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第三十九話

 「はい、そこまでー。最後列の者は答案を回収してくれ」


 テスト時間の終了を告げるチャイムと同時に監督の先生の言葉が教室中に響き渡る。


 「んあー、疲れたー」


 ずっと机に向かい続けて固まった背筋をグイっとのばすと何とも言えない解放感に包まれる。さっきまでやっていたテストが最後の教科なのであとは夏休みを待つばかりとなれば尚更である、倍率ドン!ってやつですね。

 採点されて返ってくるまでは油断できないけれども今回のテストには結構な手ごたえを感じていますよ。これも図書館で成松君に教えてもらったおかげかな、なんて。

 周りを軽く見まわしてみると由美は机に突っ伏してダレていて沙耶香の方はいつもどおりほんわかとしていて、まあどちらもキャラのイメージ通りかなとちょっと失礼なことを考えてみたり。


 「おーおー、お疲れだねい。出来の方はどうだった?」


 「んー、まあまあ?いつもどおり可もなく不可もなくってところかな、華蓮の方は?」


 「ふっふっふー、今回の私は期待できるよ。中間では負けたけれど今度は沙耶香にも勝てるかも」


 「えー!?裏切者ぉ!あああ、やばい、今回は本当にやばいかも、補習付けの夏休みなんてなったら灰色すぎるよー!!」


 「裏切者も何も私、中間だって結構上位だったじゃない。何でそっちにグルーピングされてるのかな、それに由美のは単なる自業自得でしょ」


 そう、”結構”上位なのです。これでも一応、狭き門の外部受験入試を勝ち残った猛者なので学園側からは学業に期待されているのですよ。まあ、それでも”結構”止まりなんですが、何というかこのクラス、スペックの高い人が集まってるんだよなあ、成松君とか玲奈さんとか。木下君なんて朝一の授業とかかなりの頻度で居眠りしまくっているのに上位から落ちたこと無いらしいし、僅差ながら沙耶香にも中間では負けてしまったし。由美?彼女は「学業よりも部活動優先!」とは彼女の弁で、今回もテスト期間中は部活動は自粛されていたのに自主練習に明け暮れていたのだから自業自得以外の何物でもなし。


 「それで、二人とも今日はこれからどうするの?」


 「私は部活!思いっきりトランペットを吹き鳴らしたい!」


 「私も陸上部の方に顔を出すつもりかな。テスト期間で結構訛ってると思うし」


 テストが終わるなり部活動が再会されるあたり文武両道を地で行く名門って感じだよね、世間一般の高校生なら「打ち上げにカラオケでも行くかー」とかなりそうなものだけれど。まあ、かくいう私も部活に出ようかなって思っていたしお互い様なんだろうけれど。

 とは言えそれだけでは青春真っ盛りの華の女子高生としては寂しいかぎりなので次の休日に打ち上げがてらパーっと遊びに行こうとも約束したけれどね。



 テスト明け第一弾の美術部の活動は部長さんの「クロッキー大会をやろう!」という鶴の一声でクロッキーに決定。

 大会とは名付けられているけれど、ペアになって交互にモデルをやり合うだけなので普段の光景と変わらなかったり。

 今回の、というか今回も私の相手は木下君で、こういうクロッキーや人物デッサンをペアでやるときは大抵木下君とペアを組まされていたりする。

 こういうのって漫画なんかでは女子部員同士でペアの取り合いとか起こりそうなものなんだけれど、美術部に入部して間もない頃に「同じクラスなんだし親睦を深めるにも丁度いいっしょ」と部長さんに組まされて以降、時々シャッフルはあるものの基本的には固定で続いているんだよね。

 こういうペア決めで主人公がイケメンとペアを組む、から妬まれて苛められるっていうのはストーリーとしてはお約束というかありがちなものだと思っていたのだけれど今のところまで部内の空気は平和そのもので先輩のお姉様方ともすっかり打ち解けました。

 気になって一度聞いてみたんだけれど、そういうのは中等部の頃に木下君が入部した時点でやらかし済みで騒動を起こした部員はすっかり淘汰されていて残っていないんだとか。

 大会が始まってから三十分ほど、お互いに一回ずつモデルを交代して現在は後攻の私がモデルの番。モデルと言っても特段に変なポーズを付けてるわけじゃなくて普通に座っているだけだけれども。

 で、その間無言。ずうっと無言。非常に気まずいです、そろそろ私の精神が限界を迎えそうです。スケッチブックを渡した一件からこうしてペアになって何かをすることが無かったのだけれども、何となくとっても話しかけにくいです。それ以前はそれなりに雑談にも応じてくれていたしで段々と打ち解けて言ってる実感があったんだけれどね。

 でも今は入部する前、入学式直後くらいの距離感に戻ってしまっているような気がする。流石にこの状態が続くと私の気まずさが天元突破しそうなので何とかしないとなのです。部長さんに談判してペアを変えてもらうという手もあるんだろうけれど、それだと何かに負けたような気がするので最終手段で。

 原因はやっぱりアレなんだろうなあ、というかそれ以外に原因があったら心当たりなさすぎでお手上げですよね。

 

 

お読みいただき、ありがとうございます。

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