8話:智惠さんに転職の誘い
客観的に見ても銀行独自で、こんな仕事をしても効率が悪いから、その企業に集約される事でしょうと言った。いつまでに返事をすれば良いのですかと聞くと早ければ早いほど高い収入と高いポストが約束されると思いますと言った。率直に言って早い者勝ちと言うことですと、きっぱりと言った。
その話を聞いていた旦那さんが、あなたの言っていることは,わかりましたが、その話を証明するものは何かないのですかと質問した。これは、まだ企業秘密なので関係者以外には、絶対に話しませんと言った。しかし、あなたに言われて、その気になって現在の高給と地位をなげうって退職するのは、あまりにリスクが大きいと考える方が普通じゃないでしょうかと言た。
すると、おっしゃる通りですがリスクを取る人しか高いリターンを得られないというのも欧米では常識ですと言った。でも、ここは日本ですと言い返すと、とりあえず,あなたのために良い条件を提示したと言う事だけ、ご理解下さい。その後どうするかは、ご自身の判断ですからと言い交通費はと聞くので1200円ですと言うと旦那さんの分も支払いますと言い2400円を置き喫茶店の支払いもしてくれた。
そして帰りぎわに、あなたは選ばれた人だから、こんなチャンスをもらえたのですと静かに言って立ち去っていった。その後、家に帰って海津は夫婦で話し合ったが、まとまらずに困っていた。智惠さんが旦那さんに、どう思うというと無責任と聞こえるかも知れないが現在の仕事よりは良いのではないかと思うんだと言った。何故と問われても理路整然と説明できない。
しかし、長年のセールスマンの勘だと言った。また現在、外勤して金融商品の売り上げノルマを、かけられて売り歩くよりは、よっぽど良いと思う。
「今の会社で現状では、智恵さんが、オンライシステムの仕事をしている。
「でも、いつ若手の優秀な技術職に仕事を取られるかわかりゃしないと告げた。」
「それに万が一、この話が駄目でも君なら他の銀行でも必ず欲しがるはずだと話した。」
「話を聞いて、そうね、確かに銀行のノルマはきつい」
「それに会社には銀行員は、使い捨てと思っている節も見られるしねと言った。」
「智恵さんが応募してみましょうと言うので海津努は、その方が良いと思うと奨めた。」
「わかった少し今の会社に対しての不信感もあるので決めたと言いビールを飲んで床についた。」
翌朝、智惠さんは、すっきりとした感じで目覚めて朝食をとった。そして早速、今日、会社の上司に退社の話をして会社の反応を見てみますと言って元気に出社した。19時半頃に帰って来て、そのすぐ後、海藤努が帰って来た。
海津は奥さんに、どうだったと聞いた。
「会社側の反応は意外にクールで強く引き留められる事もなかったと告げた。」
「これで腹は決まったと言い退職しますと宣言した」
「翌朝、智惠さんは清々しい顔で出社していった。」
その晩、早めに帰ってきて、既に夕飯の支度がしてあり海藤努が帰ってくると退職願を提出したと報告した。
「これで胸のつかえが取れて,すーとしたと言ってビールを空けて転職に乾杯と言ってビールを飲んだ」。久しぶりに、いつもの、素敵な智惠さんの笑顔が戻ってきて安心して、かなりの本数のビールをたいらげて、すぐ寝た。
翌朝、今週の日曜日に、もう一度、転職会社の人に一緒に会って下さると海津に聞くので了解した。また同じ場所同じ姿で来ると言い駅のホームで会い個室のある喫茶店員入り退職した事を報告すると彼が今度の会社に案内しますと言い2人と喫茶店を出てタクシーで、その転職することになる会社についた。会社の名前もなく入り口を入って奥のエレベータで上層階に行き廊下を数分歩いた。
そして大きな事務所のドアをノックした。すると50から60歳代と思われる白髪の賢そうな紳士が出て来て、ようこそお越し下さいましたと慇懃「いんぎん」に挨拶した。そして景色の良い応接室に通されて、ちょっとお待ち下さいと言うと外人の男性と金髪の女性と白髪の紳士の3人が座って自己紹介した。外人さんは、米国の人材スカウト会社の日本担当の責任者で女性は秘書さん。