恋に恋して愛を語ろう 男の子の場合
いつからだろう、僕が彼女の姿を目で追うようになったのは・・。
彼女はいつも輝いていた。誰彼隔たりなく話しかけ、一緒に笑い、一緒に悩んでくれる。それでもぐずぐず不貞腐れているやつにはきつい一発を投じ自分自身の矮小な姿を見つめ直させてくれるのだ。
そんなだから彼女は人気者だ。彼女の周りは常に人が集まる。僕はその輪の中に入れない。いつも外から見つめるだけだ。
それでも日に日に彼女への思いはつのる。
この思いを伝えたい衝動が全身を駆け巡る。幾万の言葉の中から選りすぐった素敵な言葉を彼女に贈りたい!僕の全身全霊を込めた思いで彼女の心を揺り動かし感動を与えたいのだ!
でも僕は自分の気持ちに鍵をかける・・。だって僕は彼女が好きだから。
もしも僕などに思いを告げられたら彼女はどう思うだろう?
迷惑ではないだろうか?・・きっと迷惑だろう。
気分を害さないだろうか?・・絶対に嫌な気持ちにさせるはずだ。
僕を慮って自分の気持ちを偽り優しい言葉を掛けてくれるだろうか?・・嫌だ・・、そんな事はさせたくない。
だから僕は彼女にこの思いを伝えられない。彼女が嫌がるであろう事を出来るわけがない。僕は彼女が好きなのだ。好きで好きで堪らない。でもだからこそ伝えられない。
僕は自分の中にあるもうひとつの欲望と対峙する。僕は彼女とエッチな事がしたいだけなんじゃないか?本当は女の子なら誰でもいいんじゃないか?彼女が人気者だから僕の彼女だとみんなに自慢したいだけなんじゃないか?自分に自信がないから彼女を使って虚勢を張りたいだけなんじゃないのか?
昨日、男子が彼女に告白して断られたという噂を聞いた。僕はほっと胸を撫で下ろす。よかった、まだ彼女は誰のものでもない。僕のものでもないけれど取り敢えず可能性という自分を偽る言葉は口に出来る。
でもそこには彼女の気持ちを推し量る気持ちはない。全ては自分中心の身勝手な思いだ。僕は彼女が幸せになって欲しいと思う。でもその奥底には僕が幸せにしたいという気持ちがあるのだ。だけど僕は自分の実力を知っている。僕では彼女を幸せに出来ない。
何故なら、幸せにするための努力をしようとしないから。僕はただここにいて彼女が振り返ってくれるのを待っているだけだ。自分を磨き、アピールする事もなくただ待っているだけ・・。
多分僕は卑怯者なのだろう。彼女の為と言いつつ本当は自分が傷つくのが嫌なのだ。嫌われるくらいなら最初から近付かない。今のままで彼女を好きな自分に酔っていたいのだ。
でも、でも・・、でもっ!
今日、僕は決心した。今から僕は生まれ変わる。彼女に相応しい男になってみせる。そう、僕は歩き始めようとしている。彼女に一歩近付こうと決意したのだ!
来年!そう、卒業式の時までには胸を張って思いを告げられる自分になってみせる!時間はある!どうやればいいのかなど分からないけどとにかくやってやる!
彼女が困る?多分そうだろう。だが今の僕が告白するよりは万倍ましな男になって伝えたいのだ!
僕は君が好きだ!好きなんだ!大好きだっ!
作者より
気の弱い男の子の奮起を書いてみました。男の子の恋は難しい。まず何といっても対象が必要だ。しかも男の子の場合、そこに性欲が絡んでしまう。純粋な男の子にとってはこの本能は悩みのタネでしょう。なんせ、好きだ!付き合ってくれ!と言った時に女の子から何がしたいの?なんて聞かれたら彼らは答えられない。「君と一緒にいたいんだ!」なんて言えるやつは絶対童貞じゃない。そう、ピュアな男の子は相反する感情を併せ持っています。だから女の子は察してやってください。
でも、こいつあの事しか考えてないなってやつからの告白はきっぱり断るんだよ。少なくとも適齢期間での異性との出会いは100人くらいあります。最初から妥協すると後悔するからね。
因みにエッセイ風にするのは諦めました。真顔で愛なんか語れません。




