期末テストの前日や当日ってかなり楽しい
ピピピピピピピ
「あああーーーーーー!!」
アラームと共に起き上がる、俺。
ストップ&ゴーは、今日が特別だってのに、めっちゃ普段通り。朝飯抜いて、制服に着替えて、歯磨いて、髪型ばっちり整え、洗顔。自転車漕いで、無駄に汗かいて。
「到着!」
「おーっ、いつも通りだな」
相場竜彦。普通に、学校へと着く。
「いやー、期末テストだよな。今日。すげー時期外れな気がするけど」
「メタ発言を止めろ」
「そー言うなよ、舟ー。ところでお前。勉強した?」
「部活はなかったとはいえ、バイト漬けだ。やってねぇーよ。一緒だぜ」
「ほーっ。そうか。仲間だな。俺はずーっと、ゲームやってたわ」
「やっぱり一緒にすんな。社会勉強ができて金がもらえるバイトと、引き篭もって目の前と向き合わないゲームとじゃ、現実世界において、有利不利がハッキリしてるもんだ」
馬鹿2人。今日は珍しく、学生らしいトークであった。
教室に行くまでこんな学生の世間話。
「バスケ部の休みだぜ。しかも、連休。部活のゴールデンウィークってか?」
「まーな」
「ついついゲームとか漫画とか、夜遊びとかよー。したくなるじゃん」
「総じて、遊びだな」
「メッチャ面白い時なんだよ。買いたかったゲームが期末テスト前に発売しやがるしよぉ。毎回購買してる漫画も発売するしよ。バイト先もテスト期間の気を遣って、休みにしてくれるし」
「分かる分かる。部活とバイトが休みだとついな、遊びたくなるよな」
相場と舟は前と後ろの席であった。試験期間で今まさに勉強しているクラスメイトとは裏腹に、こんな日の楽しい闇の部分を語りだす。
「塾や通信教育だがよ。入試なんてもんに合わせずに、学校のテストに合わせる感じじゃん。いやー、ウザイよな。マジでやってらんねぇ」
「いつもやってねぇし。お前も俺も、どっちもやってねぇだろ」
「馬鹿は開き直って、こーいう大事な時こそ。キッチリ遊ぶんだよ!」
「いつも遊んでるだろ。馬鹿」
舟は溜め息出して、教科書でも取り出して、なんちゃって勉強でもするかと思ったら
「最新刊?」
「まーな。読むか?」
みんなが勉強をしている中。堂々と昨日買った漫画を読む。さらには相場にも渡して、読むよう促す。あんまりストーリーを読んでいる感じではないが、
「俺が言うのなんだが、舟は勉強しねぇの?」
「結果が分かってるのに勉強しても意味ねぇだろ?こんな時期に漫画読んで、ゲームして、俺って特別って感じ。優越感に浸りたいからな。マジでご苦労さん」
クラスのうぜぇ視線を気にせずに、遊んでいる2人。
「50分も暇だわー。名前書いて終わりだしよ」
「カンニングしないから3D○やV○○Aをやりたいよな。あっ、トイレ行く感じで教室を出て、トイレでゲームでもするか」
「それ虐められ子みたいなシチュだな、おい。便所飯っぽいぞ」
「わははははは!舟、やれよそれ!」
「するか、ボケ」
ゲラゲラ笑いに、漫画とゲームをホームルームで楽しむ様。
そして、思った事がある。分かっているからクラスのみんなはいやーな顔だけして、2人を見ている。
「期末テストの勉強してねぇのに、なんでテストをやんなきゃいけねぇーんだよ」
「テストが終われば、しばしの連休。まだ金を溜めたいんだけどな。バイト引き受ければ良かった」
馬鹿だから気付かないのか。
「どっちが点数高いか勝負するか?」
「なら、赤点の数で勝負しようぜ。赤点が多い方が飯を奢る」
2人、気付かないのか?マジで気付いてないのか?
「50分暇ーっ。これ、×3かよ!」
「しかも3日だ。午後はねぇーってのにな」
おい!答えを言え!!
「”なんで俺、学校に来ちゃったんだ。家でゲームしてれば良かった”」
「”バイトしてりゃ良かったな。金貯めて、原付でも乗れるようにしたかったぜ”」
ピンポンピンポーン!
お前等はそれだよ!なんで学校に来たんだよ!もう帰っていいよ!そんなやる気だったら!
「でもさ、テスト受けなかったら内申点とかに響くんだよな?テスト中にゲームできるか、先生に質問してぇーなぁ」
「留年とかなんたらにな。補修受ければ良いだろ。でも、それもめんどくさいな」
面倒だって分かってるくせに、面倒を引き受けていくスタンス!?
なんなんだこいつ等。そーいうものなのか。
「まーけどよ、面倒だがよ。俺はこーいう時間もこーいう期間も好きなんだぜ」
「?どーしてだ?」
「舟も言ったじゃねぇか。休みが近いって事。面白い事、たーくさん浮かんで!超遊びたくなるって充実感!たまんねぇーよ!テスト期間中、サイコー!ずーっとそーしろ、学校!!遊びサイコー!一緒に補修を受けようぜ、舟!」
それたぶん、昼間で学校が終わるからだろ。勉強する気ねぇーのな。
そして、テスト中の3時間もの時間。
「ぐごーーーっ、がごーーーっ」
「う、五月蝿い」
「集中できない………」
相場のいびきがメチャクチャ五月蝿くて、彼の周囲にいる人達はとても迷惑であった。
「こーいう奴って起きた後、ハイテンションだよな……」
舟はちょっとだけ真面目にテストをやったから、赤点は2つで済んだ(勉強はしてなかったけど、分かるものは分かる。よーは赤点をとらなきゃ、なんでも良いんだよ)。相場は全滅の補修タイムである。仲間でも裏切り行為は飄々とするのであった。
人生を楽しむ者が正義だから、気楽に勉強も遊びもすれば良いと思う。迷惑行為は止めてほしいけど。
どうせみんな、社蓄になるんだ……。