一つお願いがあるんだ」
「……え、お願い?」
「うん!」
その時である。
デウスが甘えるような声色で、そう言ったのは。
何事かとアキラが首を傾げると、彼はこのように続けた。
「この街で、一番たくさん本がある場所はどこかな?」――と。
◆
そんなデウスの一言によって。
アキラの予定は、急遽変更を余儀なくされた。
「へぇ、ここが図書館かぁ!」
「ここは王都立国営図書館。世界中の書物を取り扱ってて、中には貸出できないものもあるから注意してね?」
「はーい!!」
アキラ、そしてデウスとマキナの姿は王都で一番大きな図書館にある。
どうして少年が本を読みたがったのか、それは分からない。だが勝手に動き回られて、自分に何かしらの問題が降りかかるよりはマシだ、とマキナは考えたのだった。
そんなわけだから、彼女は彼をここへ案内したのだが……。
「あー、そういえば……」
自身もふと思い立ち、とある事柄を調べることにした。
それというのも、神話についてだ。
「デウスの言うことが本当なら、何か分かるかも?」
デウスは年齢不詳だが、神々の長になる人物。
それなら、あるいは神話を扱った書物に何かしらが書かれているかもしれない。そう考えて彼女は、古い文献を扱っているスペースへと移動した。
そうやって、しばし捜索。
数分後、ちょうど読みやすそうな書物を発見し――。
「えっと、なになに……?」
そしてアキラが、項目を絞ろうとした瞬間だった。
「え、悲鳴……!?」
ページをめくるより先、近くで子供の叫び声が聞こえたのは。
とっさに、彼女は立ち上がって駆け出した。もしかしたら、デウスの身になにかがあったのかもしれない。そう考えたのだが――。
「デウス様ぁ! お会いしたかったですぅ!!」
「リリス、やーめーろー!?」
「…………」
たどり着いた場所にあったのは、思わぬ光景。
図書館司書の女性に、頬ずりをされるデウスの姿であった……。
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