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童貞男子高生の紡ぐ転生神話  作者: 大庭青葉
第2章 異世界探索・初級
27/90

第8話 スードの休日

遅くなりました。すいません!

 鳥のさえずり、朝日の煌めき、通りを往く人々の雑踏。

 今日もスードの街は平常運転である。


「今日は休息をとるのにもってこいの日ですね」

「色んなお店を見て回ろうね!」

 『やすらぎの宿』の前に立つリフィアと花奈がにこやかにそう言う。


 昨日はコロージョンワームとの激しい戦いがあったため、今日は冒険者稼業はお休みということにした。

 草太がその旨を伝えると、女性陣――特に花奈が買い物に行きたいと言い出し、断ることもないのでみんなで買い物をすることになったのだ。


「だな。たまの休みだし、晴れてよかった」

「のどかな陽気は眠くなってくるにゃ〜」

 草太も頷き、彼の足元にいる召喚獣のキットが小さな口を目いっぱい開けて欠伸をした。


「はぁ〜やっぱりキットは可愛いね〜」

「にゃにゃっ! 何故か寒気が……?」

「気にすんな」

 久々のキットとの対面に花奈がだらし無い表情になるが、流石に草太は慣れたので放って置くことにした。命に関わらなければセーフなのである。



「とりあえず午前中はみんなで買い物。昼飯を食べたら男女に分かれて自由行動……ってことでいいな」

「異議なーし」

「問題ありません」

 草太の提案に、二人とも笑顔で頷いた。


「夕飯までには帰ってくるのよー」

「「「はーい」」」

 見送りのロゼッタに手を振って、三人と一匹は街中へと繰り出した。



 まず向かったのは、街で一番大きな道具屋だ。

 冒険者に必要な小物を数多く取り揃えており、店内はかなりの賑わいを見せている。

 ちなみにキットは店の屋根で日向ぼっこをしている。買い物などに興味が無いらしい。


 吹き抜けの天井を見上げ、花奈が感嘆の溜息を吐いた。

「ふわぁ〜……すっごいねぇ……」

 大きく開いた天窓から差し込む日差しに照らされ、店内は室内にも関わらず明るく暖かい。

 辺りの棚には色とりどりの道具が並び、購買意欲がそそられる。

 花奈の目は輝きっ放しだ。


「はーい、花奈さーん。迷子にならないようにねー」

「な、ならないよぅ!」

 花奈が顔を赤くして抗議する。興奮のためか、普段より精神年齢が少し幼くなっているようだ。


(ったく、リフィアを見習って欲しいもんだな……ん?)

 そんなことを思いながらリフィアの方を向くと、彼女は彼女で何故か石のように動かない。

 疑問に思い目を見てみると、彼女の視線は一点に注がれていた。


 棚に飾られた人形である。なんの動物を模したかは分からないが、なんというか少し不気味な人形だ。


 まず目玉がギョロッとしている。そして口にはガタガタの歯が並んでいて、気色の悪い笑顔を浮かべている。

 色合いは様々で、赤やら青やら緑やらオレンジやら……とにかくビビットで目に眩しい色が多い。

 二足歩行なのか仁王立ちでこちらと正対する人形に、草太はうへぇと小さく呻いた。


「なんだこれ……こんなの買うやつ居るのか……?」

「か、可愛い……」

「はッ!?」

 リフィアの呟きに、草太は思わず声を上げてしまった。


「この、なんとも言えない瞳。不器用な歯並び……ああ、心が締め付けられるような可愛さです……!」

「待て待て待て、ちょっと待て。リフィア、これが可愛いと思うのか」

「はい!」

「ええ……」

 自信満々な返事に、草太は顔を歪めた。


「もしかして俺の感性が悪いのか……? そうだ、花奈!」

「え? なあに、草太くん?」

「この人形、どう思う?」

 草太が話を振ると、花奈はどれどれと覗き込む。


「…………」

 そして、黙り込んでしまった。

(……やっぱり変だよな。可愛くないよな)

