第三五話 魔改造された能力を確認しよう
――第四階層、街建設予定階層。
この階層は、街を建設する予定の階層であり、階層追加しただけのデフォルト設定のままである。
剥き出しの無骨な岩肌に、一寸先も見通せない暗闇。ただただ巨大な空間が広がっているだけの階層だ。
こんな何も無い場所にやって来て、一体何をするかって?
それは、ヒイロが魔改造したスキルの能力把握及び、練習の為だったりする。
本当はもっと早くに取り掛かるべき案件だったのだが、白焔龍の襲来によって、延び延びとなっていたのだ。
その白焔龍は今、第二階層で魔物軍との模擬戦を行っている。どういう風の吹き回しかは判らないし、もしかして戦闘民族なのかもしれないけど、とにかく白焔龍が俺から離れている今しか時間が取れなかったのである。
何故、スキルの練習及び検証をするのか。その理由は、十全にスキルを使いこなす為である。
俺の認識では、レベル<ステータス<内包魔素量<スキルの順で重要度が高いと思っている。
仮にLV30のゴブリンが居たとして。レベルで優っているLV20の夢魔族に打ち勝てるかと言われれば、答えはノーだ。如何に高レベルだとしても、弱小種族では上位種族にステータス値で劣ってしまい、10レベルの差があっても勝つことは難しいだろう。
では、ステータス値を上回る程、レベル差があった場合はどうなのか。
結論から先に言えば、内包魔素量の過多で勝敗が決まる。
それは何故なのかと、前にヒイロに聞いたのだが……正直、俺には難解過ぎて理解出来なかった。なので、内包魔素量が多い方が強いとだけ判っていればいいのだ、うん。
《……》
ち、因みに、内包魔素とは、魔物にとっての生命力に等しい。あらゆる魔物は、内包魔素が枯渇すれば死亡してしまうので、内包魔素に関しては常に気を付けておかなければならない。うっかり内包魔素を使い切って、ポックリ逝ってしまうなんて恥だしね。
ちょっと脱線してしまったが、上位種族に進化する程、内包魔素量が飛躍的に増大する為、未進化のゴブリンと夢魔族では、内包魔素量の多い夢魔族の優位性は覆らないだろう。
しかし、ここで強力なスキル――固有能力をゴブリンが持っていたとしよう。すると一転、上位種族である夢魔族を打ち負かしてしまう可能性が高くなる。
例えば、俺の固有能力『炎帝』をゴブリンが所持していた場合、獄炎を放つだけで完勝出来る可能性がある。どれ程ステータス値に差があっても、夢魔族に獄炎に対抗出来るスキルが無ければ、ゴブリンの勝利はほぼほぼ確定的だ。
まぁこれは例え話だし、現実的な話では無いけどね。単なる情報の比較だ。それでもスキルの重要性は理解出来たと思う。
最近、俺が解析鑑定してもステータス値を表示しないのは、それ程重要性が高くないからである。まぁ、ごちゃごちゃと数字を出されるのがちょっと面倒だなぁと思っているのもあるけどね。
一番重要度の高いスキル関連は、必ず表示させているので問題は無い。ただ、白焔龍のように、圧倒的上位者には解析鑑定出来ない場合があるので注意が必要だ。
次に重要視している内包魔素量に関しては、わざわざ数字化しなくても体感的に理解出来るのだ。折角、数字がごちゃごちゃして面倒だったステータス値を非表示にしているのに、内包魔素量を数値化するなんて、ねぇ? これ以上は言わなくても判るよね?
