クリスマス短編 冬のある日、誰かの記憶
クリスマスなので、誰かさんの過去でも。めっちゃ短いのでスナック感覚でお楽しみください。
12月25日は、世にいうクリスマスだ。この日は世界で一番人々が笑顔になる日だろう。
日本においては、このクリスマスは大切な人――家族や友人、恋人などと共に過ごす日として知られている。
少年も、その予定だった。毎年の様にクリスマスプレゼントを楽しみにしていて、美味しい料理を早く食べたかった。
その年のクリスマスは平日だった。少年は学校が終わるなり家に直行し、夜に向けて飾り付けをしていた。
安っぽいモミの木に、色とりどりの光を放つイルミネーションを巻き付け、壁には靴下を飾った。
少年はサンタクロースに疑いを持ち始める年頃だったが、それでも高揚感は失っていなかった。
(お父さんとお母さん、早く帰ってこないかなぁ……)
飾り付けを終え、少年は両親の帰りを待った。
窓の外では、しんしんと雪が降り始めていた。
夜の6時。まだ、両親は帰らない。さすがに早すぎるか、と少年はテレビをつけた。
夜の7時。まだ、両親は帰らない。ちょっと遅いな……と少年は不安になった。外からは、近所の人達の明るい笑い声が聞こえる。
夜の8時。まだ、両親は帰らない。怖くなって両方のケータイに電話をかけたが、繋がることは無かった。
夜の9時。それでも両親は帰らない。少年は泣きそうになるのをこらえ、クリスマスのために買って貰っていたお菓子でなんとかひもじさを耐えていた。
夜の10時。夜の笑い声は消え、家々の明かりが段々と消えていく。テレビでは不倫物のドラマが流れている。
未だに、両親は帰らない。
少年は今朝クリスマスツリーの下にあったプレゼントを開けた。中には新品のシューズが入っていた。かっこよくて、ずっとずっと欲しかった靴だ。
けれど、今の少年には、そんなものがあっても嬉しくない。
「お父さん……お母さん……どこにいるの……早く……帰ってきてよ……」
少年の願いが、誰かに届くことはない。いくら少年が望んでも、両親は既に彼の元に帰ることは無いのだから。
リビングの隅っこにうずくまる。ストーブをつけているのに、とても寒かった。凍えてしまいそうだった。
12月25日。クリスマス。
世界中の人々が笑顔になるその日。
――少年は、意地悪なサンタクロースから、「孤独」という贈り物を与えられた。
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メリークリスマス!僕はぼっちでお酒飲みます!




