3.いきなり始まる共同生活。
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「そ、それでデウス様は、どうして人間界に……?」
「『様』なんて付けなくて良いよ。お姉ちゃんはボクたちの恩人だし」
「そうな……ですか?」
「敬語もなし!」
「…………」
――ほんの少しだけ落ち着いてから。
デウス少年を前にして、一応は年長であるアキラはカチコチに固まっていた。それもそのはず、マキナのいうことが真実ならば、目の前にいるのは最高神ということになる。
神々を束ねる存在であり、人知を超えた力を振るう存在。
そのように神話で語られているのだ。
粗相があれば、即死。
アキラは半信半疑ながらも、最大限安全に橋を渡ろうとしていた。
「そ、それじゃあ……デウスはどうして、ここにいるの?」
「それについては、わたくしがお話しよう」
そんなこんなで、おっかなびっくりに訊ねる。
すると答えたのは機巧人形だった。おおよそ今の技術では創造し得ない存在である彼は、滑らかな動きで腕を組みながら頷く。そして、こう語った。
「デウス様はいま、武者修行という名目で見聞を広めておられるのだ」
「む、武者修行……?」
アキラがまた目を丸くすると、マキナはまた一つ頷く。
その上で、こう続けた。
「デウス様は神々の長に就任し、まだ間もない。そのため、見守るべき人間の世界がどのようになっているのか、知ることが必要と考えられたのだ」――と。
要するに、もっと人間たちについて知ろう、という話らしい。
アキラがなるほどと、小さく頷くと、それに反応したのはデウスだった。
「だけど、いきなりマキナが壊れちゃってさ。困ってたんだ」
「いやー……その節はご迷惑をおかけしました」
少年の言葉に、マキナが頭を掻く仕草をしつつ謝罪する。
そんな二人の様子を見て、アキラはふと思った。
「あれ……? だったら、二人はどこに泊まるの?」
もし彼らの話が本当だとしたら。
二人は今夜、いったいどこで過ごすつもりなのだろうか。
単純に気になったので口にすると、デウスとマキナは顔を見合わせた。
「どこに泊まるの?」
「さぁ……? わたくし、そこまでは手配しておりません」
そして、そんな会話をする。
沈黙が場を支配し、しばしの間を置いてから――。
「いや、どうするの!?」
耐え切れずにツッコミを入れたのは、アキラだった。
まだ神々の長である、という話を完全に信じ切ったわけではない。それでも、この二人の無計画さにツッコミを入れざるを得なかった。
しかし、それも手応えなく。
神界からやってきた二名は顔を見合わせ、なにか考えていた。そして、
「あ、だったらさ! お姉ちゃん、ここに泊めてよ!」
「はいぃ……?」
妙案を思いついた、という表情を浮かべたのはデウス。
彼はにこにこ笑顔でアキラにそう言った。
「どこにも行き場がないなら、この縁を大切にしたいな、ってね!」
そうして、もはや決定事項のように語るのだ。
マキナも納得したように、首を縦に振って同意している。
「え、いや……でも――」
「それじゃあ、よろしくお願いします! アキラお姉ちゃん!!」
「待ってよおおおおおおおおお!?」
あまりの展開に、アキラは頭を抱えて叫んだ。
しかし、身寄りもない少年を追い出す勇気もない。
そんなこんなで、神々の長という美少年との生活が始まったのだ。
◆
「……あれ、マキナ。なにを見てるの?」
「いえ、なにやら気になる小箱がありまして」
「小箱……?」
そして、アキラが別室にいる間のこと。
デウスとマキナの二名は、彼女の祖父が残した小箱を発見した。
「……何だろう、これ。なにか、特殊な魔力の残滓が感じられるけど」
「いまはもう、すっからかんのようですね」
「だね。いまは、ただの箱だ」
そして、そんな言葉を交わす。
ただしそれ以上は、何も分からない様子だった。
そうしていると、デウスはこんな冗談を口にする。
「もしかしたら『創世記の遺産』だったりして!」――と。
それは自分たち、神々の祖先が残したとされる『古代文明』のこと。
しかし、そんなたとえ話を聞いたマキナは笑うのだった。
「いえいえ。そのようなもの、ここに転がっているはずがないでしょう」
「だよねー!」
それにデウスも同調し、話は終わる。
小箱を基の位置戻してから、二人はアキラを探しに向かうのだった。
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