「可愛い〜!」

「うそだろ……」

 予想に反する花奈の反応に、草太は呆然と頭を抱えた。


「これ、可愛いね! なんというか、凄く可愛い!」

「はい! この言葉に出来ない魅力がなんとも……」

「なんか適当に言ってない?」

「「そんなことない(です)よ!」」

「あっはい……」

 女子の感性は全くわからん! と草太は天を、正しくは屋根を仰いだ。


「あっ! こちらの商品がお気に召しましたか? お目が高いですね!」

 と、騒いでいる草太達を見かけた女性の店員がニコニコと近寄ってきた。


「お目が高いって……これって結構人気商品なんですか?」

「はい! こちらは()の『玩具王国トーイ』産の人形でして、ヴィーシュ大陸の女性から絶大な人気を誇っているんですよ!」

「大陸規模で人気なのか……」

 いよいよ自分の感性がおかしいんじゃないかと不安になる草太であった。


「それと、こちらには特殊な魔法がかけられていまして。一度だけ相手の認識を阻害して身代わりになってくれるのですよ。なので命を狙われやすい貴族の方々も購入されていると聞いています」

「へー、それは確かに便利だな……」

「はい! 人気と実用性を兼ね備えたこの一品! お値段は金貨一枚となっています!」

 ちょっと買ってもいいかなーと思っていた草太は、その値段を聞いてピシィッと凍りついた。


 金貨一枚だと、今日の一人分の予算だ。正直、たかが人形のためにそこまでの大金を払う気にはならない。

 見ると、リフィアと花奈も流石に値段に怖気付いたのか、ささっと人形を棚に戻していた。


「……すいません、俺達にはまだ早かったようです」

 草太達は、小さくなりながらその場を後にした。

「またの機会によろしくお願いしますー」

 店員の明るい声が、妙に胸を締め付けた。



「……気を取り直して、とりあえず当初の目的だった物を買いに行こう」

「うう……はい……」

 珍しくしょげた様子のリフィアに、草太はそんなにアレが欲しかったのかと苦笑する。

「まあまあリフィア。午後の買い物でもっといいものがあるかも知れないよ!」

「ハナ……そうですね。落ち込んでいては埒が明きません。さあ、買い物を続けましょう!」

 花奈の励ましに、リフィアがむんっと気合いを入れ直す。


「……そこまで本気にならなくてもいいんだけどな」

 草太はまた苦笑いして、店の中を進み始めた。


「……おっ、あったあった」

 しばらく進んだ店の奥で、草太は立ち止まった。

「ここ……?」

 花奈とリフィアがその売り場に怪訝な顔になる。


 ここは道具袋の売り場だ。小物や薬草などを入れるための大小様々な袋が棚に置かれている。

 だが、草太達にそれは不要なものなはずだ。何故なら草太には【ウェアハウス】という白魔法があるのだから。

「草太くん、どうしてここに来たの?」

「んー? 流石にそろそろお互いの私物が増えてくる頃だし、個人個人で使えるようになった方がいいかなって」


 首を傾げる二人をよそに、草太は様々な袋を手に取り吟味する。

 しばらくして、口が大きめで質素な袋を手に取り、うんうんと頷いた。

「……これがいいかな。すいませーん、これを二つ下さい」

「はーい、銅貨20枚だよー」

 さっさと買い物を済ませる草太を止めることも出来ず、二人は呆然と立ち尽くしていた。


「あの、草太くん? 一体何を……?」

「まあ見てればわかるよ。……【エンチャント:ウェアハウス】」

 得意げに言うと、草太は袋に向かって白魔法を唱えた。


 対象に魔法効果を付与する【エンチャント】。この魔法を使うことで、魔力を流し込めば本来その魔法を使えない人も使えるようになる魔法である。

 そうして、袋に付与された魔法は【ウェアハウス】だ。


「……つまり、この袋は『なんでも入れられる魔法の袋』になったということですか?」

 草太の説明を聞いたリフィアが、半信半疑で尋ねる。

「ああそのはずだ。試しに二人とも、この袋に魔力を流してみてくれ」


 花奈とリフィアは草太に渡された袋を戸惑いながら持ち、言われた通りに魔力を流した。

 すると、袋の中に闇色の空間が現れた。草太の使っている【ウェアハウス】と同じ色のものだ。

「わぁ……ほんとだ……」

「これはまた……」

 花奈とリフィアが感嘆して呟く。そんな二人を見て、草太はうんうんと頷いた。


「今日の買い物を機に、これから個人個人のものが増えていくだろうし、いつまでも俺一人の【ウェアハウス】に入れておくのは色々と気まずいだろ? だから、二人も自由に【ウェアハウス】を使えるようにできれば良いなって思ったんだ」

