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第七話 俺の何気ない一言は結構重いものらしい


『名前を付けてやる』。その一言は、想像以上の効果を齎した。


 俺の目の前には、縦横無尽に森を疾駆するダークウルフ。格上のワイルドボアに対しても、全く恐れを見せず猛攻を仕掛け、そして……。


「ワオォォォォン!」


 ドシンっと倒れ伏すワイルドボアの躯の上で、ダークウルフが初めて勝利の雄叫びを上げた。


 それは仕方が無いのかもしれない。だって、今の戦闘で目標にしていたLV15に到達したのだから。


 フンッ、フンッと、鼻息荒く俺の元にやって来るダークウルフを見て、俺は『やっちまったー』と軽く後悔していた。

 正直、軽く発破を掛けるつもりで言った『名前を付けてやる』の一言。まさか、こんなにも効果抜群だったとは……。


 森にやって来て、まだ二時間と少し。その間、魔物を見つけるや、ダークウルフが黒い弾丸の如く即座に飛び出し、魔物を狩る、狩る、狩る。


 あまりの気迫に、主であるはずの俺さえちょっと怖かったくらいだ。


 まぁ今回の目的としてはレベルアップだったし、何も問題は無いんだけれど……まさか格上のワイルドボアまで倒してしまうとはホント予想外。これからは言動に気を付けようと思いました、反省。


《反省して下さい》


 あ、はい……。


 あまりにもダークウルフが張り切るものだから、俺のレベルアップは全く出来なかった。俺も強くならないといけないんだけど……、チラッとダークウルフを見ると、何も言えなくなってしまう。ま、まぁまた今度レベルアップしに来ればいいか。


 それは一旦置いといて。問題が発生した。それは……名前だ。


 まさかこの短時間にレベルを6つも上げるとは思っても無かったので、全く考えてなかったのだ。

 いやぁ~、これには参った。今回は精々二、三くらいレベルアップすればいいところと思っていたし、ダンジョンに帰ってからゆっくり考えようと思っていたんだけど……。


 チラッとダークウルフを見る。フンッ、フンッと鼻息荒く興奮しており、キラキラとした瞳で俺を見詰めて来るのだ。


 これは……めちゃくちゃ期待しているっ!? やべぇ……変な名前は付けられないぞ……。


 内心ドキドキしながらもそれをおくびにも出さず、近寄って来たダークウルフの頭をワシャワシャと撫で褒めてやる。


「よ、よくやったな」

《声が震えていますよ、マスター》


 ……すみませんでした。全然ドキドキを隠せていません。


 だが、そんな俺の混乱は気付いていないようで、嬉しそうに尻尾を振るダークウルフ。そして、期待の眼差し。それ程までに名前を貰えることに歓喜していたってことだろう。


 そんなダークウルフを見ていると、何故か心が落ち着いてきて、ちゃんとした名前を付けてやりたいという想いが強くなってきた。


 さて、どうするか……。ダークウルフの特徴は、黒い体毛に赤い眼だ。これは俺の特徴と合致しており、尚且つダークウルフの個性である。

 俺が召喚したからかな? なんて考えていたのだが、別に関係なかったようだ。それは既に実証されている。


 黒……赤……狼……。


 ダークウルフの個性を思い付く限り、脳裡に列挙していき……決めた。


「約束通り、お前に名前を付けてやる。お前の名前は……シュヴァートだ」


 シュヴァート……正直、安易過ぎじゃね? と思ったんだけど、犬っぽいしいいかなぁっと。因みに語源は、シュヴァルツっていう黒と、ロートっていう赤のドイツ語である。


《ドイツ語ですか……厨二仕様ですね》


 おい、ヒイロ。なんでそんな言葉知ってやがる?


《マスターとの魂の回廊を構築している為、マスターの記憶に関しては既に閲覧済みです》


 え……ナニソレ。めちゃくちゃプライバシーの侵害じゃね? つーか、覗くなよッ!


