表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/119

第十六話

 オリエンテーリングも無事?に終了し、清鳳学園は今、部活勧誘期間に入っている。

 この清鳳学園の部活動は運動系の部活動よりも文化系の部活動の方が活気がある。運動系の部活動全般的にスポ根やハングリー精神と縁遠く大会に出て上位入賞を目指す!というよりはみんなで仲良く楽しもう!ケガには気を付けてね、といった傾向が強いらしい。

 そもそもこの学園の生徒たちはこの競技で身を立てるだとか頂点を目指すだとかいう人は殆どおらず、あくまで体力づくりの一環だとか純粋にその競技が好きだからやってるっていう人ばかりなのだそうで。あとは、同じ競技出身だというのは社交の場や、政治や経済等の交渉の場なんかで結構大きくモノをいうそうで人脈作りにも大変に有意義だとかなんだとか。

 流石にというか設備や指導員なんかは非常に整っていてレベルの高い指導を受けられるとのことで個人競技なんかでは優秀な成績を収める選手なども居たらしいけれども、結局は個人の資質に拠るもので部全体の方針としてはレッツエンジョイが主流なのだそうだ。

 対して文化系の部活動の方はというと、こちらは活動に力を入れている生徒も多く、整った設備と潤沢な予算も相俟ってコンクールなどでは上位入賞の常連となっている部も多い。

 たしかに勧誘期間の初日にあった部活動説明会では素人目に見ても素晴らしい実演を見せてくれる部も多く、中でもトリに行われた吹奏楽部の演奏は圧巻のステージだった。


 「それで、華蓮はどの部活にするか決めたの?」


 「んーっと、候補はチラホラ?あとは体験入部してから決めようかなって」


 で、現在私達は放課後の時間を使っていくつかの部を廻って見学をさせてもらったりして、いくつかの候補に絞ったところだったり。とは言っても、由美と沙耶香はもう入部する部も決まっていて入部届も提出済みとのことで、こうして色々な部を見学して廻っているのも完全に私の付き添いとしてだけれども。私としても一人で見て廻るのは心細いところがあったので有難く同行してもらっている次第だ。

 因みに二人の入部する部活は由美が吹奏楽部で沙耶香が陸上部なんだって。正直なところ二人をセットにして見た場合、イメージが真逆だったので意外だった。という感想を伝えたところ「よく言われる」と苦笑された辺り、みんなやっぱり元気な由美と大人し気な沙耶香でイメージ固定させてるんだなって思った。

 学園側としては別に部活動への参加を強制しているわけでは無いので帰宅部でも一向にかまわないのだけれども、人脈作り云々の件もあってか生徒の八割九割は何某かの部に入部しているのだとか。ただ、個別に習い事を持っていたり実家の事情があったりで忙しい生徒が多いのも事実で、部活動へ入部したとしてもその活動への出席については相当緩いみたいで、第一希望の部へ仮入部の届書を持って行った際に基本は毎日活動しているので好きな時に来たらいいと言われた。その部だけでなく大体どこの部活でも似たり寄ったりでそこだけが特別という訳ではないらしい。



 日が変わって翌日、本来であれば折角仮入部をしたことだしそちらへと顔を出したいところだったのだけれども、ちょっとした個人的な事情によって今日も行内を見て廻っています。

 昨日と違うところは今日は一人でということと、目的が部活動ではなく人探しということ。

 探しているのはゲームの中で攻略対象だった五人の内の一人。攻略対象だった人物に関わるつもりのない私としてはこうして探してまわるなんて行動を取ることは論外だったはずなんだけど、今回だけは特別というかなんというか。

 きっかけはお昼休み、今日は玲奈さんに誘われて中庭で二人でランチ。折角の機会だからということで成松君との馴れ初めを聞かせてもらってた。

 前世の記憶を思い出して、舞台シナリオを崩壊させて、婚約者になったお話。

 以前にも軽く触れた程度には聞いてたけど、改めて経緯を詳しく聞かせてもらってちょっと感動した。ラノベ展開って本当にあるんだなあって。

 それと、成松君に出鱈目を吹き込んだ周りの大人たちにはやっぱり怒れてくる。当人たちには悪意は無かったのかもしれないけれども、資産家の人の再婚話ってことであれこれ邪推されちゃうっていうのも分かるけれども・・・、それを子供に吹き込むってどういうことー!!?

 私がぷりぷりしてるのを玲奈さんに笑われてしまった。あと、見せ場を奪ってしまってごめんなさいって謝られた。本来のシナリオ通りなら私がその大人たちを糾弾することになってたんだって。

 全然、オッケーです。そんな見せ場だったら全く無くて問題ナシ。私が問題を解決するって言ったって十年以上も家庭崩壊の状態が続くってことでしょう?そんなことは寂しすぎるもんね。

 あとは日常のちょっとしたネタとか失敗談、本人の居ないところで聞いちゃっていいのかな?ていうような恥ずかしいことも少しだけ聞かせてもらっちゃった。

 で、幼馴染っていいですねーっていう私の感想を聞いて出てきた玲奈さんの発言が


 「そういえば、華蓮は幼馴染とはもう再会できたの?」


 「へ?幼馴染ですか?」


 「そう、攻略対象キャラの一人、幼馴染枠の円城寺えんじょうじ みのり。旧姓はたしか千葉ちば 稔だったかしら」


お読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