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【改稿中】地球から来た妖精  作者: 妖精さんのリボン
二章 嵐の中の来訪者
24/63

たくらみ

遅くなってしまい申し訳ありません。


ブックマークが10件に達しました。

応援ありがとうございます。

「うぇ、うぇ、ぐすっ」

「はい、タオル」

「おっ、おっ、ありっ」

「おかわりもどうぞ」

「あっ。ズズズッ、うみゃあ!」

「ゆっくり語彙力回復していけ。ズズッ」


 彼女が二杯目を食べ終わるのと、俺が一杯目を平らげるのはほぼ同時だった。

 ひとますお腹を満たして落ち着いたころだろうと思い、俺は彼女からすこし話を聞くことにした。


「俺、ドリアって言うんだ。嵐の中、大変だったでしょ。この天候で外に出るのは危険だし、収まるまでここに居なよ」

「ありがとう……お言葉に甘えさせてもらうわ」

「格好を見るに、君は旅をしているのかな」

「旅……まあ、旅と言えなくもない、かしらね。帰る途中なのよ」


 ほう。帰り道であったか。

 ピクシーの暮らす街かあ。やっぱりここみたいに森の中とかにあるんだろうか?


「それで、少し道を聞きたいのだけれど」

「道?」

「スクミンはどちらかしら?」


 ス、スクミン? ええと、街の名前だよな。


「いや、実は俺、この森から出たことが無くてさ。スクミン? とかいう街はちょっと聞いたことが無いな」

「…………ああ、そうなの。なるほどね」


 がっかりしたのか、少し眉を下げるラプンツェル。……もしかして、道に迷ったのだろうか?

 まあ、この嵐だもんな。まともに前なんか見えないし。


 いや、そこじゃないな。道に迷っているということは、彼女はマップが使えないということじゃないか。

 おそらく、マップやディクショナリーが使えるのは俺だけなのだろう。……やっぱりこの世界、なんか俺に優しすぎるぞ?


「ストレージは、使えるのか?」

「スト……何ですって?」

「ああ、いや。ずいぶんと荷物が少ないなって思って」


 彼女はバックパックのような物を入れる道具を持っていない。薬瓶やナイフは腰に付けているが、それはあくまでもいざという時に即座に使えるようにするためだろう。

 俺は、彼女もストレージを使えるのではないか、と思ったのだが。


「そりゃ、亜空間転送を使っているからね」

「へえ。……亜空間転送? ストレージじゃなくて?」

「亜空間転送。空間を作って荷物をしまう魔法・・よ。ストレージって言い方は、聞いたこと無いわね」


 うーむ。効果的には俺のストレージと全く一緒だ。

 ただ……俺のストレージって、魔法・・ではない、よな?


 出し入れしてもMPは減らないし。多分、俺のストレージシステムを魔法で再現したのが亜空間転送なんだろう。


 ――――――


 結局あの後、ラプンツェルと名乗った美女は疲れていたのかソファで寝てしまった。

 スイッチが切れたように突然すんと眠ってしまったせいで、あまり話は出来なかったな。色々と引っかかることがあるのだが、まあ、明日ゆっくり話せば良い。


 そしてもちろん、紳士としてはソファで眠りこける美女をそのまま放置するわけにはいかない。幸い二階には使ってない寝室がいくつもあるので、そこまで運んでゆくことにした。


「ん? この子のお尻の形、神じゃね?」


 もみもみ。

 ふむ、これが聖なる造形。やはり主は実在したか。


 お姫様抱っこをしても良いのだが、アレは足元が見えないし、女性側に意識が無いと全体重を腕で支えることになるので俺の負担も大きい。何よりも、ピクシーは飛行中に前傾姿勢を取るため人間より落下の危険が高いだろう。


