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第三話

 原田さんと別れてバス停へ、時間的に丁度良かったみたいで殆ど待つこともなく学園行のバスが来たのでそのまま乗車。車内に乗客の姿は殆どなく座席は選び放題、流石に早すぎたかな。

 一番奥の席へ腰を落ち着けたところでホッと一息。学園までは15分程度だったか、その時間で今日の行動指針を再確認しよう。


 まず攻略キャラにはこちらからは近づかない。イベントに巻き込まれても無難な対応を心掛ける。目指せノーマルENDってね。

 後、考えることといったら、私の他に転生者がいるかどうかかなぁ。

 

 「まぁ、いるよね」


 私がこうして転生している以上、他に転生した人が居ないという方が変だよね。

 ん~、この手の転生モノだと悪役令嬢に転生しました。っていう方がポピュラーじゃない?それで没落や死亡ENDを回避するために幼少の時から家族や攻略キャラの問題を解決したり完璧超人に成長したりしちゃうんだよ。

 それで攻略キャラ達も完全に懐いちゃってヒロインが登場する頃には何者も立ち入ることの出来ないくらいの関係を築いちゃってるんだよ。


 「そしたら、私、楽だよね」


 攻略キャラの周りに転生者がいたとしたら、積極的にヒロインに関わらせようとはしないだろうから、私は大手を振って平穏な学園生活を満喫できるというものだ。

 あ、でも、他の転生者の人だったらゲームの情報を持っているかも?フルコンプとかしてて全イベント網羅とかしてるなら安全のためにも情報を教えてもらいたいな。

 ただ、こちらからじゃ相手が転生者かどうか分からないんだよね。まぁ、相手からしてみればヒロインの中身が私=転生者ってことはすぐ分かるか。それで接触してくるかどうかは分からないけれども。

 接触してきてくれれば情報が得られるかもしれない、さらに踏み込んで協力関係を結べるかもしれないけれど、そうやってゲームの主要キャラに近づくことでイベントに巻き込まれる可能性も増えるんだよね。

 結局のところ、こちらから近づく気は無いし全てあちら次第ってことかな。


 つらつらと考え事をしている内にバスは「清鳳学園前」に到着。学園前という名前だけど正門前までは行かないのでバス停から少しだけ歩くことに。

 正門前は良いところのお坊ちゃんやお嬢様を送り迎えする車が止まる為にバスは乗り入れしないようになっているからね。元々は良家の子女だけが通ってたところを生徒数の減少で外部受験生を受け入れ始めてから作られたバス停だからね、仕方ないね。

 

 さて、正門も見えてきたしここからは警戒を密にしていこう。まだ早い時間とあって人通りはかなり少ないけど、混雑を嫌ってかそこそこの台数の送迎車が留まっているからね。留まっている車は車にあまり興味の無い私でも分かるような高級車が見本市のように並んでいて、流石はお金持ち御用達の学校だねと感心しきり。

 絡まれても幸せなことなど何一つないのであまり不躾にならないように、それでも普段お目にかかることの少ない高級車のオンパレードに目を引かれつつ歩いていると何やら見覚えのある横顔が。今までの人生でお金持ちと知り合いになったとこなんてある訳も無く、どこで見たのかなと記憶を紐解けば心当たりなど一つしかなく、前世で見た説明書の立ち絵が思い浮かぶ。


 「成松なりまつ 勝彰かつあき

 お察しの通り攻略キャラの一人。パッケージの表紙に一番大きく描かれていて説明書の人物紹介でも攻略キャラの中で一番最初に紹介される所謂ところのメインヒーローといった感じのキャラクターだね。

 説明書に載っていた簡単なプロフィールによると、今年入学の一年生で、性格は女生徒を寄せ付けない俺様系だったかな、成績トップで実家は超が付くほどお金持ち。まぁ、王道だよね。

 お顔はさすが攻略キャラ!っていうね、超絶イケメン様でございますよ。二次元を実写化すると残念になることはままあることだけど、さすが異世界は格が違った!ほへぇ~、生身になるとあんななるんだ~。いかん涎出そう。

 パッケ裏の彼のスチルに一目惚れして購入した。当然、一番最初に攻略するつもりだったキャラが目の前にいるんだもんテンション上がっちゃうよね。高校だけでも三年間、校舎という同じ空間に存在できると思うとそれだけで転生した甲斐あったなとか思っちゃう。あれだけ関わり合いになりたくないとか考えてたくせに現金だな、私。

 

 早速の遭遇でテンション上がっちゃっててかなり不躾な視線を送っていたことに気づいて慌てて目を逸らす。気付かれたかな?深く関わりたいとは思わないけどガン見してくる変な女とは思われたくはない。やっぱり与えるなら悪印象よりも好印象の方がいい。あれだけ整った容姿なんだから女性から見られるなんて彼にとって日常に違いないし、気にも留めないかも。そうであっておくれ。

 まだ車の中に(運転手へかな?)に話しかけている彼の横を、これ以上、ガン見しないように気を付けて、それでもやっぱり気になるからチラ見しつつ、通り過ぎようとするもあれだけ気を付けようとか考えてたくせに周囲への注意を疎かにしていた罰か、肩へぶつかる結構な衝撃に押され、丁度振り向こうとしていた彼へと押し出され倒れ掛かる。

 やっぱりこれって強制イベントなのかなぁ!?

 


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