《マスターの事を深く理解する為には必要な行為です。因みにですが、ベッドの下に隠していた同人誌が見つからなくて困っていたようですが、その同人誌はマスターが寝ぼけて箪笥の中に仕舞っています》


 え? マジ? あれお気に入りだったから、無くしてショックだった――って、おい!?


 ヒイロに構っていると何だか墓穴を掘りそうだ……うん、無視しよう、そうしよう。


 さてさて、ダークウルフ――シュヴァートの反応だが……あるぇ? ダ、ダメだったのか?


 シュヴァートと名付けた瞬間、ダークウルフはピタッと動きを止めていた。尻尾もまるで動いていない。これは……やっちまったか!?

 なんて内心汗ダラダラだったのだが……。


「ワォォォォオオオオオオオオオンッ!」


 と、今までで最大級の雄叫びを上げるシュヴァート。尻尾がブンブンと歓喜を表現していた。つか、その尻尾の回転でタ〇コプターみたいにその内飛べるんじゃね?


 ふぅ~……どうやらダメだったわけでは無かったようで、ただ嬉しすぎて束の間思考停止していただけみたい。あぁ~良かった。


 と、安心したその時。


「――えっ!? な、何だ一体!? 何が起った!?」


 突然、シュヴァートの身体を包む闇の繭。一体何が起こったのか判らず、慌てふためく俺。

 シュヴァートを助け出そうとその黒繭に手を伸ばしかけ――寸前のところで手を止めた。


「あぁ……そういうことか。危なかった……」


 何故、手を止めたのかと言えば、それは〈分析〉先生によって詳細が判明したからである。



 進化の繭……種族進化に伴って身体構成組織を改変するに当たり、本体を包み込んで保護する覆い。



 ホントに危なかった。〈分析〉先生が居なければ、俺は慌てて進化の繭をブチ破ってしまうところだった。

 ……反省。取り乱すなんて一番しちゃいけないことだよな。何か不測の事態が起こったとしても、ちゃんと冷静沈着を心得ないとな。これじゃあ俺を慕ってくれているシュヴァートに申し訳が立たない。