ということで、レベル<ステータス<内包魔素量<スキルの順で重要度が高いという認識だ。だからこそ、スキルに関しての検証や特訓はめちゃくちゃ重要だったりする。
では早速、時間も限られているのでとっとと確認していきますか。
あ、因みに暗闇は一切問題にならないからね。俺には特殊能力〈魔力感知〉が有るので、暗闇だろうが魔素があれば認識可能なのである。
先に確認すべきスキルは、やっぱり固有能力だろう。中でも気になるのは、固有能力『炎帝』だ。
『炎帝』……火炎支配・獄炎操作・高速詠唱・炎鎧
まずは、馴染み深い炎鎧を使ってみよう。
全身から妖気が迸り、問題なく身体強化。ふっと軽く地面を蹴り出せば、まるで弾丸の如き爆発力を以って、凄まじい速度で駆け出す。
うん。羽のように身体が軽い。それに敏捷性も以前に比べて格段にパワーアップしているようだ。
今までは紅く色付いていた妖気にもちょっと変化があり、黄金色の燐光を放つようになっていた。……俺の髪、金髪になって逆立ってないよな? あ、よかった。逆立ってないし、色も黒のままだ。
魔素効率もバカにならない程軽くなっているし、これならば思考加速を併用しての高速戦闘も可能だろう。
《使用魔素量は以前の一〇分の一を下回り、身体強化率は約一〇倍に改良されております》
それはもはやバージョンアップというより、チューンアップでは? いや、やっぱり魔改造って言葉の方がしっくりくるわ。
身体の調子を確認する様に、正拳突きに、アッパー、フック、ローキックに、ハイキック、回し蹴り……と、思うままに各種攻撃を繰り出していく。
そのどれもが必殺の威力が込められ、空気を切り裂き、穿っていく。
最後に後ろ上段回し蹴りを決め、残心。ふぅと深く息を吐き出し、構えを解いた。
「これなら……勝てる!」
《一体誰にでしょうか?》
あ、うん、なんかゴメン。ただ何となく言いたかっただけなんだ。だから、そんな真面目に聞かないでおくれ。
と、ともかく、ヒイロの報告によれば約一〇倍の強化率だ。もはや俺に勝てる奴なんて――。
《マスター、上には上がいることをお忘れなく》
――いるよねぇ。うん、判ってた。調子に乗ってゴメンナサイ。
さて、お次は魔法を使ってみよう。炎鎧の強化具合から考えて、魔法もかなり期待出来るな。
腕を前に伸ばし、掌を上に向け、炎を宿す。暗闇を照らす幻想的な蒼き炎がゆらゆらと燃ゆる。
「火炎魔法」でも問題なく蒼炎が使えるようだ。さて、威力の方はどうだろうか。
俺は闇影支配によって、背丈程の大きさの岩石を取り出すと、拳大の蒼炎を放った。
「おぉ~!」
蒼炎が岩石に触れた瞬間、豪ゥッ! と音を立てて燃焼。拳大の蒼炎が身の丈程の岩石を包み込んだかと思えば、次の瞬間にはドロドロとしたマグマ状へと融解した。
予想以上の威力だ。以前であっても蒼炎によって岩石を融解することは可能だったのだが、今見たように瞬く間にとはいかなかった。
……などと、思考加速を用いてまで暢気に考察している俺だが、実は今、危機的状況にある。
まるで津波のように融解したマグマが目前へと迫って来ているのだ。岩石を取り出した位置がすぐ目の前だった事と、予想以上の威力だったことが原因。
このままだとマグマの波に飲み込まれてしまう! ……なんてな。今の俺にとっては、これくらいの事は危機とは言えないのだよ。
さて。そろそろ目がチカチカしてきたし、さっさと炎鎧を使って、退避……しよ……う? あれ? 何で炎鎧が発動しない!?
《現在、炎鎧は改良中につき、使用不可です》
ほわぁ!? 何やってんの、ヒイロ! 今することじゃないだろッ!?
《現在、炎鎧は改良中につき、使用不可です》
こ、こいつ……マスターの危機だと言うのに、何暢気な事を――って、あぁ!? もうマグマが!?
「ひやぁぁあああ! 燃えるぅ~、燃えちゃうよぉぉぉ!」
押し寄せたマグマに飲み込まれ、絶叫する俺。あぁ、楽しかった異世界生活ももう終わりか。ごめんな、皆。俺は先に逝くから。
ギュッと目を瞑って、死の瞬間を待つ。待つが……いつまで経ってもその瞬間は訪れなかった。
何かおかしい。そう思って目を開け、状況を確認する。うん、間違いなく俺はマグマの中にいるね。だけど、何故か全く熱くも痛くも無いし、身体が溶け出すようなグロテスクな状況にも陥っていない。な、何故だ!?