 まあ、自衛隊も採用しているアレでいくか。


 ラプンツェルの腰をしっかり抱き上げて、意識の無い彼女を立たせる。前傾に倒れようとする彼女の内側に入って、お腹を背負うようにぐっと持ち上げる。

 この時、彼女の股に手を通してしっかり脚をホールドするべし。同じ手で彼女の手をとって、こちらもホールドしてあげるとなお安定する。


 いわゆるファイアーマンズキャリーってやつだ。背負い方や持ち方はいくつかあるが、多分このやり方が一番持ち手に負担がかからず安全だと思う。


 何とも映えない絵面なので、ドラマで採用されることは滅多に無いが。


 ラプンツェルを背負って、二階の寝室へと飛んでゆく。


 そういえば、人なんて来るのは初めてだから、掃除をしていなかったな。一旦ラプンツェルを部屋の外の壁にもたれさせ、パパッと掃除をする。

 洗濯魔法に何度も改良を重ねた掃除魔法で、ものの数十秒でおおよそのホコリを取り除く。


 ラプンツェルをベッドに横たえて、寝やすいように腰の物を外してあげる。後は布団をかければ良しだ。


「しかし、めちゃめちゃ綺麗な顔してるな」


 どこかのお姫様だと言われたら、俺は信じるかもしれない。赤い唇の艶めかしさといったら、この場で奪ってしまいたくなるほどだ。


「もしこんな美女に熱っぽく迫られたら、拒み切れないかもな。はっはっは。……さ、俺も風呂に入りますか」


 あまり女性の顔をじろじろ見るのは良くない。

 俺は寝息の一つも立てずに熟睡する彼女を残して、寝室を後にするのだった。


 ――――――


 ラプンツェルが目を覚ましたのは、深夜。月明かりすらも萎縮する闇が、地上を覆い尽くす時間。


 ラプンツェルは手際よく準備を済ませると、そっと部屋を出た。

 見つからないよう辺りを慎重に伺い、家の構造を確認してゆく。どうやら六階建てで、地下に一階、地上に五階分があるらしい。


 しかし、これはどういうことだろうか?

 外観に対してあまりにも内部が広すぎる。


 もちろん、建物内部の空間を拡張する技術があるのはラプンツェルも知っていた。しかし、ここまで拡張率の高いものは見たことが無い。


 一階に降りたラプンツェルは、トイレやキッチンを見て回った。

 とにかくこの家には金属が無い。せいぜい、キッチンの調理器具くらいだ。田舎なんてそんなものなのだろうかと最初は思った。しかし、そもそも森から出たことが無いのであれば、道具も手作りしているのだろうか?


「このザルとおろし金、亜鉛製ね。珍しい。もしかして、この家の物全部自給自足しているの?」


 だとするならば、金属は貴重だろうが。


「不思議な男」


 ラプンツェルがポツリと呟くと。

 それに呼応するかのように、背後からさわわっ、と木が葉を揺らしたような音がした。


 ラプンツェルはドキリとした。

 もしや、男が起きてきたのか。そう思って振り向くと、そこには白い鉢植えに入った観葉植物があるだけで、男は居なかった。


 植物が揺れた音なのか? 風もないのに?

 まさか、植物が一人でに動いたとでも言うのだろうか。


「まさかね。植物が動くわけない・・・・・・・・・もの。きっと外から聞こえてきた音ね」


 嵐は未だ収まる気配がない。暴風にはためく木々が立てた音が、静かな家の中に侵入してきたのだろう。


 ラプンツェルは三階へ向かった。特に理由があったわけではないが、一部屋しかないそこに何があるのか気になったのだ。


 そっと三階のドアを開けると、そこにはかなり広々とした部屋があった。

 部屋の面積に対して物が少なすぎるのが少し寂しいが、そこは重要ではない。あの男が心地よさそうに寝息を立ててぐっすりと眠っていたのである。


「確か、ドリアっていったわね。……ずいぶんと、個性的な名前ね」


 ストレートに変な名前と言っても良かったのだが、オブラートに包むくらいの淑やかさを忘れるのもどうかと思って言葉を探した。


「やるなら今、かしらね」


 ラプンツェルはそっと部屋に入って、ドアを閉めた。そして忍足でドリアの元へゆくと、そっとベッドに上がり、彼の布団に手をかけ――


「何をしてるんだ、ラプンツェルさん」

「……ぅ!」


 寝ていたと思っていた男に唐突に手を掴まれ、ラプンツェルは息を飲んで制止した。

 暗がりの中でも確かに感じられるドリアの警戒の視線と、己の緊張からくる鼓動。

 果てしなく高まってゆく脈拍に、ラプンツェルはパニックにならないよう努めた。


 両者の唯ならぬ空気は、ドリアの「えっ?」という間の抜けた声で霧散した。


「ラプンツェル、さん? 何で裸なの?」


 ラプンツェルはパンティしか身につけていなかった。

 肉付きの良いふとももや引き締まった二の腕、さらには胴までを惜しげなく露出している。


「て言うか、君も乳首やヘソが無いんだな」

「……チクビって何?」


 ドリアの脳をよぎるのは、この世界に来て二日目の時の泉での記憶。その時ドリアは自分に乳首やヘソが無いことを疑問に思ったが、もしかしたらこの世界の人は皆そうなのかもしれないとラプンツェルを見て考えた。


