愛する君に渡したかった一通の記憶
僕の妻が最近おかしい。
自分の首を無性に掻きまくり、血が出ても行動は止めない。
妻に声をかけても、無視をし続け、なお私がここに居ないかのように首を掻き毟りつづける。
服は血だらけで、妻は泣きながら首を掻きむしりつづける。
妻「わたし.....わたし......わたし......わたし......」
妻は、わたし、わたしと連呼し続けた。
昼も夜も深夜も問わず、わたしと連呼し続け首を掻き毟った。
僕は、そんな妻の手を握り、首を掻き毟りをやめさせようとした。
しかし、妻は、行動をやめずに、涙と鼻水で顔を崩しながら呟いた。
妻「わたし.....わたし.....あなた.....わたし.....」
どうやら、僕の声は、妻に届いていないみたいだ。
妻は、ずっと鏡を見ながら、指の爪がえぐれそうになるまで、自分の首を掻き毟りつづけた。
妻「わたし.....あなた.....わたし.....あなた.....あなた?.....わたし....?」