2.デウスという少年と機巧人形。
(*‘ω‘ *)ほっこり物語にしたいのだ。
今回ギャグっぽいけども。
「お姉さん、本当に直せるの?」
「分からないけど。どこが悪いのかは、なんとなく分かるよ」
アキラはひとまず男の子を自宅へ招き、人形を受け取った。
綺麗な金髪の少年だ。着ている服からして、良いところのお坊ちゃん、だろうか。円らな青の瞳をアキラに向ける彼は、とても不安げな表情を浮かべていた。
名前はデウスというらしいが、家名は教えてもらえていない。
これで本当に貴族の少年だとしたら、自分は何かの罪に問われるのだろうか。少女はそんなことを考えて冷や汗を流しつつ、ひとまず彼の人形を観察した。
「やっぱり、機巧だ。これ……」
このような構造、どんなものでも見たことがない。
アキラはしばし考えてから、人形のパーツに適した工具を探し始めた。祖父が残してくれたものには、本当に使い道の分からないものが多い。
それでも、今ばかりはその『意味不明』がありがたかった。
「あ、これならいけるかな……?」
そうして探すうち、一つの工具を発見する。
釘とは少し異なる『バツ印』の入ったパーツを回すのに、適した棒だった。祖父はそれをなんと呼んでいたか、あまり覚えていない。しかし、今ならそれの使い方もハッキリ理解できた。
アキラは一つ息をついてから、その工具を使って人形を解体していく。
するとすぐに、一ヶ所だけ金属線が外れているのが分かった。
「これは、熱して付ければ良いね。そうなると、こうやって……」
原因が分かれば、あとは単純な作業。
アキラは手早く人形の金属線を元に戻し、もう一度組み立て直した。すると、
「ア、アァ……あれ、デウス様。ここはどこですか?」
「うお!? 喋った!!」
なんと、その人形は途端に意思を持って語り始めるのだ。
アキラはそのことに目を丸くして、思い切り後退る。だがしかし、そんな彼女には目もくれず『機巧人形』は主であるデウスに対し、恭しく礼をした。
そんな人形の姿を見て、安堵の表情を浮かべるデウス。
アキラは信じられない光景を目の当たりにし、思わず少年に訊ねた。
「あ、あの……デウスくん? 少しいい――」
「デウスくん、だと! そこの人間、無礼を承知か!!」
「――ええ!?」
だが、それを遮ったのは他でもない機巧人形。
彼(?)はデウスの前に降り立つと、主を守護するように構えた。そして、
「貴様、この御方をどなたと心得る!?」
「え、えっと……?」
そのように、芝居掛かった口調で訊いてくる。
困惑するアキラ。そんな彼女の姿を見て、デウスがこう言った。
「ちょっと、マキナ……? お姉さん、困ってるよ?」
「いいえ、デウス様を御守りするが我が役目! ここは引けません!!」
しかし人形――マキナは聞く耳持たず、アキラに向き直る。
そして、こう言うのだった。
「知らぬなら、此度で覚えよ。この御方は――」
少年――デウスを示しながら。
「神界を治める神々の長、デウス様であらせられるのだぞ!!」――と。
それを耳にして、アキラは硬直した。
そして、
「え、ええええええええ……!?」
さらに困惑の声を上げるのだった……。
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