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第八話

 えっと、どうゆうこと?玲奈さんは、私のことを転生者だと確信に近い疑いを持っていて、それを確認するために私のことを押し倒した?

 私が転生者だっていうことは事実なので彼女の推測は当たっている。でも、それが理由でなんであんなことを?


 「校門前でのアレって勝彰との遭遇イベントでね、貴女がどういう反応するのか見てみたくてね。実際のゲームでのイベントだと貴女がひとりでズッコケる筈だったんだけど、何事もなくさっさと通り過ぎようとしちゃってたじゃない?だから咄嗟に押しちゃったのよ、ホントごめん!怪我させるかも、とか頭からすっかり抜け落ちちゃってたの」


 「わわ、そんな!気にしないでください、怪我とかも無かったんですし、そんな風に謝ってもらわなくても大丈夫です!そ、それに成松君って一番最初に攻略しようとしてたキャラで、現実世界で同一人物?と密着できてラッキー?とか受け止めてもらったりして役得ぅ!とか思ってたりして──って、何を私は口走ってるの!?わ、わぁー!今のナシ!ノーカン!ノーカンですから!」


 手を合わせて拝むように腰を折って真剣に謝られて、慌てて止めようとしていらんことまで口走って、何やってんのだ私わ!ああ、恥ずかしい。

 でも、実際に成松君カッコよかったしなぁ。かなり間近まで接近しちゃったけど、それでもあんなに整った顔してるとか反則だよね。それに──お、お姫様抱っこ・・とか、ああいうことサラッとやってのけるとかどんだけですかよ。ああ、思い出すとまた恥ずかしさが戻ってきて・・・顔から火が出るわ!


 「それ!それよね!ゲームだと立ち絵の会話イベントだけでさらっと流されちゃってたけど、実際に絵にするとあんな感じになるのね!転びそうになるヒロインを颯爽と助ける攻略キャラ!脳内で勝手に補完してたけど現物があるのとないのじゃやっぱり違うわね!」


 こっちが盛大な自爆に悶えている間にあちらはあちらでなんか盛り上がってた。黙ってるともの凄い美人さんなのにゲームのことになるとテンションがえらいことになるのかな?あんな風に無邪気にはしゃいでる姿は美人っていうよりすごく可愛く見えるわ。

 ゲームの取説ではカタキ役として紹介されてるし、いきなり肩押されたりしたしでちょっと警戒してたけど、たぶん悪い人でも怖い人でもなさそうで仲良くなりたいかも。


 「それにしても、貴女、勝彰推しだったのね?電波ヒロインちゃんだったら徹底的に潰すつもりだったんだけど、どう?勝彰のこと攻略してみない?」


 「はい?攻略って・・・ゲームの世界とは違うって結論出してましたよね?なのに攻略だなんて意味わかりませんよ!?」


 「攻略っていうと感じ悪いか、勝彰アイツ、彼女いないから狙ってみないかって。一番最初に攻略しようとしてたって言ってたし、気に入ってるんでしょ?」


 「いや、まぁ、そうなんですけど・・・って、それはゲームの話であってですね!そ、それに玲奈さんはどうなんですか!?婚約者とかそういのじゃないんですか?仲良さそうに見えましたけど?」


 いきなりなんてこと言い出すんだこの人は、確かに外見はモノすっごいツボだし、最初に攻略しようって思ってたけど。それはゲームの話であって実際には関わるつもりはなくて、シナリオ崩壊してるって聞いてそれなら成松君関連でのイベント巻き込まれは無くなるんじゃって安心しかけてたとこにこの爆弾発言だよ。

 シナリオ崩壊してるっていっても設定自体はゲームと同じなんだよね?取説じゃ婚約者だって書かれてたしこっちでもそうなんじゃないの?短い時間しか観察出来てないけど仲良さそうに見えたし。なのに初対面で狙ってみろとかどういうつもりなん?


 「婚約者じゃないわよ、シナリオ改変したことで婚約する必要もなくなったから。勝彰とは仲良いけど、お漏らししてたころから一緒にいたから今更恋愛対象にはならないわ、いいとこ姉弟みたいなものよ」


 「そうなんですか?どちらにせよ攻略云々はゲームの話であって、実際の話になったらあんなイケメン気後れしちゃいますよ。それに成松家ってお金持ちっていうか凄い名家なんですよね?私みたいな一般庶民では住む世界が違うと思います」


 「そう?容姿は貴女もゲームのヒロイン張るだけあるし、家のことも気にする必要ないんだけど。無理強いすることでもないからその気が無いならいいのだけど。ああ、でも勝彰と貴女の絡みを見てみたいなぁ。ゲームとはもう、違っているって分かってるつもりだけど、ファンとしては二次元の静止画でしかなかった世界が三次元で動いているのよ?あの名シーンの再現を!ってなるのは仕方ないと思わない?」


 分かる、分かりますとも。実際に記憶を取り戻したときは興奮しましたし。でもですよ、楽しいのは第三者として傍観できるからで、当事者になったら話が違うんじゃない?恋人居ない歴前世と通算で三十年超えるような恋愛弱者には荷が重すぎる。無理、無理、無理です。

お読みいただき、ありがとうございます。

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