《耐性スキル「炎熱無効」の検証が完了。解析結果との差異はありませんでした》
あぁ~そういうこと。そう言えばあったわ、「炎熱無効」。だから高温のマグマの中に飲み込まれても平気なのね。すげぇ~わ、「炎熱無効」。
てか、ちょっと待てよ。「炎熱無効」をすっかり忘れていたのは、俺の落ち度だけどさ。ちょっと気になることがある。
確か、さっきヒイロは《耐性スキル「炎熱無効」の検証が完了》とか言ってなかったっけ? いや、言ってたよな? つまりそれって意図的に炎鎧を使用不可にし、「炎熱無効」の検証の為にわざと俺をマグマに飲み込ませたってことだよな?
《告。そのような事実は確認されておりません》
あ~、こりゃクロだな。ヒイロが淡白な口調の時は、何か隠したい事がある証拠だし。
《私がまるで悪いみたいじゃないですか。もう、ぷんぷん!》
まるで悪いみたいじゃなくて、確信犯だろ! さぁ、罪を告白したまえ!
《……黙秘権を行使します》
……おい。いつ黙秘権なんて認められたんだ? つーか、それってもう答えているのと同じじゃね?
はぁ~……もういいや。別に痛い思いをしたわけじゃないしな。「炎熱無効」の効果を実感できてよかったと思う事にしよう。
《流石はマスターです》
いや、俺は許してないよ? そこんとこ間違えないでね?
さて。ヒイロに謀られて酷い目に遭いそうになったが、気を取り直して検証の続きだ。
もう一度、闇影支配によって岩石を取り出す。マグマに飲み込まれるという恐怖体験はいくら「炎熱無効」があるとはいえ、二度と経験したくない。なので、設置した岩石から充分距離を取る。
充分離れた所で、蒼炎を右腕に纏わり付かせた。スッと腰を落として右腕をきりりと引き絞り――。
「〝螺旋焔・改〟ッ!」
――岩石目掛けて、勢いよく拳を突き出し、放った。
渦巻く蒼炎が弾丸となり飛翔。岩石の中心を抉り穿つ。
岩石を穿った蒼炎は、些かも勢いを衰えさせる事無く直進。以前のままであればこの一撃だけで終わりだったが、今の俺には火炎支配があるのだ。
火炎支配によって飛翔する蒼炎を操作し、岩石を的に上下左右前後から幾度も叩き付ける。
先のように融解するのではなく、粉々に粉砕してやった。
うん、ここまでする必要は無かったな。ストレスが溜まっていたんだろうか。粉々に砕け散った残骸を見て、微妙な気持ちになってしまった。
というか、なんだがノリノリで「〝螺旋焔・改〟ッ!」とか叫んじゃったのが、今になって思い出すとめちゃくちゃ恥ずかしい。新たなる黒歴史として封印しておこう、うん。
《何故ですか? 私はカッコイイと思いますが》
やめてぇ~! それ以上、この話を掘り下げないでぇ~!