「なるほど……確かにそうだね」

「お心遣い、感謝します」

「いいってことよ。それじゃ、目的の物も買えたし、しばらくは店内を自由行動にするか? 二時間後に店の前に集合ってことで」

 草太の提案に二人は笑顔で頷き、三人は思い思いにぶらつき始めた。



 二時間後。

 店の前に再び集まった草太達は、一様に複雑な表情になっていた。

「……リフィア、これは?」

「あ、あの……安くなっていたので……」

 小さくなるリフィアが握るのは、先程見ていた人形である。


 だが、先程のものと比べると妙に煤けていて古くさい。

「あの、これは一世代前のものらしくて、売れ残っていた物を……その……」

「……いくらだったんだ?」

「ぎ、銀貨50枚……です……」

 半額。それでも今の自分達にはかなり高価ではあるが。


「お前……」

 草太が呆れて呟くと、リフィアが慌ててぎゅっと人形を抱きしめる。プヒィと間抜けな音が人形から響いた。

「で、でも! 身代わりとしての能力はちゃんとあるようですし! 使えないということは……」

「……わかった、わかった。ていうか鳴るのかそれ……。……ただ、今後はもう少し考えてから買い物をしろよ? 午後にも花奈と二人で買い物に行くんだし……」

「は、はい! 気を付けます!」

 恐らく、エルフ達は物々交換で生活していたため、貨幣の価値や必要性にまだ実感が湧いていないのだろう。


(今後はリフィアが無駄遣いしないように注意しないとな)

