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第六話

 「キュンパラ」ね、知っていますとも。心当たりありまくりです。

 この質問が来るってことは、そういうことなんだろうね。宇都宮さん自身かその身近な誰かに転生者がいることは間違いないんだろうね。

 ちょこっと調べてみたけれど、今のこの世界に「キュンパラ」と称したり略したりする作品は、小説、漫画、ゲーム等には存在しない。さすがに個人製作の作品とかは分からないけど、少なくともネットで検索した範囲では該当は無かった。

 なので「キュンパラ」って言葉を知っているイコールで転生者ってことで間違いないと思う。この学園の関係者なら猶更で。

 では相手が転生者もしくはその関係者と判明したところで返答はどうしようか。素直に頷くか、それとも惚けるか。

 ・・・とぼけたところでメリットあるかなぁ。ここで否定したところで後々にひょんなことでバレないとも限らないし、肯定しようが否定しようが騒動に巻き込まれる可能性は変わらない訳だし、だったら事情を知っている人と交流を持てれば私の知らない情報も貰えるかも。


 「・・・あの、『キュンパラ』のことを知ってるってことは、宇都宮さん、ということでいいんでしょうか?」


 「玲奈でいいわよ、あと敬語もなしで、同学年なんだし遠慮はなしで。で、だけど、その問いにはイエス、答えるわね」


 直接、その言葉が出てきたわけではないけれども、お互いの身の上というか、中の人の共通認識は計られたようなもので、玲奈との心の距離がぐっと近付いた気がする。

 

 「華蓮はこの世界のことはどう思ってる?似てるだけの世界なのか、そのものずばりな世界なのか。ゲームの中だと思ってるなら誰かのこと攻略しようと狙ってる?あ、でも、さっき勝彰のこと避けようとしたわよね、だったら他の四人のうちの誰かかしら。逆ハールートはあのゲームにはなかった筈だから除外よね。あ、でもゲームとは厳密に言えば違うって考えてるなら無理すれば狙うのもありかしら?フラグ管理を徹底すれば充分、狙えるかもしれないわね。でも、さすがに逆ハー狙いだったら邪魔させてもらうわよ?誰か一人に狙いを絞っているなら応援するのも吝かじゃないけど逆ハーはね、ああいうのはゲームの中だから良いのであって現実でやってたら品がないもの。」


 「え?あの、ちょっ・・・」


 「そもそも、逆ハーって私はあまり好きじゃないのよね。ゲーマーの矜持としてスチル埋めのために一応プレイはするけどね。やっぱ、純愛系が一番よね、なんてったって王道だもの。ゲームの中でくらいチヤホヤされたいって願望は理解できるのよ、私だってちょっとは思ったもの。でもでも、みんなで仲良くチヤホヤされるよりもさ、コレはっていう一人にデロッデロになるまで甘やかされるほうが私はいいなって思うのよ。その点で言えば『キュンパラ』は良かったわね、逆ハールート無し、ルート確定後の溺愛っぷり。ルート確定、溺愛ってパターンは同じでもキャラ毎にテイストが違ってて、それがまた各キャラにハマってって。何度、画面の向こうで悶え死にしそうになったことか・・・」


 怒涛の勢いで詰め寄られたかと思えばあっちの世界にワープされてしまわれた。どうしよう呼び戻した方がいいのかな、逃げたらさすがに怒られるよね?できれば、放置しておきたいとこだけど、聞きたいこともあるしなぁ。

 あと、玲奈さんも純愛モノ派なんだね、趣味が合うかも。前世では「隠れ」だったからその手の話をできる友達とか周りにいなかったし、いつかそういう話とかで盛り上がれたらいいな。

 っと、まずは玲奈さんをこっちに再召喚しないとね、まだ早いといっても無限に時間がある訳じゃないし。


 「もしもーし、玲奈さん?」


 「『激ラヴュ2』とかも溺愛ルートは良かったけど、NTRルートが・・・って、ごめんなさい。一人で勝手に熱中しちゃって。仲間を見つけたと思ってテンションが上がっちゃったみたい。それで、何の話だったっけ」


 良かった、一度目のチャレンジで成功したみたいだ。初対面だし、どれくらいの激しさでツッコんでいいものか分からないもんね。肩を揺する程度ならともかく、はったおすしか無いとかだったら途方に暮れたかも。でも、そのレベルまで行っちゃうひとだったらそれはそれで許してくれるかも?


 「えっと、この世界がゲームの世界かどうかってことですね。・・・玲奈・・・さん、は、どう思ってるんですか?」


 「私?んー、そうね、時代背景、舞台設定、登場人物。そういった『設定』はゲームと同じね。だけど、ゲームそのものの世界かって言うとそれは違うってとこかな。ゲームの設定を引き継いだ別世界─並行世界パラレルワールドって感じかしらね」


 「並行世界・・・。それって何か根拠があるんですよね。実のところ、未プレイで取説程度しか情報がなくて判断のしようがなくて・・・」


 「あれ?そうなんだ?んー、根拠ね。あ、そうだ!取説にもたしか少しだけ触れてたと思ったけど、勝彰の性格ってどう感じた?」


 あー、あれか。確かに取説では成松君って俺様系って紹介されてたのに実際には、そんな感じは全然なくて違和感を感じてたっけ。


 「俺様系でしたっけ、でも、そんなこと全然なくて違和感というか戸惑いというか、は感じましたけれども」


 「だよねー、ゲームの中の勝彰知ってたらもっと違和感大きいと思うよ?誰だ、コイツは!ってくらいに。だから、アイツが根拠のうちの一つかな。アレね私が改変した成果なのよね、あ、もしかして俺様な性格の方が好みだった?」


お読みいただき、ありがとうございます。

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