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科学エッセイ 火を起こす

昔、人類がまだ火を自分で起こせなかった時、最初に木を擦り合わせて火を発火させたやつは英雄としてみんなから認められたであろう。でも彼はもしくは彼女はどうして木を擦ったのだ?木が燃える事は経験から知っていただろう。だが何故擦る?そしてその行為から火を手に入れられると何故思った?閃き?試行錯誤?たまたま?


実は木は擦っただけでは火が着かない。精々擦った面が炭化して赤く光るだけだ。木は結構燃焼発火点が高いのである。だから木屑や枯葉に火の粉を落として着火させる。綿なんかあれば最高だ。その時、新鮮な酸素を送り込むのを忘れてはいけない。物は酸素がなければ燃えないのだ。そして燃え上がった火を枯葉や枝を足して順次火を大きくしてゆく。丸太を燃やすのは最後だ。


この事を知ってさえいれば木を擦る努力も惜しまないだろう。だが誰がこの方法を見つけたのだ?


何といっても火は貴重だ。狩りに成功して肉が手に入っても、生肉と焼肉ではその美味さも食べやすさも段違いである。雑菌の消毒だって火はやってくれる。火は素晴らしい!是非とも手許に置いておきたい。だが動物を追って各地を転々と放浪したであろう当時の人たちは、火を持ち歩けなかった。10キロ、20キロは松明のように持ち歩けたかもしれない。運が良ければ1週間くらいは燃やし続けられたかも。だが1ケ月は無理だったろう。雨も降っただろうし、川だって渡ったはずだ。枯れ草を掻き分けながら進むようなところでは落ちた火の粉で火事になるかもしれない。


それでも彼ら、彼女らは努力したはずだ。火はそれ程魅力的だったから。でもいつかは消えてなくなる。その時の落胆といったらどれ程のものだったか想像もできない。火の当番はイジメられたかもしれない。ぼこぼこにされて最後は喰われたかも。いや、それはないか。この頃の集団は家族単位だっただろうからさすがに喰わんだろう。


火の着火方法さえ知っていればこんな苦労はしなくていいのに、方法自体は簡単なのに、知らないばかりに苦労をしている。


さて、最初の問いに戻ろう。誰がこの方法を見つけたのだ?いや、別に名前は知らなくていい。大体、この時代、言葉があったかすら不明だ。だからこの問いはどうやって気づいた?と言い換えたい。乾燥した強風の日、擦れ合う木々が発火したのを偶然見た?たまたまその木が脂分を多く含む木で着火しやすかった?確かにヒントにはなりそうだが、どちらかと言うと寓話になりそうだ。


-その時、二人の木の神が喧嘩をした。そこに風の神がやって来て二人を煽った。木の神たちは激しく争い、喧嘩をする二人に怒った火の神により燃やされてしまった-


うんっ、悪くないな。でも木と木が擦れた事を言っておいてくれないと正しく伝わらないかもしれない。下手したら火が欲しけりゃ喧嘩しろと後世に伝わりかねないな。


知識・・、一体どうやって閃いたのだろう。もしかしたらこの方法って結構最近編み出されたものなのだろうか?昔はもっと簡単な方法があった?簡単過ぎて忘れられたのだろうか?


今の所答えは出ない。でもいつか、誰かが調べた文章を読んで思わず声を上げるかもしれない。


「これだっ!」


その時、私は限りない満足感と少しの寂しさを感じるだろう。求めていた答えを知った喜びと自分で探しえなかった悔しさを。



作者より

科学エッセイって良いですよねぇ。なんか自分が賢くなったような気がします。はい、錯覚ですけどね。みなさん、本物の科学エッセイを読んでみて下さい。場合によっては人生が変わりますよ。


でも表面だけなぞっているやつは駄目です。科学って積み重ねですから、元の元の元から説明してくれなくちゃ理解できません。基礎って大事です。


昔、日本のサラリーマンがノーベル賞を採ったのを覚えています?あの人を選考委員が見つけたのって他の候補者の論文全部にあの人の論文が基礎として引用されていたからだそうです。


別のノーベル賞受賞者の方も言っていましたが地道な積み重ねこそ高みに手を掛ける階段となるのでしょう。だから面倒だからと安易な道ばかり選んでいると自分のレベル値が全然上がらなくてダンジョンで魔物に食べられちゃいますよ?


因みに、上に挙げた作品は科学エッセイには程遠いです。とほほほ。

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