小説を読んでもらう 何故?
私は小説をとある投稿サイトに投稿した。内容に自信はある。読んでさえ貰えれば絶対満足して貰えるはずだ。
でも誰も読んでくれない・・。何故なんだろう?何がいけないんだろう?あの作品はあんなに読まれているのに、何故私の作品は読んでくれないんだろう。
私は答えの出ない迷宮に迷い込む。でもひとりで悩んでもまともな答えなど見つかるはずがない。そこで私は友達に相談した。
彼女曰く。
「選んで貰える訳ないじゃん。あなたの作品よりおいしそうなお皿が次から次へと来るんだから、どうせ食べるならそっちを選ぶわ。」
彼女は回転寿司を例に出して説明してくれる。くっ、私の作品はクロマグロじゃないと暗に言っているようなものだぞ!
「えーっと、どうしたらいいと思う?」
「値段を下げる。量を増やす。オマケをつける。魚種を偽る。」
彼女はやっぱり回転寿司で例える。でも魚種を偽っては駄目だろう。残念ながら私の舌はそこまで肥えていないぞ。この前、あなたが進めてくれた皿を「おいしいわね、このサバ。」と言ったら冷たい目で「それ、ハマチ。」と言ったじゃない。くっ、切り身でわかるかっ!いや、魚体を見せられても分からないけどね。
「値段は無料なので下げられません。」
「なら分量を増やすのね。書き続けていればチャンスは消えないわ。」
あーっ、そうね、そんな作品も沢山あるなぁ。うんっ、みんながんばっている。
「オマケは何を付けたらいいか分かりません。」
「ラノベ小説のオマケと言ったら絵でしょう?あなた絵、描ける?」
「へのへのもへじなら・・。」
「人様の絵を無断で使用しちゃ駄目よ。」
「はい・・。」
くっ、人様にお見せできるような絵が描けたら漫画を描くわいっ!
「あの・・、後は・・。」
「魚種?そえねぇ、小説における魚種ってジャンルでしょう?またはタイトル。」
「1話目でばれて怒られそうです。」
「なら、それ用の別作品を書きなさい。そこにこっちも読んでくれたら嬉しいな、うふっ。とか書いておけば何人かは釣れるでしょう。」
こいつ、実は詐欺のプロか?それは思いつかなかったぜ!
「人気のあるテーマは知識がなくて書けません・・。」
「はぁ~・・、そもそも、あなたは何で読んで貰いたいの?」
ため息混じりに彼女が問題の核心を突いてくる。
「えっ、あれっ?そう言えばなんでだろう?」
私は彼女の言葉に答えられなかった。私の書いた小説を読んで貰う。それってどうゆうことなのだろう?私は別に書籍化なんて狙っていない。だから読者に媚びたような内容は書いていない。あれ?これって読む方からしたら全然興味が湧かないわよね?あれっ、それじゃ、読んで貰えないのも当然ってこと?
「結局あなたは自分の子供を自慢したい奥さんたちと一緒なのよ。ウチのたっくんたらもう英語が喋れるのよとか、この子ってパパ似だから将来はモテモテに違いないわってね。」
あーっ、なんか的確すぎてその例えはいやだ。そうか、私は自慢したかったんだ。でも、誰も読んでくれないから自慢する場がなくてつまらなかったんだな。なんだ、結局作品じゃなくて私を見て貰いたかっただけだったのか。
「ところであなた、私には小説を書いていた事言わなかったわね、何で?」
「え~っ、だって恥ずかしいじゃん。」
作者より
エッセイの体を成していません。次からは気をつけます。
でも何故?ですかぁ。それは人それぞれでしょうねぇ。読んで貰う事によって人気を得て書籍化という名誉と金銭を得たいと思う人もいれば、ただ単に感想を聞きたいなぁという方もいるでしょう。えっへん、俺はこんなにも書けるんだぜと自慢したいだけの方もいるでしょうし、ただひたすら自分の内面を書き出したいだけの方もいるはずです。
だから物語を書いて読んで貰う理由を考えるのは野暮かも知れません。というか面と向かって聞かれたら恥ずかしくて答えられません。だから私に何故?とは聞かないでくださいね。
-『小説を読んでもらう』編 完-