到着
ポトムが「なぁ、あれって、もしかして宇宙船じゃないのか?」と言うと、「人、1人は入れるかも。それじゃ、マルクってこと? だったらすぐに助けなきゃっ!!」と近づこうとしたティーナの腕をポトムは掴んだ。
「なっ、何っ!?」
「ちょっと待てってっ!! こっ、これが、マルクじゃなくて本部長の言ってた何かが起きるって方だったらどうするんだよっ!?」
「・・・・・・そうかもしれない。だけどマルクが乗ってる可能性もあって、もし何かのトラブルで出れなくなってたら見てるだけなんて無理っ!! 助けなきゃっ!!」
「そうだけど・・・・・・。間違って何かあったら、どうするんだよっ!? もしマルクが乗ってるならアルシアさんが作った宇宙船なんだから信じて、今は指示に従おう。もう少ししたら本部長も来るからさ」
「分かった・・・・・・」と小さな声でティーナは下を見て言うとポトムは腕を離して、2人は小屋に戻り窓から様子を伺った。
それから数分が過ぎ、海が徐々に満ちだして宇宙船らしき物にも水が当たり出した。
そして何かが回転する大きな音が聞こえてくると小屋が揺れだしてポトムが「今度は何だよ?」と震えながら言うと、「この音、プロペラ。ヘリコプター、きっとお父さんよっ!!」とティーナは笑顔を見せて喜んだ。
すると小屋から離れた位置に飛んで来たヘリコプターが着陸をして、軍の制服を着た白髪混じりの黒色の短髪に白色の肌の男性が降りた。
そして小屋に向かって走るとプロペラの風圧か海水のせいなのかドッ、スンッ!!とあの宇宙船らしき物が横に倒れ、驚いた男性は「こっ、これは? 一体・・・・・・何だ?」と不思議そうに見つめた。
ティーナは、ゆっくりと窓から外を見て「ポトムッ、宇宙船が倒れてるっ!! んっ!?」とヘリコプターに人影を見て小屋を出て走った。
「おいっ!! ティーナッ!!」と叫んで開いたドアから外を見た。
ティーナは走って人影が誰か分かると泣きながら「お父さんっ!!」と男性に抱きついた。
ガッチリとした体で男性はティーナを抱きしめて「待たせて、悪かった」と言うと、「うん」と青色の瞳に涙を浮かべている顔を見上げるとティーナは声を出して泣きながら強く抱きしめた。
「本部長・・・・・・」とポトムも走って来ると、「ポトムも待たせて悪かったな」と顔を見て言うと、ポトムは力が抜けて目から涙が溢れてきた。
そして本部長が「それで、砂浜にあるあれは何だ?」と訊くと、ポトムが「空から降ってきたんじゃないかと思うんです」と答えた。
「空からだってっ!? それから動きは?」
「何もありません。本部長が来るまで砂浜に刺さっていて・・・・・・」
ティーナが「アルシアさんからマルクがもうすぐ着くって聞いてたの。だから私はマルクの乗った宇宙船じゃないかと思ったんだけど何が起きるか分からないってお父さんが言ってたから、ポトムが指示に従おって・・・・・・。それで1時間は経つけど何もなくて心配してたの」と話した。
「アルシアには訊いたのか?」
「通信が途中で切れて、それから繋がらないんです」とポトムは言って顔を下ろした。
「もし、マルクが乗っているなら早く出さなきゃいけないだろうが・・・・・・。見た事も無い宇宙船の開け方は分からないしな。あとはヘリで運べれば、本部で何とかなるかもしれないが・・・・・・」
ティーナが「見てっ!! 何か光ってる」と宇宙船らしき物を指して言った。
「中心辺りを回る様に光ってる。もしかして・・・・・・?」とポトムは息を飲んだ。
本部長が「とりあえず、離れるんだっ!! 爆発、もしくは別の何かが出てくるかもしれないっ」と3人は小屋の中へと走った。
するとヘリコプターに無線が入って「そっちの島に無数の何かが近づいているっ!! 島にまだいるなら早く離れるんだっ!!」と男性の声が聞こえてパイロットが降りると、ズサッ!!と背中に何かが刺さって倒れた。
窓から見て気付いた本部長は「なっ!? どっ、どうしたんだ? くっ、くそっ!! どうすれば・・・・・・」と歯を食い縛ってるとパイロットの背中からゆっくりと魚の形をした金属の何かが真っ直ぐと後ろへ抜き上がると、素早く海の中へと戻った。
(いっ、今のは、何だ?)と本部長の目に鋭い何かがパイロットの背中から出てきたのが見えた。
ティーナが「お父さん、どうしたのっ!?」と訊くと、「パッ、パイロットが倒れた・・・・・・」と顔に汗が流れた。
「うっ、動いてるっ!! ふっ、2つに割れたっ!!」とポトムが大声で言った。
「マルクはっ!?」とティーナも窓から外を見た。
「人だ、中から人が出てきた」とポトムの声にドアを開けて本部長も外を見た。
そしてポトムは本部長の横から「マルクなのかっ!?」と大声で訊いた。
「えっ?」とその声に振り返って、「ポトムですか?」と返した。
「あぁ。ティーナもいるぞっ」
「良かった。無事に着いたんだ。・・・・・・ここが地球なんだ」とマルクは目の前に広がる海を笑顔で緑色の瞳で見つめた。