 草太は嬉しそうに人形を抱き締めるリフィアを見て、ため息をついた。


 気を取り直し、花奈へ話を振る。

「で、花奈は何を買ったんだ?」

「私は、霊薬って言う麻痺を治す薬を五本。銅貨十枚だったよ」

「麻痺治療薬? なんでまた?」

「えっとね、前に戦ったヨセフって人が麻痺毒を使う人で、その毒が結構強力だったから……なんというか、二度とそうならないようにするための予防……みたいな?」

「なるほど。確かに麻痺は地味だけど危険な状態異常だからな。いいんじゃないか?」

 草太が頷くと、花奈は嬉しそうに笑った。


「では、ご主人は一体何を買われたのですか?」

 あくびをしながら、キットが尋ねる。よく眠っていたらしい。

「ん? 俺はこの鈴と、糸だよ」

「……なんでまたそんなものを……」

「いや、もしも侵入者が来た時にこの二つを使った警報装置を踏んだりしたら、すぐに気づけるだろ? 俺達は今狙われている立場だからな」

「草太くん……」

「ソウタ……」

「ご主人……」

「な、なんだよ……理にかなっているだろ?」


 『折角の休日なのに……』という三人の視線に、草太は冷や汗をかいた。


 午前の買い物が終わったので、三人は昼食をとることにした。

 近くにあった屋台で肉の串とサンドイッチを買い、ベンチに並んで座って食べ始めた。


「……二人は午後はどこに行くんだ? そう言えば聞いてなかったよな」

「ああそれは……」

「わああ! リフィア言っちゃダメだよ!」

「……はっ! そ、そうでしたね。すいません……」

「何それ、俺には言えない事なの?」

 仲間外れにされて少し傷つく草太。


「ち、違うんだよ。その、少し言い難いことで……」

「? まあそんなに言いたくないなら聞かないでおくけど」

 サンドイッチを()みながら、草太はキットの頭を撫でた。

 キットは焼き魚を頬張って満足そうにしている。


「キット、俺達はどこに行こうか?」

「オイラとしては、新鮮な魚を売っている店に行きたいにゃ」

「まだ魚を食べるつもりか……でも、確かに悪くないかもな。でもこの街の近くに港なんてないだろ?」

「近くの港町から運び込まれているはずだにゃ」

「なるほど。それじゃあ探してみるか」

 草太とキット組も午後の目的地が決まった。

 と言うか今の今まで決めていなかったのか、というツッコミは無しである。


「――うし、それじゃあそろそろ行くか! 俺とキットは商業区の東の方に行くことにした。そこには食べ物とかが売ってるからな」

「私達は北の方中心かな」

「お互いに良い買い物が出来ることを祈っています」

「「重い重い」」

 それぞれの目的と思惑を秘めて、三人と一匹は商業区へと歩み出した。



 昼下がりのスードの街は、人々の活動ピークの一つである。

 夕飯の食材の買い出しや、昼食後のお出かけをする人々で通りは賑わい、それらの人々を呼び込むために売り手はより一層声を張り上げ客引きをする。


 そんな中でも東の魚市場は一段と盛り上がっていた。

 スードの西にある港町から届く新鮮な魚は、街の人々に絶大な人気を誇っている。

 故に生臭い市場は熱気に溢れ、戦場と化す。


「活きのいい一角鰹(いっかくかつお)入ってるよー! 今なら銀貨十枚!」

「この時期にしか捕れない逢い引き(くじら)の肉はこっちだー!」

「蟹が安いよー、安いよー!」


「はぁ〜すっげえなここも」

 声を張り上げる市場の人間達を見て、草太は感嘆して呟く。

 日本にいた頃に一度だけ築地に行ったことがあるが、あそこと遜色の無い盛り上がりようだ。


「ご主人ご主人! オイラはあの刀鮪(かたなまぐろ)が気になるにゃ!」

 隣にいるキットは大興奮の模様だ。

「どれどれ……? ……あれはまたすげえな」

 キットの向いている方を見ると、草太の知っている鮪より少し小さめの魚が居た。


 銀の光沢を放つ鱗は、確かに刀のように鋭く美しい。

 体長は八十センチ程で、あれだけで今晩のおかずを賄えそうだ。


 気になるのはそのお値段である。

「すいません、この刀鮪っていくらですか?」

「お、兄ちゃん若いのに目ざといねぇ! こいつは今朝捕れたばっかの新鮮なやつだ! 値段は銀貨四十枚って所かな!」

 草太が尋ねると、鮪の前に立っていたいかつい店員が笑顔で答えた。


(約四千円か……鮪一匹丸々でそれは安いのか……?)

