2ー1 膝枕
俺達は、エルフの里でスラ蔵達に別れを告げ、次の目的地であるアースガルド帝国に向けて旅をしていた。このアースガルド帝国で堕天使の契約魔法の解除方法を調べるのと魔王に関する情報を集めるためだ。その旅の途中、エフィが俺に話しかけきた。
「ハヤトさんは、この世界に転生してきて間もないのにアイテムや魔法とか色々詳しいですけど、やっぱりそれも前の世界で知っていたからなんですか?」
「そうだな、簡単に言うと俺達がいた世界にはゲームという娯楽があって、色んな世界をテーマにしたゲームがあるんだが、そのゲームの中の一つがこの世界と似てるんだよ。」
するとエフィはまだ、よく分からないみたいな顔をしていた。
「まぁ、あまり深く考えない方がいいかもな。もし、俺がプレイしたゲーム、World Creationっていうのと同じなら、例えば魔法はレベル50を超えるとエクストラ マジックという魔法が使える様になる。これは、通常魔法とは比べ物にならないくらい強力な魔法だ。現状、俺達の中で一番レベル高いラナがくらってもタダではすまないだろうな。」
ユフィは驚いて言った。
「えっ!じゅあラナさんはレベル50を超えてるんですか?」
ラナ照れたような感じで言った。
「まぁ、そうだけどね。」
そして、俺は話を続けた。
「まだ先があってな、俺の予想だと今度はレベル100を超えるとアルティメット マジックやつがある。こいつは、魔法によっては恐らく、一撃で村や街が滅ぶぐらい強さがある。」
するとラナが驚いて言った。
「アルティメット マジック?!はっ始めて聞いたわ。」
「まぁ、それはそうだろうな。だって、この魔法は純粋な魔法使い職じゃない限り覚えられないからな。どんだけプレイヤーが強いとはいえ、魔法使い職でないと覚えられないんだ。しかもWorld Creationがリリースされた当初は魔法使い職は結構いたが、最後辺りは色んな職業が出来ていて、中には村娘って職業になって裁縫のスキルを極めて服屋を経営してたやつもいたよ。」
するとエフィは、少し困った顔をしてラナに言った。
「あの〜ラナさん。アルティメット マジックを覚えたとしてもハヤトさんとの喧嘩で迂闊に使わないで下さいね。」
「そうだな。ラナは少し怒りっぽいところがあるから気をつけないとな。」
「あんたねぇ!」
そして、俺は殴られた。
しばらくすると今度はラナが俺に質問してきた。
「ハヤトは額の堕天使の契約魔法は、その後異常とかあったりした?」
「いや、何も異常はないよ。やっぱり他の世界に移動したりしない限りは発動しないんじゃないかな。」
「・・・私は昔、神話の事が書かれた書物で見たことあるだけど堕天使の契約魔法っていうのは非常に厄介で元々、堕天使自体が天界の力を一部使えるから解除しようとすると魔法陣の力が天界の力と悪魔の力で複雑に絡み合っていて、たとえ神であろとその解除は至難の技らしいわ。ましてや、私達人間で恐らく解除するのは・・・無理かもしれないの。」
「ありがとう、ラナ。心配してくれて。今のところ魔法陣の発動の心配はないから気長に探すよ。それよりも技スキルの発動の代償と思われる、この筋肉痛の方が問題だな。あの時は、ファントムストライクまでしか使わなかったが、それ以上の威力の技スキルを使っていたら間違いなく、倒れて動けなくなっていたかもな。」
そんな話をしていた俺達は、歩き疲れたので
途中の河原の土手で休憩することにした。
エフィの方に視線を向けると、弓の道具の手入れをしているようだ。俺は暖かい陽気なので土手に寝転んだ。ポカポカの日差しが気持ちよく河のサラサラと流れる音が聞こえる。やがて俺が少し眠りかけた頃、俺の頭が突然持ち上がり柔らかい物の上に置かれる。この感触は・・膝枕か?!そう思い目を開けるとラナが恥ずかしそうに俺を見ていた。
「どうしたんだ。急に膝枕してくれるなんて。」
「この前のお詫びをしようと思って。」
「お詫び?なんか俺したか?」
「この前の賢者の塔でワルクチーと戦った時、私のせいでハヤトが死にかけたから。」
「あれは、俺がラナに頼んでやったことだから気にしなくていいよ。」
「いいから、黙って膝枕されなさい。」
「はい。」
そして、しばらく静かな時が流れる。
「ねぇ、ハヤトは向こうの世界でどんな感じだったの?」
「あっちの世界じゃ俺、大したことないくて
。こっちでも大したことないけど。まぁ、幼い頃、よく虐められてたよ。そのせいか引きこもることが多くて大人になってからも会社で色々あって、・・・そんな時に事故で両親がいなくなったんだ。なんか一人でいることが多かったな。ごめんな、こんなつまらない話で。」
するとラナは優しく頭を撫でて言った。
「いっぱい大変なことがあったんだね。頑張ったね。」
すると俺の目から涙が溢れた。
「あんまり・・泣かせるようなことを言う
なよ。」
「ふふっ、私はこんな自由な性格だから一人でいることが多かったけど、ハヤトたちと一緒にいて始めて、これが仲間なんだなって思えた。ありがとう、ハヤト。あの日、あのお墓に転生してきてくれて。」
「俺の方こそ、ありがとう。そして、これからもよろしく頼むよ。」
「はい。・・・それとね。私、もしかしたらハヤトのこと・・」
「えっ・・・」
すると俺は視線感じた。
「あの〜お二人共、仲がよろしいのは、いいですがそろそろお昼にしませんか?」
突然、現れたエフィに俺達は驚いた。
「エフィ?!びっくりした。」
そして、俺は起き上がり言った。
「そうだな。そろそろ昼飯にしよう。」
こうして俺達は昼飯を食べた後、またアースガルド帝国に向けて旅を続けた。