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プロローグ

 初投稿になります。

 よろしくお願いします。

 「ねぇユーリちゃん、ぎゅってしていい?」

 「いいけど、いきなりどうしたのさ?」

 「そういう気持ちになっちゃったの」

 恥ずかしそうに俯きながら、ソフィアが正面から抱き付いてきた。

 ショートで水色の髪が鼻をくすぐりムズムズするし、幼いながらも柔らかい身体がまとわり付いて、何だが恥ずかしい気持ちになってくる。


 「ずるいよソフィアちゃん! じゃあ私はユーリにカプするから!」

 「ほえ? リリーちゃん、カプって何?」

 「見ててよー、ほら!」

 そう言いながら、長い黒髪のリリーが後ろから抱き付き俺の首筋を甘噛みしてきた。


 柔らかい二人の美少女にサンドイッチされぼーっとしてきた俺の耳元にリリーが囁く。

 「大きくなったら、私とソフィアちゃんをちゃんとお嫁さんにしてね。仲間外れは嫌だからね」

 「リリーちゃんたら。恥ずかしいな。でもとっても嬉しい」

 そう言いながらソフィアは、背中に回した腕にもっと力を込めてくる。


 8歳の俺は、異世界に転生できて良かったなー、異世界最高だなーと考えながら、力強く二人に宣言する。

 「約束する! 大きくなったら二人をお嫁さんにして、一生守るから。絶対だからね!」

 「ユーリ最高! 嬉しいよー」

 リリーが首筋を更に強く噛んでくるが、ここは我慢だ。

 ってか、リリーって所有欲が強いのかな?

 ちょっと血が出てきてる気がするけど。

 地味になかり痛いぜ。


 ソフィアは無言でぺろぺろ俺の耳を舐めている。

 普段はかなり控えめなのに、実はめちゃめちゃ甘えん坊だな。

 それはそれですごく嬉しいぜ。


 「じゃあ、パパに頼んでユーリを鍛えて貰わなくちゃ。二人のお姫様を守るユーリは強くなきゃいけないでしょ? ねぇ、ソフィアちゃん?」

 「リリーちゃんのお父様って、自警団長のアルバスさんだよね? 名案だわ!」

 二人でどんどん話が進んでいくが、男ならここは乗ってやらねばなるまい!

 「どんと来い! やってやるぜ!」


 盛り上がる美少女たちに挟まれながら、ド田舎にある村の片隅で俺は、輝かしい未来に向かって誓った。

 必ず二人と結婚して、3人で幸せになることを……。



 それからの日々は、アルバス師匠による地獄のような修行が続いた。

 今はしがない自警団長だが、師匠の若いころは一匹狼でかなりの強者だったらしい。

 実は魔法も剣の腕前も一流で、冒険の知識も半端なかった。

 そして俺に対して全く容赦なかった。

 

 早朝の基礎的な身体強化・魔力操作訓練から始まり、魔法の基礎、剣術の型、格闘技術だけでなく、座学による歴史や冒険の講義など、広範囲にわたって修行が行われた。

 また、リリーの母であるリーナさんから、膨大な量のご飯を食べさせられた。

 食事も修行だとは師匠の口癖だ。


 近くの森で魔獣を狩るだけでなく、山の中に自然発生したためボスが居ない野良ダンジョンの攻略といった、実戦をかなり含んだ修行を行う。

 師匠曰く、訓練や講義で習ったものを実戦で試し、それを繰り返すことで、無意識に出来るようになり

、行動や判断のスピードが格段に向上する。

 このスピードが、ギリギリの戦いにおいて生死を分けるポイントとなるそうだ。

 魔獣から取れる魔石を売ったお金で、武器や防具を買う。

 そういった経済的な行為すらも学びを見いだしていった。



 そんなこんなで4年の月日が経ち、俺たち3人は12歳になっていた。

 シルバーの髪を短く刈り上げた俺の体格は修行の成果でかなりがっしりとし、ソフィアとリリーも女性らしいふくよかなスタイルになってきたそんなある日、衝撃的な出来事が起こった。