 ふぅと深く深呼吸を一つ。うん、心が落ち着いて来た。なら、俺が今しなければいけないことは……。


「安全確保だよな。今、シュヴァートは進化中で一番無防備だ。俺が守ってやらないと」


 どれくらい進化に時間が掛かるのかは不明だ。〈分析〉先生でもそれは判らないらしい。因みにヒイロも判らないらしい。使えねぇ……。


《フェイクコアを量産することによって、私の機能も向上しますので。将来性を考慮して頂きたいです》


 へぇ~。言い訳にしか聞こえないけど、今はヒイロよりもシュヴァートの事だ。

 ここは魔物が跋扈する森。いつまでもこんな所にはいられない。現状、一番の安全地帯と言えば、俺のダンジョンだろう。


 動かしていいものか……物は試しと、慎重に慎重に黒い繭に触れ――そっと持ち上げた。

 暫く、その状態をキープ。特に問題は無さそうだ。なら、このまま運んでやるか。


 俺にはシュヴァートから貰った〈影移動〉がある。このスキルは非常に便利で、影と影を繋げば、障害物や道なりなども関係なく、一直線に移動できるのだ。


 まぁ転移魔法(?)のように一瞬で移動できるわけじゃなく、影の道を通るって感じだと思ってくれればいいかな。

 なので、この〈影移動〉スキルを使えば、時間短縮になるのだが……。


「今、コイツは進化中だ。どんな影響があるか判んないしなぁ……。〈影移動〉は使わない方がいいだろう」

《そうですね。私もマスターと同意見です》

「だよな」


 という事で、便利な〈影移動〉がどう進化中のシュヴァートに影響するか不明なので、慎重に俺が運んでいく事にした。


「悪路走行」のおかげで、でこぼこ道も黒繭を揺らすことなく、ダンジョンがある洞窟に帰還。魔物の襲撃も無く、ふぅ~と安堵の息を吐き出す。


 洞窟はそこまで広くないので、直ぐにダンジョン内に続く門が見えて来た。だが、そこには一つ小さな影があり……。


「ただいま。問題は無かったか?」


 俺はその小さな影に声を掛ける。すると、「ゴブッ」と礼儀正しく敬礼するゴブリンの姿が。

 このゴブリンはシュヴァートの後に、試しで召喚したゴブリンだ。魔物召喚について気になっていた事が色々とあったので、検証役を担って貰っていた。


「ゴブ……?」


 ゴブリンが小首を傾げながら、俺の持つ黒繭を興味津々で見詰めている。


「あぁ、これはな。シュヴァートなんだ。あぁ、ダークウルフね。名前をあげたら、急に進化しちゃって」


 物凄く簡単に説明してやると……眼をクワッと見開き、硬直するゴブリン。そして、何を思ったのか、ふぅ~っと深く息を吐き出すと、壁に立て掛けていた剣を手に取り、ブンッ、ブンッ、と素振りをし始める。


 正直……意味が判らんのだが……? アピール……って訳でも無さそうだし……。


 一心不乱に素振りをするゴブリンに、俺の頭には疑問符が浮かび上がる。


《一体どうしたんでしょうね?》


 まぁよく判らんが頑張っているし、そっとしておこう。それよりもまずはシュヴァートを休ませてやらないと。


「んじゃ、俺は行くからほどほどにしておけよ」


 軽く声を掛けてから門を潜って、俺は居室へと戻っていった。




        ◇   ◇   ◇




「んじゃ、俺は行くからほどほどにしておけよ」


 主からの声掛けにハッとしたゴブリンは、素振りを止め、ダンジョン内に去っていく主の背に敬礼し見送る。

 完全に扉が閉まるまで直立不動で見送っていたゴブリンは、扉が閉まると同時に、また一心不乱に素振りを再開する。


 このゴブリンはシャンが検証の為に召喚した魔物だった。


 その検証の一つは、召喚した魔物は外見的特徴がシャンに似通るのかどうかというもの。


 シュヴァートが余りにもシャンに似通った特徴を有していた為、試しにゴブリンを召喚して検証してみたわけだが、このゴブリンは矮躯に緑の肌、黄色い瞳と、全くシャンの特徴に一致していなかった。その為、シャンが召喚したからといって、魔物にも特徴が反映されるわけではないと結論付けた。


 検証二つ目。それはレベルアップに関して。


 シュヴァートは囮作戦によって、いつの間にかレベルアップをしていた。どういった条件で経験値を獲得し、レベルアップをするのか。

 気になったシャンはこのゴブリンに素振りを命じ、訓練によるレベルアップが可能か検証中なのである。


 シャンにとってはただの検証実験。しかし、命じられたゴブリンにとっては、創造主による命令だ。絶対に失敗は出来ないと愚直に素振りに取り組む日々。


 ゴブリンは一心不乱に素振りを続けながらも、頭の片隅ではある言葉が繰り返し流れていた。


『あぁ、これはな。シュヴァートなんだ。あぁ、ダークウルフね。名前をあげたら、急に進化しちゃって』


 ――名前をあげたら、急に進化しちゃって……名前をあげたら……名前を……。


 ブンッと空気が鳴り、剣筋が鈍った感覚に、ゴブリンはふと素振りを止めた。そして、手の中にある剣をジッと見つめる。

 この剣は偉大な主であるシャン様から下賜された剣。たかが低級モンスターであるゴブリンが持つには上等すぎる剣――実際は10DPとシャンにとっては安物の剣だったりする――である。


