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3ー2 イレギュラー


俺は、ガラスが割れたような凄い音で目を覚ました。どうやらラナたちの部屋からしたようだ。俺は急いで隣の部屋にいくと、そこには床に倒れているエフィの姿があった。そして窓が割られている。俺はラナがいないことに気づいた。


「エフィ!大丈夫か?ラナは、ラナはどうしたんだ!」


エフィはゆっくり起き上がり、そして言った。


「ラナさんは四魔将ウソツキーに攫われました。いっ、急いで下さい、追いかければまだ間に合うかもしれません。」


「わかった!」


俺は満月の月が照らす夜に月の明かりを頼りに大道りや裏路地を隈無く探した。

すると、ある裏路地でウソツキーと気を失っているラナを見つけた。俺は叫ぶ。


「ウソツキー見つけたぞ!早くラナを離せ!」


するとウソツキーは不気味な雰囲気を漂わせ、そして振り返って話し出す。


「貴方は本当に嘆かわしい!実に嘆かわしい!なぜ私がこの裏路地に貴方を誘いこんだのか。貴方はご存知でない?実に嘆かわしい!」


「そうだ!そうだ!ケケーッ」


「どういう事だウソツキー。何を企んでいる!」


「貴方、神隠しをご存知ですか?もちろんご存知ですよね?!貴方のいた世界の言葉ですから。ここはそれが起きやすい場所なんですよ。」


「それがどうしたんだ!」



「貴方、イレギュラーでしょ?」



「この前、あった時も言っていたがイレギュラーって、なんだそれは?」



「ご存知でない?嘆かわしい、実に嘆かわしい!・・・イレギュラーとは、堕天使の契約魔法により、異世界に転生してきた者が本来の姿と違う者のこと。つまり!つまり!つまりーーー!!!・・・あ・な・たのことですよ。」



「だから、なんだって言うんだ!ラナをどうするつもりなんだ!」



「この娘は、この町の外れに連れて行き、ある儀式に使用させて頂きます。そして、儀式が済み次第、この町も貴方が前にいた賢者の森も魔王軍の軍隊によって破壊させて頂きます!」


それを聞いた俺は、剣を構えて言った。



「そんなことは、俺がさせない!」



「まぁ、あまりこの辺で騒がれても困るのでこれを使わせて頂きます。」


〈ディメンショナル プリズン!〉


すると周りの空間が歪んだような景色に変わる。そして、さらにウソツキーは言った。


「これで、どんなに騒いでも気づかれません。さぁ、次は動けなくなってもらいます!」


〈エクストラマジック トリプルサンダーブレイク!〉


すると俺の体を三つの雷が貫く。俺は、言葉を発することなく、その場に倒れ込んだ。

俺の体は雷に焼かれて、身動き一つ出来なくなっていた。

俺は自分の非力さを悔やんだ。勇者のくせに俺は目の前の大切な人も守れないのかと、そう思っているとウソツキーが言った。


「さぁ、もうすぐ時間です。後、三分です!」


「ケケーッ! お前終わり!もうすぐ終わり!」


俺は、必死に声を振り絞り言った。


「終わりって、何が終わりなんだ!」


すると、ウソツキーは、真剣な声で語りだす。


「私はある堕天使のお方に言われて長いこと神隠しについて調査していました。そして、私の長年の調査の結果、決まって行方不明者がでるのは満月の夜だと言うことが分かりました。まぁ、貴方の場合、イレギュラーなので満月でなくても良いかも知れませんが、念のためです。そして、さらに、ん〜〜さらに!場所は裏路地でちょうど貴方が倒れているところ。時間は夜の十二時、つ・ま・り・・・・・今です!!」


すると突如、俺の体の下に、巨大な黒い渦が現れる。俺はその渦に徐々に飲み込まれていく。


「くっ、なんだこれは。」


俺はもがいたが、どんどん身体が沈み黒い渦に取り込まれていく。


「ウソツキー!お前何を企んでいるんだ!」


「それは未来や過去、はたまた異世界に繋がっている次元の渦。しかも貴方はイレギュラーである。その結果!その渦に一度飲み込まれてしまえば、この世界に二度と戻って来れないでしょう。もう会うこともないでしょう。嘆かわしいことですがぁ、さよならです。」


「ケケーッ!さよなら!お前、さよなら!」


俺は怒りと悔しさを込めてウソツキーに向かって叫んだ。


「ウソツキーーーー!!!!!」



「ハッハッハッハッハーッハッハ!」


ウソツキーが高笑いする中、俺はその渦に飲み込まれて行った。


暗闇の中を落下していくと俺の中でまたノイズのようなものが走った。その後、俺の周りに砂嵐のような風景が見える。すると俺の額が輝き、例の魔法陣が発動する。あの紫色の人ならざる者の手が見えた。今度は、左腕の肘の部分がこっちの世界に出てきいるのが分かった。もう一つ分かったことがある。それは、明らかに人と同じサイズではないことだ。肘から先の部分が俺の額から外へ出れば出るほど巨大化している。そして俺は確信した。これは、絶対にこの世界に出してはいけない者だと。

そして、俺は激痛により意識を失った。


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