科学エッセイ 電気って偉大だなぁ
物を作るって憧れます。一旦、形になった物は運が良ければ数千年は残りますからね。例えを挙げるならピラミッド。石を積み上げただけと言うなかれ。あの石には人間の意志が込められているんです。おっと、うまい事を言ってしまった。石と意思ですって。日本語って面白いな。言葉だって残りますよ?有名なのは楔形文字。所謂、粘土板ですね。まぁ、あれは芸術じゃなくて経済報告書だったらしいですけど。
でも上に挙げた例はちょっと極端かな。乾燥地帯と違って湿潤な気候の日本では腐食進行を止められませんから、中々形として物が残りづらいらしいです。だから日本人は古いものより新しいものが好きなんでしょう。えっ、法隆寺を忘れてないかって?忘れてなんかいませんよぉ。でもあれも何度も改修されているんです。人の手が入っています。だから建立当時から使われていた材料はほんの僅かです。逆にそこまでして維持しないと朽ちてしまうものを維持しているのは大したことなのかもしれません。人の思いはお金に換算できません。熊本城だって、興味のない人にとっては無駄遣いに写るかも知れません。
さて、こうして形の残るものは人々の記憶にも残りますが、世の中には消耗品と呼ばれるものもあります。ちょっと意味が違うかも知れませんが食料なんかは良い例ではないでしょうか。災害時の食料として10年保管できるものなんかも開発されていますが、基本1年以上品質を維持できる食べ物は数種類だけです。それだってそこら辺に放置したらすぐに痛んでしまいます。だから食料の生産は歩みを止める事が出来ません。常に新しいものを植え、育て、収穫し、消費するのです。これは人間が生きて行く上で必要なことですから食料を消耗品と言うのはやっばり抵抗がありますね。
では別の例を挙げましょう。今、私はとっくに日の沈んだ冬の吹雪の中、パソコンのモニター画面を見ながらこのエッセイを書いています。天井には蛍光灯が輝き、ひざには電気毛布が掛けられ寒さから私を守ってくれています。台所の冷蔵庫はこれだけ寒いのにも関わらず中の物を一定の低温に保つ事に心血を注いでいることでしょう。
さて、この今私が置かれている快適?な環境を実現しているものはなんでしょう?電気毛布?そうですね、確かにこれがなかったらこんな文章を書いている場合ではありません。室内の温度は3度です。この温度なら水は凍りませんが人間は震え上がります。パソコンがなければ、そもそもこの文章すら打ち込めません。手書きがある?あなた、いつの時代の人ですか。私はここ数年、メモ以外で文字など手書きしたことないですよ。
はい、これらの素晴らしい文明の利器ですが、それらも電気の供給が止まれば物言わぬ役立たずです。そう、電気こそこれら文明の利器の根底を成す根源だったのですね。
おおっ、電気よ!お前はどこからやってくるのだ!私はお前が休んでいるところを見たことがないぞ!それ程までに私に尽くしてくれるのに私はお前がどこから来るのかも知らない!
いや、調べれば良いんですけどね。でも私って自前のネット環境を持っていないので調べられません。コマーシャルなんかで詳細はwebでと言われるとムカつきます。
多分どこかにある火力発電所の発電用タービンでぐりぐりされた発電機から送られてくるんでしょうけど、よくよく考えたら凄いことです。今、この国で電気を使っている人たち全てに送っているんですから。その量たるや想像もつきません。よく、人工衛星の画像で日本、特に首都圏は不夜城だと言われる写真を見ますが凄いもんです。都会は星が見えないといいますが見える訳ないよ。自分自身が輝いているんだから。
でも私はパソコンを弄るので電気の安定供給にはちょっと煩いです。こいつってちょっとした停電でも機能を止めリセットしくさりますからね。所謂、瞬間停電、または電圧低下です。長編を書いていてこれに遭遇するとへこみます。お前はなんでそんなにきれいさっぱりと忘れる事が出来るんだっ!俺だって数百文字くらいは覚えているぞっ!・・いや、失った文章は1万字くらいはあったんですけどね。うんっ、皆さんも慢心せずこまめな保存を心がけた方がいいですよ。ハードディスクも万全ではありません。雷なんかのリーク電流の攻撃なんぞ受けたら一瞬で回路がパーですから。ディスクには情報が残っていてもそれを取り出す電子回路が焼ければ取り出せません。取り出す業者の方はいるらしいですけどお金が掛かります。テキストデータなんて、全部まとめてもたかが数メガバイドですからUSBメモリーにでもバクアップしておくのが賢い文字書きと言えます。