 ――自惚れていた。この剣を貰えるのは期待されているからだと、いつの間にか自惚れていた。


 思わず手に力が入り、ギリリと奥歯を噛み締めてしまう。


 ――ダークウルフ……シュヴァート様は、名前を頂いた。それはシャン様の期待に応えたからだ。俺もいつかは……。


 ふぅ~と深く息を吐き出し、身体の強張りを意識的に取り除く。そして、また一心不乱に剣を振るう。


 ただ愚直に。ひたむきに。全ては創造主であるシャン様の為に。


 その剣筋は、一振り毎に硬さが取れ、次第に洗練されていく。


 正直に言えば、シャンにとっては全く期待していないゴブリンである。なにせ最下級の魔物だ。期待する方が間違っているとも言えなくもない。

 だが、シャンの何気ない一言が、その最下級のゴブリンの闘志に火を着けてしまった。


 そして、いつの日にか世界中が驚愕する。この最下級のゴブリンが全ての剣の使い手の頂点に立ち、そして畏怖と共にその二つ名が語り継がれることになる――剣鬼と。


 それはまだまだ未来の話である。




        ◇   ◇   ◇




 シュヴァートが進化を開始してから三日。未だ黒繭の中で眠ったままだ。


 正直、進化がここまで時間が掛かるものだとは思ってもみなかった。あの時、真っ先にダンジョンに戻って来ることを決めて良かったわ。うんうん、ナイス判断、俺。


 初日は心配でずっと見守っていたんだけど、流石に二日目になると……こう言っては失礼だが……飽きた。うん、ゴメンね? 苦情は受け付けるから。

 でもでも、ホント暇なんだよね。全く変化ないし……俺じゃなくても飽きると思うんだ。


《暇ですねぇ~……》


 ほらね? ヒイロもこう言っているし、俺は間違っていないのだ。


 とはいえ、シュヴァートの傍から離れようとは思っていない。いつ不測の事態が起きるか判らないしな。まぁ不測の事態が起きてしまっても、どうしようもないのだけれど。


 とにかく、シュヴァートが進化中に付き、恒例の囮作戦が実行出来ていない。なので、常時システムウィンドウでマンティスを監視中。多少移動したようだが、今の所問題なし。


 囮作戦が出来ていないからDPも増えていない……とでも思ったかッ! ふふ、実は先日のレベルアップ作戦にてかなりのDPを確保しているんだな、これが。

 シュヴァートが張り切ってくれたおかげで、なんと8200DPもあるのだ。目標まであと少しだ。後少し……あと少し……なんだけど……。


「暇すぎて、色々DP使っちゃいそう……」


 暇なのでシステムウィンドウ上で色々と見ている内に、無性にDPを使いたくなってきたのだ。


《マスター、使っちゃいましょう!》


 なんか悪魔の囁きが聞こえて来た。あれ? 悪魔は俺だっけ?


 魔物を召喚したいし、ダンジョンも改造したい。居住性も……あぁ、クソッ! 衝動が止まらないッ!


 というか、今まで我慢して我慢して、使ってなかったんだ。ここで使ってしまっても誰にも怒られなくない? というか、俺がこのダンジョンの主だし、俺の好き勝手に……あぁ、ダメだ。思考が危ない方に向かってしまう、ふぅ~……落ち着こう。


 昔から俺はお金でも持ったら持った分だけ使っちまう癖があるんだよね。お年玉とか三が日中に使い切るのが当時のモットーみたくなっていたし。

 宵越しの金は持たねぇぜ! って、バカみたいなこと言って、皆を呆れさせて……。


 少しノスタルジックな感傷に浸っていると、突然『ピーッ! ピーッ!』と警告音が鳴り響く。


 まさかアイツが動いたんじゃ!? と、少し焦りながらもシステムウィンドウを即座に確認。


 ふぅ~、どうやらこのダンジョン付近に移動して来たわけじゃないみたい。シュヴァートが進化中にアイツがやって来なくて良かったわ。

 一応ダンジョン内を点検するも、異常は無し。侵入者ってわけではないらしいし、なら、今の警告音は……?