 恐らく例のあの人形よりかは価値があると思うが、いかんせん魚を買ったことがない草太には損得の見当がつかない。


「ちょっと待ってもらって良いですか?」

 そそくさと店員の前から離れて、こそっとキットに耳打ちする。


「キット、あの刀鮪の値段は妥当なのか?」

「はいにゃ! あの状態で今朝捕れたものならば銀貨四十枚は妥当ですにゃ。そして匂いを嗅いだ限り、確かに海の匂いがしたからあれは今朝捕れた魚で間違いがないにゃ!」

「なるほどな……よし、日頃ロゼッタさんにお世話になってるわけだし、お土産として買っていこうか」

「オイラにも食べさせて欲しいにゃ!」

「はいはい、わかってるよ」


 しばらくして、草太の手には一匹の立派な鮪が握られていた。


「よし、いい買い物ができたな。……次はどこに行こうか」

「ここに留まっているのがいいと思うにゃ!」

「もう手持ちが無いからなぁ……買わないのに居座るのはどうかと思うぞ」

「そ、そうだったにゃ……」

 キットが項垂れる。粗相をして反省しているペットの様でとても愛らしい。


「まあ、近くの店とかをぶらぶら回ろうか。良かったらなんか買ってやるぞ」

「本当ですかにゃ? ならオイラは帽子が欲しいにゃ!」

「なんでまた帽子……」

「オシャレだにゃ!」

「まじかお前」

 そんな取り留めもない話をしながら、草太とキットはとことこと歩き出した。



 一方で、ここは商業区の北にあるお洒落な喫茶店である。

 あま〜い蜂蜜を塗りたくったトーストが人気の店だ。


「ん〜! 美味しい!」

「入ってみて正解でしたね」

 目玉商品の蜂蜜トーストに頬を綻ばせながら、花奈とリフィアは優雅な一時を過ごしていた。


 お目当ての買い物も済んで、ほくほく顔でのティータイムである。

「ふぅ……これでようやく生活でも困らないね……」

「そうですね。服……特に下着不足は死活問題でしたから……」

「あうう……」


 二人の買い物の目的はこの通り、衣服関連である。

 実は花奈はアテナにもらった服と元々着ていた下着しかなく、かなり危険な状態だった。主に精神的に。

 草太の白魔法【クリーン】と、リフィアから借りることでなんとか我慢してきたが、流石に限界になったため今日の買い物を提案したのである。


「私の物では、花奈の胸を支えきれませんでしたからね……」

 ずーん、とリフィアが自分の薄めの胸を抑えて嘆く。

 エルフの中でも胸が控えめな彼女は、花奈にも負けたことで酷く落ち込んでいるのだ。


 余談だが、花奈>リフィア>>>『越えられない壁』>>>例の女神である。


「り、リフィアが気にすることじゃないよ……。|確かにちょっと苦しかったけど《・・・・・・・・・・・・・・》、リフィアが貸してくれたからすっごい助かったよ!」

 花奈の悪意の無い口撃(こうげき)がリフィアを襲う! 効果は抜群だ!


「ううううう!」

 リフィアは涙目で顔を伏せてしまった。おろおろと花奈が戸惑う。

「どうかされましたか?」

 二人の様子に気付いた店員が声をかけてきた。

「あ、いえ! なんでもないです!」

 慌てて花奈が首を振ると、店員は「そうですか」と言って去っていった。


「もう……リフィア、そんなに落ち込まないで? 胸の大きさで女の子の魅力は決まらないよ!」

「……ハナの様な魅力的な女性がそれを言っても、説得力が無いのですが……」

「わ、私は魅力的なんかじゃないよ〜」


 満更でもなさそうに花奈が照れるが、実際エルフのリフィアから見ても、花奈という少女はとても魅力的だと思う。

 明朗で高潔。勇敢で優美。

 普通の男なら放っておかない程の人物だろう。


 なのにどうしてあの男は……。とリフィアは内心で頭を抱えた。

 花奈の恋心は筒抜けであるのに、彼は一向にそれに気付きそうにない。

(この二人はいつになったら結ばれるのでしょうか……そう言えば)


 リフィアはふと気になったことを口にした。


「ハナはどうしてソウタの事が好きなのですか?」

「ぶっ!?」

 リフィアの突然の質問に、花奈は飲んでいたお茶を吹き出した。


「けほっ、けほっ。ど、どうしたのリフィア……いきなり……」

「いえ、気になったもので」

「べ、別に私は草太くんのこと好きじゃないよ!?」

「ふっ、流石にそれは無理がありますよ」

 思わず鼻で笑ってしまったリフィアに、花奈が顔を真っ赤にする。


「わ、私そんなにわかりやすい……?」

「ええ、まあ。気付かないソウタが異常だと感じるぐらいには……」

「そんなぁ……」

 今度は花奈が顔を伏せてしまった。

 先程とは逆の立場に、リフィアは思わず笑ってしまう。

 にょきにょきっと見えない悪魔の角と尻尾がリフィアから生えてくる。


「まあまあ、減るものでもありませんし。教えて頂けませんか? お二人の馴・れ・初・め・を」

「り、リフィアのいじわるー!!!」

「お客様……お静かにお願いします!」


 店員に叱られた二人は体を小さくしながらお茶をずずっと啜った。

「やりすぎました、ごめんなさい」

「い、良いけど……でも、そんなに知りたいの? 正直、そこまで特別な話じゃないよ?」

「はい! お二人のことをもっと知りたいので!」

「う、うーん……さっきの今でその言葉は信用しにくいかなぁ!」

「私達、友達じゃないですか!」

「そ、それはそうだけど! ……わ、わかった。話すよ……うう、なんでこんなことに……」


 リフィアの熱意に負けたのか、花奈は渋々話すことに決めた。

 髪を整え、息を吐き、遠いあの日々へと思いを馳せる。


「……私と草太くんが出会ったのは、ある春の日のこと――」


 そう言って花奈が話し出すのは、一年前の地球の、とある学校の中の物語。

 花奈が草太に出会い、恋に落ちた、淡い青春の物語である。

読んでいただき、ありがとうございます!

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