 リリーの家族が遠くに引っ越さなければならなくなったのだ。


 「何年後になるかわからないけど、3人の約束、忘れないでね」

 泣きながらリリーは俺とソフィアに抱き付いた。

 ソフィアも泣きながらうんうん言っている。


 「ユーリよ。俺がいなくても約束通り、毎日欠かさず修行するのだぞ? お前の修行はまだ始まったばかりだ」

 「アルバス師匠、わかっています。それより師匠、リリーはいつ頃戻ってくるのでしょうか?」

 「そいつ分からん。だが、修行を続けて強くなれば、必ずお前のところに戻ってくるから安心しろ」

 「リリーとソフィアを守れるよう、必ず強くなります!」

 「そうだ。余計なことを考える暇などないからな」 「わかりました。師匠」


 「私がいない間にソフィアちゃんを泣かしたら許さないからね! 最近隣町のサトルがソフィアちゃんにちょっかい出してるからしっかり守るのよ? ソフィアちゃん嫌がってるの分かってるよね?」

 泣き止んたリリーが俺に言い寄ってくる。


 「大丈夫だよ。サトルにはちょくちょく釘を刺してるし、俺もソフィアから離れはしない。二人とも益々素敵になってきてるからね。リリーも気を付けるんだよ」

 「私は大丈夫よ。それより他の女に目移りしないでね」


 「大丈夫だってば。誓っただろ? 3人で幸せになるって」

 「わかってるならいいのよ」

 そう言いながらリリーは更に近づき、いきなり俺の唇にキスをした。


 「おい、おま……」

 「ユーリ、貴様!! 親である俺の前でいい度胸だな! ちょっと来い」

 「ちょっと待って下さい、師匠! 今のは俺からじゃ……」

 「うちの娘に何か文句があるのか、貴様は!」

 「いやいや、無いですから」


 「きゃー、リリーちゃん大胆!」

 「うふふ。羨ましいでしょソフィアちゃん。」

 「うん、良いなー。羨ましい」

 「ちょっとユーリ、ソフィアちゃんにもキスしてあげなさいよ!」

 

 「ちょっとリリー、今揉めてるのに火に油を注がないでくれよ」

 「待てオラ、ユーリ。逃げるな!」

 「ユーリちゃん、お願い」

 「何でソフィアは赤くなって俯いてるのさ」

 「わかってるでしょ、あんたは。何時まで待たせるのよ」

 「いやいやリリー、嬉しかったけどもうちょっと場面を選んで欲しかったよ」

 「オラ、捕まえたぞユーリ、覚悟しろ!」

 「ソフィアちゃん、今よ! 行っちゃえ」

 「ちょいちょいソフィアくっつかないで。危ないってば。師匠は今、我を忘れてるから」

 「ユーリちゃん、お願い!」

 「わーったよ、もう。知らないからな」

 そう言って俺は目を閉じたソフィアの唇にそっとキスをする。

 後ろから羽交い締めをしてくる師匠は放っておこう。


 「いいね、ユーリ。男らしくて素敵よ。その調子でソフィアを守ってね」

 「ソフィアだけじゃなくリリー、お前も俺の女だからな。忘れるなよ?」


 「ゴラ、ユーリ貴様、人の娘に向かって俺の女とは何様のつもりだ」


 「分かってるわ。私は貴方のものよ。貴方は私とソフィアのものだからね。すぐ戻ってくるから、強くなるのよ」


 「改めて誓うよ。3人で幸せになろう」


 「うぇーん、リリーちゃん。早く戻ってきてね」

 泣きながら抱き付くソフィアの頭をリリーは優しく撫でていた。

 俺は師匠に、遥か彼方へ投げ飛ばされていた……



 最後までソフィアの心配をしながら、リリーは遠くへ引っ越して行った。

 その寂しさを埋めるように、より修行に没頭した。


 魅力的なソフィアとリリーを守るには、何としても最強を目指さなければならない……。

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