第3話 ソア
目が覚めた。
視界には無数の光の点が暗い闇の中に輝いている。
最後にこんな綺麗な夜空を見たのはいつだったか。
ずっと見つめながら、一滴の涙がこぼれ落ちた。
「まだ泣いてるの?」
視界にある夜空を遮るように女の顔が現れた。
あの時の女だ。
「うわぁ!」
有は驚き、跳ね起きた。
女と顔同士がぶつかりそうになったが、女はスッとかわす。
「そんなに驚かなくても」
「ここは?」
女は困ったような笑顔で言い、有は辺りを見渡す。
「ここはさっきのとことそう変わらないよ」
「そ、そうか...」
確かにまだ辺りは砂一面だ。
「てか、少しは感謝の言葉があってもいいんじゃない?」
女は不満そうな表情で言う。
「あ、ありがとう」
女の表情が笑顔へと変わる。
「どーいたしまして」
落ち着いてまた辺りを見渡した。
周りは砂丘に囲まれ、3台の車が停車している。しかも軍用。他にも4、5人銃をもった人が外にいる。
彼女の近くにもあの時の細長い銃が置いてあった
有には毛布が1枚掛かっており、枕がわりとしてバックが置いてあった。
(なるほど、彼女らがあの車列か...てか、言葉日本語で通じるのに今びっくりしたー。ここ日本か?いやそれはないか、でも...)
「どーしたの?寒い?」
考え込んでいると彼女が声をかけてきた。
確かに少し寒い。
彼女は寒い感じがしないようだが、服装に所々露出してるところが気になる。
いや、気にしないように目のやりどころに気をつけた。
「待ってて、今火を...」
「いや、待て!」
勝手に声が出ていた。
「奇襲を警戒するなら火はつけないほうがいいだろう。光が強すぎて位置がバレるし、交戦したときではこっちが丸見えだ。」
(助けてもらっておいて何を偉そうに言ってんだーおれーーー!!)
言ったことと気持ちが逆なことに戸惑う有。
「その通りだ、わかったか?ソア」
「あ、ラギル」
年齢は40代前半と思われる。
こげ茶色のぼさぼさした髪で髭はちゃんと整っており、体格は筋肉質で、ザ・大人!という感じの男がやってきた。
身長はここにいる二人よりも10㎝ほど大きい。
「全く、後先考えずに勝手に決めて行動に移すなといつも言っているだろー」
「はいはい、」
二人の間では小さな説教が始まった。
(彼女の名前は...ソアっていうのか...変わってるな。で、この人がラギル...)
「てか坊主、目が覚めたんだな。」
「あ、そーいえば自己紹介まだだったね」
いきなり二人の話の矛先が有に向いた。
「私の名前はソア!そのままソアって呼んで!」
顔が近い...
「俺はラギルだ。よろしく」
軽く握手をした。
「俺は...有、紅峰有。」
ここに来てから初めて人に名前を名乗った。
転校初日の自己紹介のような気分で、肩身が狭かった。
「紅峰...」
ソアが有の苗字に少し疑問を持ったような顔をし、
ラギルとアイコンタクトをとる。
「俺の苗字が何か変か?」
少し考えた後、ソアは何もなかったような表情で
「ううん、何でもない。とってもステキだよ。」
有は少し照れくさがった。
「でも、この先苗字は名乗らないようにね。」
「ん?なんで?」
苗字に何かあるのか?
そう思って理由を聞こうとしたが
「また後で話すよ」
先手をうたれてしまった。
有には疑問が残るが
その前に他の疑問を片付けようとした。
ラギルは所定の位置に戻り、
また二人っきりになった。
「なー、ソア」
「ん?なに?有」
初めて彼女の名前を呼んだ。
有にとってはそれなりに勇気を出して
呼んだつもりだ。
「ここはいったい...何処...なんだ?」
声が変になりそうになりながらも疑問を問いかける。
照れが隠せなくなるので
ソアを見て話ができない。
(くっそ!あまり女子と絡んでなかったから免疫ついてねぇぇー俺ぇぇーー)
ソアをチラッとみた。
だが、すぐ目を離した。
(免疫あっても無理だろぉーこれはぁぁぁ!)
ソアの容姿はモデルでトップを狙えるレベルだ。
有にそんな人とまともに話せるわけがない。
「ここ?ここはね、私たちの国の近くの砂漠よ」
「へー、ここの砂漠って赤いんだな」
「太古からの戦いの地だからね...」
ソアは不気味な笑みで言った。
(も、もしかして赤いのって...)
有は血の気が引いていく。
「血じゃないわよ?」
ソアは有の気持ちを察して言った。
「お、おう、わかってるよ」
(ですよねぇぇーーー!)
ビビる有。
からかったソアは有の反応を見て笑う。
(くっそ、弄ばれてる...)
「逆に聞くけど、有はどこの国の人なの?その服見たことない」
有の服は白を基調したTシャツで下は真っ黒のスウェットだ。
だが、先程の戦闘で返り血がTシャツに付いていた。
(やべぇー服ださ!てか返り血が...)
返り血で思い出して吐きそうになるが、こらえる。
「おぉ俺はー日本の東京ってところだ。」
やっぱり変な声になる。
「ニホン?トーキョー?」
ソアは全く知らないようだ。
(日本を知らないのか...言語は日本なのにますます何処なのかわからん)
新しく質問をしようとしたが
「あのなーソ...」
「フハァ~もー1時か...有、続きは明日にしよ」
あくびをしながら言い、横になる。
「見張りは私たちがやるから安心して眠って」
さっきまで眠っていたとはいえ眠い。
まだ気分は晴れないが眠ることした。
「じゃー、お言葉に甘えて...」
有も横になり、ソアの方をみた。
有はソアの眠った顔に見て、
(こんなかわいい人がなぜ銃もって人を殺すようなことしてんだろ?)
ソアの口元が動いた。
有はあまりの可愛さにドキッとし、もう見ていられなかった。
(てかなにがっつり凝視してんだ!おれ!変態か!)
自分を自分で自重する。
(ま、質問は朝聞くとして寝るか)
ソアの反対の方を向き、目を閉じる。
(でも、なんでソアたちは助けてくれた...ん...だろ....?)
頭の中で考えているうちに有は深い眠りに落ちていった。
有は知るだろう。
この世界に起きている悲しみと混沌の渦を。
続く。
遅れてすいませんでした。
次は早く投稿します。
これからもよろしくお願いします。