話題が反れました。電気の話でしたね。電気ってちょっと前までは発電所で作るものだったはずです。発電所にはその元となる動力の種類によって『水力』と『火力』と『原子力』がありました。『地熱』もあるのは知っていましたが発電量は微々たるものだったと記憶しております。これらの発電所は名前こそ違えど結局発電用の機械を駆動して電気を作っているとのこと。つまり、実際に電気を作っているのは発電機であって、水や火や核燃料が直接電気を生み出している訳ではありません。だから発電機を回せるものならその動力はなんでもいいんです。人間だっていいんですよ?えっ、そんな事出来ない?いやいや、あなただって自転車のライトを点けるでしょう?えっ、LEDのバッテリー式?はぁ、さいですか、時代は変わったなぁ。
まぁ、確かに人間が回したんでは効率が悪いですね。でも、いざとなったら出来るということくらいは覚えていてください。小説のネタとしても使えるかもしれませんよ。
さて、そんな便利な電気ですが、ひとつだけ不便なことがあります。それは電気は貯められないという事。つまり、作り続けなければあっという間に電圧低下を起こしパソコンが飛びます。そして全国津々浦々に安定供給するには消費される電力以上の発電量を確保しなくてはいけません。これができないと悪夢の地域停電を招きます。
発熱系の電化製品は電圧が下がっても発熱量が減るだけですが電子制御されているやつの許容範囲は結構狭いです。この国は何故か北と南で電気の周波数が違うんですが、一般家庭の電圧は100ボルトに規定されています。
新幹線は数万ボルトでモーターを駆動させますがあれは鉄道会社が独自に供給していますから別物です。一般家庭の家電は精々95ボルトくらいが下の限界なんじゃないでしょうか。上は120くらいかな。多いのは遮ればいいので結構上限は高いです。
でも無い物を増やす事は出来ませんから電圧が下がればあっという間に機能停止。個人としたらそれくらいですが供給側は数万、数十万の電気消費機器が相手です。当然、そんな低電圧状態で電気を送ることなど出来ません。いや、できるんですよ?でもその事による不具合、主に火災ですが。それを考慮すると怖くて送れません。だから送電を停止します。
そして一旦停止させるとあちこちの安全装置が俄然がんばり始めます。それらをひとつひとつ戻していくので発電量が原因の停電は復旧に時間がかかるのです。人力ですから。マンパワーです。ボタンひとつで解決できるのは物語の中だけです。
ここまで書けば私が何を言いたいかはわかりましたよね?そう、電気って作るだけで無駄をダダもれさせているんです。安定供給の名の下に余剰発電を行わざる得ない。勿論、需要を見据えながら調整はしてますよ?でも完璧にはできない。いいとこ93パーセントくらいでしょうね。皆さんも夏の猛暑の時にニュースで聞くでしょう?需要が供給量の95パーセントを超えたので節電してくださいという政府告知を。本当に電力会社の方々は毎日綱渡りな日々を送られています。でもそれで商売しているんだから仕方ないよね。
だけど、そんな電力会社の方々を更に悩ませる事象が起こりました。そう、再生エネルギーです。有名処では太陽光と風力。
こいつらって実はすげ~怠け者です。太陽が出ていないと発電しません。風がないとただの飾りです。おかげで電力会社は発電所を減らせません。そんな事をしたら曇った日は電気が来なくなっちゃうから。
晴れた風のある日は発電してくれるのだから止められるだろう?燃料は消費しないんだからいいじゃん!
はい、確かに燃料は消費しません。でも先に言った通り、電気は生もの。常にスタンバっていないといけません。人件費は減らないのです。しかも再生エネルギーの発電拠点は数万箇所に増えますから調整も大変です。はっきり言ってやってみろと言われても絶対嫌です。でも電力会社の方々はやります。黙々とやり続けます。だって、責任があるから。電気の安定供給という目的がありますから。
再生エネルギーは爆発しないけど現時点では大停電を引き起こす不安定エネルギーです。ですからみなさんもがんばって電気を貯める方法を考えましょう。えっ、嫌だ?う~んっ、考えることを放棄した人間って産業ロボットとどこが違うんでしょうねぇ。
作者より
いや、なんかここで言うことないですね。上のエッセイってモロ私じゃないですか。仮想エッセイの書き方を失敗しました。うんっ、まぁ、次はがんばろう。