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第二十六話

 軽い現実逃避による回想モードから復帰して時間は現在へ。

 二人組を稔君が撃退してからそう間を置くこともなくお巡りさんが駆けつけてきた。通報を受けて、にしてはちょっと早すぎる気もするのでたまたま巡回ルートで様子がおかしいことに気が付いて、とかじゃないかなと思う。

 説明が面倒だなと思う反面で正直、助かったという思いも強い。これ以上、面倒ごとに関わりたくないとか事態を大きくしたくないのでこのまま逃げ去りたいところなのだけれども、倒れて目を回している二人組をこのまま放置して去ることが正しいことなのかどうか悩ましく思っていたからね。もし変な風に頭を打っていたらこのまま放置してしまうことで大変なことになってしまうかもしれない。強引なナンパであのまま連れていかれてしまったら何をされたか分からなかったとはいっても流石にそれは罰として重すぎるよね、とか思っちゃうとこのまま立ち去ってしまっていいものなのか分からなくってしまう。

 だから、一通りの事情を説明し終わったところでお巡りさんから


 「もう遅くなっちゃうから、後はこっちに任せて帰っていいよ」


 と言ってくれた時は心底ホッとしましたよ。しかも、若い方のお巡りさんが大通りに出るまで付き添ってくれたりと至れり尽くせりだ、とは言っても大通りまでほんとに直ぐそこだったんだけれどもね。そんな短い距離で今回のハプニングに出会ってしまうんだから楽しい一日の最後にとんだケチがついてしまったものだ。

 稔君とは駅前でお別れすることに、家まで送ろうかと言ってくれたのだけれども、絵面的にそれってどうなんだろうか、いや強さ的に順当なんだろうけれどもね。まあ、それらは置いておいてもそこまでしてもらうのも何だか申し訳ないのでお休みのところお父さんには悪いけれども迎えに来てもらうことにした。逆に車に乗っていくか聞いてみたけれど、あちらはあちらでお迎えが来るとのことなので今日はその場で解散に。

 

 

 「と、言うことがあったんですよー」


 夜になってから電話の相手に今日あった出来事の愚痴を漏らす。電話の相手は玲奈さんだ。普段、昼間に学校で話すのはもっぱら由美と沙耶香なのだけれども、こうして夜に電話で話すのは意外にも玲奈さんであることが多い。

 同じクラスというだけあって普段の話題にも事欠かない上に、共通の趣味のことを話せる相手が居るというのはいいもので、教室内で大手を振って話すには勇気のいる話題をこうして気兼ねなく話すことが出来るのは貴重な時間だ。

 

 『武道をやっていることは知っていたけど、そんなに強かったのね、ちょっと意外だわ』


 「ですよね、見た目じゃ絶対に強そうには見えないのに。護身術として始めたのに予想以上に性に合ったそうで、あと薙刀も使えるって言ってましたね」


 私としては、玲奈さんが稔君が武道をやっていることを知っていたことの方が意外だったのだけれども、結構みんな知ってる話なのかな?少し気になって聞いてみれば調べたことがあるとあっさりと語ってくれました。

 稔君だけじゃなくてあのゲームの登場人物は一通り人を使って調べたことがあるんだって。


 「ということは、私のこともですか?」


 『ええ、調べさせてもらったわ。その当時はまだ貴女は”森山華蓮”だけだったけどね』


 ということは少なくとも入試よりも前のことなのか。でも、何でそんなことをしたんだろう?


 『私は勝彰を取り巻く環境を改変したわ、その影響の範囲を知りたかったのよ』


 自分の起こした行動の結果、それが周辺程度で留まるのか、世界全体へと波及するのか、そういったことが気になったらしい。で、登場人物を調べさせて得られた結果なんだけれども・・・よくわからない、だそうだ。なんだそれはってズッコケてしまったよ。ゲームの世界と変わっていること、変わっていないこと、いろいろとごちゃっとしていて結局自分の影響なのかどうなのか、一番知りたかったことは全く分からなかったらしい。


 『それにしても・・・』


 「なんですか?」


 『あっという間に四人と仲良くなったわね』


 「あー・・・」


 『勝彰と円城寺稔の二人はともかくとして、木下直昌と江里口智也はもっと時間がかかるかいっその事無理なんじゃないかと思っていたのだけどね』


 稔君は元々幼馴染なのだし会うことさえできれば仲良くなるという段階は超えている、成松君はゲームの様な俺様な性格にはならず人当たり良く爽やかで誰とでも仲良くなれそうな性格になっているので仲が良くなるのにそれほど時間はかからないだろうと予想していたとのこと。


 「木下君は分かりますけれど、智也くんもですか?」


 木下君は取っ付きにくい印象があるのでまだわかるのだけれども、智也くんについてはよく判らない。気が付いたらすぐ傍でお昼寝をしていて、話をした感触でもあまり隔意を感じなかった。ついつい頭へ伸びてしまった手も邪険に払われるどころか撫でられるがままに気持ちよさそうに目を細めていたくらいだし。


 『その辺りは流石ヒロインね、といったところかしら』

お読みいただき、ありがとうございます。

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