「……ん? この反応は……人間?」

《どうやらそのようですね。初めての人間ですか》


 どうやらダンジョン領域内に、人間らしき反応が見つかった。これが警告音の正体だろう。


 魔物に関しては〈分析〉先生をインストールして、ある一定の脅威度が無ければ、領域内に侵入されようと警告が鳴らない仕様に変更している。あ、勿論ダンジョン領域にってことね。流石にダンジョンに侵入されてしまったら警告されるようにしているよ。


 さて、俺は今、『魔物に関して』と言った。人間に関してはどれ程弱者であっても、領域内侵入に警告を発するようにしたままであった。


 理由は色々とあるんだけれど、一番の理由は、俺がこの世界の人間についてあまりにも知らないから。いや、人間だけじゃない。この世界についての全てに対し、俺は情報的不利に陥っているのだ。

 俺は転生(?)してから、草原地帯、森林地帯の二地域しか知らない。知的生命体との接触はゼロだ。

 かねてから俺はこの世界についての情報が欲しかった。どんな種族がいるのか、どんな国があるのか。強さは? 平均レベルは? 等々、知りたいことなんて山ほどある。


 このダンジョンが安定してからだが、いつかは情報収集しなければと思っていたんだけど……。


「これは……チャンスか?」


 領域内に侵入してきた反応はふた――あ、いま一つに。


「あ~ッ! 待て待て! 魔物に襲われているじゃんかッ!」


 このままでは貴重な情報源が無くなってしまう!


「シュヴァート! 聞こえているか判らんが、俺は行って来るぞ!」


 未だ黒繭状態のシュヴァートに声掛けしてから〈影移動〉を発動。影に身を滑り込ませる。


《ちょ、ちょっとマスター!? お一人では危険ですっ! お戻り下さいっ!》


 ヒイロが慌てて、俺に帰還する様に告げて来るが……。


「いや、でもな、ヒイロ。情報は大事だろ?」

《確かに仰る通りですが……》


 ヒイロの困惑が伝わって来る。情報の大切さを俺の記憶から読み取っているだけに、強く否定も出来ないみたいだ。

 それにヒイロにはどうやっても俺を物理的に止める事は出来ないし、俺が動き出したら止まらないということも既に知っている。


《はぁ~……。もし危険に陥ることがあれば、即座に撤退して下さい! マスターの代わりは居ないのですからっ!》

「はいはい。判ってるよ」

《絶対ですからねっ! 約束しましたからっ!》


 毎度毎度思うんだけど、ヒイロって結構過保護だよなぁ~。


 とにかく黒一色の影空間を走る、走る、走る。


「そう言えば、詳細を確認するの忘れてたな……。むっさいゴリマッチョのおっさんだったら見捨てよう」


 中々外道な事を考えながら走り、出口が見えた瞬間、飛び込んだ。


 黒一色の影空間から一変。緑豊かな森林の風景に切り替わる。


 どこだ!? 即座に辺りを見渡すが……ただただ草木が広がっているだけ。侵入者はおろか、魔物の姿も見受けられない。


「チッ。有能スキルだけど、どうしても距離だけは縮まらないのが難点だよな。〈影移動〉って」


〈影移動〉は決して転移スキルではない。ただ特定の影と影を結び、直通の影空間を形成するだけであり、距離・時間などを無くすわけでない。まぁそれでもかなり有能スキルだと思っているけどね。


「ハァ~……折角の情報源だと思ったのに。まぁ仕方な――」

『キャァ~~~~~~!』


 ――ッ!? 耳をつんざくような悲鳴が聞こえた瞬間、俺は駆け出した。


 どうやら目測を見誤ってしまったらしい。システムウィンドウ上で出口地点を設定したんだけど、表示されている地図の縮尺を考慮出来てなかった。


 こんな所で出不精なのが災いするなんて……。


 ちょっとした反省をしながら、急行する。そして、俺が見たものは……。


「――なッ!?」


 今まさにキラーアントの鋭い前脚に身体を貫かれてしまった少女の姿だった。




*ここまでご覧下さって、誠にありがとうございます。

*次回更新日は、2019/8/22 16:00の予定。

*ブクマ登録、評価、感想等々よろしくお願いします。

*誤字・脱字や設定上の不備等・言い回しの間違いなど発見されましたらご指摘下さい。

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