とにかく。憎きマンティスを屠った〝螺旋焔〟は、蒼炎を併用することで、格段に威力――それも貫通力が向上した。これなら実戦でも充分使えると思う。
ただ、火炎支配の方は微妙だ。炎を操れるというのはロマンがあっていいのだが、実戦では火炎支配で操るよりも、連発して「火炎魔法」を放った方が、より効果的だろうな。使用魔力もかなり少ないしね。
ここまでは既存の魔法ばかりだったので、お次は新しく獲得した「獄炎魔術」の使用感でも試してみよう。
「火炎魔法」と「獄炎魔術」の違いとは何か。
その答えは、掌の上で燃える黒い炎である。
色しか違いがないじゃないかッ! と、思うかもしれないが、いやいやこれは全くの別物だ。
何せ「炎熱無効」がある俺でさえ、その圧倒的な熱量を感じ、更に痛痒まで受けて、慌てて放り投げたんだから。
この黒き炎の正体は、地獄の炎らしい。地獄にある炎だから獄炎というわけ。
この獄炎の特徴は、その色や圧倒的な熱量だけでは無い。消えず留まり続けるという恐ろしい特徴があるのだ。
消えない黒き炎。生半可な事ではこの獄炎を消すことは出来ないだろう。マジ、危険物である。
こんな危険な炎がある地獄って……と、ブルリと身体が震えるのも仕方がないと思う。絶対に地獄には行きたくないので、これからは清く正しく生きて行こうと思います。
《残念ながらマスターの種族は悪魔族ですので、行先は必ず地獄――魔界となります》
どうやらもう既に手遅れみたい。地獄行きが決定しているらしいです。チクショー!
というか、魔界があるんだ。知らなかった。
《この世界は現界、天界、魔界、精霊界の四つの界が重なり合い、存在しております。現界には多種多様な種族が。天界には天使族が。魔界には悪魔族。精霊界には精霊がそれぞれ棲息しております》
ほぇ~。ということは、だ。俺は悪魔族だから魔界出身ていうわけ? というか、悪魔族なのに初めから魔界では無く、この世界――所謂現界ってやつに居たんだけど?
《……回答不能。正確な情報を持ち合わせておりません。申し訳御座いません、マスター》
あ~、ちょっと悪い事をしてしまったかも。回答出来なくて、ヒイロが申し訳なさそうに気落ちしているわ。
ん~……あ、そうだ。悪魔族について判明している事だけ、教えてくれないか?
《悪魔族とは、魔界に封じられている精神生命体の一種です。魔術・魔法に長け、特に魂の扱いに関しては、他種族の追随を許さない程、非常に優れています。精神生命体である為、半物質界である現界には長時間顕現出来ず、また、悪魔族は魔界に封じられている為、現界に直接干渉することが出来ません。干渉する為には、悪魔召喚によって現界に召喚される必要がありますが、召喚と同時に魔素の拡散が始まり、内包魔素が尽きると魔界に強制送還されます。現界に存在し続ける為には、精神体の受け皿となる肉体――物質体が必要になります。受肉を果たした精神生命体は、半精神生命体となります》
お、おぅ……。気落ちしていたのが一転、嬉々として教えてくれるヒイロだが、情報量が多すぎる……。つーか、精神体って何? 物質体って?
《生命を構成する基本体の一種です。この現界との繋がりを持ち、記録媒体を確かな物とする物質体。力――魔物であれば魔素量を指す――を蓄える基盤で、記憶を留める為の記憶装置である精神体。魂を覆う最も脆弱な体で、思考する為の演算装置である星幽体。以上が生命を構成する基本体の三種です》
ふむふむ……よく判らんね、うん。浅学の身を恥じるばかりである。
ま、まぁとにかく、あらゆる生命体には、物質体、精神体、星幽体の基本体三種があるらしい。そして、悪魔族が現界に顕現し続ける為には、物質体が必要という事から察するに、精神生命体とは、精神体と星幽体の二種で構成された生命体ということだろう。
《その理解で合っています》
ここまでは何とか理解した。俺は現界に存在し続ける悪魔族――半精神生命体だと思う。これは確定的だろう。だけど同時に疑問が浮かぶ。
俺の肉体は一体誰が用意したのかという疑問。
この疑問の答えを持つ者は、この場にいないだろう。当の本人である俺にも判らないことなんだから。
あ~やめやめ。これ以上考えても何も出てこないし、時間を無駄にするだけだ。『卵が先か、鶏が先か』という話と同じだしな。
とにかく、今まで自分の種族である悪魔族について、深く考えた事は無かったけど、中々面白い話が聞けたと思う。
俺が蒼炎や炎鎧を編み出せたのは、魔術・魔法に長けている種族だったからだろうな。まぁ魂の扱いに関しては全く自覚がないけどね。
さて。思わぬ脱線をしてしまったが、検証に戻ろうと思う。
ヒイロとの対話中、燃え続ける獄炎が視界の端にチラチラと映っていたのがずっと気になっていたんだよな。これ、消えない炎なんだよね?
