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11話:日本初の高速ネットワークが完成

1985年も押し迫り12月になり来年の交渉のスケジュールが公開。2日に1回のペースで3人でチームを組んで日本で初めての移動電話NTTの「ショルダーホン」をもって他社を訪問する事となった。その仕事が、過密スケジュールである事がわかった。この頃、知恵さんが、投資仲間の3人と会えなくなった。その代わり海藤努が会合に参加、情報交換をした。


 しかし智惠さんが、どんな仕事をしてるとか一切、秘密にした。そして1986年となった。海藤家では毎年恒例の初詣でに出かけ海藤努は一家の健康と安全を智惠さんは新しい仕事が軌道に乗りますようにと願った。1月5日から日本電気、富士通、日立製作所、東芝、三菱電機を訪問してネットワークの問題点がほぼ解消されたことを説明した。


 1986年中には、速度の改善、その他の最終テストを完了させて各社との回線を繋ぐと言う話をした。三菱電機、三菱銀行、三井銀行、住友銀行、富士銀行には銀行オンライン化のシステムの最終段階に来ていた。多分1987年には、オンラインで銀行の多くの支店間のシステムを繋ぐ実験をすると話して回った。


 そして1986年の4月に我が社にとっての懸案事項であった三井銀行の国内最大、オンライシステム事業部の売却の条件が決まった。そこの約80人のメンバーが入社してくる事がわかった。現在、64名のスタッフが144名に2倍以上の規模になる事がわかり大手町に今年出来る大きなビルに移動する事も決まった。


 オフィスの移動は1986年6月中に全て行う事になり正式に新社名、日本オンライン株式会社と命名することも決定したと社内で発表された。その頃、大手電機メーカとのネットワークを繋ぐ実験で、いくつか起きた問題の対処をハード技術部のメンバーがして6月には、全て解消されて高速ネットワークが構築できた。


 7月からは日本の大手銀行の本店と支店を繋ぐ事業を我が社と日本の大手電機メーカの技術者を総動員して開始した。やはり数多くの問題が起きた。その対応をマニュアル化して我が社のサイトに載せて、すぐ対処できる様に対応していった。その結果、1986年12月中に、ほぼ完成して繋がらない所は、その支店の場所の問題となりNTTの通信部門で解決してもらうようにした。



 最終的に、1988年、夏までには全国の大手銀行のネットワークが完成した。1988年9月10日のネットワーク完成記念パーティーには日本の首相や多くに政治家、大企業の社長が来て華々しく開かれた。この事業の陣頭指揮を執った早乙女社長が完成の挨拶の席上、事務的な話、技術的な話の時は立て板に水のように弁舌爽やかに話していた。


 しかし最後の方のハード、ソフト技術者の苦労や多くの人材は、大手銀行、電気会社、通信会社から集まったと語った。そして結集したという話の所に来て最後に本当に彼らには感謝していますと言うと思わず言葉に詰まり涙を流した。


「これには日本オンライン株式会社に結集した人の苦労、努力が報われるような気がした。」

「智惠さんも流れる涙をハンカチで拭こうともせずに感動していた。」

 そして彼女が、三菱銀行でしてきた仕事は、金利や投資商品を売ることだけだった。


「今回の仕事のように全身全霊で、みんなの力を結集して社会のため日本、日本人のために働けたことに生まれて初めて大きな誇りを感じた。」

「この瞬間を一生忘れないだろうと思い、本当に良かったと実感した。」


 家に帰り、この話を海藤努に話すと、それはすごいとほめてくれた。

「でもね、その仕事を成し遂げられたのは、君が貧しい漁村に生まれてもめげず、一生懸命勉強したからだと言った。」

そして東京へ集団就職した後も勉強を続けさせくれたお陰よと感謝した。


「それを聞いた商店の店主が定時制高校から大学を受験させてくれ一橋大学、三菱銀行と一流どころを歩んで努力してきたたまものだよと肩を抱いてくれ一緒に泣いてくれた」。

「その時、智惠さんは、この人と結婚して良かったと実感した。」


 1988年にはコンピュータの分散処理環境の構築とインターネットに関する研究開発のため産学共同の研究プロジェクト、WIDEプロジェクトが発足した。そして日本で初めてIP接続によりインターネットに参加した。同年、NTTが日本の主要都市、全都道府県庁所在地を結んだ光ケーブル網を完成させた。

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