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第五十二話

 学園祭本番を週末に控えた平日、準備の方も佳境に入って学園全体がお祭りムードに染まってきた。

 我らが大道具班も本格的に準備を進めていて修羅場の様相を呈している。小さいものから順に少しずつ製作を進めてきたんだけれども、大物は邪魔になるということで本格的な準備期間に入るまでおあずけとなっていたから、今になってやっと大急ぎで製作を進めているという訳だ。

 準備を進める生徒たちの熱意は高いのだけれども、所詮は素人の集まりなので用意している材料が足りなかったり、誰かの発案で急遽作るものが追加されたりとなかなか予定通りには進まなかったりなので


 「おーい、ペンキが空になっちゃったんだけど予備ってまだあったっけ?」


 「あれ?木材が足りないんだけど誰か余分に持ってったかー?」


 なんて声がクラスの内外、あちらこちらで飛び交っていたりする。


 「森山さん、ちょっといいかな?」


 作業中に掛けられた声に振り向くと製作班の総指揮役をしている副委員長がメモ用紙を持ってこちらに来るところだった。


 「足りなくなった材料やらを誰かに追加で買い出しに行ってもらいたいんだけど、森山さんなら美術部だし画材とかに詳しいかなって、お願いできるかしら?」


 今までやっていた作業はあと少しで一区切りつくし、断るほどの理由も無いのでメモを受け取り買い出しリストに目を通したのだけれども、ペンキやらの塗料はともかく角材や木板などの木材もしれっと混ざっていて美術部はあまり関係なさそうというか、私一人じゃ絶対に持ちきれないよね、コレ。


 「近くのホームセンターなら大きなものなんかは配達を請け負ってくれるから、それでも手が足りなそうなら荷物持ちに男手を見繕ってくれたらいいから、よろしくね」


 こちらが何か言う前にさっさと歩いて行ってしまった、早速他から声を掛けられているみたいだし総指揮という立場上かなり忙しそうだね。

 気を取り直してと、メモを見る限りでは木材などの嵩張るものは配達をお願いするとして、それでも結構な荷物になりそうだし誰かにお手伝いをお願いしないとね。

 男手ということでパッと頭に浮かんだのは木下君の顔。生憎と大道具班の班長になっている彼は自分の作業を進めつつ周りからも声を掛けられたりと忙しそうでとてもじゃないけれども抜けられそうにない。

 他に声を掛けられそうな男子は、と辺りを見回しているとまたも背後から声を掛けられた。


 「森山さん、買い出しなら僕も手伝おうか?」


 「あれ、成松君?有難いけれども、稽古は大丈夫なの?」


 私と副委員長の会話が聞こえていたのか、事情を察してくれているらしい成松君からお手伝いの申し出なんだけれども、主役を任されているのに稽古を抜けちゃって大丈夫なんだろうか。


 「どうしても外せない用事で役者の子が抜けちゃってさ、一人くらいなら代役をお願いするところだけど数人と重なっちゃってね、今日は各自で自己練習っていう訳。練習自体はもう殆ど仕上がっているし問題ないよ。製作の方を手伝おうと思ってたんだけど丁度、さっきの会話が聞こえてきたらから丁度いいかなって」


 渡りに船とお願いすることにしてリストを見せるとやっぱり行先はホームセンターが良いってことで出発。校門を出て少し歩いたところでお金を受け取ってないことを思い出したのだけれども、もしかして私が立て替えないとダメなのかなこれって、お財布の中身が足りただろうか。


 「学園周辺の店舗ならこの時期は学園名を出せば、というか制服を着ていけばツケ払いにしてもらえるよ。請求書を発行してくれるからそれを学園に提出しておけば後日に学園がまとめて支払いをすることになっているんだ」


 清鳳学園の学園祭では各クラスに予算が割り当てられていてその中から準備に必要な資材などを購入する。最初は注文表を提出すれば学園があらかじめ用意しておいてくれるのだけれども足りなくなったのなら各自で適宜に購入することになっている。その場合も現金で払う必要はなく後で学園がまとめて支払いをしてくれるらしい。一応、予算を超えても自腹で払えということはなくて、超えた分も学園が支払ってくれるのだけれども、その場合は「何故、予算を超えてしまったのか」や「如何すれば予算内に収まったのか」などをレポートに纏めなくてはならず、過去に大幅に予算を超えたクラスは相当に絞られたらしい。

 それ以外にも、友達同士などの有志単位でも展示や模擬店などを出すことが可能で、計画書が通ればきちんと予算も降りる、とか、模擬店などはお客様と金銭のやり取りが発生するのだけれども、その売り上げは回収されて学園祭全体に使われた予算に充てられる、とか色々とホームセンターまでの道すがらに歩きながら教えてもらったよ。

 模擬店の売り上げを取り上げられて文句とか出ないんだろうかって思ったのだけれども、売り上げと言っても大した額ではないし、利益を出したことは成績とは別にきちんと評価されて保護者に伝わるようになっているからとのこと。あとは、学園祭が終わった後に学園主催の打ち上げが用意されているのだけれども、その年の全体の売り上げ次第で用意される食事なんかが豪華になるとかいう噂もあるらしい。

 

 

 


お読みいただき、ありがとうございます。

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