このまま素知らぬフリして放置……は、絶対にダメだろう。流石の俺でもそれは判る。だけど、消えない炎を消すのには一体どうすればいいのだろうか。てか、『消えない炎を消す』って言葉、自分で言っててなんだけど、めちゃくちゃ矛盾しているよな。
《獄炎操作によって消去可能です》
あら? そうなの? なんだ、矛盾でも何でも無かったみたい。
ヒイロの助言通り、獄炎操作によって留まり続けた黒炎は、簡単に消去することが出来ました。よかったよかった。
非常に扱いに困る「獄炎魔術」だが、その威力は魅力的だ。どうにか戦闘に組み込めないだろうか。
ああでもない、こうでもないと無い頭を振り絞り、色々試した結果。
「いくら魔術・魔法に長けた悪魔族でも、「獄炎魔術」の改良は難しいみたいだ」
ガックリと肩を落とす俺。堪らず溜息が漏れ出してしまう。あぁ~幸せが逃げていくぅ~。
獄炎操作によって、獄炎の形状を変えたりしてみたんだが。
「放出系は問題ない。けど……」
獄炎を矢のように放つ事は可能。射出速度が格段に速くなったが、それなら獄炎を小さな弾丸として放った方が消費魔力も少なく、速度も上だった。
では、放出するのではなく、鞭状にして操作すればいいのでは? と思い試したんだが、まぁ結果を先に言うのならば、一応は成功した。鞭状して操作する事は可能だ。
ただ、やっぱり問題がある。小さな弾丸状に比べて、圧倒的に速力に劣るのだ。高速戦闘中では使えないだろう。まぁ蠢く獄炎を背に背負った様子は、格好良――でもなく、厨二感――でもなく、邪悪さに満ち溢れて、威嚇するには効果的だろう。
《……威圧するのであれば、そのまま獄炎を放った方が――》
んんっ! ヒイロさん? それ以上は決して言ってはならんぞ。
《判りました。それでマスターの気が済むのであれば》
むぐっ!? くぅ~、ヒイロめ……。パワーアップしてから、なんか冷たくなってないか?
《否。そのような事実は確認されておりません》
何だが今までの仕返しをされている気分だよ……。
鞭状以外にも、剣状にしたり、盾状にしたりと色々形状変化を試したんだが、凡そ失敗。その失敗の理由は、獄炎操作出来るとはいえ、俺自身も痛痒を負ってしまうというなんとも情けない理由だった。
色々検証した結果、「獄炎魔術」の改良は現状不可能という結論に至った。少なくとも「炎熱無効」の上位スキルが無ければ、話にならないだろうね。
結果は失敗に終わってしまったが、改めて固有能力の凄まじさを再認識することになった。
特殊能力であれ、コモンスキルであれ、いくら他のスキルを多数所有していようが、たった一つの固有能力の前には無力に等しい。それほどまでに、固有能力には規格外の力が秘められている。
ただ、いくら固有能力に規格外の力があっても、所有者が正しく使いこなせなければ、無用の長物と化してしまう。俺が固有能力『炎帝』を完全に使いこなせていないのが、いい例だろう。
今後は暇を見て、色々とスキルの検証を行っていこうと思う。……三日坊主にならないよう気を付けないとな。
………
……
…
因みに、その後。
検証がひと段落した俺が、白焔龍を迎えに第二階層へと向かったのだが。
「……ナニコレ」
仏頂面の俺が見たものは、死屍累々たる魔物達の横たわる光景だった。
「カカッ。妾の完勝ぞ!」
拳を突き上げて勝鬨を上げる白焔龍を、「やりすぎだッ!」と叱ったのは言うまでもない。
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*次回更新日は、2019/11/14 16:00の予定。
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