表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
童貞男子高生の紡ぐ転生神話  作者: 大庭青葉
第5章 いざ、新天地へ!
86/90

第11話 アルゴ

約半年ぶりです。お待たせしてしまい大変申し訳ありません。

翌朝、港で作業をしているアルビダ達の所に草太達は再びやってきた。

「クリシュ大陸まで乗せていってほしい?」

「ああ。獣人達護衛役としてこき使ってくれて構わないから」

「ああ、もちろんいいよ」

 草太の頼みをアルビダはとても軽いノリで承諾した。



「え、いいのか?」

 あまりにもあっさり承諾されて、草太は戸惑いを隠せず声を漏らす。

「むしろこっちから頼もうとしてたからねえ。ソウタ達がついてきてくれれば助かるよ」

 ニッと笑うアルビダを見て、草太は「これが『金』の冒険者の懐の広さか……!」と謎の感動を見せた。

「出航はいつになるんですか?」

「明日の予定だよ。なるべく早くあいつらを故郷に帰してやりたいしね」

 港で海賊達の手伝いをしている獣人達を親指で指しながら、アルビダは花奈の問いに答える。



「それでこんなに大急ぎで準備をしているのですね」

「なんか手伝うことはあるか?」

「ああ、なら買い出しを頼んでいいかい? 三日ほどの船旅になるから、船にある備蓄だと少し不安でねぇ」

「わかった、任せてくれ」

「誰か道案内役をつけるかい? ソウタ達はこの街のことよく知らないだろう?」

「それは助かるけど、人手は足りているのか?」

「獣人達が手伝ってくれているし問題ないさ。気心が知れているだろうし、ティーチの奴を呼んでおくよ」

「ああ、ありがとう」

 アルビダが配下の海賊達の元に向かうのを眺め、草太はふうっと息を吐いた。



「あ、あの!」

 そんな彼の背中に、少し怯えた様子の声がかけられる。

 草太が振り向くと、見慣れた顔の少女が立っていた。


「君は確か……」

 草太はその少女が、昨日助けた人物であることに気付いた。獣人の中に居る唯一の人間なので印象に残っている。

「ぼ、ボク……アルゴっていいます。その、お買い物に行かれるならボクも連れて行ってくださいませんか?」

 アルゴと名乗った少女は緊張しているのか微かに震えながら、草太にそう言った。



「別にいいけど……知り合いの近くにいた方が良いんじゃないか? こんな昨日今日会ったばかりの俺達といるより……」

「いえ! ソウタさんのそばに居たいんです! お願いです、ボクも一緒に連れて行ってください!」

「まあそんなに言うなら良いけど……」

「ちょっと、勝手に決めないでよ」

 押しに弱いところを草太が見せていると、アテナが横から口を挟んだ。



「あんた一体何人女の子を侍らせれば気が済むわけ? ホイホイとトリモチみたいに女の子をひっ捕まえるんじゃないわよ」

「お前は何をそんなムキになってんだよ。怪しい所は無いし、親切心を無下にすることはできないだろ」

「そ、それはそうだけど!」

 わめくアテナに草太が怪訝そうにしていると、アルゴがとても小さい声でぽつりと呟いた。



「ボク、男なんです……」

『……………………』

 爆弾発言に、草太達は一様に凍りついた。




「いやー悪かったわねアルゴ! そんな可愛い顔をされたら誰だって女だと思っちゃうわよ!」

 場所は変わってヴェネールの商店街。背中を丸めて草太達についてくるアルゴの肩を悪びれもなくたたきながら、アテナが笑う。

「うぅ……恥ずかしかったです……」

 半べそになったアルゴはボロボロになっている服の裾をぎゅっと掴んだ。



 「男発言」の真相を確かめるべく、アテナは倉庫の陰でアルゴの下半身を見てくるように草太に命令したのだ。一見はただの美少女にしか見えないアルゴの性別を確かめるにはそれしかないと。

 草太も最初は渋っていたが、アルゴが「ソウタさんたちがそれで信じてくれるのなら……」と言ったため渋々受け入れた。



「その、本当に悪かったなアルゴ。こいつ、かなり頭が悪いんだ」

「ちょっと、なんで私が侮辱されなきゃいけないのよ!」

「この通り反省も全くしていない。後で俺がこいつを叱っとくから」

「いえ、その……皆さんが信じてくださったのならそれだけでボクは嬉しいです」

(いい子すぎる……)

 顔を赤らめながらはにかむアルゴを見て、アテナ以外の四人が感動に打ち震えた。



「ところで、アルゴはどうしてソウタについてこようと思ったんだ?」

「……その、ソウタさんが英雄のように思えて……」

「この童貞男があ?」

 メリナの質問に答えるアルゴに、アテナが呆れ声を上げる。

(こいつマジで後でぶっ飛ばそう)

 強く誓い、草太はアルゴに「どういうことだ?」と話の先を促す。



「港での攻防を見ていました。悪い人達に恐れず、それでいて強い意志でボク達を救おうとしてくれていて……かっこよかったです」

「んおぉ……ありがとう」

 まっすぐに褒められて、草太は若干顔を赤くした。

「幼い頃からボクは本を読むのが好きでした。その中でも特に、神代の英雄譚が……ソウタさんはその物語に出てくる英雄達と変わらない人物だと思います」

「随分と惚れ込まれましたね」

「茶化すな茶化すな」

 リフィアが悪戯っぽく笑うので、草太は苦笑いを返す。



「それで……ボクもいつか……」

 アルゴはそこまで言って口をつぐんだ。

 草太達は一瞬疑問に思ったが、ちょうど目的の店に着いたためアルゴの話はうやむやになったまま終わった。



 買い出しを終えて再び港に戻り、草太達は買い込んだ食料等をアルビダ達に渡した。

「感謝するよソウタ。これで船旅も一安心だね」

「船に乗せてもらうんだからこれぐらいはやらないとな。出航は明日であってるか?」

「ああ、午前中には出る予定さ。二日もあればクリシュ大陸に着けるよ」

「わかった。俺達はここらで失礼するよ。荷物をまとめないといけないしな」

「あいよ。それじゃあ明日、遅れるんじゃないよ!」

「わかってるよ」

 アルビダの叱咤に草太は苦笑を返す。



 花奈達のところに戻ると、アルゴの姿がないことに気付いた。

「あれ、アルゴは?」

「知り合いの獣人に呼ばれて行っちゃったよ。草太くんによろしくだって」

「そうか。そんじゃあ俺達も宿に戻るか。明日に備えて早く寝ることにしよう」

「いよいよ新大陸かー! わくわくするな!」

「どんな国が待っているのか、楽しみですね」

「まあ私に任せておけばこの船旅は安心よ! みんな安心するがいいわ!」



 意気揚々とはしゃぐ仲間達を見て、草太はその無邪気さに呆れ笑いを漏らした。

 心の中でどこか楽しみにしている自分がいることを自覚しながら。


読んでいただきありがとうございます!

感想、誤字脱字報告がありましたら遠慮なくお書き下さい!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