 しかし、今はそんなことは重要ではない。

 なぜうら若い女性が裸で男の寝床を訪れているのか。


「……えっ、そういうことなのか? いわゆる夜這いってやつなのか?」


 ドリアはようやくラプンツェルの目的にたどり着いた。


「他に何だと思ったの」

「いやほら、俺をどうこうして、金目の物を盗んで行くつもりなのかなって」

「ああ……そうよね。他人が寝床に入ってきたらまずはそう思うわよね。分かるわ」


 ラプンツェルはドリアのかけ布団を退けると、彼のズボンのボタンに触れた。

 思わずラプンツェルの手をはたくドリア。


「いやだから、何でこの流れで俺のズボンを狙うんだ」

「これでも容姿には自信あるんだけど」

「とっても魅力的です。男だって多少はムードというものを気にするんだからな!?」

「お、男なら据え膳くらい食べなさいよ。ちゃんと避妊魔法だってかけたんだから」

「何 それは本当かね!? それは……便利だ……じゃなくて。一回落ち着こうやコラ」


 そしてその魔法を教え賜う! というセリフを、ドリアはギリギリで飲み込んだ。


「レディの誘いを何だと思ってるのよ。いいから早くブツを出しなさい!」

「レディなら恥じらいを持てよ!」

「わ、私だって恥ずかしいのよ。でも逆レイプ寸前まで行っておいて、何というか、今更引っ込みつかないじゃない!」

「さては君、けっこう思いつきで行動するタイプだな? って、ちょっ、まっ、意外に力強いし!」


 やはり見込んだ通り、彼女は日頃からトレーニングをしている。ドリアはそう確信した。


 二の腕を掴んでねじ伏せようとするラプンツェルと、手足をフルに使って腰の上のレディを退かそうとするドリア。

 勢いで押し切ってしまえと思っていたラプンツェルは、意外に粘ってくるドリアに苦戦した。一番想定外だったことは、ドリアの動きから察するに彼は明らかに体術の知識を持っているということだった。


 それでも体勢的にはラプンツェルが有利なので、不毛な勝負は拮抗し、もはやハゲ親父達も哀れむ毛の一つもない泥仕合と……なりかけた、その時である。


 ぷすり、と。ラプンツェルは己の首に何かが刺さるのを感じた。

 反射的に手でそれを引っこ抜いて、刺さったものを暗がりの中目を凝らして見た。


 それは棘だった。金属製のものではない、硬くしなやかな細い棘だ。

 なぜ、こんなものが。そう思ったラプンツェルが棘の飛んできた方を向くと、驚くべき光景をそこに見た。


 閉めたはずの、部屋のドア。そこが僅かに開き、植物の枝葉の先っぽがひょっこりと覗いていたのである。


 なぜドアが開いている? 閉め忘れ? 閉め忘れだとしてもなぜ植物が?

 ドリアの家の一階には観葉植物があった。まさか、植物が自ら移動して、自力でドアを開けたとでもいうのだろうか。


「隙ありっ!」

「うっ、しまっ」


 ドアの方に気を取られたラプンツェルは、するりとドリアに拘束を抜けられてしまった。マウントを取られてなるものかと応戦しようとするラプンツェル。

 が、そこで彼女は自身の異変に気がついた。


 身体に、力が入らないのである。

 声を出そうとしてみるも、舌がほとんど動かず吐息のような音しか出てこない。


 その事実に驚く間も無く、ラプンツェルはろくに抵抗もできずにドリアに手を掴まれ、逆に拘束されてしまった。


 息を荒げるドリアと、ラプンツェルはしばし見つめ合った。このまま彼女を落ち着かせて、終わり。少なくともさっきまで、ドリアはそのつもりでいた。


 ラプンツェルの頬を赤らめた顔に、小さな劣情を催すまでは。


「……和姦ってことで良いんだよな?」

「ひっ……!」


 この男、こんな狙撃手のような目ができたのか。紳士的なドリアとは違う一面に、ラプンツェルは心臓を掴まれたように固まった。


 こうなってしまった原因について、ラプンツェルは察しがついていた。

 あの植物、棘に何を仕込みやがった!


「そうだよ。俺は何を抵抗していたんだ? こんな美女が私を食べてと囁いて来てんのに。……それなら望み通りにしてやろうじゃないの。下着姿で男のベッドに入るってのがどういうことか、朝まで説教してやるよ!」

「あぃはぉ、ひょ。うむっ!?」


 ラプンツェルはドリアに制止をかけようとするが、漏れるような声は全く意味を為さない。それどころかドリアの強引なキスで口を塞がれてしまった。


 ドリアはラプンツェルのうなじに左手を回し、右手を秘部へと伸ばしてゆく。


 ドアの向こうからさわわっと音がしたが、深まる闇の中で二人が気付くことは無かった。

チャーリー貴様ァ……


そういえばほぼ毎話ゲームネタを仕込んでいますが、何人の方が笑ってくださってるんでしょうね。

ゼロ? おっ、それはちょっと泣いちゃうな。

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